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『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士』は尻尾が短いよ。

ミレニアム3

 3年前まで喫煙者だったんですが、きっぱりと辞めて、はや数年。まれに無性に吸いたくなる事がございます。で、このたびの大幅値上げにそなえて、いまだ喫煙者の父が話題の電子タバコなるものを購入してまいりまして、ためしに吸ってみたんですが、わぁ不思議タバコの味がするー。タバコの煙みたいな水蒸気が出るー。有毒性も中毒性も火事の危険性もゴミも出ないので素敵な商品ですね。ただこれを吸ってると、次第に本当のタバコが吸いたくなる気がするので、あんまり吸いませんが。あと海外の電子タバコは実際にニコチンが使用されているそうなので要注意。

 ところで、現実社会でタバコがなくなるのは、少し寂しいけれど、まぁ構わないのですが、映画の世界でタバコが無くなってしまうのは絶対大反対でございます。
 前回の『ミレニアム2 火と戯れる女』に続き、今回はパート3『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士』の感想です。ついでにパート1『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』の感想はこちら

 観に行った映画館などは前回と同じなので省略。


概要:スティーグ・ラーソン原作の『ミレニアム』シリーズの3作目にして完結編。監督はパート2と同様ダニエル・アルフレッドソン。キャストはパート1から変わらず。
 宿敵ザラ(ゲオルギー・ステイコフ)との直接対決で瀕死の重傷を負ったリスベット(ノオミ・ラパス)。ミカエル(ミカエル・ニクヴィスト)によって発見された彼女は、一命は取り留めたものの、厳重監視の病室で外部との接触さえも困難な状態に置かれてしまう。そんな中、亡命スパイのザラを利用して数々の犯罪に手を染めてきた秘密組織が、国家的スキャンダルを闇に葬り去ろうとリスベットはじめ関係者の口封じに動く。そして彼女の運命を狂わせた精神科医ペーテル・テレボリアン(アンデシュ・アルボム・ローゼンダール)と共謀し、リスベットを精神病院送りにするべく狡猾に立ち回っていく。対してミカエルは、妹でもある敏腕弁護士アニカ・ジャンニーニ(アニカ・ハリン)、リスベットを雇用する警備会社社長ドラガン・アルマンスキー(ミカリス・コウトソグイアナキス)ら彼女の数少ない理解者たちを総動員して“狂卓の騎士”を結成し、巨悪に立ち向かっていく。そしてついに、舞台は法廷での全面対決の時を迎えるが…。
("allcinema online"より抜粋)


 今回の論旨は「パート3」について。3部作ものの「パート3」における3つの要素「最大級のカタルシス」、「最大級のスケール」そして「シリーズ全体の結末」を考えてみたい。

 まず「最大級のカタルシス」について。
 本作は前2作とはうって変わって法廷シーンがメインとなっている。
 3部作もののパート3って、パート1から落としどころがきっちりと決まっていさえすれば、パート2でどん底の大ピンチを迎えさせ、そこから挽回していくわけだから、それは面白くないはずはない。本作でもパート2までで積もり積もったすべてのフラストレーションが一気に解消される。

 例えばリスベットが過去に受けた様々な虐待、パート1でサディストの後見人に受けたレイプの屈辱、父と兄との絶望的な確執、そして彼女の存在をその出生から煙たがる旧体制の亡霊たち"班"。本作の前半まではこれらのように散々リスベットをいじめる。特に今作のキーマンとなるかつて幼きリスベットに性的いやがらせを散々したあげく、彼女に「精神障害」のレッテルを貼付けた精神科医ペーテル・テレボリアンがとにかくイヤなヤツ。この役者さん、かなり良い演技しております。
 
 で、それらのパート1から数えて計6時間あまりで溜まりたまったフラストレーションを裁判を舞台に解消させて行く後半はとても痛快。きちんと裁判の証拠物件もパート1からの伏線を活かしているし。例の精神科医を如何にギャフンと言わせるか、とても見応えがある。


