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『バーレスク』は一点豪華主義みたいなものだよ。

バーレスク

 こんにちは。今回は前回サイコロで当てた『バーレクスク』の感想です。

 見に行った映画館は新宿バルト9。今年もお世話になります。空豆ナゲットは美味しいのだろうか?
 元旦で、満席でした。客層はほぼ女性。友達とってのが多かったように思える。


概要:監督・脚本はスティーヴ・アンティンという人。リメイク版の『グロリア』の脚本を書いた人だそうな。
 かつては栄華を誇った大人のためのショー・クラブ“バーレスク”も、いまや客足が衰え経営難に陥っていた。伝説のスターにして現オーナーのテス(シェール)は、舞台監督のショーン(スタンリー・トゥッチ)とともに再建に尽力するが、すべては新たなスターの誕生にかかっていた。そんな時、アイオワの田舎町からスターを夢見て単身ロサンジェルスへとやって来た少女、アリ(クリスティーナ・アギレラ)。彼女は偶然目にしたバーレスクの華麗なショーに心奪われる。そして、どうにかウェイトレスとして雇ってもらい、ステージに立つチャンスを狙う。やがて、その歌唱力とダンスの才能がテスにも認められ、ついにスターへの階段を上り始めるアリだったが…。
("allcinema online"より抜粋)


 ミュージカル映画の感想でよくあるのが「歌と踊りはいいんだけどねえ…」ってやつ。なんかやたらと耳にする。今回の論旨はそこら辺。「歌と踊りはいい」とはどういうことか。

 確かにこの映画の感想を簡単に書くと「歌と踊りはすげえ」。未見の人にはとりあえずそう説明しておけば、察していただけるだろう。
 さすがにシェールとクリスティーナ・アギレラ。彼女たちが歌うシーンはちょっとウルッときた。例えばいちばん最初のシェールのバーレスク紹介の曲や、中盤の本作の主題歌を歌うシーン、最後の大団円の歌などは何度も繰り返し見たいほど。常人とかけ離れたレベルのリズム感や、映画館の持つ音響技術をフルに活かした低音、ダンサーたちのスタイルの良さなど、さすがミュージカルの国アメリカといった感じ。とてもウキウキワクワクできます。
 まあ歌に関しても決して百点満点ではなく不満もいくつかあるのですが、それは後述。


 で、この映画、なまじ歌と踊りがすげえ分、その他の要素が凡百のミュージカル映画と比べても群を抜いてやる気ないんです。

 まず物語に関して。この映画のストーリーから何も感じられない。
 例えば主人公アリの成長があるようでまるでない。最初から根性もあって性格も良くて、まあまあ美人で歌も踊りもできる主人公。そんなわけで彼女に何にも共感などできない。むしろ踊りはすげえが歌は駄目っていう、高飛車なライバルキャラ・ニッキ(クリステン・ベル)に共感してしまう。
 共感できないと言えば、そもそもなんでアリが歌手を目指しているのかもよく分からずじまい。
 しかも物語中盤でその歌手への夢は、アリがこれといってドラマチックな努力をするまでもなく、偶然によって叶ってしまい、その夢が叶ったことによる、それに続くなんらかのドラマ展開などは何も起きない。つまり中盤以降は、彼女は日々の業務として歌を歌っているだけなのだ。

 言ってしまえば、本作は成長もなければ、得るものも、失うものもない、何も生み出さない物語。一緒に観に行った友人が「具体的な生産性の全くない、株の売買だけを眺めているような映画」と言っていたが、ただいまある状態が少しだけ立ち位置を変えるまでを描いただけ。そんなわけでストーリーはひどく退屈です。

 例えば、恋愛話にしてもそう。アリは終盤で婚約者がいる男性ジャック(カム・ジガンデイ)と、酔っ払った勢いで、特に何の努力をすることもなく恋人関係になるが、突然彼の婚約者が戻ってきて大惨事。それで飽きれたアリは前から言い寄ってきていたお金持ちのマーカス(エリック・デイン)ところに傾くが、特に何か事件があるわけでもなく「あなたを好きになれない」と突然彼をフってその関係はその日でおしまい。したらばしばらくしてジャックが、もちろん誰がなんの努力をするわけでも事件性があるエピソードがあるわけでもなく、ただ突然「ごめん正式に彼女とは婚約破棄したよ」と言って戻ってきておしまい。恋愛話に関しても誰も何も努力も成長もしていない。

 さらに、「歌手への夢」「恋愛」と並び本作で語られる「経営不振によるバーレスク買収の危機」という問題も、全編テス(シェール)が延々と悩んでいるだけで何の打開策も出さず、最後にアリがどこかで聞きかじった「空中権の主張」を行使してみたらすんなりうまくいって問題解決。どいつもこいつも努力も成長も損失もしていない。
 そもそもバーレスクがいつも満員で盛り上がっていてどこも経営不振には見えないっていう。


