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『ゾンビランド』はささやかな「人間賛歌」だよ。

ゾンビランド
 頑張って更新したおかげで、あといくつかでようやく映画感想が消化できるよ。

 今回は、個人的にはとても楽しみにしていたけれど、そんな話題作だとは思っていなかったら、みんなけっこう観ているのね、僕だけが特別な人間じゃないことをまた一つ知ったよっていう『ゾンビランド』の感想。

 観に行った映画館はヒューマントラストシネマ渋谷。やっぱりテアトル系列のポイントカード作った方がいいか…。3000円はキツいんだけれどなぁ…。まぁ特典たくさんあるしなぁ…。久々に行ったらスクリーンの位置がすげえ高くてびっくり。前目が好きなんですけれど、あんまり前は危険な映画館。
 水曜日1000円、仕事帰りだったのでけっこうな入りでした。空席をのぞけばほぼ満席でした。客層は一人客が多い印象。あのね、映画Tシャツをなにか欲しいなと思って、中野ブロードウェイを観ていて『ダーク・クリスタル』『ヘドラ』『ゾンビ』『13日の金曜日』の「クリスタルレイク」のTシャツを買おうとしてたら、この映画を一人で観にきている観客のかなり多くが映画Tシャツを着ているんです。で、僕もR2-D2のTシャツを着ていたんです。なんかすげー恥ずかしくなっちゃって、映画Tシャツは買うのやめました。あぁ、でもそこにいた人の一人が着ていたモンティ・パイソンのバカ歩きTシャツは欲しかったです。
 

概要:監督はこれがデビューとなるルーベン・フライシャー。リチャード・フライシャーやフライシャー兄弟とは関係ないよね?
 ある日、謎の新型ウィルスに感染した人間がゾンビ化して人々を襲い、瞬く間に世界はゾンビであふれかえってしまう。そんな中、テキサス州に暮らすひきこもりの大学生コロンバス(ジェシー・アイゼンバーグ)は、独自に編み出した“32のルール”を実践してなんとか生き延びていた。やがて彼は、ゾンビ退治に執念を燃やすタフガイ、タラハシー(ウディ・ハレルソン)と出会い、彼の車に同乗する。そこへ、元は詐欺師をしていた美人姉妹のウィチタ(エマ・ストーン)とリトルロック(アビゲイル・ブレスリン)が合流、4人で旅を続けることに。そして、“ゾンビと無縁の天国がある”という噂を頼りに、ロサンジェルス郊外の遊園地“パシフィックランド”を目指すのだが…。
"allcinema online"より抜粋)


 今回の論旨はこの『ゾンビランド』という映画が、たんなるゾンビ映画のパロディに収まらない、「いい映画」であるということについて。


 まず本作がパロディ作品であることについて。
 ゾンビものってのは基本パターンがジョージ・A・ロメロの三部作でほとんど確立していてそれ以降のゾンビ映画はほとんどが良くも悪くもその類似品にすぎないっていっても過言ではないと思う。
 で、ゾンビ映画って、ビデオスルーになっている『なんとか・オブ・ザ・デッド』系って大体似たようなパターンだよなーってのを逆手にとったのが『ショーン・オブ・ザ・デッド』であり、今作『ゾンビランド』
 ただそもそも『バタリアン』の時点でロメロゾンビのパロディはなされていたワケだし、ホラーと言えばドラキュラや半魚人の時代からコメディ化して茶化されるのは伝統なわけで、ホラーとコメディの抜群の相性を見るに、むしろ『ショーン・オブ・ザ・デッド』や今作のような作品の登場は遅すぎなくらいかも。

