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『牛の鈴音』は単純なお涙頂戴動物映画じゃないモー

牛の鈴音 映画の内容を忘れないうちに、真面目に更新しております。
 ここの枕の文に書く話題も毎日更新しているとなくなってきますね。
 その昔、他のところで日記を書いていて、それは毎日更新していまして、あの頃は偉かったなーって。そして随分暇があったんですね。
 もう2月も終わりですがサイコロ転がして映画行くの出来なかったです。そんな企画の元ネタであり、僕に「自分も真面目に映画の感想を書きたーい」と思わせた、TBSラジオにて毎週土曜21時30分から放送されている『ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル』という番組の『シネマハスラー』というコーナーが書籍化されるそうですよ。とても信頼がおける素直で真面目な映画評なのでラジオと一緒にいかがでしょうか?

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(2010/02/27)
宇多丸

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 そんなTBSラジオの差し金のような感じで、本題でございます。今回は去年の年末くらいから観ようとか言って結局観ていなかった韓国産のドキュメンタリー映画『牛の鈴音』の感想を書こうかなと思います。

 観にいった映画館は銀座シネパトス。大昔からある映画館だそうで、はじめて行ったのですが、なかなか独特な面白い映画館ですね。座席に前後の高低差がほとんどないために席選びを慎重に行わないと、観づらいかも。僕が行った回は自分を含めて5人くらいしかいなかったから割と自由に選べたけれど。

 作品の簡単な解説といってもあまり書くことがないんですが、あらすじは以下の通り。韓国の山村の農家にて、老いた牛と、その牛を使って昔ながらの農業をする老夫婦の物語。通常牛は15年ほどしか生きないが、この牛は40年も生きている。獣医にあと一年も持たないと宣告されても、お爺さんは買い換えることなくこの牛を使ってゆっくりゆっくり気が遠くなるほどゆっくり農業をする。お婆さんは新しい牛に買い換えればもっと仕事や日常が楽になるのにとぼやく。それでも頑としてこの老いた牛を使い続けるお爺さん。40年間楽しい日も辛い日もこの牛と付き合ってきたお爺さんは彼(彼女?)に対しあまりに多くの感情を抱き、周囲の迷惑を知りつつも手放せなくなってしまったのだ。しかしながらやがてこの老いた牛にも最期の時がせまる。

 獣医学が発展して老犬介護がちょっとした問題になっているそうな。言葉が通じないボケ犬の世話は相当なストレスらしく、逆に身体をおかしくしてしまう飼い主もいるとか。この作品はそんな現代の社会問題に似ている、がちょっと違う。なにせ農家にとって牛はペットではなく仕事道具なのだ。道具なら使えなくなれば新しい物に変えなければならない。愛玩動物が可愛くて可愛くて手放せないって言うのならよくある他愛もない感動動物モノであるが、このおじいさんの牛に対する情は、決して単純な美であると言い切ることはできない。
 自分の半生のパートナーとして、また枯れ行く自分の分身として牛を愛でるおじいさんのその感情は、決して清廉潔白な動物愛ではなく、自分の今までの人生を肯定するための「自己愛」にも見える。作中、お婆さんがかなり口うるさくお爺さんと牛にぐちぐち言うためになんとなくお爺さんの牛の対する情に共感しそうになるが、お婆さんの身になればお爺さんの情はけっこう迷惑である。例えばお爺さんは牛の体に悪いと農薬を使わないために、稲が駄目になったりする。お婆さんが、この映画に解説ナレーションがいらなくなるほどに、愚痴の数が多くなってしまうのも納得できる省みなさ。こんな感じでお爺さんの牛に対する情は決して正義のものとは言いがたく、運命共同体としての牛の人生が「道具」として否定されることが自分の人生の否定につながるように感じられ、それを否定したいのである。
 でも情って、愛情や友情って、よほどの聖人でない限り、得てしてそういうものだったような。認められたい、セックスしたい、可愛がって上位に立ちたいっていうエゴイスティックな自己愛。誰しもが思いあたる点はあると思う、自己中心的な情。
 
 それでもこの映画の持つ感動は否定できない。その情が他の劇映画で描かれるような聖人のような神々しい情でなくとも、この作品を否定することはできない。では何がこの作品の感動のキモなのか、それはおそらくエゴイスティックな自己愛をそれでも肯定してくれる所である。
 この作品の最後には「子供を育てたすべての父に捧げる」とある。この作品のポスターにある、お爺さんの使い古された古びた手を見て、彼の人生を肯定するための牛に対する情を否定する事ができるだろうか?
 ほとんど動かない片足を泥だらけにして引きずりながら稲を植えていくお爺さんの姿、ダサいキャラクターが描いてある真っ赤なジャンパーを着て寒い中農作業に励むお爺さんの姿、長年使い続けたボロボロのトランジスタラジオ、それらによって食わせてもらって、育ててもらった僕が、それらの描写を見て、単純に「かっこ悪い、ダサい、田舎くさい」などと言い捨てることは出来やしない。そんなお爺さんの自己愛を否定するなんて残酷なことは人の子として抵抗がある。そんなお爺さんのやることに文句をつけていいのは、彼とともに子供たちに食を与え育て上げてきたお婆さんだけである。
 
 果てしなく美しく懐かしい田園風景の描写の数々は、そのようにお爺さんの泥まみれの人生に対する自己愛を美しく壮大に賞賛してくれるようである。牛が死ぬ間際、牛とお爺さんが夕日をバックにゆっくりゆっくり進むショットは限りなくいとおしい。

 そういった感じでまたもやドキュメンタリー映画部門においても韓国映画にしてやられたわけでございます。今回は深津絵里レベル。
 
 次回はこれもまた上映が終了したところがほとんどなんじゃないかっていうテリー・ギリアム師匠のいわくつきの新作『Dr.パルナサスの鏡』の感想を書きたいと思います。ほな!
 

テーマ:最近見た映画 - ジャンル:映画

  1. 2010/02/26(金) 03:04:41|
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