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『マチェーテ』は思う存分「正義」を叫ぶよ。

マチェーテ

 今回は『マチェーテ』の感想でございます。
 見に行った映画館は新宿バルト9。初日に行ったら満席。うれしいですね。客層はまぁ「映画秘宝」みたいな人たちが多め。外国人のお客さんが多くてみなでキャッキャ楽しんでみれて良かったです。隣のカップルは口ポカーンだったけれど。


概要:クエンティン・タランティーノとロバート・ロドリゲスの2007年作品『グラインドハウス』内で嘘予告編として流れた作品の一つ『マチェーテ』を長編映画化。監督・脚本は『プラネット・テラーinグラインドハウス』や『プレデターズ』のロバート・ロドリゲス。
 麻薬王トーレス(スティーヴン・セガール)によって愛する家族を殺されたメキシコの元連邦捜査官マチェーテ(ダニー・トレホ)。今はアメリカのテキサスで不法移民に身をやつし、復讐の時を待っていた。ある日、彼は謎のビジネスマン(ジェフ・フェイヒー)からその腕っ節を見込まれ、高額の報酬と引き換えに不法移民の弾圧を目論む悪徳議員マクラフリン(ロバート・デ・ニーロ)の暗殺を依頼される。しかしそれは、不法移民排斥を有利に進めるために仕組まれた巧妙な罠だった。なんとか窮地を脱したマチェーテは、タコスを販売しながら不法移民を裏で支援する女トラック運転手ルース(ミシェル・ロドリゲス)と銃の扱いはお手の物の聖職者パードレ(チーチ・マリン)の助けを借り、復讐へと乗り出す。一方、アメリカ移民局の美人捜査官サルタナ(ジェシカ・アルバ)は、マチェーテに疑いの目を向け近づいていくのだが…。
"allcinema online"より抜粋)


 『プラネット・テラー』はとても面白い映画ではあったけれど、タランティーノの提唱した「グラインド・ハウス映画の復活」といった当時のB級映画愛に溢れる感じではなく、好き勝手エログロゾンビ映画を撮っていた気がしたのですが(フィルム紛失ネタは笑いましたが)、今作は、『プラネット・テラー』同様わざと傷だらけのフィルムに見える加工をした映像で、ナタを振り回したエログロアクションが展開される冒頭の70年代風の安っぽい作風を模倣したシークエンスが観客のハートをがしっと掴み、今度はちゃんと「グラインド・ハウス愛」を持ってるじゃんって安心させてくれます。


 ロドリゲス作品はよく「義賊」を描く。「オレたちゃ悪党だけど正義をおびやかす野郎は法をおかしてもブチ殺すゼ」ってな感じで。もちろんそれが危険思想でそんな考え方がアメリカをダメにしたのは重々承知。あれやこれやうるさい良識人によって大声で「正義」を語ることができないのは、悪いことではないのだろうけれど、せめて映画の中くらい大声で正義を叫んでやろうぜ!…と行きたいところだが、まぁ映画の中でだって勧善懲悪が子供だましだと嫌われたりする。

 よく言われることだけれども神話を持たないアメリカ人は、それ故に神話の創造に抜かりがない。それが『スーパーマン』であり『バットマン』であり『スター・ウォーズ』であり『ロード・オブ・ザ・リング』であり、あまたのクラシックなのであろう。神話には「正義」が必要な時が多い。しかし今「正義」はタブー。

 で、映画の中ですら大声で真面目に「正義」を唱えられないのならば、70年代「グラインド・ハウス映画」のノリで「正義」を叫ぼうぜ!ってなわけで、この映画はきなくさい現代社会にスカッとする「正義の鉄槌」もとい「正義のナタ(マチェーテ)」を喰らわせてくれる。


 観客の視点を代弁する役割のジェシカ・アルバ扮するサルタナは出世の鬼で、「法」を守るという使命感にとらわれていたが、マチェーテや「彼女」ルースに感化され「法にも色々ある。私は法よりも正義を選ぶわ」と叫び、次第に70年代ノリへとなっていく。
 彼女を感化さそる70年代B級映画的なノリのディテールがとても楽しい。汚い札束、銃器類、トム・サヴィーニ(『ゾンビ』のメイキャップおよび暴走族役)扮する殺し屋のかっこいいPV、「マチェーテ、メール、ウタナイ」といった偏見、ジェシカ・アルバやリンジー・ローハン(開き直ったダメビッチっぷりが最高です)の無駄脱ぎ、無駄にモテる醜男マチェーテ、無駄に美女すぎる看護婦、あとあとタフな女をやらせたらピカイチミシェル・ロドリゲスがカッコ良すぎて困る件。セガールもそのキャリアのなかで最も彼の持つ胡散臭さ(褒め言葉)を活かしていてとてもカッコ良かったです。