 で、着眼点は別に新しくもなんともない今作だけれども、きちんとパロディ映画・コメディ映画として爆笑必至な映画であり、それだけで今作のポイントは高い。
 例えば、予告編にもあるが、冒頭でいくつか紹介される、ゾンビから生き残るための「32のルール」。ゾンビ映画をいくつか観たことがあるならば、必ず「あるある」といってしまうようなパターンをおちょくって描いていて、冒頭から観客のハートはガシっとつかまれる。
 また今作の顔であるゾンビ殺しの天才タラハシーの存在。いちいち、カッコ良く、時にマニアックなスタイルでゾンビを殺していく。この役にリアル犯罪者で『ナチュラル・ボーン・キラーズ』ウディ・ハレルソンを使った時点でこの作品はもう成功しているんだと思います。『悪魔のいけにえ』『イージー・ライダー』に出てきそうな田舎のキレた白人っぷりが、仲間になるとなんと頼もしいことか!ゾンビがたまに可哀想になるくらい。
 あと、本人役で登場のビル・マーレイのくだらなさ、無駄使いっぷり。あれ『コーヒー&シガレッツ』でも似たような役で出ていませんでした、この人?
 ビル・マーレイの活躍により、ゾンビのフリをしたらゾンビに襲われなずにゴルフコースを一周できるという大変役立つ情報が『ショーン・オブ・ザ・デッド』に続き証明されましたね。

 あと、きちんとゾンビ映画として怖いシーンはちゃんと怖いのも好印象、ゴアシーンもきちんとグロい。終盤の射撃ゲームの小屋に群がる無数のゾンビ群とかすげー怖いもの。


 で、本作が素晴らしい点の一つとして、たんなるそれだけの「ゾンビあるある」のようなネタ映画に終わっていないこと。
 これは前回の『ルンバ!』などにも言えたことだけど、ジャンル映画であるということに甘んじず、きちんと青春もの、家族ものとしての描写をきちんとした上でゾンビ映画パロディをやっていて、加えてコメディ映画であることに甘んじず、ちゃんとホラー描写、ゴア描写もきちんと作り込んであるため、薄っぺらいギャグだけ映画になっていないのだ。(ジェシー・アイゼンバーグが主人公だということで『イカとクジラ』みたいな要素があるのではないかと思って観に行った人が万一いたとしたら、驚くに違いない、だって本当にそういう要素があるんだから)

 凡百のゾンビ映画や『矢島美容室』のようにコメディだからって、ジャンル映画だからって、人間ドラマもおざなりにしていないので、映画の基盤が安定していて、安心してギャグを楽しめる。


 で、そのような立地点から、本作がテーマとして描くのは「ささやかな事を楽しむこと」。ゾンビ映画のパロディである意味はそこにも絡んでいて、普通ロメロ作品に始まるゾンビ映画は、窮地に追い込まれた時の人間の「醜さ」を描いてきたのに、この映画はむしろそんな絶望的状況でもたくましく幸福を求めようとする、人間の雑草のような力強さ、素晴らしさを描いている「人間賛歌」なのである。

 主人公たちは皆、自分も他人も信じようとしない人々である。
 例えば主人公であるコロンバスは、そもそもコロンバスって名前自体が偽名であることや、「32のルール」のうちの一つ「ゾンビは二度撃て」が何度も登場することが示すように、とにかく人を信用しようとはしない性格であり、だからこそ生き残っている。彼が道中で出会うタラハシーもウィチタ&リトルロック姉妹もそれぞれの理由で心を閉ざしている。だがやがて、彼らはいくつもの苦難と経験を積み重ね、互いに情を通わせることになる。しかしながら、彼らがそれでも素直になれなかったのは、この狂乱の世界で生き残るために自ら定め律していたルールに縛られていたからである。コロンバスにとってその「ルール」は、「ゾンビ(=人間の暗示)を信用しないこと」に重点を置いてある「ゾンビから生き残る32のルール」として存在している。
 やがて、終盤、彼らがピンチに陥った時、コロンバスたちは「ルール」を破ることで、素直に他者を信じることの素晴らしさを知ることとなる。それは「死者の国」に残された彼らの精一杯の「家族」なのである。

