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『THE JOYUREI -女優霊-』を撮った意味がわからないよ。

女優霊
 ちょいちょい忙しく、感想書いていない映画がたまりまくっています。
 まだ今週のスーパーヒーロータイム観ていないよ。

 そんな中、こんなしょーもない映画は観ている暇があった、ええリメイクいつの間にしていたの? でおなじみ『THE JOYUREI -女優霊-』の感想。

 観に行った映画館は俺たちのシアターN渋谷。オリジナル版『女優霊』と2本立てで1500円と大変おとくで気の利いた興行をされております。今年もよろしくお願いいたします。
 客層は5~6人のスキモノ達。おじさんの一人客ばかりでした。オリジナル版にはこの手のJホラーにつきものの怖がりたがりの若者が何組がいたのですが(あまりの恐怖におしゃべり止めてあんぐりしていました)、こちらのリメイク版で帰ってしまっていました。若人よ、それも懸命だ。


概要:95年の中田秀夫による『女優霊』を英語リメイク。ハリウッドリメイクとは言っても監督は『メイド・イン・ホンコン』『ドリアン ドリアン』のフルーツ・チャン。
 映画監督のマーカス(レシャード・ストリック)は、突如襲い来る幻覚に悩まされながらも、それを映画作りのヒントにしていた。そんなマーカスに人生最後のチャンスとも言える新作のオファーが舞い込んで来た。幻覚や恋人の病態で悩んでいた彼はスランプに陥っており、今回の監督オファーは映画界のメインストリームに返り咲く為にも失敗できない大チャンスなのだ。早速、マーカスはスタッフと共に撮影の舞台であるドラキュラを生んだトランシルバニア高原に飛び、古びた撮影スタジオに乗り込んだ。しかし撮影が始まると映るはずのない女性の人影やなぞの機材故障に悩まされることに。この小さなトラブルは日増しに多くなっていき…。
("goo 映画"より抜粋)


 今回はいちいち不満点をあげていったらキリがないし、感想書くなら同じオリジナル版『女優霊』の感想を書いた方がずっと生産的だし、あまりにどうでもいい映画だったため観たそばからどんどん内容を忘れていってたりして、そんな諸々の理由からいつもとは違うアプローチで本作を考えてみたいと思います。

 そもそもこの映画を、スキモノの集うシアターN渋谷に見に行く人はある程度の映画慣れしている人が多いと思われ、その中でこれに傑作を予感して見に行く人はあまりいないであろう。怖さを期待している人すらあまりいないのではないか?

 シアターN渋谷が無かったならばビデオスルーになっていたであろう本作をわざわざ映画館で見る人が、何に期待するかと言えば、リメイク大好きアメリカ人が如何にジャパニーズホラーのもはやクラシック『女優霊』を料理するか?という点ではないだろうか。
 そこんとこきちんと分かっているのであろう、両作品を見比べやすいようにシアターN渋谷はオリジナル版『女優霊』と同時上映にしている。


 フルーツ・チャンも別に悪い監督ではないとは思うのですが、2本並べて比較してどっちが優れた作品かなんて明らかであり、ここで「オリジナル版の何もしてこない幽霊がただ高笑いしているのが怖かったのに…」とか「なんで神に救われてるんだよ!」みたいなツッコミを素直に真面目に入れてたら、ただでさえこのブログに時間取られているのに、いつまでたっても歯も磨けやしないし、お風呂にだって入れやしない。

 で、今回はこの二作品を比較することで見えてきた、大きな不満点だけ書きたいと思います。

 総じて今回はその死や恐怖のスケールがあまりにショボいことについて書こうかなと。

 両者を比べて気になった最も顕著な違いは、前述したようにオリジナル版はただそこにいるだけの高笑いする白い女の存在が怖かったことに対し、リメイク版の幽霊が与える恐怖はやたら攻撃的でありハエを使ってグロテスクに殺していく
 この違いに関して、オリジナル版は「心理的」、リメイク版は「物理的」な恐怖を描いていると推測できる。
 もちろんこれはよく言われていたことで、日本とアメリカのホラーを見比べたら、前者、例えばお岩さんやお菊さん、定子に代表されるようなホラースターたちはその存在がそこにいるだけで登場人物は死にいたり(「呪い」による死)、後者、例えば狼男やドラキュラ、ジェイソンはその存在が直接暴力をふるうことで登場人物は死にいたるといったケースが多い。直接暴力をふるわれることはなくとも『オーメン』のように、なんらかのオカルティックな力によっての殺人だとしても、その力によって首を切られたり、高所から突き落とされたりと、結果的には物理的な殺され方をする。
 この相違はちょっと面白く、ハリウッド的な「直接の暴力による死」というのは「個人の肉体的な死」でありそれ以上ではないが、「その存在に出会うだけでいたる死」というのは「個人の死」以上の「死」を描いている。例えばそれはその者の関係者の死であったり、肉体だけではない魂の部分にまで干渉してくる「死」であったり。
 例えばリメイク版で、女優霊にハエを使役されたりして殺された幾人もの映画製作スタッフたちは死んだあと化けて出たりはしない。しかしオリジナル版の中盤で落下して死んだ子役の少女は終盤幽霊(?)と化して再登場し残されたものを引っ張ろうとするし、最後に女優霊に引きずられていった柳ユーレイの魂が真っ当な成仏を得たとはどうしても思えない。

