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『スプライス』は正しい保健体育の教則映画だよ。

スプライス

 今週の『天装戦隊ゴセイジャー』は、ゴセイナイトがダークゴセイナイトとなってゴセイジャーの前に立ちはだかる話。で、それに立ち向かうのはハイド。なんかこの二人別に因縁などなかったような気がするのですが。前回もそうでしたが、最終回前に各キャラクターが主人公のエピソードをやるのが、お約束だからと、とって付けたように感じます。まぁ来週はアラタとゴセイナイトの対決っぽいので楽しみです。
 で、「とって付けた」で思い出したのが「とって付けた」だけで構成された劇場版『天装戦隊ゴセイジャー エピック ON THE ムービー』。まる一年間、ずーっとこんな感じでしたね。まぁこんな番組ですが終わりが近づくと寂しいな。

 で、ゴセイジャーたちが先週のヘッダーと今週のヘッダーを倒したことが、実はブラジラ様の恐ろしい計画であり、あと一体ヘッダーを倒してもらうことで、ブラジラ様の計画は完成するのだ!ということを、まだ一体ヘッダーが残っているのに、わざわざゴセイジャーに教えてあげる、まるで天使のように優しいブラ様の衝撃的なうかつっぷりで来週に続く。

 あと望くんが第1話のころと比べるとずいぶん大きくなったなーって。声変わり始めているし。


 今回はそんな成長の早い望くんもそろそろ学校で教えてもらっているところだろうか、命の誕生の神秘を描いたモンスター映画『スプライス』の感想。

 観に行った映画館は新宿バルト9ビデオスルーになるところを救済してくれたそうな。さすが。しかし前売り券もなければパンフレットもない、割引はシネマチネのみ。てなわけで、珍しく定価1800円で見て参りました。
 客層はほぼ男性、友人同士みたいな人たちも多かったですが、ほぼ一人客。好き者だらけ。公開間もない日に行ったのですがあまり混んでいませんでした。


概要:監督・脚本は『CUBE』『NOTHING』のビンチェンゾ・ナタリ。撮影は『ミックマック』などフランスで活躍するテツオ・ナガタ、製作総指揮に我らがギレルモ・デル・トロ。
 科学者夫婦のクライヴ(エイドリアン・ブロディ)とエルサ(サラ・ポーリー)は、人間と動物のDNAを掛け合わせて未知の生命体を創り出す禁断の実験に魅せられてしまい、やがて現実にひとつの生命が誕生してしまう。2人はその生き物を“ドレン”(デルフィーヌ・シャネアック)と名付け、極秘に育て始める。ドレンは驚くべき速さで成長し、二人の科学者も次第に心境が変化していくが…。



 えーと、他の人の感想とかネットで見ると散々叩かれていますが、結論から言います、僕これ大好きです。
 『告白』なんぞ笑ってしまうほどに、『イレイザーヘッド』レベルで神経を逆撫でしてくる悪趣味きわまりない映画ですが、大好きです

 タイトルの"splice"とは"結合"という意味。
 そんなわけで本作は様々な「結合」が描かれる。細胞と細胞の結合、セックスとしての結合、中盤と終盤で描かれる男と男の「刺し合い」も結合だし(子孫繁栄のための殺し合いと取れば「結合」のための「結合」だ)、人が他者の側にいたいという気持ちも「個」の結合だ。

 本作はそんな「結合したい」という、生物の本来的で切実でちょっとグロテスクな欲求の物語である。


 まず、本作のアイコンともなっているクリーチャー・ドレンの容姿について考えてみたい。
 その容姿は醜いというよりも、生理的に嫌悪をしめすデザインである。
 ライムスター宇多丸氏は「不憫」と形容していたが、それは誕生直後は男性器と精子を、成長後は男性器と女性器と毛のないネズミを彷彿とさせるデザインとなっている。彼女は確かにグロテスクであるが、一方でどこか触れてはならないような無垢なる神聖さを備えている。(ドレンの元となったジンジャーとフレッドも性器的である)
 ネズミとは「子」と書くように、「子供」や「出産」の象徴であり、性器に関しても、子宝に恵まれるようにとの生殖器崇拝というものは世界的なものである。ぼくがドレンの容姿に嫌悪と共にどこか神々しさを感じてしまったのも、生命の根源たるデザインに畏れを抱いてしまったからではないだろうか。

 そして、グレンのデザインをはじめとする、様々要素、例えば本作の悪夢的な演出(途中、ジンジャーとフレッドのあのシーンとか、あまりに突飛で夢かと思うシーンがいくつかあった)は、まるでフロイトのごとく、「生物の本質」を暴いていく。神に対する畏怖や、性欲、他者への憎しみなど。
 オープニングで、性器が性欲を持ったような姿をした新生物ジンジャーとフレッドは、誕生の瞬間互いをみつけて、グロテスクに交わり出す。しかしそれを心底嫌悪を抱いてグロテスクであると感じてしまうのは、それが意識せずとも子孫繁栄の為「性」に向かってグロテスクな行ないをする我々生物の装飾無しの本質の姿であるからではないだろうか?


