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『デッドクリフ』は登らなくても別にいい山だよ。

デッドクリフ

 今回はこんな映画観ているからお金がなくなるんだよ、『デッドクリフ』の感想。
 本当は『エリックを探して』という映画を見に有楽町に行ったのですが、ケン・ローチという人はどうも僕とソリがあわないらしく、スケジュールがどうしても合わず、仕方なく近くでやっていた見る予定も無かったこちらを見てみました。

 観に行った映画館は銀座シネパトス。この映画館の独特な雰囲気はいいですよね。立ち食い蕎麦屋とか上の古いレコード屋さんとか。前方でないとスクリーンが小さくて見えないけれど、あまり前すぎてスクリーンに空いている無数の音が出る穴が見えてしまうところとか、電車の音が場内にも響く感じとかすら憎めない。
 客数は数人程度でしたが、レディースデイで女性の一人客が多めでした。


概要:監督はアベル・フェリーという新人。
 クロアチアの大自然の中にやってきた男女5人の若者たち。目指す山に向かうと、そこには“立入り禁止”の看板が。しかし一行はそれを無視して崖を登り始める。やがて、古びた吊り橋を渡り始めるが、メンバーの一人が高所恐怖症でパニックを起こし、吊り橋が崩壊してしまう。辛くも全員助かったものの、退路を失った彼らは、山から出るために危険な絶壁を登らなければならなくなってしまうのだったが…。
"allcinema online"より抜粋)


 基本的に「山」を扱った映画って好きで、去年8位に選ばれた『アイガー北壁』が山映画ではたぶん人生トップクラスに好きですが、あの作品は、山の持つ力強さ、恐ろしさ、そして神聖さと、それに立ち向かう男たちのエディプス・コンプレックスじみた戦いをサディスティックなまでに描いていたと思うんです。そこがとても好きだった。

 で、今回この映画、誰が見ても明らかなようにチラシや予告編どころか『ぴあ』の数行の映画紹介文の時点で『アイガー北壁』とは毛並みの異なる駄菓子映画だってことは一目瞭然であって、別にそこまで強い期待はしちゃおりませんでした。まあ『プレデターズ』程度に楽しめればいいやって。
 しかしながらこの映画、『ぴあ』の紹介文を読んで感じたこと以上のことは一切起きず、想定内のスリルとパニックと、想定内の不満があるだけの、まるであまたの低予算駄菓子映画をルーチンワーク的に繰り返したかのような作品でございました。

 あまり好きな言い方ではありませんが、いわゆるB級映画の傑作、『第9地区』とか『スプライス』とかにある、意外な展開とか、噛みくだくと意外に深いテーマ性とかそういうものは無く、いいところもなくはないのだが、暇つぶしのi-phoneアプリのミニゲームみたいなすごく淡白な快感しかない映画になっていました。


 なぜそんな作品になってしまったかというと、まぁ単純に作り手の志が低いから、ツメが甘いからなのだろうけれど、そこら辺の不満を以下に羅列してみます。
 まずね、いくらなんでも登場人物達がロッククライミングなめすぎ。経験者っぽい二人はまあいいとして他の奴らの格好Tシャツとジーパンとスニーカーだもの。そりゃこの山に「何か」がいなくてもヤバい状況になるっつーの。

 で、最も不満だったのは、序版の『クリフハンガー』的な吊り橋シーンなどに代表される「高所の恐怖」=「山の持つ恐怖」という点と、中盤以降の「殺人鬼アントンの恐怖」というのがまるで関連していないこと。例えるならば『エイリアン』の設定にて、そこで展開されるストーリーが『男はつらいよ』であるような(自分で書いていてなんですが、それはそれでなんか面白そうな気がしてしまいますね)、同じ「面白さ」でも「面白さ」の矛先が違うのだ。それが関連性なく続けて起こる。
 それは先日の『バーレスク』の、3つの「頑張れ女の子エピソード」がまるでバラバラの方向性を向いているため、話があっちいったりこっちいったりでグズついて見えちゃうって感覚にすごく近い。

 あともう一点、山に対する恐怖がまるで感じられない。確かにスリルはあるのだが、それはあくまで「高所」に対するスリル。それは「山」ではない。つまり本作が「山」を舞台にする意味がいまいち感じられないのだ。
 登場人物に軽装させるのも、後半は恐怖の種類がまるで変わってしまうのもすべて本作が「山」など描く気がさらさらないことを裏付けている。