 またオリジナル版の女優霊は正義とか悪とかそういう認識を超越した絶対的な呪いの主体として存在し、それが取り返しのつかない恐怖を生み出しているが、リメイク版は単なる悪霊であり、「正義」的なものと対立構造になっている。
 リメイク版の結末の、どうも拍子抜けしてしまう、スティーヴン・キング的な「聖人」の登場と彼女による突然の解決はやはり描かれる「死」に対する恐怖のスケールの小ささを物語っている。

 例えば多くのいにしえからのモンスターホラーやスプラッタホラー、当ブログで扱ったところでいうと『ハロウィン2』なんかだと、その軽くスケールの小さい死も一つの味というかもはやユーモアにすら転化されていて、これはとても好きなのですが、こと『女優霊』の名を冠した作品におけるこの軽い死はただただチープなだけで何の面白味もない。


 で、この「スケールがショボい」というのは、それぞれの作品が描く「恐怖の認識」にも通じる。

 オリジナル版は、その恐怖を「人間っぽいが人間ではない何か」を描くことで表現していた。例えば冒頭の紙人形(「人」の「形」ってなんて恐ろしい言葉だろう)、人形めいた幽霊の顔、人間とは違う筋肉を使っているかのような顔全体で笑う女優霊。そして「偽物を作る」といういささか背徳めいた映画製作という行為。
 オリジナル版は「映画」を作ったり見たりする行為全体を背徳的で恐ろしいものとして感じさせるパワーがあった。
 そういったメタ的な「映画」に対する言及は、リメイク版にはもちろん無い。
 リメイク版ではただ、昔にあった一本の映画を見ることそれだけが恐怖であり、映画という行為全体に対する言及などは無い、というか製作者にそのような志や恐怖に対する偏愛など感じられない。
 やはろ描こうとしているもののスケールが小さいのだ。


 以上、文句を言えば死ぬほど書けますが、2作品を並べてしまったことで、そんな意気すらわかなくなるほどの映画でした。一言で言うと、『女優霊』を語るにはあまりに志が低すぎるし、スケールが小さすぎるということ。

 良かった点は、現実にあった惨劇、それをフィクション化した映画、そしてそれのリメイク作品がそれぞれ同じような呪いにかかるという多重構造的な展開が面白かったです。
 あとクルー全体が呪いによって暴徒になって殺しあっていくという設定も良かったです。そこもっと緊迫感と迫力もって描けたら良かったのに。

 他にはチャップリンの娘はあんなんでいいのかとか、エンドクレジットのエレクトロニカの台無しにするようなものもない本作を台無しに出来るような安っぽさはすげえとか。あとイーライ・ロス、出演しないでいいから、お前の出番だろ、とか。

 せめてダメでいい加減な映画なら、開き直って『ジャーロ』のごときユーモアを入れる大人の余裕があったら良かったなって。

 当ブログで扱ってきた映画の中でもトップクラスで見る意味はあまりない映画ですが、新興のホラー表現というだけで軽く見られがちなジャパニーズホラーの中でも最高峰の『女優霊』という映画の素晴らしさを確認するという意味は、見てもいいかもしれません。2作品を見比べるという体験としてはオススメ。
 これ、単品で観たら、比較することが出来ない分もう少しは面白く感じられると思います。

 まゆゆbot(みんなもtwitterでフォローしよう!)レベル。

 次回は話題作じゃないか!『ソーシャル・ネットワーク』の感想。
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テーマ:映画館で観た映画 - ジャンル:映画

  1. 2011/01/27(木) 14:21:47|
  2. 映画サ行
  3. | トラックバック:1
  4. | コメント:0
<<『ソーシャル・ネットワーク』は模型みたいな映画だよ。 | ホーム | 『最後の忠臣蔵』は吉良上野介のこともちょっとは考えてあげてほしいよ。>>

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THE JOYUREI 女優霊

「リング」の中田秀夫監督のデビュー作「女優霊」を「メイド・イン・ ホンコン」「ドリアン ドリアン」のフルーツ・チャン監督で英語リメイク。 撮影スタジオを舞台に、古い映画のフィルムに宿る悪霊によって現場 スタッフに次々と悲劇が降りかかるさまを描く。  ??…
  1. 2011/03/15(火) 01:12:19 |
  2. だらだら無気力ブログ

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