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『冬の小鳥』は子供のPG12映画だよ。

冬の小鳥

 今回は久々の韓国映画、『冬の小鳥』の感想です。

 観に行った映画館は岩波ホール。スクリーンは奥まった所にあり、シートとシートの前後間に段差がほとんどないので最前列でも余裕で見れます、というか最前列で見ないと前の人が邪魔でしょうがない。昭和な感じのビルがすごく好き。
 土曜の昼間に観に行ったので、満席。ほとんどが中年以上の女性でした。


概要:監督はこれがデビュー作となるウニー・ルコント。『オアシス』『シークレット・サンシャイン』の監督イ・チャンドンがプロデュース。
 1975年、韓国。9歳のジニ(キム・セロン)は、大好きな父(ソル・ギョング)に連れられ、ソウル郊外へとやって来る。浮かれ気分も束の間、何も分からないまま、ある施設の門をくぐる。やがて父だけが黙って施設を後にする。そこは、孤児が集まるカトリックの児童養護施設だったのだ。父が必ず迎えに来てくれると信じるジニは、自分は孤児ではないと周囲に馴染むことを頑なに拒み、反発を繰り返す。そんな反抗的なジニを、先輩のスッキ(パク・ドヨン)が気に掛け、何かと面倒を見る。そして、少しずつスッキに心を開き始めるジニだったが…。
"allcinema online"より抜粋)


 今作のカメラは常に子供の目線に立っている。これはもちろん主人公ジニへの共感を促すものであり、これにより観客は彼女の孤独を享受することとなる。
 今作に、例えば同じ孤児を扱った作品『クロッシング』(韓)のような号泣タイプの感動を求めたらガックリいくかもしれない。『クロッシング』(韓)は大人目線で見た子供を描いていた。よって絶望も「大人が大人の思考で期待する子供の悲痛さ」のような演出が施されていた。要は映画的・ドラマ的な子供像なのである。

 一方で今作はさすが子供の目線で描いただけあって「リアルな子供」の心情を描いているのだ。例えばジニは前半、今の自分の状況がどんなものなのかをよく分かってない。分かってないから号泣もしないし、涙を誘うようなセリフもはかない。不安でうろたえ、よくわからないままどうしていいか分からず、孤児院の大人たちに八つ当たりしてみたりする。
 そういうリアルな子供の淡々とした描写が続き、ドラマティックな展開はいつまでたってもおきない。先に書いた『クロッシング』(韓)的な号泣がないのはもちろん、『ロッタちゃん はじめてのおつかい』のような子供が主人公ゆえの間の抜けた笑いや、『ローズ・イン・タイドランド』のようなペドフィリア的な色気などもほとんど抑えられている。
 だから今作に号泣するような感動はないのである。

 だからといって本作が「感」が「動かない」作品であると言っているワケではない。

 今作はジニの目線で描くことで、幼児が少女になっていくリアルな「成長」を描いていたのではないだろうか。
 以前知人の3歳の子供と話していた時に「『世界』って何?」と聞かれて困惑したことがあったが、幼児は様々な多くの「概念」を知らない。「概念」は言葉で教えることはできず、子供が自分の経験で少しずつ学んで行くしかできない。で、ジニはどうも物事が「終わる」「変わる」という概念を知らないっぽい。
 だからジニは自分の身に何が起こっているか理解できず、困惑する。自分の頭で無理矢理理解して(「義理の弟?妹?に針を刺したと思われ嫌われたんじゃないか?」と)ようやく泣く。

 その彼女の「概念」の学習のキーポイントとなるのが「小鳥の死」である。彼女は「死」を経験し、土に埋めたはずの小鳥がいなくなったことを、孤児院で教えられたイエス・キリスト(死して3日後に復活した)のように再生したのではないかと考え、自分も同様に生まれ変わろうとする。自分で掘った穴の中に自ら入り、土をかけて、起き上がるのだ。

 ジニは親友スッキの旅立ちや冬の日に拾った小鳥の死などを通じて少しづつ「物事は変わり、終わり、また変わる」という「概念」を得る。そうすることでちょっとづつ成長し、そして「死」を経験し、生まれ変わる。生まれ変わった彼女は全ての孤独を享受し、認めたかのように、それまで封印されていた笑顔が出るようになる。
 身体測定で身長が伸びたと言われるジニ。環境や生死、身長など少しづつ「変化」をし、やがて全てが「終わる」、そしてまた「変化」をする。そういった「概念」を知り生まれ変わったジニは少しだけ成長し、彼女の目線の高さに合わせられたカメラの位置も冒頭より少しだけ高くなっているのかもしれない。

 以上、本作はリアリティある子供の目線で、子供の目線で「死や変化」を描き、「概念」の習得というかすかな成長を描いているのではないかと考えられる。
 本作の監督ウニー・ルコントは、ジニと同様、6歳の時にフランスの養父母に引き取られたという過去があるそうだが、そんな彼女だからこそ、幼少時のうすぼんやりとした心境や思考を丁寧に記憶し、このような映画が描けたのであろう。


 不満点はとくにありません。
 主演のキム・セロンちゃんはとても可愛かったです。というか子役、演技うますぎ。スッキ役のパク・ドヨンちゃんとかビックリするほど上手い。

 瀧本美織レベル。

 次回は、なんとこの感想で取り上げる映画も100作目、キムタクが声をあてているよ。『REDLINE』の感想を書きます。
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テーマ:映画館で観た映画 - ジャンル:映画

  1. 2010/10/22(金) 13:29:10|
  2. 映画ハ行
  3. | トラックバック:3
  4. | コメント:2
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コメント

こんちは。

死と再生。
あんまりくっきりはっきり明確に描いてくれなかったので、内面がそんなに変わっていなくても人は新しい事態に巻き込まれてしまうのだなあ、みたいに感じてました。写真の笑顔も心底からという風には見えなかったし。

あ、病んでるのは私か。
  1. 2011/03/04(金) 23:57:07 |
  2. URL |
  3. ふじき78 #rOBHfPzg
  4. [ 編集 ]

ふじきさま

 こんにちは。
 内面の変化は写真もそうでしたが、涙にも表れていたかなぁと思います。
 確かに分かりやすい表現を相当抑えていた映画だったので、解釈はかなり人によって異なりそうですね。実際、ふじきさんのような感想を先に聴いてから見たら、ぼくもそういう感想を抱いていたかもしれない。
  1. 2011/03/05(土) 01:41:04 |
  2. URL |
  3. かろプッチ #-
  4. [ 編集 ]

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