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『パラレルライフ』は映画みたいな映画だよ。

パラレルライフ

 TSUTAYAが「発掘良品」なる商品展開をはじめていまして、映画ファンならある程度みんな知っているけれども、そこまでメジャーな作品ではないような映画をプッシュして行きましょうってな企画で、例えば僕の敬愛する『ナック』や『ビートルズがやってくるヤァヤァヤァ』のリチャード・レスター監督の『ジャガーノート』を筆頭に、『コーマ』『ダークマン』『赤い影』『ギャラクシークエスト』『ニューヨーク1997』などメジャーの中じゃマイナー程度の信頼できる傑作をずらりと並べていて、こうやって映画ファン以外にはあんまり観られない作品を天下のツタヤが大々的にプッシュして埋もれないようにして行く作業ってのはとても素敵だと思います。てなわけでお近くのツタヤにゴーですよ。


 そんな感じで今回は前回サイコロで当てた『パラレルライフ』の感想でごんす。

 観に行った映画館はシネマスクエアとうきゅうの3番館。この映画館は見事に段差がなくてとても苦手です。スクリーン小さいし前の方がオススメかと。
 客層はオバサンが多め。主演が『宮廷女官チャングムの誓い』のチ・ジニさんだからオバサンファンが多いのかな。初日のせいもあり満席ではないにせよ、そこそこ混んでいました。


概要:監督は新人のクォン・ホヨンという人、脚本はハン・ジュンエという人。
 ケネディとリンカーンが節目節目で同じ運命を辿ったように、時を隔てて生きるある2人の人間が同じ運命を繰り返すのは決定論的現象であるとする“パラレルライフ(平行理論)”。最年少部長判事として出世街道をひた走るソクヒョン(チ・ジニ)は、美しい妻ユンギョン(ユン・セア)と娘に囲まれ、幸せな人生を送っていた。そんなある日、ユンギョンが何者かに殺害されてしまう。ソクヒョンの同僚ガンソン(イ・ジョンヒョク)は、ソクヒョンの判決に不満を抱いていたチャン・スヨン(ハ・ジョンウ)による逆恨みの犯行と断定、事件を手早く解決へと導く。そんな中、ソクヒョンは事件の担当記者から、彼の人生が30年前に殺害されたハン・サンジュン判事とあまりにも符合していることを知らされる。やがて、自分が“パラレルライフ”に巻き込まれていることを確信したソクヒョンは、30年前の事件を調べ始めるのだったが…。
"allcinema online"より抜粋)


 当ブログでも色々扱って『渇き』『息もできない』『クロッシング』『牛の鈴音』などとてもいい映画が多く、とりあえず見たら面白いような気がする韓国映画どもですが、よく考えたら話題作しか見てないてなわけで。ではとりあえずまだ話題になっていない本作は如何なるものざんしょてなワケですが、まあ「無難」な作品でした。このあと見た映画がアレだったのもあってインパクトに負けちゃってはやくも印象が薄くなっちゃっています。決してつまらない映画ではないんですけどね。むしろ出来はいい映画だと思います。素直に面白い映画を作っていこうとする姿勢がとても好感が持てます。

 ただ、何故無難なのか、何故印象に残りにくいのかを考えた時、新人監督に多いんだけれども、映画が持つ表現方法を信頼しきってしまっている罠というのが理由として考えられる。そこんところを論旨にして本作の感想を述べたいと思います。


 まず、本作の良かったところなんですけれども、「同じ歴史を歩む他人が存在する」といういささか強引なSF設定「平行理論」をきちんと説明し、観客に「この世界にはそういうものがあるのか」と説得力を与えている点。
 また例えばミステリアスで不気味な音楽。最後の「平行理論」の本が燃えながら怪しく流れるその曲は、ポーや乱歩の小説のような、イタリアの60年代のチープ(褒め言葉)なホラーサスペンスのような怪奇色が強く感じられ、それがとても心地よい。晩年のソール・バス風のオープニングクレジットも怪奇色たっぷりでまた見応えがある。
 特に終盤の畳み掛けはとてもハラハラドキドキさせられる。あそこが、ああいう風に作用して、あれが伏線になっていて…と次々と謎が解決していくことで主人公ソクヒョンが追いつめられて行く展開はとっても見事。あぁ面白い映画を観たって気分になる。実に映画らしい。

 続いて、不満点なんですが、各々の要素が「機能」でしかない点。
 例えば、序盤の美人妻ヨンギュンの死とか、物語の装置としての死でしかなく、それは「人の死」ではない。それが証拠に、ソクヒョンは愛妻の死に怒り狂ったり絶望したりしない(深読みすれば、その心理描写が浅いことも、終盤のクライマックスの伏線になっているのかもとは思うのですが、それはまぁ深読みした上での楽しみ方)。
 また、そのクライマックスに至るまでの過程が、やたら説明くさいのが退屈。ソクヒョンの義父の台詞とか出る度にいちいち「ここ伏線ですよ~、後々大切になるから、きちんとマーカー引いておくように!」って言ってるかのよう。
 あと終盤に出てくる都合の良すぎる「薬」や無能すぎる警官などの、ご都合主義的展開。
 このように「機能」としてしか、人物も事件も台詞も扱わないのが、すごく芝居がかっていてリアリティがない。


 で、「映画が持つ表現方法を信頼しきってしまっている」云々の問題なんですが、「往年の怪奇モノのよう」っていう良かった点も、「人物も台詞も事件も『機能』としてしか扱っていない」という悪かった点も、そこにかかってくる。
 例えば先の『息もできない』も『渇き』も、「既存の映画表現で表せるもの」をなんとか超えようと努力していた。すなわち言ってみれば「超映画」とでも言うべきものを目指していた。

 映画というのは全て「まやかし」であるのだから、観客に登場人物の人生や生活、思考を追体験させるためには、映画が映画として存在することを作り手が容認してはならないと思う。それはその映画がまやかしであることを認めてしまっているようなものだ。映画は映画であってはならなく、それが映画である以上不可能な話なのだが、それでも映画を超える努力をし続ける必要があるのだ。

 今作の良かった点も悪かった点も、結局同じ問題に起因するもので、この映画は「映画が映画であること」に安寧してしまっているのである。だから物足りない。現実社会に住む我々にスクリーンを飛び出して迫ってくる何かを感じないし、この映画で自分の生活がちょこっとでも見え方が変わることもない。いい意味だけでなく悪い意味でも「映画らしい映画」になっているのである。だから基本面白い映画なんだけれどもなんとも無難で印象に薄い映画になってしまっているのではないだろうかと考える。

 以上、映画らしい映画で、そこが面白くもあり、そこが不満点でもあり、要は「パンチが足りない」ってことなんだけれども、基本をしっかり抑えた硬質な造りだけじゃ名作にはなり得ないところに、映画って難しいなぁと感じました。
 相武紗季レベル

 次回はお待たせいたしました、前回サイコロで当てたもう一つの作品、『シュアリー・サムデイ』の感想でござい。
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テーマ:映画館で観た映画 - ジャンル:映画

  1. 2010/08/06(金) 00:56:19|
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