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『十三人の刺客』で打倒テレビ屋映画の狼煙が上がったよ。

十三人の刺客

 今回は『十三人の刺客』の感想です。
 観に行った映画館はTOHOシネマズ六本木ヒルズ。月曜日の夜で、たいして混んではいませんでした。中高年の男性が多かったかな。


概要:1963年の工藤栄一監督作品を三池崇史監督かつ前作に引けも劣らない豪華キャストでリメイク。
 江戸時代末期。将軍・家慶の弟で明石藩主・松平斉韶(稲垣吾郎)の暴君ぶりは目に余った。斉韶は近く、老中への就任も決まっている男。幕府の存亡に危機感を募らせる老中・土井利位(平幹二朗)は、かねてより良く知る御目付・島田新左衛門(役所広司)に斉韶暗殺の密命を下す。さっそく、甥の新六郎(山田孝之)をはじめ十一人の腕に覚えある男たちを集めた新左衛門は、後に加わる山の民・木賀小弥太(伊勢谷友介)を含む総勢十三人の暗殺部隊を組織、入念な計画を練り上げていく。しかし、斉韶の腹心・鬼頭半兵衛(市村正親)もまたその動きを抜け目なく察知し、大切な殿を守り抜くべく周到な準備を進めていた…。("allcinema online"より抜粋)



 江戸時代にも「侍とは何か」みたいな議論はあったのだろうか。そんなものに結論はでない。本作でも結論は出さない。おそらく侍とはただ「仕事」なのであろう。「仕事」だから食べるために必要でありそのために全うする。どんなに馬鹿げた意味が失われた仕事であろうと、なにかと理由付けして頑張る。それ以上の深い意味はない。しこうして彼らは馬鹿げた仕事に「理由」が欲しいために奮闘するのである。
 本作を観ていたら「侍」とは何かをテーマに、「日本映画とは何か?」「今後日本映画はどこに向かうのか?」を暗に描いているのではないかと邪推してしまった。今作はそんな邪推を解説してみたいと思う。


 現代において『隠し砦の三悪人』やら『用心棒』やらと、何を血迷ったかわからないけど、名作時代劇のリメイクが行われるなか、こういった論理的な整合性を現代ほど求められなかった映画を現代的なセンス(ディティールアップ)でリメイクするのはある程度その意義を理解できる。
 で、オリジナル版のような派手さはないけれど、映画好きが喜びそうな堅実で実力派な役者陣を揃え、「侍として戦うこと」をテーマに加え、堅実だが確実な俳優たちの演技合戦が行われていると思う。

 例えば序盤の役所広司と市村正親との相手のウラのウラをかくような言葉の牽制の仕合の中に見えてくる両者の友情関係と、終盤の魂と魂とがぶつかりあう一騎討ち。例えば山田孝之の静と荒さを兼ね備えた風格。また例えば伊勢谷友介のもはや人間には見えないほどの手足を活かしたキレた戦闘シーン。例えば岸部一徳の貫禄のコメディアンっぷり(彼がレイプされるシーンは、もっとも三池映画らしいシーン、正統派な時代劇を観にきた方はビックリしたんじゃなかろうか)、例えばリアル志向の殺陣の中で古き良き「タメ」を重視した剣技で戦う松方大樹(はじめてカッコイイと思った)、特撮ファンにはおなじみ窪田正考の若さも良かったし、JACの本気を見せてくれた伊原剛志も、観るも恐ろしい怨念で作品全体を覆う『キャタピラー』化した茂手木桜子さんも大画面で見る価値のあるすごい迫力、怖い!! そして例えば、堅実な役者陣の中でスパイスとして登場しこの作品すべてを体現している稲垣吾郎の小気味いいほどのゲスっぷり(SMAPが子供を弓矢で射って喜んでいたり、女の子をレイプして殺したり、手でご飯を食べています)
 

 で、この演技合戦は、そのまま「役者/作り手」としてのプライドの物語を暗に描いているように見える。
 『告白』『悪人』そして『十三人の刺客』と、最近の東宝(の一部の作品)はやる気があると思うんだけれども、この作品にて語られる「どんな手段をとったにせよ人々の幸福な生活(よい作品)を考えるのが侍(役者/作り手)である」という役所広司扮する島田新左衛門と、「なんとしてでもそれが如何に悪(駄作)であろうと忠実に従う(演じる/制作する)のが侍(役者/作り手)だ」という敵役の市村正親扮する鬼頭半兵衛が語る「侍としての生き方」は、まるで邦画バブルを築きあげた昨今のテレビ屋映画に反旗を翻さんとする作り手と、それに対し依然として君臨し続けるテレビ屋映画に、それが如何に駄作であろうとプロとして演じ続け作り続けなければならない作り手のプロ意識との対決に見える。
 このように島田新左衛門の背後にはここにきてかつてのような面白い映画を撮らなければならないとついに考えだしぐつぐつと煮えたぎりだした東宝の作家魂が感じられなくもないが、映画制作とは「創作活動」である一方で、金儲けのための「仕事」であるのだ。