 タラハシーが何度か劇中でいった「ささやかなことをたのしむこと」の意味とは、ゾンビが蔓延した世の中でも些細なことを楽しめれば、案外ハッピーであるということ、そしてその「ささやかなこと」とは「家族」のことも言う。
 コロンバスはゾンビ世界になる前は、「身内でもゾンビになったら殺せ」と平然と言っていたように、「家族」のありがたみをまるで感じない青年だったが、「家族」の死を経験してはじめてそのありがたみを感じた。タラハシーもかつて大切な「家族」を失っている。ラストシーン、彼らがもう一度作り上げた新たな「家族」=「ささやかなこと」を楽しもうとしていることが、この、実は絶望まみれの物語に、明るくさわやかなからっとした風をふかせている。

 人を信じようとしない根性が曲がった人々が出会い、自分をがんじがらめにしていたルールから解き放たれ、人と人が触れ合い信じ合うことの素晴らしさに気がつき成長する。なんてまっとうな映画なんだろうか。それをゾンビのパロディ映画という題材ときちんと絡ませあって物語を成立させているのが見事だと思います。


 このように、本作はゾンビパロディ映画としてももちろん素晴らしいけれども、凡百のジャンル映画のようにジャンル映画であることに甘んじず、それをベースに「青春もの」ないしは「家族もの」をきちんと語っているのが素晴らしいと思いました。しかもゾンビもののパロディ要素が、そのテーマ性にきちんと密着・絡みあっているため、ゾンビパロディでなくては表現できないような形でのストーリーテリングとなっているのも良かったです。ゾンビ映画である必然性がきちんとある。


 それとね、うだうだ語りましたが、それ以前に、内気で引きこもり気味、好物は炭酸飲料とスナック菓子で、恋愛ゲームでは基本最下位争い、趣味はゲームとボンクラ映画といった典型的かつ典型的かつ典型的なB級男子が、その知識とゲームやボンクラ映画への愛を活かして、高嶺の花の女の子の命を救うっていうシチュエーションがね、そういう映画やゲームに対する愛が人生にささやかな光を与えるっていう物語がね、たまらなく燃えるんですよ。『ギャラクシー・クエスト』とかさ、『ブリスター!』とかさ、作品の質が云々言う前にすげー好きだもの。


 まぁ不満点もなくはないです。
 例えば、タラハシーとリトル・ロックの関わりをもっと描いて欲しかった。彼女はタラハシーにとって子供の代わりなわけだから。そこに次第に芽生える疑似親子関係を描いたら号泣必至だったろうに。
 あと「32のルール」を全部公表して欲しかったとか。

 あと、これは不満ではないんですけれども、映画Tシャツ着ている観客が多かったことが示すように、決して映画を、特にゾンビ映画をあんまり観ない人向けではない。ゾンビ初心者である女の子に「トイレに入ったらゾンビに確実に襲われる」と言っても、まったく共感を示してくれなかったし、そういうの基本押さえてないと楽しめないかもしれない。

 続編を熱望していたら、なんと続編の制作が決まったようで!わーお!!
 フライシャー監督は3Dでの上映を希望しているとか。

 てなわけで、とにもかくにもオススメでございます。
 黒川芽以レベル
 

 次回はこれまた話題作、今年何本新作出すつもりなの? ドリーム・ワークスの最新CGアニメ『ヒックとドラゴン』の感想をば!


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テーマ:映画館で観た映画 - ジャンル:映画

  1. 2010/08/16(月) 11:14:22|
  2. 映画サ行
  3. | トラックバック:3
  4. | コメント:0
<<『ヒックとドラゴン』はいい意味で上っ面だけの映画だよ。 | ホーム | 『ストーンズ・イン・エグザイル ~「メイン・ストリートのならず者」の真実』は超豪華映像特典みたいだよ。>>

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  1. 2010/08/16(月) 13:06:49 |
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映画館で年間120本前後、映画に関しては雑食で何でも観る俺ですが、ゾンビなんて死ねばいいのにと常々思ってるくらいにゾンビが大嫌いで、ゾンビ映画だけは殆ど観た事がありません。 そんな俺が『ゾンビランド』を観てきました。 ★★★★ どのくらいゾンビが嫌いなの...
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映画:ゾンビランド Zombieland この面白さ、あなどれない....

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