 で、本作においていちばんの問題は、これら「恋愛」「歌手への夢」「バーレスク崩壊の危機」の3つのエピソードがまるで有機的に絡み合っていない点である。ただ一向にそれぞれ平行線を辿るだけ。先述したように歌手になったことが、別に恋愛やバーレスク経営の問題に関わってこないし、アリがいくらこっぴどく失恋しようが、歌手の彼女は平常通り素晴らしい歌唱力で絶賛されています。

 あの歌と踊りのパフォーマンスがあれば、普通にアリが努力して歌手としての才能を伸ばし、その事で閑古鳥が鳴いていたバーレスクが復興していく、たまに恋愛問題でスランプもあるけれど、咲かしてみせます女の花道ってな具合の王道パターンでなんら問題無く及第点以上はいったと思うんです。


 「絡んでこない」といったら他にも大きな問題があって、これは先述した「歌と踊りについての不満点」の一つなのですが、本作はシェールとクリスティーナ・アギレラという二大スターの共演がウリなのに、この二人一度も一緒に歌わないのだ。
 例えばエンディングの大団円の大合唱で、アリがひとしきり歌って、曲の間奏部分ダンサーやコーラスの皆が指パッチンしてリズムをとっているんです、ここえらくカッコイイのですが、「さあ行くわよ、準備はいい?」(うろ覚え)みたいなセリフが入るのね、絶対ここシェールが出てきてソロパート→アギレラとデュエットって展開来ると思うじゃないですか、もしそうだったならばすげえ興奮するじゃないですか、で、間奏でテンション上げまくってさぁ真打ち登場!って、間奏が明けたら、ステージの奥からなんとまたアギレラが出てきて歌うんです。シェールはバーカウンターで酒飲んでそれを満足げに見てるだけ。あまりにもったいない…ていうか、シェールが歌うシーン2回しかないし、2回目はすげえとって付けたようなシーンで面白くないし…もったいない…。


 「もったいない」と言えばライバルキャラのニッキの扱いも非常にもったいない。
 高飛車でプライドだけはやたら高くてダンスの実力はけっこうある、しかし天狗になっていたためアリにその座を奪われ、悔しがるって展開なんですが、彼女は嫉妬に狂い、酒に溺れてギャーギャーわめいたあげく、また例によって誰も何の苦労もすることなく、突然「ごめんあれは私が悪かったわ」とか言って、勝手に戻って来ちゃうんです。
 あれはさ、『バクマン。』の岩瀬のごとく、勝ち気なライバルキャラなんだから、アギレラに敗北したのをきっかけに努力しまくって歌唱力を手にいれ再び彼女の立ち位置を脅かす存在として再登場、そんでもって熾烈なトップ争いの結果友情が芽生えるっていう男泣き必至の王道パターンで来て欲しかったところ。


 他にも色々あって、演出が90年代前半の映画みたいでダサいとか、アップ多すぎて息苦しいとか、デジタル上映の弊害でしょうか? やたらと色彩が淡くコントラストの低い薄っぺらい映像が気になったとか。
 あ、あとシェールは相変わらず顔こわい。


 『スーパー戦隊祭 侍戦隊シンケンジャーvsゴーオンジャー銀幕BANG!!』『プリキュアオールスターズDX2 希望の光☆レインボージュエルを守れ!』の感想で、エンドクレジットでの彼らの踊り(と『プリキュア』は歌)が良かったと書きましたが、「歌」や「踊り」って最も原始的で洗練された表現であり、それだけでとてもパワーがあると思うんですね。そういう「身体」で感情を表現できるのって、物語や映像美がいくら頑張ろうと到達しえない、人の本心に迫りくる何かがあると思うのです。

 で、冒頭の話に戻る。ミュージカル映画に関して「歌と踊りは良かったんだけどねえ…」って感想が多いけれど、本作は歌と踊りがいいだけでかなりの評価ポイントにはなるとは思うのですが、長々と書いたストーリーのいい加減さはおいといても、シェールとアギレラのデュエットが無かったのと、そのすばらしい歌と踊りの表現を十分に活かす撮影のセンスがなかったのが本当にもったいない映画だと思いました。

 里田まいレベル。

 次回は、年末見逃した映画をつぶしていかないと…『海炭市叙景』の感想を書きます。
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テーマ:映画館で観た映画 - ジャンル:映画

  1. 2011/01/13(木) 00:57:10|
  2. 映画ハ行
  3. | トラックバック:6
  4. | コメント:0
<<『海炭市叙景』は冷暖房設置済みだよ。 | ホーム | 『モンガに散る』は『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・台湾』だよ。>>

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