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「少年ジャンプ」と水木しげると映画とおもちゃと特撮を愛します。

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『海炭市叙景』は冷暖房設置済みだよ。

海炭市

 そういえば「画期的!!」「分かりやすい!!」「人生観が変わった!!」「永遠の生命を手に入れたような心地すらする!!」と大好評の声が散々寄せられている当ブログの「アイドル映画評価」ですが、ほんの少し分かりにくいかもしれないという意見が寄せられたことが、無くもない、ほんの少し、砂漠の砂の数程度の人が、そう思っていらっしゃるそうなのですが、2011年度は新しい基準でいこうと考えておりました。

・「少年ジャンプ」のキャラクターの戦闘力にて評価。
 「ジャンプ感想」もやめてしまい、何か「ジャンプ」的なものを復活させようかと考えておりましたので。でもこれ難しくて、例えば「ミスター・サタンレベル」ってすげえ評価低そうだけど、あいつ格闘技の世界チャンピオンだし、「桜木花道レベル」って高そうだけどあいつ単なる高校生スポーツマンだし…。

・『三国志』の登場人物の「人間力」にて評価。
 戦闘力とかだと軍師が低くなってしまい、諸葛孔明もかなり下の方になってしまいますから、その人物の「スゴ味」を数値化することでおなじみ「人間力」です。わかりやすい!!
 ただ問題はぼくがそこまで『三国志』に精通していないということ。

・ジャニーズタレントの戦闘力にて評価。
 ジャニーズは点が稼げますから。ただかっこいい順とかにしてしまうと、本当にファンが怖そうなので、殴り合いが強そうな順。そうするとウルトラマンティガ対仮面ライダーGという夢の対決も拝めることが出来る。しかしながら問題はそんなにジャニーズに詳しくないということ。


 そんなわけで、しばらくアイドル評価で続けますが、何かアイディアがあれば是非。


 今回は話題の日本映画『海炭市叙景』の感想です。

 観に行った映画館はユーロスペース。下にできた映画学校の生徒さんが多かったのかな? やたら複数で来ている若い人が多い感じでした。
 

概要:佐藤泰志の原作小説を、『鬼畜大宴会』『アンテナ』『フリージア』『ノン子36歳(家事手伝い)』などの熊切和嘉が映画化。脚本は宇治田隆史、音楽はジム・オルーク、撮影は近藤龍人。
 冬の海炭市。造船所が縮小され、大規模なリストラが断行される。妹帆波(谷村美月)とつましく暮らしていた颯太(竹山ピストル)も職を失い、兄妹は不安の中で年越しを迎えようとしていた…。再開発地域にただ一軒残る古い家。市役所のまこと(山中崇)は、一人で暮らす70歳のトキばあさん(中里あき)に立退きの説得を試みるが…。プラネタリウムで働く49歳の隆三(小林薫)。水商売の仕事を始めた妻(南果歩)との溝は深まるばかりで…。ガス屋を継いだ晴夫(加瀬亮)は仕事が行き詰まり苛立ちを募らせる。一方、再婚の妻は、晴夫の不倫を知り、晴夫の連れ子を虐待してしまう…。路面電車の運転手を務める達一郎(西堀滋樹)はある日、東京で働いている息子・博(三浦誠己)の姿を見かける。博は仕事で地元に帰って来ていたのだが、決して父親とは会おうとせず…。
("allcinema online"より抜粋)


 『悪人』の深津絵里は地元の国道から離れたことがないと言った。『ヒーローショー』の元自衛官も俺はこのままこんなところでは終わらないと言っていた。こういった閉塞感が何も田舎町に限った話ではないのは『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』で語られていた。

 この「どこにもいけない」という閉塞感は、どうも最近の日本映画界のブームなのだろうか。確かに現代は従来の価値観の崩壊や文化の行き詰まりそして不況といった諸々の理由で閉塞感を感じがちである。

 この映画はそのような「閉塞感」の中での人間という生命について描いているのではないかと考える。


 「海炭市」という函館にあるという設定の想像上の田舎町を舞台にした本作でも様々な「閉塞感」が語られる。

 例えば幼い頃の親の死によってこの町に閉じ込められた貧しい兄妹。兄・颯太は造船所に勤めていたが、リストラにあい一切の身動きができなくてなっている。タイヤと木材でイカダを作って遊んだりしているが、生活に縛られる彼らは決して船には乗れない。船に乗ってこの町から出ることは出来ない。
 「ブタ屋」と呼ばれるほったて小屋みたいな家に猫と暮らす老婆トキは昔から住んでいたというプライドと意地が凝り固まり開発が進むその地においても決して身動きしようとしない。
 プラネタリウムに働く隆三はその箱庭のような閉鎖された宇宙空間に閉じ籠り、本物の大宇宙を見ることを忘れてしまい、いざ抜け出そうと努力しても、妻の愛を取り戻そうと努力しても、彼の乗る車の後輪が空回りして発進できないように、身動きできない。
 晴夫は稼業を継いでガス屋の社長になるが、永遠に続くルーチンワークに嫌気がさし、新しい事業に挑戦するものの上手くは行かず、その鬱憤をはらすべく妻に、その妻は息子にそれぞれ暴力をふるっている。全てが悪循環に囚われ、まるで足の親指を潰したことが象徴するかのように身動きが取れていない。
 路面電車の車掌・達一郎は、まるでこの町が全宇宙かのように、毎日毎日同じ道を延々と行き来し続ける。