 クライヴは新たな生命を造り出そうとする妻エルサに「倫理感の問題」を問う。人は人を作り出していいのか、神と並んで良いのか、と。エルサは「これで救える命がある」という倫理を盾にその実験を進めるが、産まれたのは、人間の子どころではない、美しさと醜さ、無垢さと邪悪さを兼ね備えた神のような存在であった。
 クライヴは誕生したドレンに背徳感と嫌悪感を感じるが、エルサはそれ以上の、そのような倫理感など吹き飛ばすほどの「生物の本質」を感じる。

 エルサはなぜ「実験」したのか。彼女は母親による虐待(だと推測される)の経験から、「親子」という関係に警戒心を抱いているということが後々判明するが、それ故に彼女は子供を欲しようとは、表面上、しない。
 そして彼女は「実験」をする。それは科学や医学の発展のための実験ではなく、人が人を作り出すことの、母親にとって思い通りにいく子供を作り出すことの「実験」であった。
 倫理感など吹き飛ばすほどの「生物の本質」とは「人(母)が人(子)と共にいたい」という本来的な「結合」への欲求ではないだろうか。

 誰しも「孤独」は嫌いだ。「寂しさ」は何より恐ろしい。人はみな孤独だから、それでもなんとか繋がっていたいと努力する。
 『玄牝 -げんぴん-』の吉村医師は「死」という孤独におびえ、全生命体の一体化をとなえていた。
 また、おしどり夫婦に見えたクレイヴとエルサは実はとても孤独を感じており、それゆえグレンを作り出し、彼女を可愛がった。
 「孤独」と言えば、なにより、産まれた時から一人ひっそりと実験室に、そして納屋に閉じ込められていたグレンは、一人のとき何を考えていたのだろうか。中盤彼女は何故そこまで「愛している」という言葉に喜び、終盤彼女はどうしてある「変身」をとげたのか?
 
 その容姿故、また出自故に圧倒的に孤独なグレン。グレンもまた必死に「寂しさ」を恐れ、「結合」を欲していたのだ。
 ものを言わない彼女の絶壁的なまでなその孤独を考えると、あのグロテスクで神々しく恐ろしい生き物に、哀愁と、胸を締め付けてくるような切なさをおぼえてくる。

 結末、「子を創る」という女性の本質的なたくましさと強さに、そしてそれゆえの「孤独」な覚悟に震えがきた。人は、全生物は、どんな目にあおうとも、例え世界中を敵に回そうとも一人っきりの寂しさは絶対に嫌なのだ。


 以上、本作は生き物の本来的な「孤独」への恐怖と、それ故の「結合」への欲求をドラマチックに、涙も笑いも恐怖も織り混ぜながら描いた、本質的な愛の物語であると思う。


 他に良かった点は、次第に家族になっていくクレイヴとエルサとグレンの間に起きた、父親と娘の関係を飛び越えまくった、映画史上最大級の気まずいシーン。そのあとズボンをはきながら裸で雪の上を走るエイドリアン・ブロディは『ジャーロ』並の珍演で素晴らしかったです。

 あと往年の怪奇モンスター映画を彷彿とさせるシーンの数々とか。(沼!)

 不満点は、やはりグレイヴとドレンの関係にもう少しだけ説得力が欲しかったところとか。
 ネットなどで言われている、わざとくさい伏線やアホっぽい主人公の行動は、むしろ狙ってやっているように思えました。こういう点も神経を逆なでするような悪趣味っぷりがすごく出ているような。


 正直ヴィンチェンゾ・ナタリは『CUBE』含め一発ネタ監督としか思っていなくそこまで好きではありませんでした。しかしながら、ぼくの好きな怪奇色が強く、エイドリアン・ブロディ出ているし、「人の本質を暴く」という昨年度1位の『渇き』にも似たテーマ性、そしてなによりあのドレンのデザインが素晴らしかったです。
 まぁかなり人を選ぶ作品だとは思いますので、胸を張っておすすめはいたしませんが。

 堀北真希レベル。

 次回はリクエストを受けて観に行きましたシリーズ第4弾。『最後の忠臣蔵』の感想です。

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  1. 2011/01/20(木) 00:35:38|
  2. 映画サ行
  3. | トラックバック:6
  4. | コメント:0
<<『最後の忠臣蔵』は吉良上野介のこともちょっとは考えてあげてほしいよ。 | ホーム | 『アンストッパブル』とかじゃなくバーガーキングがサイコーだよ。>>

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