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『シルビアのいる街で』を観たのは白昼夢だったよ。

シルビア

 映画感想がものすごいたまっているけれども、脚本を書かなければならず、ちょっとボリューム少なめで送りますがご容赦を。
 今回は、ようやく観に行きました、蓮實重彦とビクトル・エリセという二大うるさ型が絶賛したという『シルビアのいる街で』の感想。
 観に行った映画館は青山のシアター・イメージフォーラム。ここに来たの3度目ですが、3回とも道に迷った、場所が分かりづらいよね。
 公開してから時間がたったのもあり、観客は僕を含めて6人。全員若い人たちでした。


概要:監督はホセ・ルイスゲリンという人。印象的な撮影はナターシャ・ブライエという人。
 フランスの古都ストラスブール。ある朝、ホテルの一室を出た男(グザヴィエ・ラフィット)は地図を片手に街を歩き出し、かつて「飛行士」というバーで出会った女性「シルビア」の面影を求めつつ、カフェで腰を落ち着かせる。そこで目に留まったひとりの女性客。だが声を掛けるものの、無視されてしまう。翌日、演劇学校の前にあるカフェ。店の奥に座り、客を観察しながらノートにデッサンを描く。やがて、ガラス越しに美しい女性(ピラール・ロペス・デ・アジャラ)の姿を認め、カフェを出た彼女のあとを追う男だったが…。



 本作は、役者の美しさだけでも映画は傑作になる可能性がある、そんなことを考えさせられる作品でした。

 今作のカメラの「視点」は二種類しかない。(1)「ただ女性を見つめるだけの男の主観の視点」と、(2)「何者でもない客観的状況を映す視点」である。アングルは真っ正面からのショッ(むしろ街のざわめきが音楽代わりか)、光は南仏のきらきらした魅惑的な自然光をうまくいかしている。ついで物語も男が美女に恋するだけのシンプル極まりないものである。その全てにおいてシンプルで変化球など何もない作風に、何故だかやたら心ひかれる。

 本作の主な登場人物は美男と美女のみである。「ズームアップ」という技術ははるか昔女優の顔が美しすぎてその顔を大きく撮したいという欲求から生まれたそうだが、美女役を演じるピラール・ロペス・デ・アジャラがあまりに美しい。髪を束ねたり人差し指を唇にやるあの色気や可愛らしさ。主人公の男ならずとも彼女に恋をしてしまう。

 「第一夜」ではひたすら街や美女ばかりを撮していたような映像が、「第二夜」の美女との会合を経て、「第三夜」で「第一夜」と似たような映像になるとき、それは「第一夜」とまるで印象が変わる。観客は男の主観の視点に完全に同調し、一緒に「シルビア」(というかその美女)を探してしまうのだ。

 そのような「第三夜」で路面電車の扉に映る彼女の幻影が、「第二夜」での電車内での美女との会話や、主人公が6年前に会ったというシルビアという美女の存在は実はまやかしだったのではないかと思わせる。「第二夜」で電車に乗る直前、光が揺らぐショットがある。基本光を動かさないこの映画だけに印象的である。彼女は南仏のぼんやりとした美しい光が見せた白昼夢なのかもしれない。そうすると先に書いた主人公の主観の視点とは別の(2)「何者でもない客観的状況を映す視点」が実は「街」が我々を惑わすかのように見せているイタズラっぽくセクシーな視点にも見えてくる。
 このように思わせることが可能なのも、ひたすらにシンプルな描写と(その中でたった一度の光の揺らぎと)、ピラール・ロペス・デ・アジャラの頭がくらくらしそうな美しさがためである。

 映画館を出たあとあまりに美しい本作自体がまるでシルビアのように「白昼夢」に思えてきたのだが、そもそも映画とは「白昼夢」を見たい人が愛でるものとも言えないだろうか。もしそうだとしたならば、映画について、メタ的な次元で、最もシンプルな手法の映画で描いている事となり、そのセンスと手腕に脱帽する。


 「映画とは少年が少女を美しく撮りたいという欲求で発展してきた芸術である」みたいなことをかつてゴダールが言っていたけれど、ただひたすらシンプルで丁寧で無駄の一切ない撮影技術でひたすら美男美女を描いた本作は、映画の持つシンプルな底力を最大限に発揮し、CGだ3Dだと慌ただしい昨今の映画に飼いならされた21世紀の我々の目を覚まさせるような体験をさせてくれたと思う。

 宮崎あおいレベル。

 というわけで、隠し球「宮凬あおいレベル」を出してしまったことでもう後がない、当ブログのアイドル映画評価ですが、次回はこれも傑作リメイク版『十三人の刺客』の感想でございます。
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テーマ:映画館で観た映画 - ジャンル:映画

  1. 2010/10/07(木) 11:48:25|
  2. 映画サ行
  3. | トラックバック:1
  4. | コメント:2
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コメント

ほんと、すげぇ映画だったと思います。
  1. 2010/10/09(土) 22:57:53 |
  2. URL |
  3. かみやま #-
  4. [ 編集 ]

ですね。今年ベスト10には入るな。
  1. 2010/10/10(日) 00:42:09 |
  2. URL |
  3. かろプッチ #-
  4. [ 編集 ]

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シルビアのいる街で

公式サイト。原題:EN LA CIUDAD DE SYLVIA/DANS LA VILLE DE SYLVIA、英題:IN THE CITY OF SYLVIA。ホセ・ルイス・ゲリン監督。グザヴィエ・ラフィット、ピラール・ロペス・デ・アジャラ、ダーニア・ツィシー。スペイン・フランス合作映画。本当は「シルビアのいない街で...
  1. 2010/10/07(木) 12:22:15 |
  2. 佐藤秀の徒然幻視録

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