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『ゴースト もういちど抱きしめたい』は多分ふざけているよ。

ゴースト

 12月はじゃんじゃん更新していかないとすぐ溜まってしまいそうなので、すぱすぱ更新していきます。
 今回は、『死刑台のエレベーター(2010/日)』に続く、オモシロ日本語カバーシリーズ第2弾『ゴースト もういちど抱きしめたい』の感想です。かんたんにネタバレとかするので要注意。

 観に行った映画館はシネマート六本木。場所がわかりづらいですが、好きな映画館です。お客さんは月曜の夜で7人だけでした。韓国好きっぽい女性が4人と、若い男性の一人客がぼくを入れて3人。今週の「タマフル」の課題映画がこれなんですが、若い男性はもしやリスナーかしら。


概要:1990年の大ヒット映画『ゴースト/ニューヨークの幻』の日本人によるリメイク作品。監督はTV演出家の大谷太郎という人。脚本の佐藤嗣麻子さんは他に『SPACE BATTLESHIP ヤマト』や『BALLD 名もなき恋のうた』などを手がけていて、なんだかこれから見る予定の『ヤマト』に対してゾワゾワしたものがきます。プロデューサーは一瀬隆重。
 会社経営者の星野七海(松嶋菜々子)はある夜、長身の青年と出逢う。彼は陶芸家志望の韓国人キム・ジュノ(ソン・スンホン)。七海も陶芸好きであることから2人は意気投合、間もなく惹かれ合い、いつしか一緒にいることが当たり前の幸せな生活の中で確かな愛を育んでいく。しかし出逢いから1年後の七海の誕生日、彼女は、バイクに乗ったひったくりに襲われ命を落としてしまう。だが、自分の亡きがらを抱きしめるジュノを見た七海の魂は、ゴーストとして彼のそばにとどまることに。するとやがて、ジュノも自分を死に至らしめた犯人に命を狙われていると察知した七海。しかし、その危険も自分の想いも彼に伝えられる術がなく、途方に暮れてしまうのだが…。
"allcinema online"より抜粋)
 

 最近のコントなどでよく見かけるのですが、漫画やテレビドラマなんかでよく見かける典型的な展開やセリフをあえてわざと臭い演技で再現していくみたいなやつ。よくあるのが、戦場に向かう兵士が彼女の写真を胸に潜ませて「おれ、帰ったら彼女と結婚するんだ」って言って、死んじゃうパターンとか。そういう「あるあるネタ」の変形みたいなものの羅列で筋を組み立て、そこにボケを挿入していくってコント、お笑いのビデオ借りると一つや二つは入っているような。

 で、この『ゴースト もういちど抱きしめたい』なのですが、多分そういうの狙っています。陳腐な演出でお決まりのセリフと展開を表現し、笑かそうとしているのではないかと。そう考えないと、この映画の存在意義に納得が出来ないんです


 まず、冒頭、主人公の七海は朝起きたらベッドに裸で寝ていて、いきなりブチキレて、モーニングコーヒーを入れる男ジュノにビンタを食らわし一言も交わさず家を出ていきます。
 昨晩二人の間に一体何があったのかと、観客はびっくりしますが、その後、七海の親友・未春(鈴木砂羽)との会話で、その男のことは全く知らないということ、昨晩何があったかまるで覚えていないことを語る彼女に二度びっくり。それで無言でビンタかまして出ていくって、どんだけ被害妄想強いんだよと。この人、後々出てくる樹木希林扮する霊媒運天五月に対してもいきなり命令口調だったり、ちょっと頭がおかしいという設定ではあるのですが、そんな彼女が年商150億の会社の社長だと知りまたびっくり。「社長、新商品のパッケージA案とB案がありますが」「う~ん、B案で!」とかなんか「デキる社長が言いそうな」なんの意味もない雰囲気だけの会話が繰り返されます。

