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『フェアウェル さらば、哀しみのスパイ』はロマンチックだよ。

フェアウェル

 なんだか、子供の頃から20歳くらいに観た映画って実によく覚えているのですが、20代半ばから観た映画くらいから記憶がどんどんなくなっていく不思議。僕、あんまり自分で映画が好きって自称しないことにしているんですけれど、映画好きっていうよりも映画コレクターといった感じで質よりも量を観ようって思いがちで、映画ファンの風上にもおけないわけです。で、量ばかり追い求めていた結果がこれだ!!
 過去に観た映画のメモ的なものを眺めていたんですが、『暗黒街のふたり』ってどんな映画だっけ?『暗殺者のメロディ』って?『貴婦人たちお幸せに』って?
 てなわけで、せめて一本の映画に対し、長文の感想を書けば記憶にもある程度刻み込めるかも知れないと思ってこのブログを書いておりますが、1週間前に観た映画の記憶すら微妙であることに気がつき、量とか質とか云々以前にたんに記憶力と集中力が極端に悪いだけなのではないかと。


 てなわけで忘れないうちに書きますよ。本日は『フェアウェル さらば、哀しみのスパイ』の感想。

 観に行った映画館は渋谷シネマライズ、本当に地下の館がなくなってしまって一館だけになってしまったよ。
 火曜日1000円の日でしたが、そこまで混み合っていませんでした。一人客がほとんど、中年くらいの男性が多めでした。


概要:フランス作品。監督は『戦場のアリア』のクリスチャン・カリオン。80年代初頭、ソ連にてKGBの機密情報が漏洩した「フェアウェル事件」をもとにしている。
 1981年、ブレジネフ政権下のソビエト連邦。KGB(ソ連国家保安委員会)の幹部、グリゴリエフ大佐(エミール・クストリッツァ)は、国家の中枢に身を置くエリートとして何不自由ない生活を送りながらも、国の発展が西側諸国に大きく水を空けられていることに危機感を抱いていた。そして現体制の打破を期して、ソ連の重要機密を西側へ提供することを決断する。やがてフランスの家電メーカーの技師、ピエール(ギョーム・カネ)を介して、西側が決して知り得なかった機密情報を次々と手渡していくグリゴリエフ。一方、フランスの国家機関からグリゴリエフ(コードネーム:フェアウェル)との仲介役を任されたピエールは、この危険な行為に戸惑いつつも、一切見返りを求めないグリゴリエフの清冽さに次第に心動かされていくのだが…。
"allcinema online"より抜粋)


 スパイものといってワクワクしてしまうのは『007』シリーズ『スパイ大作戦』などの影響だろうか、こちらは実在したスパイの地味で哀しい物語である。

 本作は派手なアクションもカタルシスもない。二人のスパイの地味な諜報活動と、彼らのうまくいっているとは言い難い家庭関係を淡々と描く。だが、それでいて非常にロマンティシズムに溢れたスパイ像を描いている。やはりこれは紛れもなくスパイヒーローを描いた映画なのだと思う。

 エミール・クストリッツァ(こんなすげー役者だったんですね、『アンダー・グラウンド』『黒猫白猫』の監督ですよ)演じるコードネーム「フェアウェル(いざ、さらば)」ことグレゴリエフ大佐は、不器用でエロくてお腹が出たありきたりなオジサンだ。彼は愛する息子の未来のために、この国のもはや機能しなくなっていった体制を崩壊させるべく、地味に黙々とKGBの極めて重要な情報を素人のピエールに流し続ける。
 その戦いは、嘘をつきつづけ、誰からも理解されず(父親が自分のためにスパイ活動をしているとはつゆ知らないインテリの息子からはKGBの犬と軽蔑される)スパイ活動の発覚に常に脅え続けるあまりに孤独で惨めで苦しい戦いである。
 そして別にMI-6所属のプロのスパイでもない大佐は情報を盗む手際も非常に危なっかしく、観客をソワソワさせる。

 そんなリアリティあるオジサンスパイのフェアウェルだが、ジェームス・ボンドもビックリのロマンティズムを匂わせる。

 国のため、国を裏切る"哀しみのスパイ"である彼は、国外亡命も望まず、高額な報酬も貰わず、息子のウォークマン、クィーンのカセットテープ、フランスの詩集を要求し、いくらKGBの構成員と言えど一般市民であるくせして「この国は俺が必要だ」「この国は俺が変える」と妄念めいたことを豪語する。

 彼が盗み出した資料はどれも興味深く、ソ連はもはや自分で研究する財力がなく、技術をアメリカから盗んでいたとか、そのアメリカから盗んだ資料には「スペースシャトルが大気圏再突入に耐えられない」なんて書いてあるし。最終的に彼はアメリカに潜んでいる大物スパイ「X部隊」のリストを手に入れ、ソ連の体制に強烈な一撃を与えることと鳴る。
 誰からも理解されず愛する息子のために黙々と、命がけで孤独に不器用に戦う姿は、みじめではあるが男らしく、最終的に彼の活躍が間接的にではあるがゴルバチョフにペレストロイカを決意させる。個人の孤独で無償の戦いがやがてソ連という巨大な国を動かす、それはロマンチックである。
 もう一人の凡人スパイ・ピエールや息子は彼の持つ男のロマンシチズムに惹かれていったのもその彼の男らしさのせいだろう。男子はこういうのには弱いですよね。
 それでいて最後に大佐に感化されたピエールも男気を見せようとするが、それを超越した大佐の男気。うっひゃー、かっこいいー。


 ラストの展開、本作で印象的なポピュラーソングの数々が、生々しくきなくさい政治背景をポップに覆い隠すように、大佐もピエールもまた国という巨大な力に操られ、人知れず飲み込まれていってしまう。
 2010年の現代、彼らが命をかけて変えたロシア(ソ連)がどうなっているかを知っている我々観客は、それでも巨大な時代の動きに、家族に対する愛故に、一石を投じたこの一人のオジサンに、儚げで愛しい哀愁を感じる。

 そこにはジェームス・ボンドにはない哀愁を持ったもう一人のまがいなきスパイヒーロー像がある。やはりロマンチックな映画なのである。


 不満点はある程度近代史を知らないとたまについていけないことかな。僕が近代史苦手で、話についていくのに一生懸命になってしまったからなんですが…。
 あともうちょい話的にも演技的にも動きが欲しかった。難しい政治的な話が多いから動きをもっと入れてくれないと話を追いかけているだけで、ちょっと疲れてしまう。


 てなわけでちょっと難しい内容ではありましたが、現代史をちょっとだけ頭に入れてみれば、チャールズ・ブロンソンを彷彿とさせるグレグリオ大佐に惚れること請け合い。

 谷村美月レベル

 次回はお待たせしました。夏の東映特撮祭り第一弾。『天装戦隊ゴセイジャー エピック ON THE ムービー』の感想を書きます。


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テーマ:映画館で観た映画 - ジャンル:映画

  1. 2010/08/19(木) 14:36:38|
  2. 映画ハ行
  3. | トラックバック:2
  4. | コメント:0
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  1. 2010/08/20(金) 06:15:17 |
  2. NiceOne!!

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  1. 2011/02/19(土) 23:52:29 |
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