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『ヒックとドラゴン』はいい意味で上っ面だけの映画だよ。

ヒックとドラゴン

 最近やたらと我が家でゴキブリを見かけます。人類の義務として見かけたら殺ることにしていますが、新聞紙でぶっ叩いてぴくぴくしているところをさらにとどめを刺すのもすごく残酷な気がするし、殺虫剤で始末するのもナチスのような気分になるし、どうも殺すたびに罪悪感。
 ホタルやカブトムシはあんだけ可愛がるのに、どうしてゴキブリは殺されなくちゃならないんだろうか。もしホタルも家の中をぶんぶんやたら飛び回ったら、みんな殺しまくっているんだろうか。

 そんなわけで人類もゴキブリとそのうち友情を築き、新たな世界への第一歩を踏み出せるかも知れない、そんな気にさせてくれる映画『ヒックとドラゴン』の感想でございます。3D日本語吹き替え版で観て参りました。

 観に行った映画館は吉祥寺バウスシアター。夏休みということもありちびっ子だらけでした。わりと混雑。みんなやたら大人しかったのは作品が面白かったからなのだろうか。


概要:監督・脚本は『リロ&スティッチ』の監督件スティッチの声も演じていたクリス・サンダースと、やはり同作品の監督と脚本を担当していたディーン・デュボア。原作はクレシッダ・コーウェルさんという人。
 遠い昔。バーク島と呼ばれる島には海賊のバイキングが暮らしていた。彼らは自分たちを襲うドラゴンを憎み、村を守るためにドラゴンたちと戦い続けていた。幼い頃からドラゴンを倒すための訓練に励み、ドラゴンを倒して初めて一人前のバイキングと認められるのだった。ところが少年ヒック(声:ジェイ・バルシェル)は、一族のリーダー、ストイック(声:ジェラルド・バトラー)の息子でありながら気が優しくて非力な落ちこぼれバイキングだった。そんなある日ヒックは、傷ついて飛べなくなったドラゴン“トゥース”と出会う。みんなには内緒で、こっそりエサをあげるようになったヒックは、次第にトゥースと心を通わせていく。やがて、ドラゴンが決して自分たちの思っていたような恐い存在ではないと気づき始めるヒックだったが…。
"allcinema online"より抜粋)


 映画とは何かと言われれば「活動写真」でありそれ以上でもそれ以下でもない。
 気が遠くなるほどの量の写真が何枚も連なりそれが動画になっていく。で、このブログでなんども書いているけれど、映画は結局「外面」なのだと思う。だから「外面」だけが良ければ、作者が何にも考えてなくても、それはいい映画なのである。「中身が空っぽ」と言われる映画は、観客の「中身」への想像を喚起させるような「外面」の仕掛けが足りないのであろうかと。観客が「外面」から得るものは、「知覚」ではなく「体験」であり、ハートにズシンとくるものである。だから、見栄っぱりな「外面」だけ映画を追求するリチャード・レスターや市川崑やチャップリンを僕は問答無用で尊敬している。最近だとそういう点で印象的だったのは『ぼくのエリ』かな。

 で、『ヒックとドラゴン』の何がすごいのかと言えば、その「外面」がすごいのである。その動き、絵、キャラクターデザイン、編集のテンポ、3D効果がとても素晴らしすぎる。予告編まで「うんこーちんこー」と意味もなく叫んでゲラゲラ笑っていたちびっ子どもが、映像に集中してしーんとなるほどワクワクさせてくれる。
 むしろストーリーだけ抽出してしまうと「気弱な少年が外部のものと触れ合うことで、精神的に成長をし、敵対者や自己の葛藤を乗り越えていき、やがて周囲を変化させていく」という実にオーソドックスなハリウッドの娯楽映画のお手本のような作りであり、そのストーリーの解説をいくら頑張ったところでこの映画の良さはほとんど伝わらない気がする。
 てなわけで、今回は、映画は基本的に映像(外面)でものごとを語る芸術であり、『ヒックとドラゴン』はそれがとても分かりやすく面白く丁寧に作られているということを考えていきたいと思います。
 

 で、この作品のテーマ性と「外面」の絡み合いについて解説していきます。
 『ヒックとドラゴン』「武器を捨て分かり合うことの大切さ」をテーマに、互いの文化、考え、立場、個性を「理解」する努力の尊さを描いていると考えるが、例えばトゥースの猫のような可愛らしさと時折見せる人間のような仕草は、圧倒的に他者であり敵対者ですらあったドラゴンへの「理解」を、「言葉」ではなく「映像(外面)」として、観客が頭でなく身体で体験できるように、表現されている。