 本作の素晴らしい寒さの表現(ヘルメットの下のニットキャップ、真っ白な空、南果帆の素足、小林薫の頭の雪、営業マンの財布、ホステスのこれ以上ない無意味な会話)は、観ている観客の身も心も凍えさせ、登場人物同様に身動きさせづらくする。


 閉塞感からの解放を願った颯太は、山への初詣の帰り、妹だけをモノレールで帰し、自分は徒歩で下山しようとするが、崖から落ちて死んでしまう。それは自殺だったのか、本当に不慮の事故だったのかは直接語られることはない。
 ただ無理をして妹にビールを奢らなければ、無事にモノレールで帰れるのを分かっていたはずなのに、あそこでビールを買ったということは、もしかしたら…と考えてしまう。彼は最期、初日の出を見て涙をしていた。最も太陽に違い山の上に登ったって日の出はいつも海の向こうで、彼らは(そして我々は)決してお日様には到達できないのだ。それに涙した彼は、その町から飛び出そうとして崖から転落したのではないだろうか。彼の遺体は一度海に落ちるも、また海炭市に引き戻されてしまう。


 谷村美月は「私たちはあの場所に戻るのだ」とモノローグにて語る。この町に縛られるのが嫌で逃げ出した営業マン・博は、仕事のために戻ってきたこの町で絶縁していた父に「また帰る」と告げる。彼らは海炭市から決して抜け出せない。


 しかし新年が明けたときの開放感は彼らの閉塞感を多少和らげる。関係性が悪化していた隆三とその妻、晴夫と息子もこの日ばかりはリセットしたかのような優しい気持ちに包まれていた。そして再び同じ町で、同じような閉塞感を感じながら生きるのであろう。
 しかしながらそこにきちんと生命はあるし、生命がある以上希望もきちんとある。そして物語の最後、孤独な老婆トキのもとから離れた猫は立派に妊娠して戻ってきた。彼らは太陽には届かない地に住んでいるけれど、その毛並みからはスクリーン越しなのに暖かい太陽の香りを感じることが出来る。そして寒い寒い冬を終えて、函館は短い春に入っていく。

 その生命の暖かみを演出するジム・オルークの音楽が、辛辣な雰囲気の本作に「救い」を与えていると思う。


 以上、本作は絶望的な閉塞感の中にもたくましくある生命の暖かみとそれによる希望を描いているのではないだろうか。


 ほかによかった点は、エキストラが良いこと。最初のシーンの小学生達とか、特に終盤に登場する場末も場末のホステスたちとか。
 あのホステスの中途半端な不細工さ、中身の一切無いIQの低すぎる会話内容などすばらしすぎ。


 不満点はここまで絶望的な閉塞感を描いた割には、この映画が最終的に語るメッセージのパンチ力がちょっとだけ弱いこと。ちょっと風呂敷広げすぎかなって。ここまで閉塞感を描くならばもっとカタルシス的な開放感が欲しかったなーって。


 亀井絵里レベル。

 次回はフランスで大ヒットしたそうです、『君を想って海をゆく』の感想。
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テーマ:映画館で観た映画 - ジャンル:映画

  1. 2011/01/14(金) 13:35:34|
  2. 映画カ行
  3. | トラックバック:10
  4. | コメント:4
<<『君を想って海をゆく』は人によっては短編映画だよ。 | ホーム | 『バーレスク』は一点豪華主義みたいなものだよ。>>

コメント

もしこれを

昨年鑑賞してたら、間違いなく邦画ベスト3に入れたと思う。
重いけど見ごたえありました。
  1. 2011/01/15(土) 07:37:18 |
  2. URL |
  3. rose_chocolat #ZBcm6ONk
  4. [ 編集 ]

>rose_chocolatさま
こんにちは。
コメントありがとうございます。返事遅れてごめんなさい。
光の加減とか、映像が素晴らしかったと思いました。撮影の人は『ライブテープ』でもカメラをやっていた人なのですね。さすがた。
女優として谷村美月さんがとても好きなのですが、彼女の地味さ(ほめ言葉)がとても活かされていたと思います。
また遊びにきてください。
  1. 2011/01/16(日) 14:33:37 |
  2. URL |
  3. かろプッチ #-
  4. [ 編集 ]

> 彼女の地味さ(ほめ言葉)がとても活かされていたと思います。

賛成に一票!
  1. 2011/02/04(金) 10:50:03 |
  2. URL |
  3. ふじき78 #rOBHfPzg
  4. [ 編集 ]

>ふじきさま
 こんにちは。
 谷村美月さん、『おろち』とかが個人的に好きです。昭和の寂しい感じとか良く出ている。
  1. 2011/02/06(日) 12:51:44 |
  2. URL |
  3. かろプッチ #-
  4. [ 編集 ]

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Author:かろうじてアメリゴ・ベスプッチ
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 コメントくれたら嬉しいです。
 更新あんまりできないけれど。
 あと現代人なのでtwitterを始めました。
 chikiuso2800って名前。
 ご意見、ご感想、取り上げてほしい映画のリクエストなどございましたら、コメント欄か上記twitterIDにてお知らせください。

 なお映画の感想コーナーの最後で、実に分かりやすく画期的な映画の評価方法として、その映画のレベルに見合ったアイドルの名前を書いております。

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