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『やぎの冒険』は中学生の撮る映画じゃないよ。

やぎの冒険

 リクエストを受けて行って参りましたシリーズ第6弾。
 今回は以前からリクエストを受けていた14歳が監督したことで話題の『やぎの冒険』の感想。

 観に行った映画館は池袋テアトルダイヤ
 客層は若い人が多め。女性が多かったです。客数は、映画の日だったのですが、公開されてしばらく経ったというのもあり、そこまでいませんでした。


概要:監督は14歳の仲村颯悟。これがデビュー作。スタッフは沖縄のちゃんと大人の映画制作者たちが固めている。主題歌はCCOCO。
 小学6年生の裕人(上原宗司)は那覇の街っ子。冬休みを母(城間やよい)の田舎の今帰仁村で過ごそうと、ひとりバスに乗り沖縄本島北部へやってきた。赤瓦のウチナー家に住むのは、やさしいオバア(吉田妙子)とオジイ(平良進)、粗野な裕志おじさん(仲座健太)、同い年のいとこ琉也(儀間盛真)、2匹の子やぎポチとシロ。ヤンバル育ちの少年たちと自然の中で楽しいときを過ごす裕人。ある日、2匹の子やぎのうちポチがいなくなっているのに気づく。しかし、裕人が目にしたのは地元の人たちに「つぶされる」ポチの姿だった。ショックを受けた裕人を尻目に、今度はシロを売ろうとする裕志おじさん。そのとき、シロが逃げた!
("goo映画"より抜粋)


 子供の頃はアリやらダンゴムシやら意味なく殺していたなあなんて思うけど、大人になって直接生き物を殺生することなどめったになくなった。蚊とかゴキブリとかハエは殺しているけど。
 しかしながら「生きる」という事は他の生き物を殺しているということで、まあよく言われることだけど、生き物の命を奪って生きているって事を意識させないで食を供給して、それでいて動物を過剰に愛でているこの世の中は狂っていると言えば狂っている。考えてみたら不気味な世界だ。この映画は命の形をしたものを食べるという行為を描くことで、欺瞞に満ちあふれた現代の食文化の不気味さを表現していると思う。

 『アバター』『DOCUMENTARY of AKB48 to be continued 10年後、少女たちは今の自分に何を思うのだろう?』では「食」が、今ここに生きている事を表現する際のキービジュアルだったし、また『ヱヴァンゲリヲン:破』では命を食べることで「生命」を感じることができたし、その事をストレートに題材として扱った『豚がいた教室』なんて映画もあったように、「命を食べて生きる」という欺瞞なしの「食」に対する態度を見直す動きは近年相当に多い。

 主人公は那覇からきた小学生裕人。彼は田舎の、大切に育てたヤギを食べるという感覚がまるで理解できない。「動物=可愛がるもの=食べるもの」の図式が彼の中にはないのである。
 彼は可愛い可愛い子ヤギのポチをはじめとする生き物たちの命を食べて生きていることを知ったとき、それまでの世界にゾッとする。何気なくおじさんが魚をおろすのを見学して、何気なくエビを捕まえて水槽の中に入れて、そういえば朝は、何気なくバスの中で加工されまくって命の面影もないようなコンビニのパンを食べていた。しかしそれは全て誰かの「命」だったのだ。
 その「残酷さ」にクラついた主人公は何も食べられなくなる。

 食鯨文化や食犬文化に吐き気を催す人がいたり、カエルの丸焼きやスズメの串焼きを食べるのを躊躇する人が多いように、生命まるだしの食べ物に現代人は慣れていない。形を変え色を変え臭いを変え、生き物であったことを抹消した上ではじめて我々の口に運ばれているのだ。

 終盤、仕方なく食べた川エビの不味さに「魂の重み」を感じ、野犬に囲まれることで自分も川エビなど他の生物と同様に食べられるレベルの存在なのだと気が付いたシーンが白眉。
 捕食者としての加害意識だけではない、我々だって食物連鎖に組み込まれた「生物」なのだ。

 以上、ゾンビ映画でなくても世界は喰って喰われての世界。本作は、我々はゾッとするようなバトルロイヤルの世界の中でこそ生きられるのだという本来的な暴力性に満ちあふれている現実に気づかさせてくれる。


 で、見ている間忘れていたが、この映画の監督は14歳なのだ。「14歳が考えたような映画」というと『完全なる報復』やら『シュアリー・サムデイ』やら『劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-』やら当ブログでもやたらと扱ったが、実際に14歳が監督した映画となるとはじめてである。

 以前取り扱った、102歳のマノエル・デ・オリヴェイラ監督が撮った『ブロンド少女は過激に美しく』はとても102歳らしい映画だったけれど、果たしてこの作品に14歳らしさはあるのだろうか。
 例えばビジュアルセンス、映画のスクリーンの大きさをきちんと意識したショットの上手さとか、もしくは例えばオフビートなギャグのタイミングの良さ(議員候補者のぎまさんや、太っちょの男の子の「バイバイ!」やら)など見るに、これは14歳のセンスなのだろうかと疑ってしまう。14歳は『BLEACH』読んで「オシャレでかっこよくて深い作品だ!」とか言ってるんじゃないのか?
 クールな高校生が「新世界の神になる!」とか「さあ宴の始まりだ!」とか「イッツァショーターイム!!」とか言って人を殺しまくるのがかっこいいと思う年齢なんじゃないのか?

 こんな37歳くらいのセンスを持った14歳って…。まあ大人の助けがたくさんあるとは思いますが、映画というものをかなり心得ている。今後どう成長するのか(主題歌を歌うCOCCOは「今後どうグレるのか楽しみです」と言っていました)楽しみです。


 不満点は、人は他の命を食べて生きてるんだぜ、残酷な世界に生きているんだぜ以上の事が描かれなかった点。そこまでだったら前述のように他の映画でも語られていたし、その点に関して別に目新しさは感じない点。その更に上を行く何かが欲しかった。そこら辺「14歳」の感性の腕の見せ所なんじゃないのって。

 基本的に14歳らしさがあまりないので14歳が撮った映画と言われてもその点においての面白さは、ある種の瑞々しさが感じられるくらいしかありません。
 が、単純に面白い映画ではありました。別に14歳であることを主張せずとも正当な評価を受けられる作品だと思います。

 篠原涼子レベル。

 次回は、またリクエストを受けて観に行ったシリーズです。第7弾かしら『リセット』の感想。消えなければ書きます。
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テーマ:映画館で観た映画 - ジャンル:映画

  1. 2011/02/11(金) 13:24:19|
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