 また物語冒頭に表れる主人公ヒックの、あまり主人公らしくない、おどおどしていじけているずる賢そうな劣等感でいっぱいの表情の動きが(トゥースを「理解」することで逆に彼に「理解」され認められ)次第に精悍に、優しく、大人らしい表情へとなっていくその彼の成長を観客は「外面」にて「体験」する。

 トゥースのヒックへの「理解」は、飛翔シーンにて表現される。最初まるで噛み合なかった二人の呼吸が、次第に整っていったとき、ついにフライトに成功するのだが、そのジブリアニメに影響を受けたという3D効果を存分に活かした素晴らしい飛翔シーンの高揚感は、観客にプチカタルシスを提供し、両者が「理解」しあったことを「体験」させる。

 以上のように「努力して理解しようとすれば、自然と向こうも理解しようとしてくれる」という単純だけどついつい盲点になりがちな問題を、この映画は何度も繰り返し「外面」によって語っている。


 さらに、ヒックとトゥースが互いのことを、それぞれの武器を捨てるということで「理解」しようとしたことを発端に、ヒックは次々と周囲に認められていく。この「理解」の連鎖のテンポがとても心地よい。最初、息苦しかった作品の空気感が、次第に軽やかになっていくので観客も体感しやすい。

 そしてクライマックスひねて斜に構えていたヒックと、杓子定規に「バイキングらしい考え方」に固執していた父親とが、相互に「理解」しようとし、またトゥースたちドラゴンがバイキングたちに理解された時、ヒックとトゥースのフライトはとても壮快で美しくカッコ良く感動的。


 以上、『ヒックとドラゴン』はストーリーとしてはとても王道な作りなのだが、それを徹底してスクリーンの表面に出ているものだけで見せてくるため、観客は頭ではなく身体で直接的に作品を読み、そのため映画の感動もひとしおとなっている。そしてそれこそ映画のもっともあるべき形、効果的な形であると思われる。


 他に、良かった点として、ドラゴンたちの男の子心をくすぐるディテールとか。「飛翔力4!!」とか言うドラゴンオタクのキャラクターがいたけれど、彼の気持ちがわかるほど個性豊かな習性やデザインをしたドラゴンがたくさん登場してワクワクします。それぞれのあやし方や弱点が色々設定づけられているのも楽しい。

 それと、結末、ヒックにある重要な「喪失」があるんだけれども、それによってハッピーエンドはハッピーエンドでも少しのほろ苦さが加わっている。で、その「喪失」が、今までドラゴンと戦争をし続けていたことの代償や責任、それと異文化コミュニケーションの難しさを表している。それがあるとないとでは大違い。そういうところ、単純にオモシロ可笑しい話にまとめず、大人な態度で、きちんと気が利かせて現実感を匂わせているのがアメリカ映画っぽくていいなと思いました。
 あと、ヒックとドラゴンそれぞれが少しずつ「喪失」した存在になることで、より両者間のバディ感が生まれるって効果もあると思う。


 不満点は、最終的にバイキングとドラゴンに共通の敵をもたらして和解に導いたところ。確かに映画としてカタルシスある展開だし、分かりやすいが相互理解のために新たな敵を設けちゃ本末転倒にも見える。
 ただ最後の戦いはとてもかっこよく迫力もあり、感動的だったりしたので、そこは差し引きゼロでお咎めなし。

 あとバイキングが主役であることの意味が少し希薄な気がしたけど、北欧の伝承で関係あったりするの? もうちょい海賊っぽい活躍を見せて欲しかった。

 あとあと、3D効果は『アバター』以来のとても素晴らしいものがありましたが、まあ3DメガネがXpanDだと暗くなるから最悪っていういつもの不満とか。はやく3Dブーム終わらないかな。この程度の技術ならばまだ世に出してお金をとる段階じゃあない気がします。


 以上、個人的にそこまで期待せずに行ったのですが、素直に行って良かったと思える名作だと思います。とてもおすすめ。今年の夏は名作が多いですね。続編もあるそうですよ。『シュレック』も次回で終わっちゃうし、ドリーム・ワークスは次のシリーズものとしてこれを続けて行くつもりなのだろうか。

 ビビアン・スーレベル。正直、アイドルネタが枯渇してきたため昔好きだったアイドルも引っ張り出してきましたよ。今でも好きですよ。

 次回は『フェアウェル さらば、哀しみのスパイ』の感想だよ。
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テーマ:映画館で観た映画 - ジャンル:映画

  1. 2010/08/19(木) 03:32:00|
  2. 映画ハ行
  3. | トラックバック:1
  4. | コメント:0
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