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『天装戦隊ゴセイジャー エピックON THE ムービー』は運命論を語るよ。

ゴセイジャー1

 今回は、夏の東映特撮まつり特集第一弾ということで、『天装戦隊ゴセイジャー エピックON THE ムービー』の感想です。3Dで観て参りました。
 毎週ちょこっとだけこのブログで『天装戦隊ゴセイジャー』のとりとめのない難癖とセクハラまがいの感想を書いておりますが、今回はその劇場版ということで、ちょっと長文で感想を書かせていただきましたが、なんていうかちょっと不満が爆発してしまったような…。たった29分の短編なのにえらく長くなってしまいました。


 観に行った映画館はTOHOシネマズ府中。ポイントが欲しいがためにいつもの新宿バルト9ではなくこちらに観に行ったのですが、新宿バルト9に比べお子様が多めでまぁうるさい。前の椅子をガンガン蹴るし、退屈で泣き出したり。「おしっこしたい」だの「うんちしたい」だの叫ぶわ。まぁいい歳こいて子供向け映画を夢中で観ている僕も悪いんでしょうけど。治外法権みたいになっちゃって、親が注意しないのがどうにも。てなわけで満席でした。


概要:スーパー戦隊シリーズ第34作目『天装戦隊ゴセイジャー』のオリジナル劇場版。監督は同シリーズを多く手がける渡辺勝也。脚本は大和屋竺の息子でやはり特撮作品やアニメ作品を多く手がける大和屋暁。アクション監督は竹田道弘。
 ゴセイレッド・アラタ(千葉雄大)が出会った、地球に落ちた2つの隕石を探していた不思議な少女・ラシル(磯山さやか)。彼女が探していた隕石は、世界を悪意に覆い惑星を破壊するという「ラグナロクの角笛」であった。角笛を狙うかつての敵組織「ウォースター」の残党ギョーテンオーから地球を守るため、ゴセイジャーたちは立ち上がるが…。



 まず、この作品のオープニングがなかなか無理矢理で妙にシュール。特に意味もなくビルの屋上につっ立っているアラタが、安っぽいファンタジックな恰好で新宿駅周辺をウロチョロしている磯山さやか演じるラシルを感じとり、「何か困ってるの」と唐突に話しかけるんだけれども、何故だかその協力を意味もなく拒否されることから物語が始まる。なにこの強引な物語の進めかたって吹き出しそうになっちゃったんだけれども、そのオープニングが象徴するように、本作はとりあえず「スーパー戦隊」シリーズの劇場版のお約束(の真似事)に触れるだけ触れて、そのお約束要素を密接にストーリーに絡めることなく、それらの要素も観客も置いてけぼりで物語を強引に進めていくという、子供騙しっぷりが目にあまる作品でありました。


 基本的に『スーパー戦隊』シリーズの劇場版は毎回テレビ放送の一話と尺はほとんど変わらない(下手したらそれより短い)短編であり、そこにきちんと「戦隊ならではのお約束」ならびに、ゲストや特別な悪役、新しい武器やロボなどのお披露目という「劇場版らしい特別感」を両立させねばならないという、けっこう脚本や編集の高等なテクニックを要する作品だったりして、例えば去年の『侍戦隊シンケンジャー 銀幕版 天下分け目の戦』はたった20分しかなかったのに、「起承転結」の「転」と「結」だけしか描かないという思い切った構成で、いつもより強大な敵との戦いをきちんと描いていてそこそこ良く出来ていたとは思う。

 で、今回の『ゴセイジャー』劇場版。描かねばならない要素はとても多いです。まず謎のヒロインラシルの存在、かつての敵組織ウォースターの逆襲(幹部怪人二人に加え過去の再生怪人も大量に登場)、劇場版限定ロボット「ワンダーゴセイグレート」のお披露目などを、いつものテレビでやっている『ゴセイジャー』のお約束要素に加えて29分以内でやらなくてはならない。いつものテレビ放送ですらまとめきれてないのに、更に要素をこんなてんこ盛りして大丈夫なの?って思ったら、案の定一つ一つの要素を作業的にほんの少しづつ見せて行って、なんとか物語の流れに乗せているように見せただけのなんとも淡白な作品になってしまっていました。
 一つ一つの要素に有機的な絡み合いもなく、もちろんそれらがストーリーに深く絡むこともない。だからなんとも印象が浅く、面白味のない、手癖とも言えないような、出来の良くないルーチンワーク的な作品になってしまっている。

 例えば劇場版限定ロボット「ワンダーゴセイグレート」のシーンなどは作品の性質上いちばんの見せ場とするべきなのに(オモチャを売ることがこの手の番組の一番の商業的な目的である)、それまでになんの伏線も努力もなく、終盤にいきなりラシルの強い願い(「奇跡の力」らしい)で唐突にやってきて唐突に敵を粉砕してしまう。で、別にそれはなんだったのか語られることもない。(そんなわけでワンダーゴセイグレートにカタルシスもなければカッコ良くもなく、これオモチャ欲しくなるちびっ子いるの?って気になります)

