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『怪盗グルーの月泥棒』は良い素材集だよ。

怪盗グルー

 「ジャンプ」感想がないと映画感想が進みますね。
 てなわけで今回は『怪盗グルーの月泥棒』の感想。

 観に行った映画館はTOHOシネマズ六本木ヒルズ。3D字幕版での上映でした。夜の回だったので、客数はかなり少なめ。ぼくを入れて6人ほど。外国人の家族と、カップル。


概要:監督はこれが長編デビューのクリス・ルノーとピアー・コフィン。脚本はシンコ・ポールとケン・ダウリオって人。
 大泥棒グルー(声:スティーヴ・カレル)の生きがいは、世界をあっと驚かせる物を盗むこと。そのために、バナナから作られた怪盗軍団“ミニオン”を従え、涙ぐましい努力を続けていた。そんなある日、ピラミッドが盗まれ大ニュースに。悔しがるグルーは、負けてなるものかと、月を盗むことを決意する。ところが、宿敵ベクター(声:ジェイソン・シーゲル)の横やりで作戦失敗の危機に。そこで、ベクターを陥れるため、養護施設で暮らす三姉妹、マーゴ(ミランダ・コスグローヴ)、イディアス(デイナ・ゲイアー)、アグネス(エルシー・フィッシャー)を利用することを思いつく。こうして三人を養女に迎え入れたグルーだったが…。
"allcinema online"より抜粋)


 ブログとか色々見ているとけっこう高評価の人が多いのですね。好きな方には大変申し訳ないのですが、結論から言うとぼくはこの映画はあまり好きではありませんでした。
 例えば『ヒックとドラゴン』『トイストーリー3』『9〈ナイン〉~9番目の奇妙な人形~』など、アニメーションという本来的に不自然な作劇方法が、リアリティある動き(動作や心理描写)を見せるとき、その快感や感動は実写のそれを超えることがある、というのは『カラフル』の感想で書いたけれど、本作『怪盗グルーの月泥棒』は、「子供向け」と「子供騙し」を勘違いしたかのような描写が多く、不自然な作劇方法でもって不自然な演出をしてしまっていて、そのせいでアニメーションの持つ弱点が露になってしまったなと、で、その理由として、子供やファミリー層にウケが良さそうな素材を適当に詰め込んだだけだからなのではないかと
 まずそこらへんを解説していきたいと思います。


 本作の大筋は2本あるのですが、一つは怪盗グルーと孤児の三人姉妹たちとの交流の物語。もう一つは怪盗グルーが怪盗ベクターに対抗すべく如何にして月を盗むかという話。
 物語前半部は月を盗むためにグルーが三人姉妹を利用するという展開で、この二つのエピソードに関連があったのですが、物語中盤グルーが三人姉妹に愛情を抱きだしてから、その二つの筋は有機的に絡み合うことなく、噛み合わせが悪いジッパーのような無理矢理絡ませたような関連性でもって同時進行で進む。だからそういった複数の筋が絡み合う物語の醍醐味(「あれがここで活きてくるのか!」みたいな)がまるでなく、ただただほぼ平行線を保ったままオーソドックスに進む物語に少しでも凝った展開を見せようと言う作り手の気概も感じられない。

 で、更に物語に有機的に絡んでこないのが、「ミニオン」という大量にいるグルーの部下の人造人間。
 『グレムリン』を彷彿とさせる無邪気なイタズラっぽさとか、無数にいる似たような形の小さいキャラクターだけど、うっすら髪の毛が生えていたり、一つ目だったりとよく見ると微妙に個性があったり、そういうのとても好きなんだけど、彼らが物語とガッツリ絡み合うことはない。本作のマスコットキャラクターでアイコンでもあるけれど、正直彼らがいなくてもストーリーはきちんと進む。キャラクター商品を展開させたいがために出したのではないかと邪推してしまう。

 更に3人の子供たちが「3人」であるという意味もあまり感じられない。しっかり者の長女マーゴ、いたずらっ子の次女イディアス、甘えん坊の三女アグネスと個性はあるにはあるのだが、別にその個性を活かしてアクションをするのでもなく(月を泥棒することに彼女たちの個性は大いに活かせたと思うのだが…)、せめて終盤のバレエの発表会くらい個性的なダンスを踊らせればいいのに3人とも大人しく普通に踊るだけ。ていうか、孤児で、養護施設もまともな所でもなさそうなのになのになんでバレエ習わせてもらってんの?
 せめて3人も登場させないで1人の方が物語もタイトに収まって良かったんじゃないかと思います。