 更に今作が面白いのは、マチェーテたちメキシコ移民が「正義」を叫んで戦う悪役もまた大声で「正義」を叫んでいる映画好きなら大好きに違いない「テキサスの白人」なのだ。
 現在アメリカでヒスパニックが締める人口は全体の15%、将来的にはヒスパニック系の人口が白人の数を超えると予想されているそうだが、アメリカの特に南部には深く人種差別意識が根付いている。で、「正義」はどこにあるという議論をすれば、もちろん人種差別など撤廃するのが一般的な正義であるが、まぁ移民が嫌われてしまうのは言いたかないけれどどこの国にもあること。
 ヒスパニック系が増えているとはいえ、未だ差別意識がつよく残る中、こんな企画と、こんな登場人物達によるこんな物語の製作が許されて、きちんとそのユーモアセンスを認められヒットをとばすという、アメリカという国の懐の深さ、大人っぽがとても羨ましくなりました。

 しかしながら、なんでこのノリを『プレデターズ』でやってくれなかったんだよう!

 終盤近くに敵が増えすぎてしまい敵に対する怒りのフラストレーションが拡散されてしまうのがすごくもったいなかったです。
 あと、ジェシカ・アルバ、70年代B級映画ノリの連中に巻き込まれる今どきのハリウッドアクション映画風捜査官って構図を展開したかったのだろうけれど、いまいちうまく両者の差別化ができていなかったかなって。相変わらず可愛いんだけど。
 テキサスの保守派政治家を演じたデ・ニーロは良かったです。心底悪いけど憎めない。最後までしぶとく生き延びて欲しかった。

 頭空っぽにして笑えてスカッとして熱くなって、そりゃ面白いですよね。あとは『ナチ親衛隊の狼女』『Don't』『感謝祭』をロブ・ゾンビとエドガー・ライト、イーライ・ロスが責任をもって作ってくれるのを待つのみです。
 草刈麻有レベル。

 次回はジョン・レノンの青年時代を描いた『ノーウェア・ボーイ』の感想だよ、ヨーコ。

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テーマ:映画館で観た映画 - ジャンル:映画

  1. 2010/11/12(金) 01:11:50|
  2. 映画マ行
  3. | トラックバック:9
  4. | コメント:4
<<『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』は相変わらず優しい兄ちゃんだよ。 | ホーム | 『ドアーズ/まぼろしの世界』で青春のイタさと暗さに浸ろうよ。>>

コメント

TBありがとうございました

そうそう、『プレデターズ』をこのノリでやってくれれば良かったのに。
と、強く思いました。
  1. 2010/11/12(金) 08:31:32 |
  2. URL |
  3. ナドレック #-
  4. [ 編集 ]

>ナドレックさま

 こんにちは。『プレデターズ』の感想を書いた時もうっかり勘違いしていたのですが、あれは監督ではなく製作なのですね。
 どれだけ本編に関わっているのだろうか。
 しかし『プレデターズ』が、『マチェーテ』ノリだったとすると、妄想だけでワクワクしますね。
 やたら生活臭が滲み出ているが、とことん悪いプレデターたちと、それに虐げられている人間たちとか、序盤で早々に死んでいったダニー・トレホが終盤パワーアップして復活とか。思えばヤクザのハンゾーはわりと『マチェーテ』ノリでしたね。
  1. 2010/11/12(金) 14:07:44 |
  2. URL |
  3. かろプッチ #-
  4. [ 編集 ]

マチェーテのり

ということはトレホがプレデターズをナタでバシバシ。
そりゃあ複数形にしなくちゃならん訳だ

なんとなく光学迷彩がなかったらプレデターはマチェーテの前でただのやられキャラになる気がする。
  1. 2010/12/04(土) 10:28:00 |
  2. URL |
  3. ふじき78 #rOBHfPzg
  4. [ 編集 ]

 >ふじき78さま

 こんばんは。光学迷彩着ていても、ミシェル・ロドリゲス姐さんがマシンガンぶっ放してくれるので、透明のまま奴らもお陀仏です。
  1. 2010/12/05(日) 02:00:55 |
  2. URL |
  3. かろプッチ #-
  4. [ 編集 ]

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