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『堀川中立売』は妖怪に会える映画だよ。

堀川中立売

 今回は、『劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-』『パラノーマル・アクティビティ 第2章/TOKYO NIGHT』に続く、リクエストを受けたので行って参りました企画第3弾『堀川中立売』(「ほりかわなかたちうり」と読みます)の感想でございます。

 観に行った映画館はポレポレ東中野。日曜の夜だったので流石に空いていました。客層は20~40代の男性が6人ほど、みな一人客でした。


概要:監督・脚本は『おそいひと』『青空ポンチ』の柴田剛。
 大妖怪「加藤 the catwalk ドーマンセーマン」(秦浩司)は、長年地球侵略を画策していた。それを察知し、密かに地球に降り立ったギャラクシー・フォースのリーダー(堀田直蔵)は、京都と呼ばれる地で安倍さんと名乗り、陰陽師として人々に畏れられる存在となった。安倍さんは加藤の「ドロップアウトを許さない 人類補完計画」を阻止すべく、社会の片隅で遁世するヒモ王子・信介(石井モタコ)と、ホームレス男爵・ツトム(山本剛史)の二人に白羽の矢を立てる。遂に動き出した加藤の計画の鍵を握るのは、過去に「正義感殺人事件」と呼ばれる犯罪を犯した寺田(野口雄介)。寺田の存在が世界の人間の“悪意"を呼び寄せ増幅してしまうことで、人々は我を失い、次々に妖怪化していってしまうのだ。そして、安倍さんが式神に仕立てあげた信介とツトムは、たった二人で妖怪化した民衆を相手に出陣する。<堀川中立売> 一見、何も起こっていないかのように見えるその地で、京都ギャラクシーウォーズがカオスにはじける!
公式ホームページより抜粋)


 今回はこの映画が、如何にうまく「妖怪」を描いているかということを論旨に考えていきたいと思います。

 本作はとても怪しい。物語の設定はパンフレットやチラシの解説を読まなければなんだかよくわからないし(まあ理解したところで、別に作品の感想が変わるワケではないのだが)、出てくるキャラクターや映像、人気インディーズバンドによるサイケでのんきな音楽、妙に引っかかるセリフなどいちいち怪しげである。その怪しさは、例えば『黒く濁る村』の、「嘘」をついているという、ある種論理性をもった怪しさとは別個の、非論理的な形容しづらい不定形でモヤモヤとした怪しさである。

 京極夏彦は妖怪とは「機能」だと言った。災害や不運といった人の力ではどうしようもない異様な何かに出会ったとき、それを妖怪のせいにすることである程度の安心を得ることができる。だから妖怪の正体は生活の上で大変役に立つ「機能」なのだと。
 また水木しげるは蛍光灯だらけの今の日本に妖怪は出にくいと言っている。たしかに光が届かない場所には人の無意識なる想像力も働かせやすく、妖怪は出やすいだろう。一方で『ソフィアの夜明け』で語られていたごとき、何やら得体の知れない不穏で目に見えなく名前もない「悪意」がうずまく現代日本は、妖怪が「機能」として役立つ時代なのかもしれない。


 本作は「京都シリーズ」と銘打たれ、京都の一角の「堀川中立売」を舞台とする。
 京都という街はとても妖怪が似合う。現代と過去が同時に存在するカオスな空間だからであろうか、現代の様々な「悪意」が、過去の華やかさに照らされ目立つのだろうか、いにしえよりの「人の業」が積もり積もった故であろうか。本作は決して京都の街から出ない。ワールドワイドであるはずのインターネットを開いても永遠に自分の部屋を映し出し続けるだけだ。それは『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』のような、どこにも行けないという現代的な閉塞感を感じさせる。信介の恋人(飼い主?)サエ(清水佐絵)は仕事を辞めたいのに辞められないという閉塞感からどんどん病んでいく。設定では地球侵略をたくらんでいるはずの加藤も、何故か堀川中立売から出ようとしない。

 かつて少年のころ「魔がさして」衝動的に人を殺した青年・寺田を中心として、そのような閉塞感漂う堀川中立売の街に、残酷で不穏で「得体の知れない悪意」が増殖していく樣を、とぼけた映像と音楽で表現していく。イケメン中学生たちはホームレスを喜々として半殺しにするし、彼らのファンはそれを見て黄色い声援を上げるし、サエが勤めるテレビ局では人をモノとしてしか扱わず、元犯罪者の寺田を見る街の人々の目は好奇と嘲笑に満ち満ちている。それを荒唐無稽にモンタージュ感覚で描いていくので、この「悪意」は理解不能性と怪しさを増す。
 すると観客はその得体が知れなく気持ちが悪い「悪意」をなんとか理解しようと、この街にうっすらと「妖怪」を見るようになる(妖怪の機能的活用)。「妖怪」らしい特殊メイクを施したクリーチャーなど一切出てこないのに、真っ暗な劇場内のなか、スクリーンへ暗めに映されるデジカメで撮られた安っぽくそれゆえ現代性溢れる映像の中にうっすらと百鬼夜行が跳梁跋扈する様子が匂ってくる。
 クライマックスのどんちゃん騒ぎのシーンはまさに『妖怪大戦争』である。今までぼんやりと匂うだけであった「妖怪」がよりはっきりと見えてくる。エンドクレジットによるとエキストラの人々は「ノーメイクゾンビ」と言うそうな。撮り方がうまいのであろう、皆の顔が怪しげな妖怪顔に見える。
 本来「外面」のみである映画が、目に見えないモノ、スクリーンに映らないどころか、現実社会ですら感じるのが困難なモノを、観客の感覚に与えるというのは、ちょっとやそっとの芸当では出来やしないと思います。

 以上、本作は作品全体に怪しげな「悪意」を散りばめて、それをおどけてとぼけた演出にて表現することにより、京都の「堀川中立売付近」を妖怪の街へと変貌させ、観客の目に映像には現れていないはずの「妖怪」を登場させることに成功していると思う。


 他に良かった点として、本作は、加藤 the catwalk ドーマンセーマンの計画に立ち向かう子供たちの描写がとても際立っている。例えば公園のフェンスに大勢でしがみつき目一杯叫ぶシーンや、引き込もって家から出ない少年と、そんな彼にパンを届けるチビッコ(「あんなー先生がなー今日学校でハナクソほじるの禁止してなー」という台詞は素晴らしすぎる)。それらは印象的でとても素晴らしいショットなのだが、それもこの妖怪に満ちた街の中で彼らだけが社会の悪意にそこまで毒されず、無邪気でいられるから際立つのだろうか。


 この荒唐無稽な物語を超低予算できちんと作品として成立させるのは、かなりの手腕が必要とされると思いますが、過不足なくきちんと出来ている。この監督の今後により期待です。
 この監督に誰かお金を与えてすごいの撮らせてほしいです。今作の一番の不満点はマイクがあんまりよくないのかセリフが聞き取りづらいところだったし。でもショボいCGやデジカメの安っぽい画質は逆に味にしていました。本当にお見事だと思います。

 藤川ゆり議員レベル。もうアイドルのストックがないって…。

 次回は『死刑台のエレベーター(2010/日)』に続く日本語カバー映画特集第二弾『ゴースト もういちど抱きしめたい』。期待はしないでいただきたい!
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テーマ:映画館で観た映画 - ジャンル:映画

  1. 2010/12/09(木) 22:34:25|
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