 作中の50分にもわたる合戦は、伊勢谷友介が演じる木賀小弥太を除く十二人の刺客たちにも稲垣吾郎演じる松平斉韶にも、「戦う」という「侍の仕事」に「理由」を与え、彼らに忘れていた「侍」としての本分を気づかさせる。その刀が飾りではなくなっていき、はじめての生き死にをかけた戦いが、次第に彼らを「狂気」に掻き立てていく。
 山田孝之演じる島田新六郎は日々の生活にうんざりしていたが、それは彼が彼の侍としての業務にまったく意味を感じられなかったからであり、だからこそ「意味・理由」が見いだせるこの合戦に喜々として参加した。それは侍が戦わなくなった時代にうんざりしていた松平斉韶とて同様である(「戦国とはこのようなものであったのかのお、なかなか良い」)。山賊の木賀小弥太は戦う事が仕事でないから早々に侍たちの行ないがバカバカしく思えてきた(「なんで、お前ら侍ってのはそんな威張ってんだよ!?」)。彼にこの合戦の真の意味「侍としての業務の理由づけ」など必要ではなかったからだ。


 舞台は幕末1845年、やがて侍は滅びゆく運命であり、それでも彼らは「侍」とは何かと苦悩しながら、「理由」を求め戦ってゆく。もしこの作品のテーマが本当に今の日本業界を暗に描いているのだとしたら、制作者が如何に苦悩しようとも、テレビ屋が駄作を大量生産して大金を巻き上げている日本の「映画」も老い先短い人生なのかもしれない。
 しかし、そのことで「映画」がどんなに堕ちたにせよ、作る「理由」が失われたにせよ、制作者は作り続けるのであろう。本作でキーマンとなる、唯一侍ではない男伊勢谷友介演じる木賀小弥太が、侍というものにあきれ果てたように、観客がいつしか日本映画にあきれ果てたとしても。
 それは職人監督として様々なジャンルを、名作も駄作も、大量生産してきた三池崇史監督だからこそ描く事が出来た、ある種の達観なのかもしれない。なぜなら彼らにとって「映画」とは「創作」である一方で「仕事」なのであるから。

 以上のような理由で、ぼくはこの作品を、「侍とは何か?」を描く事で、昨今の日本映画事情とこれからの日本映画について、役者、制作者、観客の視点を暗に示しているのではないかと邪推してしまったのである。


 不満点は物語のキーマンでありながら侍ではない伊勢谷友介をもっと深く描いてくれたらテーマに深みが出て良かったなあと。もしくはそれこそ『七人の侍』みたいに最終的に救われるべき市井の視点が主体となるとか。結局侍が侍のため侍として戦う物語に終始してしまった気がする。
 あと牛のしょっぼいCGとか、吹石一恵の一人二役の意味とか。

 この映画の感想はみんな各所で書いているので、今回はちょっと変化球で書いてみましたが、つかれますね、こういうのは。
 高梨臨レベル


 次回はサイコロを振ってきました。
1枠.『恋するナポリタン』…数々のイケメンが登場する予告編がぶっとんでいて、そろそろなんでもかんでも『誰かが私にキスをした』を引き合いに出すのも飽きてきたし…

2枠.『彼女が消えた浜辺』『ペルシャ猫を誰も知らない』に続くイラン映画枠。おそらく面白いのでしょうけれど、こういう安全牌も必要かと。

3枠.『君が踊る、夏』…今回の東映枠。

4枠.『ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う』…これも安全牌かな。石井隆だし、佐藤寛子好きだし。

5枠.『ガフールの伝説』…今回のアニメ枠。監督は『ウォッチメン』の人らしいです。あの映画好きだし、半分期待、半分不安。

6枠.『七瀬ふたたび』…今回のシアターN渋谷枠。予告編はあんまりカッコ良くありませんでしたが、ポスターは好きです。


 てなわけで、地雷あり、安全牌ありで、バラエティ豊かに揃えてみました。
 レッツサイコロタイム。

 コロン…コロン…ライブマン!!嶋大輔!!!


 『2』!!


 『彼女が消えた浜辺』!!


 あれ、なんだろ、普通に面白そうな映画なのに、なんでガッカリしているんだろう?
 あれ? もっと喜んでいいんじゃないかな?
 あ、『恋するナポリタン』の前売り券が250円で売ってるよ?

 てなわけで、次回は『彼女が消えた浜辺』の感想を書きます。どすこい!

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