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『人生万歳!』はある種の達観からくる一席だよ。

人生万歳
 
 今週の『天装戦隊ゴセイジャー』は、さらばロボゴーグ閣下、最終決戦。ロボゴーグ閣下は最強といううたい文句のなか、なんだかんだと歴代ボスの中でいちばんパっとしませんでしたね。というか膜インのインパクトが強かったのかな。
 そしてやったー!! ブレドRUNがラスボス化だー!!!
 愛するブレドRUNをかばった自爆は失敗し、ロボゴーグ閣下にポンコツ扱いされ、さらにはブレドRUNにまで見捨てられたりして、『ゴセイジャー』には似つかわしくない恋愛要素に精を出していたメタルAは最後まで報われなかったなぁ…。そこんとこメレ様や薄皮大夫のごとき多少の救いが欲しかったところです。
 しかしながらメンバー内にここまで恋愛要素がない戦隊も珍しいですね。
 
 そして今回はウディ・アレンの新作『人生万歳!』の感想です。

 観に行った映画館は恵比寿ガーデンシネマ。ご存知の通り、来月いっぱいでこの映画館も閉鎖してしまう様子。アレン映画はほとんどここで見たなぁ…。寂しいです。これからはどこでやるんだろうか。かつて『タロットカード殺人事件』を上映したことのあるBunkamuraル・シネマとかだろうか。
 公開間もない夕方の回でしたが、そこまで客数はなく、ただ公開間もなく見に来るような人たちですから、アレン好きが多いのか、ちょっとしたくすぐりにも敏感に笑う人が多かったです。男性の一人客とカップルが多めかな。


概要:監督・脚本はウディ・アレン。70年代半ばにアレンによって書かれてお蔵入りされていた脚本を原作にしている。通算40本目だそうだが『ニューヨークストーリー』の短編を入れて40作目なのか、もしくは幻のデビュー作『ホワッツ・アップ・タイガーリリー』を入れて40作目なのか。
 かつてはノーベル賞候補になるなど天才物理学者と持てはやされ、順風満帆かに思われたボリス(ラリー・デヴィッド)。だがそんな彼も、自ら招いた災いを機に今ではすっかり落ちぶれ、冴えない独身中年に成り下がっていた。こうして淡々と日々をやり過ごしていたボリスはある夜、南部の田舎町から家出してきた若い娘メロディ(エヴァン・レイチェル・ウッド)と出会う。彼女に同情したボリスは、数日だけという約束で自分のアパートに泊めてやることに。ところが一緒に暮らすうち、メロディはなぜか親子ほども歳が離れ、会話もまるで噛み合わないボリスを“運命の相手”と思い込んでしまう。さらには、愛する娘の後を追って彼女の両親も相次いで現われる始末で、事態はますます複雑になってしまい…。
("allcinema online"より抜粋)


 今回は、ウディ・アレンという人がもはや「ウディ・アレン映画」という一つの文化を名人芸みたいなものにしてしまっている件について書きたいと思います。
 アレン映画と落語の類似性なんてのは、淀川長治さんなどがよく言っていたけれど、アレンはたった一人、たった半世紀で一つの文化を築いてしまったなと、そこらへんを考えてみたいです。

 アレン映画も40作品目だそうだが、今回もアレンの出演はおやすみ。しかしアレンに「ラリー(ラリー・デヴィッド)はとても悲観的で痛烈で皮肉的でネガティブで手厳しい。それでも彼を好きになれる。もし僕がこの映画に主演していたらただの頑固でうんざりする意地悪な男になっていただろうね。」と言わせた、ラリー・デヴィッド扮するどう考えてもアレンみたいな初老の男性が主人公だったりするんだけれど。


 作風の変化の集大成であった『ウディ・アレンの夢と犯罪』とは違い、今回は(アレンは不在だけれど)もう典型的なアレン風コメディ映画みたいになっている。なにしろニューヨークが舞台なのは『メリンダとメリンダ』以来だそうなのだ。