 またゴセイジャーをはじめとするレギュラー登場人物の面々は、主人公であるアラタですらまるでストーリーを引っ張らない。ただ起こる事件を解説し、それに応戦するだけの解説役件兵隊であり、やっぱり物語は主人公たちをほとんど絡めることなくただただ黙々と勝手に進行していく。というかゴセイジャー、ゴセイナイトなどのレギュラー陣、ゲスト、悪役など全てのキャラが平等に目立たない。記者会見に出ていた髭男爵のひぐち君なんてカメオ出演レベル。まぁそもそも「目立たない」というかキャラクターがまるで立っていないから、感情移入もへったくれもない。
(*)ちょっと余談でこれは他の『スーパー戦隊』シリーズや最近の漫画にも言えることなんですが、みんな「キャラクターが立っている立っていない」ってよくいうけれど、「キャラクターが立っている」ってまずは人間描写のリアリティだと思うんです。「こういうやついそう」とか、「こんなのいあたらイヤだなぁ」とか、そういうの。その上でやれ「お調子者」だ、やれ「無口」だ、やれ「駄洒落好き」だっていう要素が必然性を持ってキャラクター描写の表面上に浮き出てくるのが正当な「キャラクターが立っている」なわけで、そういうリアリティ無視して上っ面だけの付随物だけをキャラクターにとってつけるからこんなことになるんじゃないのかって。


 あと「ウォースター」の再生怪人軍団のシーン。せっかくあんなにたくさん出したのに、なんだかしょうもない子供すらクスリとも笑っていないギャグ展開でお茶を濁しつつ、ゴセイナイトが登場「ここは俺にまかせろ!」でゴセイナイトに戦闘まかせて、ゴセイジャーは一時退場。で、「これで劇場版的な表現、少し消化したかな」ってスタッフも安心したのかその後のゴセイナイトの戦闘シーンはほとんどオミット。というかゴセイナイトの見せ場全編通してこれだけ。
 結局ゴセイジャーはウォースター幹部の「超新星のギョーテンオー」(声:柴田秀勝)と「明星のデインバルト」(声:島田敏)を追いつつザコ戦闘員と戦ってるんだけど、戦闘員出すくらいならそこで無駄に再生しまくった怪人軍団を大量に使えばいいと思うんですけれど。

 他にも散々不満点はあるのですが、書き出したらキリがないのでここらへんにしておきます。
 このように本作は「スーパー戦隊的な表現」「劇場版的な表現」を記号化して羅列しただけだから、まあ制作者の情熱や志など感じられるはずもなく、もちろん何がしたいか何を言いたいかなど分かるはずもなく、カラオケで特撮ソングとか歌う時にそれっぽいアニメ流れたりするじゃないですか、あれに近いです。「それっぽい記号的な表現」の垂れ流し。まあそんなん面白いわけなく。ただ漫然と見ていました。

 あえてテーマを設定すれば「運命論」なのではないかと。登場人物の思惑やアクションなどをものともせず、ただ強引にストーリーは決まった方向に進んでいくのみ。そこに観客を含めた人間の介在する余地はないという。そう考えると何故か意味もなく神話通りに進むストーリー展開にも意味が付与できるし、複数の観客を同時に「強制的」に、個人の意思の介在の余地なく一つの物語に参加させる「映画」という文化を「映画」という装置でメタ的に語り、「映画」を「運命」の暗喩として用いているという試みを憶測推測もできなくもないではないだろうか。
 『エピック』って「叙事詩」って意味で、叙事詩で語られる神話や英雄譚って国民や民族の意識を仮託させる意味合いがあるらしいけれど、一切意識を仮託してくれないのがなかなかどうして、皮肉の効いたタイトルだこと。


 嫌味もほどほどにしないと怒られそうですね、ごめんなさい。
 えーと、良かった点は、テレビ版とは違うエンディングの曲が『スーパー戦隊』らしくてかっこよかったです。Make-upさんの『星を護る者』という曲。
 それとそのエンディングにてビルの屋上でゴセイジャーたちがスッとポーズも取らず立っているんですが、その立ち姿がエネルギッシュで妙にカッコイイ。こういうちょっとした立ち姿にヒーロー性を感じさせるところにもはや伝統芸能と言ってもよいスーパー戦隊シリーズの制作者たちの「匠」を感じさせました。
 あと短かったことかな。もしこの尺が普通の映画並に90分以上あったらと思うと、僕もちびっ子にまざって騒ぎだすところでした。

 以上、おそらく一番の原因はたった29分のなかに120分映画でも難しいくらいの要素を、これでもかと詰め込んじゃったところなんでしょうけれど、例えば磯山さやかを出さなければもうちょっとストーリーがスッキリしたんじゃないかと思います。あとは去年みたいに山場だけ見せる大胆な演出をしたり。
 まぁテレビシリーズをご覧いただいて、不満を抱いている方ならその出来はさして知るべき、テレビシリーズのファンの方でもあんまり楽しめる要素が見いだしにくい作品でございました。


 評価するのはなんか乳幼児を虐待しているようで気がひけますが、キレたお母さんにオロナミンCをぶっかけられたけどむしろちょっと元気になっちゃったプレシャスレベルで。『プレシャス』の感想はこちら


 次回は夏の東映特撮まつり第二弾『仮面ライダーW FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリ』の感想でございます。


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  1. 2010/08/21(土) 02:05:42|
  2. 映画タ行
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  4. | コメント:0
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