 で、昨日の回想シーン。松嶋菜々子が酔っ払って、噴水の周りを歩いていたら、落ちそうになって、突如現れたハンサムな韓国人男性ジュノに助けられ、したらば噴水が暴発してびしょ濡れになって、目を輝かして見つめあう二人…バブル期のトレンディドラマで2万回くらい見た展開で二人は恋に落ちます。それを遠目に見ている鈴木砂羽と運転手は「帰っちゃうよ~!」とか言っているんですが、こいつら、泥酔している社長をどこのだれだか知らない突如現れた外国人に預けて本当に帰っちゃいます。ここら辺、今思えば後々の鈴木砂羽の裏切り(ごめんなさいうっかりねたばれしてしまいました)の伏線だったのかもしれませんね。

 そんなこんなで酔っ払っていたところを介抱してくれただけのジュノを殴ってしまったことを謝ろうと彼の家の前で「いかにも待っています」的な演技をしながら待つ松嶋菜々子。そんなこんなで二人は仲良しに。

 次の休みで陶芸を教えてもらうとか言って遊びに行って、ろくろを回しながら『ゴースト ニューヨークの幻』という80年代の名作アメリカ映画のパロディをやって、キッスしてセックスしてめでたく付き合いはじめます。良かったね。
 このろくろのシーンはなかなかアレで、柔らかい土の中に指をぐっと挿入して、ジュノが背面から「モットユックリ…オチツイテ…モットユックリ…」と囁きます。みうらじゅん的に言うと「これ絶対入っているよね」。
 あと陶芸作品を集めるのが趣味と言っていた松嶋菜々子の作った陶芸のセンスがいくらなんでもアレだったり。

 で、なんかぐだぐだノロケ話が続いて、真っ昼間から互いが互いのことをどう思いあっているかを『誰かが私にキスをした』並のクオリティにて丁寧にセリフで説明してくれる親切設計。松嶋さん、年相応の役をやらないもんだから、なんかやつれちゃって、あんまり幸せな女性に見えにくいのがアレですが、そんなこんなで教会に勝手に入り込んで、結婚式あげて、で、ようやく殺されます。
 その日は松嶋菜々子の誕生日。鈴木砂羽が彼女にワインのプレゼントを渡し、ジュノは嬉々としてパーティーの飾り付けをやっています。するとそこでもう不穏なBGMが流れだします。えええ、はやすぎないか?
 てなわけで殺されます。が、ここで衝撃の展開。今回死ぬのは男性ではなく女性だった!
 最後まで見ても本作におけるこの男女の立ち位置を変更した意味がよくわからなかったのですが、この映画に足りないものって何かと考えたとき、この映画が目指すところの「コント」をやるには、いくらなんでも主役が二人とも美男美女すぎて、ときたま普通に恋愛ドラマをやっているように見えるシーンもあるんです。で、だいたいコントってふざけた格好とか女装した男性なんかが演じるじゃないですか、多分最初はジュノ役の方はオリジナル版におけるデミ・ムーアの役を女装で演じて、パトリック・スウェイジの役もどなたか面白い男性が演じるはずだったんじゃないかなって。それがなんらかの大人の事情やらでこじれてこの意味のない男女逆転になったのではないかと推測いたします。自分でも何を言っているかよくわかりませんが。

 あとは松嶋菜々子を殺した犯人がご丁寧に特徴的な顔のキズを見せてくれたり(わかりやすい!)、駆けつけたジュノさんが人口呼吸も何もしないで「オキテクダシャイ!メヲサマシテクダシャイ!オキテクダシャイ!メヲサマシテクダシャイ!」って大声で繰り返し言ってました。
 でようやく松嶋菜々子が死んで、その死を驚くほどあっさり受け止めて物語が本筋に向かうのですが、ここまでに40分ほど、明らかに長すぎです。

 そんなこんなでオリジナルではウーピー・ゴールドバーグが演じ、今回は樹木希林が演じる霊媒師登場。

 で、ここまで読んでいただいて「人様が一生懸命作った映画を斜め見してコントコントなんて言って失礼だよ!」と思われている人も多いかと思いますし、僕も映画を見続けていてコントにしては実験的に長い尺に「実はこの映画、コントとして作られていないんじゃ…」って不安になっていたのですが、樹木希林さんの登場で、不安は一掃されました。彼女の演技があからさまにコントノリです。『悪人』の時よりも、富士フィルムのCMに近いノリです。てなわけで彼女が出てきてからは本格的にコメディ色が増します。なんだか苦痛から解放された気分になるのはどうして?