 本作における「典型的アレン風コメディ」の要素とは、例えば主人公は皮肉屋で理屈っぽく頑固な初老のニューヨーカーで、友人はカジュアル志向でジャズとクラシックとアートを好む中年ニューヨーカーたち。それに敵対し完全におちょくられる南部の保守派の人々、何故だか若い女性にモテる主人公、次々と登場してくる人々がいちいち抱えてくる問題に、リズミカルに対応してくるご都合主義展開と落語的なオチ。ジャズとクラシックと手振れカメラと暖色系の照明と間の抜けた編集。
 言い換えればウディ・アレンが今まで撮ってきた39本の映画を足して39で割ったような、悪く言えば完全に手癖で撮ったような映画になっている。正直、他のアレン映画に紛れ込んでしまい、数年後内容を覚えているかどうか心配。


 しかしながら手癖で撮ったのは重々承知の上で、やはり見てみると面白いのがなんとも悔しい。確かに、あまり引っかかりはない作品だが、何度も見たくなる毒と軽みと洒落がピリリと効いている。

 例えば悲観主義者のボリスが、メロディとの偶然の出会いを経て、次々と彼女や彼女の家族(ブッシュ大統領こそ理想の男性像という保守派でキリスト教原理主義者)をさんざん「クリシェー」だの「尺取り虫」だのとコケにしながら(『マチェーテ』の悪役たちみたいな見る人が見ると怒り狂いそうな展開)、洗練された都会生活者へと変化させていき、そして自分が変化させたメロディによってやがて自分自身が変わっていくというその流れるようなストーリーテリングの正攻法での見事さはとても美しい。
 そこにアレンが出ていないという不満も、そのどぎつい皮肉もアレンではない他の役者が演じることで客観性を増しているぶん嫌味が軽減され(ラリー・デヴィッドの吐くセリフの毒素はアレン以上ではあるが)、セリフや演技の面白さが不純物なくストレートに表現されているとも感じる。

 また『ウディ・アレンの夢と犯罪』で大きく取り扱われた「運命と対立する人間の意思」というテーマは「偶然」というテーマにその名を変えて、本作でも再び語られているのだが、これは『夢と犯罪』のように様々な意匠やセリフをもって外縁から語られていくのではなく、テーマをセリフで語ってしまっている(しかも時に観客に向かってカメラ目線で)。他の監督作品ならこういうところで映画監督としてのセンスを疑ってしまうところだが、今作の場合むしろ余計な要素を省いてむしろテーマ性を素直に打ち出しているようにも見え、それはむしろ粋なユーモアでありシャレたテクニックだ。


 これら普通なら不満点になりそうな、飛び道具とも言えない、もはや「いい加減」と言ってもいいような演出を、異物感は感じさせず、逆に「ユニークなユーモア」とも観客には見せてしまう本作のテクニックの秘訣は、「手癖」とも思われてしまう、なんてことのない「いつものアレン節」を撮ることに対する経験からくる自信によって成り立っているのであろう。

 アレンがそのような「経験と自信」にみなぎってしまう、「いつものような」映画を撮るのは、同じ噺を何度も語りつづける事でどんどん洗練させていく「落語」みたいなものなのだと思う。アレンの映画演出という名人芸が、『ボギー!俺も男だ』の頃から何度も見てきたような話を何度も何度も繰り返し撮ることで洗練させていく。そこに目新しさは必要ない。そして彼に自信と経験を与え、より同じ物語を上質なステージへとあげていく。
 この作品はおそらく「いつものアレン映画ね」で片付けられてしまうのだろうが、それゆえそこがまた美点でもあるのだ。我々日本人にとっては『男はつらいよ』シリーズみたいなものと言った方がわかりやすいだろうか。

 以上、『人生万歳!』は、テキサスの田舎者を散々バカにしたりする挑発的な作品ではあるが、一方でもはや伝統芸能レベルの境地に立って作られた、洗練されたコメディなのではないかと思われる。


 不満点と言えばやっぱり恒例の、アレンが出て欲しかった件。
 ちょい役でいいから出て欲しいです。本作の最後にちょっとだけ登場するゲイの役とかでいいから。


 決して世紀の名作として賞賛されるタイプの作品ではありません。ある種のジャンル映画とも言えますが、作品の性質上、落語の名演は何度聞いても楽しいように、アレンファンなら何度見ても楽しめるとても気持ちのいい映画であると思います。

 柳沢ななレベル『仮面ライダーキバ』の時はなんとも思いませんでしたが、『戦国鍋TV』はすげー可愛いです。


 次回は話題作『トロン』の28年ぶりの続編『トロン:レガシー』の感想でございます。
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