 例えば上記3つの不満点は、「山」の持つ神々しいまでの恐ろしさ(それは「高所」でも「自然災害」でもいい)を前半で描き、その恐怖に気がふれてしまった男が人を襲いまくるみたいな展開にしたら解消できて、この映画もある程度意味がある映画になっただろうに。


 にしても、本作前半のサディスティックな「高所」の描写は本当にビビる。特に本作の最大の山場、吊り橋のシーン。途中で岩壁にうつる自分の不安定な巨大な影とかすげえ怖かった。
 他は低予算な感じでしたが、吊り橋のシーンはちゃんと金かけて撮ったんだなって。それは正しい金の使い方だと思います。

 意味のない映画なら意味のない映画らしく、最後まで前半のような高所への恐怖描写をとことんエスカレートさせていってくれたらむしろ傑作になれたのに…残念。

 あと足引っ張りまくりのヘタレ彼氏ルイック(ジョアン・リベロー)が最愛の彼女クロエ(ファニー・ヴァレット)を置いて逃げてしまうところとか、しかし帰ってきて大活躍するところとか、分かってくれている感じで良かったです。さすがフランス映画というべきか、こんないい加減な映画にしては不思議なほど人間描写はけっこうしっかりしている

 あとクロエ役のファニー・ヴァレットさんが美人だったのも評価ポイント。おっぱいでかかかった。彼女が幾多の死を経験して「死」と対面する恐怖を克服するという物語の縦軸が一応あって、これをもっと全面に押し出してちぐはぐな前後編のテーマ性を一貫させてくれたら良かったのに(もしくはそれをやろうとして失敗してる?)

 などなど、見れる部分がきちんとある分、見れない映画では決してありません。あの映画あの映画みたいに、見ていてむなしい気分にさせられることはない。
 しかし二部構成で恐怖の対象を切り換えるという、高度な技量を要する構成をするのであれば、ストーリーがどうしても弱すぎだと思う。せめて前半と後半とに一貫したテーマ性があればなあ。なんとも惜しい映画。


 以上、本作はいい素材はそろっているものの、料理人がいないので料理が出来ず、とりあえず素材のままどんどーんとテーブルの上に置いたかのような淡白な味しかしない作品でした。

 マリエレベル。

 次回は、『ソーシャル・ネットワーク』じゃ生温いぜ、リア充たちをブヒブヒ鳴かせろ!でおなじみの『完全なる報復』の感想です。
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テーマ:映画館で観た映画 - ジャンル:映画

  1. 2011/01/29(土) 23:38:25|
  2. 映画タ行
  3. | トラックバック:2
  4. | コメント:2
<<『完全なる報復』は中年A(中学生っぽい大人)の凶行だよ。 | ホーム | 『ソーシャル・ネットワーク』は模型みたいな映画だよ。>>

コメント

・・・マリエ好きなのに。

監督が撮影前日『フロム・ダスク・ディル・ドーン』を観て勘違いしちゃったような映画でしたね。
  1. 2011/07/10(日) 00:09:00 |
  2. URL |
  3. ふじき78 #rOBHfPzg
  4. [ 編集 ]

>ふじきさま

 こんばんは。確かに『フロム~』と同様、二部構成ですね。あの二部構成はどうして上手くいっているのだろうか?
 見返したくなってきた!
  1. 2011/07/11(月) 00:58:29 |
  2. URL |
  3. かろプッチ #-
  4. [ 編集 ]

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VERTIGE/09年/仏/87分/サバイバル・ホラー/R15+/劇場公開 監督:アベル・フェリー 出演:ファニー・ヴァレット、ジョアン・リベロー、ラファエル・ラングレ、ニコラ・ジロー、モード・ワイラー <ストーリー> 登山をするためクロアチアの大自然の中にやって来...
  1. 2011/07/02(土) 17:48:30 |
  2. 銀幕大帝α

『ゲーム・オブ・デス』『デッドクリフ』を新橋文化で観て、世の中やはり面白い映画ばかりじゃないなと思う男ふじき☆,☆☆

◆『ゲーム・オブ・デス』 五つ星評価で【☆掛け値なしにつまらない。寝不足解消にもってこい】 ウェズリー・スナイプスが裏切った仲間を敵に回して 一人で最後まで正義を貫き ...
  1. 2011/07/10(日) 00:12:55 |
  2. ふじき78の死屍累々映画日記

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