 さらに、パート3は「最大級のスケール」である必要がある。
 後見人、大富豪、父親、国家とシリーズを追うごとに次第にリスベットが戦う「男」は大きくなってきていく。
 「ドメスティック・バイオレンス」が本シリーズのもっとも主軸となるテーマであるが、今回彼女にドメスティックバイオレンスを加えるのは国家、彼女は保護してくれるはずの国にまでレイプされていた。それは笑顔で迫り、直接目に見えないし直接的に手出しもしてこないが、あまりに強大であまりに卑劣なレイプ。リスベットが今まで男性に受けてきた暴力は、より強力な暴力によって対抗し得たが、何せ今回のレイプ魔はまるで冷戦時代の亡霊、肉体的な暴力は一切不可である。
 リスベットはそのレイプに対して強く拒絶をあらわすかのようにいつにも増して鋭いパンクファッションで法廷に挑む。
 第一作でアナルへのレイプにはアナルへのレイプで返した彼女だが、今回も法的な屈辱は法的に仕返しをする。更に今回は強力な「狂卓の騎士」もいる。
 このように国家レベルでの闘争が繰り広げられる。


 で、最後に「シリーズ全体の解決」について考えてみたい。
 物語の結末というのは、基本的なスタイルとして、主人公が何を得て、何を失ったかの描写が必要である。
 パート1ではリスベットは残虐性を失い、人とのコミュニケーションの仕方を得た。パート2では逆に残虐性を取り戻し、人間らしい何かを失った。では本作で彼女は何を得て何を失ったか。ミカエルや彼女の担当医、弁護士らによって人間性は取り戻してはいたが、なにしろ「パート3完結編」である、「最大級」である必要がある。

 今作に対して最大の不満はそこにある。
 結末近く、実の兄であるロナルド・ニーダーマン(ミカエル・スプレイツ)との最終決戦が待ち構えているのであるが、リスベットはそこでやはり彼に残虐な仕打ちをして死に至らしめる。パート2で提示された問題「人を傷つけることしかできないディスコミュニケーション」に対してなんら解決は見いだされていない気がする。
 最終的な解決法はこの作品が否定し続けたはずの暴力しかなかったのか。ミカエルと物語の最後に交わす言葉「…ありがとう」「こちらこそ、ありがとう」という言葉には暴力性は無かったけれど、兄と、そして父に一切の救いも理解も一切無く、リスベットはただ失うだけで、得るもの(成長?)が何も無かったのが、とても後味の悪い終わり方であったとも思う。彼女の苦悩は終わらないのだろうか。

 まぁ、原作が本来5部作の予定なのに、原作者のスティーグ・ラーソンが亡くなってしまい3部作で完結という不本意な形になってしまったため、そういう精神面での解決が描かれなかったという理由も推測できる。だが、そこは映画化するにあたってちょっと付け足しでもいいから考えて欲しかったかなとは思う。気配りが足りないんじゃないかなって。
 このようにちょっとシリーズのシメにしては、描かれるべきものがなかったかなと思います。パート2で触れた「他者の痛み」をリスベットが感じる描写があれば、それでも救いがあったんだろうけれども、あれじゃあまりに無慈悲すぎる。


 以上、娯楽作品としては申し分ない出来でしたが、原作が未完なだけに、どうも登場人物の精神面の点で尻切れとんぼ感が否めなかったかなと思います。楽しい映画だとは思いますけど。
 あと「パート2」の感想でも書きましたが、やはり、「パート1」の暗いどんよりとした北欧映画の雰囲気が抜けてしまったのがとても物足りない。

 評価は亀井絵里レベル。卒業してしまいましたね、寂しい。

 次回は話題のインディーズ映画『ロストパラダイス・イン・トーキョー』の感想を書きます。
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  2. 映画マ行
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