 で、肝心のグルーと子供たちが心を通わせるシーン、本作においてもっとも重要なシーンだと思うんですがこれがまたひどく杜撰。
 彼女たちを使って「縮ませ光線」を盗みだすことに成功したグルーは、用済みになった彼女たちを遊園地に置き去りにしていこうと、遊園地に連れていく。そこで不本意ながらもジェットコースターに一緒に乗り、射的ゲームを一緒にする。それだけ。たったそれだけで子供を犬猫以下の扱いをしていた悪党が、彼女たちにデレデレしだす。
 これ、誰が共感できるの? むしろ正論を語るふうをして駄々こねてる長女マーゴにイラつくだけだったのだが。確かに、グルーが幼い頃母親に相手にされなかった(それが原因で怪盗になった)、よって相手して欲しい子供を見ると捨て置けないっていう理由はあるにはあるのだけれど、それが理由で駄々こねられただけであんなに子供嫌いだったグルーがあそこまで豹変するか? ていうかそれって子供をただ甘やかしているようであまり好きじゃありません。
 このようなとって付けたようなどこかで見たような展開を「物語ってこういうのやるんでしょ? こういうので皆泣くんでしょ?」とでも言わんばかりの手抜きっぷりで、無理矢理ストーリーを転がしているように見えて、子供向け映画としてあまりにいい加減すぎるだろって思いました。

 とって付けたような口ポカーンな展開はまだあって、グルーが通う「悪の銀行」は有能な悪党に投資するのだが(こういったアイディアは好き)、実はそこの支店長の息子がグルーのライバルのベクターだったという事実が明かされ(これ隠す意味あったの?)、月を盗みに行く宇宙ロケットの制作に資金援助が獲られなく、泥棒稼業の引退を決意するグルー。しかしそこに子供たちがあらわれ豚の貯金箱を割って雀の涙程度の小銭を渡す。が、その貯金ってそれまでの物語上何にも触れられていないため、その貯金箱が大切なのはまぁ分かっても、それで共感したり泣いたりできるかと言われれば、そんなことはなく「あぁ、よくある展開だ」程度。
 で、その三姉妹の行動に感化されたミニオンたちも小銭を出し合う。で、それでロケット作っちゃうんですよ。えー。そんな程度でロケット作れるんだったら、今までの投資してもらうために頑張っていた苦労ってなんだったの?

 あと取って付けてと言ったら3D。本編ではまるで3D効果が面白くないのですが、エンドクレジットで思い出したようにやたらと飛び出す3D映像を見せてくる。せめてジェットコースターのシーンくらい頑張って欲しかった。こういうのは『アバター』的な奥行きや臨場感を楽しむ大人向け3Dではなく、古き良き飛び出しまくるアトラクション的3Dの方が好きです。

 で、最後に、グルーが「怪盗」であることで、何か咎められたり、何かを失ったり、そういう贖罪の展開が一切無いこと。別に悪い事をしているんだから何かバチがあたれといっているわけではなく、「怪盗」であることに多少の負い目(警察に追われているとか)を感じさせて欲しかったのですが、そういうの一切無いんです。「悪い」ものは「悪い」とそういう点はある程度留意してくれないと、登場人物というより、この映画の世界観レベルで感情移入なんてできやしないと思うのですが。


 以上、色々不満をぐだぐだ並べましたが、月泥棒の話も、3人姉妹とグルーの交流の話も、ミニオンの存在も、資金集めのストーリーも、3Dも、「怪盗」という設定も、総じて「これって面白そうじゃね?」「これって子供ウケ良さそうじゃね?」って感じでどんどん取り入れていって放り込んで物語を組み上げて、パッと見外面いい風に装っただけの印象を受けてしまい、あまり本作を楽しめませんでした。

 
 もちろん面白い点もあるんですよ。先ほども言ったように無駄に数が多いミニオンとか、グルーや彼の母親、彼が乗る車のデザインも好き。「悪の銀行」も楽しいし、「月を盗む」って物語もドラマチックで好き。それぞれの素材は面白いんですね。それがまるで絡み合っていなかったのがとても残念。

 篠崎愛レベル。

 次回は『NINE』『9〈ナイン〉~9番目の奇妙な人形~』『第9地区』『ボックス!』『BOX 袴田事件 命とは』『運命のボタン(原題"THE BOX")』『アバター』『エアベンダー(原作タイトル『アバター/伝説の少年アン』)』に続くタイトルが紛らわしいシリーズ2010第4弾『クロッシング』(米)の感想です。
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テーマ:映画館で観た映画 - ジャンル:映画

  1. 2010/11/14(日) 02:26:35|
  2. 映画カ行
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