 あとは例えば松嶋菜々子が死んだことでついに本性をさらけだした彼女の親友鈴木砂羽がオッパイにコーヒーかけて「ヤダ!こぼしちゃった」って嘘ついてジュノにオッパイ触らせたりするシーンとか、ひでえオモシロポイント。

 そんなこんなで幽霊化した松嶋菜々子の復讐が始まります。以前、楳図かずお先生は「恐怖と笑いは紙一重、追っかけられれば恐怖、追っかければ笑い」とおっしゃっていましたが、鈴木砂羽を怖がらせようと、PCのスイッチをいきなり点けて、テキスト画面で「私の幸せ返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して」と打つシーン、鈴木砂羽視点だったら「パソコンが勝手に動いているぅ!」と恐かったと思いますが、さすがこちらのスタッフは分かってらっしゃる、松嶋菜々子視点で「返して返して返して」と何度も書く悪ふざけっぷりと鈴木砂羽のビビりっぷりに吹き出してしまいます。
 ていうか霊になっても割と簡単なテクニックでワープロ使えるんだったら、ジュノと会話するために霊媒の樹木希林の霊聴に頼る意味まるでなくないか?
 ていうか霊のそういう物質干渉が、この映画みたいにどんなチビッコにも簡単にできるテクニックならば世の中大変なことになりますね。

 で、オリジナルにもあった霊媒に乗り移った幽霊が残された人とキスするシーン、樹木希林の姿が、ジュノの心象を表して、松嶋菜々子になりますが、あそこは樹木希林の姿のままでキスしなくちゃ。そこらへん挑戦しなきゃ。イケメンとオモシロおばあちゃんのキスが物語をきちんと踏んで行けばロマンチックに見えるってのが映画のマジックではないんですか!?

 あとは復讐とノロケがぐだぐだ続く感じですが、『何かいいことないか、子猫チャン』ばりのスラップスティックなドタバタコメディの立ち回りを商店街で演じた後、最後ジュノが刺されて、日本映画が大好きなスローモーションになって、音が無くなり、松嶋菜々子が「いーやー!」って叫ぶいろんなテレビドラマや邦画で2京回くらいみたシーン、松嶋菜々子の演技って『GTO』の頃から変わってないなあ…。


 以上、大変長々と書きましたが、キリがないのでここら辺で止めておきます。以上のこの作品のオモシロポイントをまとめると、「どこかでよく見た展開とセリフ」および「ちゃちな演出と演技」に集約されるのではないでしょうか。
 皮肉を混めずに書きますと、制作者側の「お金を儲けるぞ」以外のなんの志も感じとれない作品でございました。

 それにしても、樹木希林が出るまでは、コントにしてはそこまでは笑えなかった点が不満です。
 あと、日本人と韓国人という国際カップルにしたことがまるで活かされていないのですが、そこそもなんで国際カップルって設定にしたのだろうか。お金だろうか。
 あとあと流石に途中ツッコミが入っていたけれど、結局ジュノがなんで食べていられるのか結局よくわからない。陶芸で食えてるのかな? めちゃんこ金持ってそうだけど。

 まあ『死刑台のエレベーター(2010/日)』ほどではありませんでしたが、誰もが知っているあの名作映画をリメイクしてやろうという勇猛果敢な挑戦をしているとは言えるでしょう。ただ多分、あの映画もどうしようもない映画でしたが、『死刑台のエレベーター(2010/日)』のスタッフがこのリメイクをしたならばもうちょいマシな映画になっていただろうて。

 そんなこんなで当ブログは今後もオモシロ日本語カバーを追っていきたいと思います。

 呂布レベル(三国志の最強の武将。マンガ『蒼天航路』で曹操が美女って言ってました)


 次回は、今回流石に疲れていい映画が見たくなって逃げ込むように鑑賞しました。カンヌのグランプリに輝いたミヒャエル・ハネケの話題作『白いリボン』の感想です。


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テーマ:映画館で観た映画 - ジャンル:映画

  1. 2010/12/10(金) 12:48:32|
  2. 映画カ行
  3. | トラックバック:3
  4. | コメント:0
<<『白いリボン』はスマートでエレガントな残虐ファイトだよ。 | ホーム | 『堀川中立売』は妖怪に会える映画だよ。>>

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