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「少年ジャンプ」と水木しげると映画とおもちゃと特撮を愛します。

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『ルイーサ』で陽気に孤独にひたろうよ。

ルイーサ

 やだ、「少年ジャンプ」の感想サボる発言してから、モチベーション上がらないじゃない。
 しかも誰かしら「やめないで!」ってコメントくれるかなと思ったら、誰もコメントくれないじゃない!
 今週は『天装戦隊ゴセイジャー』をまだみてないので、また今度。

 てなわけで今回は『ルイーサ』の感想です。

 観に行った映画館はユーロスペース。ファーストデイだったので混んでいました。映画が映画なだけに50代以上と思われる女性が多め。中年以降の方々は、映画館の座席、後方通路側を好む傾向があるそうで、前方真ん中が好きな僕とは相性がいいです。

 
概要:2010年のアルゼンチン/スペイン作品。監督はゴンサロ・カルサーダという新人。脚本はロシオ・アスアガという人、素人参加の脚本コンクールで優勝した作品らしいです。
 60歳のルイーサ(レオノール・マンソ)はブエノスアイレスに暮らす孤独な女性。夫と娘とは遥か昔に死別しており、今では一緒に暮らす猫のティノが唯一の友。墓地の事務と女優の世話係という2つの仕事を掛け持ちし、規則正しい生活を送る日々。そんなある日、愛するティノが死んでしまう。おまけに、2つの仕事も同時に失う最悪の事態に。ティノの埋葬費用さえも払えず途方に暮れる。しかし、なんとか埋葬費を捻出しようと、馴れない地下鉄でたくましく行動を開始するルイーサだったが…。
"allcinema online"より抜粋)


 人は本来的に孤独なのであろうが、そんな恐ろしいこと直視していたら身がもたない。だから人は『乱暴と待機』の主人公たちのように、一生懸命他者とコミュニケーションをはかって孤独を見つめない作業をするのだが、やはり死ぬ時は一人、どうしても孤独なのだ。

 主人公ルイーサは愛する家族を失ってからずっと決まった行動を機械のようにとり、猫のティノを溺愛することで孤独の感情を殺していた。
 ずーっと30年以上決まり決まった仕事しかしていないという説明は作中別に語られていないし、出勤風景も冒頭の一度しか描かれないが、ルイーサの行動に沿うようにやたらと時間通りにやってくるバス、機械的なルイーサの動きなどの気の効いた演出で、30年決まりきった行動しかとっていないことが、容易に想像できるようになっている。

 しかしながらある日突然彼女はたった半日でティノも二つの仕事も一切失ってしまう。
 地下鉄の乗り方すら知らなかったり、乞食のやる事を真似してみたり、世間知らずにもほどがあるだろうというツッコミどころはございましたが、そこらへんはLSD映像のようなエキゾチックでサイケデリックな演出効果がうまく活かされあまり違和感なくストーリーにのめり込める。家族が亡くなってから見ないようにし続けていた「孤独」に強制的に目を向けさせられることになる。

 だからルイーサは、少しでも気をまぎらわすべく、猫のティノを火葬するために300ペソ(日本円にして28000円くらいだそうです)を貯めようとする。彼女にとってティノの遺体は「孤独をまぎらわせる最後の他者」であったのだ。

 30年間勤め続けた墓地の経営者と決裂をし、乞食で身体障害者の老人オラシオ(ジャン・ピエール・レゲラス)と心を通わせたりと、右往左往しながら初めて自分の「孤独」を見つめ、また他者の優しさに触れることで彼らの「孤独」を尊重することができたルイーサは、ようやくティノの遺体と別れることができ、憑き物が落ちたように「結局死ぬ時はバラバラね」と呟く。

 そして他者だけ見つめ続け他者のために生きてきた人生にようやく終止符を打ち、新たな仲間に囲まれた「孤独」へとようやく一人立ちする。それは「孤独」から生まれた「個」であった。地下鉄にすっかり慣れたルイーサがラテンの路上演奏者たちに挨拶するラストがとても粋。

 このように本作は生涯を他者のために費やしてきた中年女性が自分の「孤独」を見つめ、独り立ちにいたるまでを描いた物語である。
 「私は(これからの人生)どうしたらいい?」
 「知らないよ、でも手助けはする」
 といった親切な管理人ホセ(マルセロ・セレ)のある種冷たく、しかしながら彼女の「孤独」=「個」を尊重するやりとりが印象的。

 暗くなりがちな物語をコメディタッチにしているのは、情熱的なラテン音楽と、ネアカでたくましいキャラクターたち。日本じゃなかなかこういうコメディにはならないだろうなあ。


 ちなみにルイーサの夫と娘の死因は、1970年代にアルゼンチンにて猛威をふるった「死の部隊」と呼ばれる保守派軍事政権の市民弾圧によるものだそうです。そういう暗くやるせない過去を知ると、ルイーサが、いつまでも過去を忘れ去ることができず、孤独に向き合わず、30年間心を閉ざし続けた原因がより臨場感を持って感じられますね。
 同じアルゼンチン映画『瞳の奥の秘密』でも、暴行殺人事件の犯人が公安に保護されたりしたのは、犯人がこの部隊に所属していたとか、そういう理由があるそうです。アルゼンチン映画を見る時に必須知識なのですね。


 不満点は予告編というか日本での宣伝の仕方。あの宣伝が言うような感動やカタルシスなどはない作品だし、変にミスリードするから、どのような映画か見方誤ってしまいあやうく楽しめないところであった。

 孤独から目をそらす様々な装置に溢れていて、自分が孤独ではないと思いがちな現代日本にうってつけの映画だと思います。
 比嘉愛未レベル。

 次回は『ドアーズ/まぼろしの世界』の感想をかくもりすん。
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テーマ:映画館で観た映画 - ジャンル:映画

  1. 2010/11/10(水) 20:11:20|
  2. 映画ラ行
  3. | トラックバック:4
  4. | コメント:0
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ブエノスアイレスに住む孤独な女性ルイーサはある日突然仕事をクビになり、オマケに可愛がっていた猫までもが死んでしまう。しかしペットを火葬するお金がない彼女は、一念発起して資金稼ぎを始めるのだった…。主演はアルゼンチンのベテラン舞台女優レオノール・マンソ。...
  1. 2010/11/10(水) 22:31:59 |
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原題:LUISA監督:ゴンサロ・カルサーダ脚本:ロシオ・アスアガ出演:レオノール・マンソ、ジャン・ピエール・レゲラス、マルセロ・セレ鑑賞劇場 : ユーロスペース公式サイトはこ...
  1. 2010/11/11(木) 00:33:55 |
  2. NiceOne!!

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「ルイーサ」★★★DVD鑑賞 レオノール・マンソ、ジャン・ピエール・レゲラス、 エセル・ロッホ、マルセロ・セレ出演 ゴンサロ・カルサーダ監督、 110分、 2010年10月16日公開 2008,アルゼンチン、スペイン,Action Inc.  (原題:LUISA )
  1. 2012/01/13(金) 20:54:04 |
  2. soramove

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Author:かろうじてアメリゴ・ベスプッチ
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