かろうじてインターネット

「少年ジャンプ」と水木しげると映画とおもちゃと特撮を愛します。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

『リセット』は一筋の希望があるよ。

リセット

 今回は『リセット』の感想。前回の『やぎの冒険』に続きリクエストを受けて観に行って参りました。第7弾。

 観に行った映画館はシアターN渋谷。公開2日目でしたが、客数はそこまで。一人客の中年男性が多めでした。


概要:監督は『マシニスト』『ワンダーランド駅で』のブラッド・アンダーソン。
 ミシガン州デトロイト。その夜、停電が発生。この直後、映写技師のポール(ジョン・レグイザモ)、理学療法士のローズマリー(ダンディ・ニュートン)、そしてTVレポーターのルーク(ヘイデン・クリステンセン)はそれぞれ停電時に居合わせた場所で、周りの人間が服や靴だけを残し謎の消失を遂げるという共通した異様な光景を目の当たりにする。それから72時間経っても電気が一向に復旧せず、日照時間は激減。街が暗闇に覆われる中、ルークは非常用発電機で光を灯す一軒のバーに辿り着く。そこには外に出たまま戻ってこない母親を待つ少年ジェームス(ジェイコブ・ラティモア)がいた。ほどなくして、赤ん坊が家から消えたと言うローズマリーもこの店にやって来る。また店の外では、闇から現れた何かに襲われたというポールが頭から血を流し、怯えながらうずくまっていた。こうして集まった4人は、闇が襲い来る未曾有の恐怖と戦いながら事態の謎を解き明かそうともがき続けるが…。
"allcinema online"より抜粋)


 全人類が理解不能の怪異に襲われて滅んでいくといった物語は黒沢清の『回路』なんかを彷彿とさせる。闇に襲われる恐怖表現は確かにジャパニーズホラーの影響を受けているのではないかといった恐ろしさがある。大写しで無人の街を「闇」がうわっと襲うシーンや終盤の教会シーンの今まで意思を感じられなかった「闇」が急に意思をもったように叫び声をあげるところなどちょっとブルッとした。
 今回はそんな「闇」と「恐怖」について


 なぜ人は「死」が恐ろしいのかと考えたとき、ちょっと電波がかった話に聞こえるかもしれないが、自身内の「宇宙」がなくなるのが恐ろしいのではないかと。
 人の外に無限に広がる宇宙があるように、人の内にも無限なる「宇宙」がある。で、外の宇宙から見れば個人なんてゴミくず以下の存在でその存在は無に等しい。一方で内の「宇宙」は個人のものだから、その「個人」の存在がそのもの全てである。「死」というのは人がその「内なる宇宙」を喪失し、人でなくモノとなること、「無」になり外なる宇宙に飲み込まれることである。
 そして外なる宇宙は真っ暗闇だ。「闇」はその存在すべてを覆い見えなくする。闇に飲み込まれることは個の存在の危機と言えよう、

 本作で「闇」に飲み込まれようとするとき、皆が口を揃えて「私は存在する」というのは、そのような真っ暗闇の外の宇宙の中で「内なる宇宙」が精一杯自己主張しているからだろう。

 真っ暗闇の宇宙の中でも飲み込まれていないのが星の「光」だ。
 本作でも光を持っていれば飲み込まれなかったように、「光」(星)さえあれば「闇」(外なる宇宙)に飲み込まれないで自身を主張できる。
 だからこの映画の登場人物、もしくは全ての人は、闇(=死)を恐れ、光を好むのだと思う。


 ここまでのテーマに対する洞察や上記のようなジャパニーズホラー的な映像表現はとても楽しい映画でした。

 が、得体の知れない「闇の恐怖」を描くのであればもっと絶望的であって欲しかったと思う。それこそ『回路』のごとく生きる意思を喪失させたり気を狂わせたりするレベルで。
 例えば、あのような窮地におちいったら、誰かしら事件の真相を解明してやろうって登場人物がいるのが筋だし、観客だって原因が明かされないことはうすうす気がつきながらも論理的な結論を求めてはいる。
 しかし本作は誰も真相の追求をしないのである。なので観客の興味を持続させるエネルギーがちょっと弱いし、恐怖のテンションが平坦になってしまい、観客もその恐怖に慣れてしまう。

 ここは、例えば、この提案が面白いかどうかは別として、真相解明に尽くした結果、実は宇宙人の侵略だったとか、あの世にいた死者たちが溢れかえったとかそんな理由づけをとりあえずしたり、もしくは事件の解決方法をとりあえず提示して観客や登場人物を安心させる、しかしそんなちょこざいな理など嘲笑うかのように登場人物の全ての努力を無駄にする「闇」の恐怖がどーんと来る。とか、そういう展開があればどうしようもない「闇」の恐怖をもっと描けたのになって思います。
 まあその点に関して、すごく意味ありげに出てきた「非常用通路」がまるで意味がなかったというあの微かな望みも絶たれたというシーンにある程度表現されていましたが。


 あと良かった点としては映像がとても好き。本作のキービジュアルにもなっている無人の静かすぎる都市に静かに墜落する旅客機とか、最後の馬に乗る往年の西部劇みたいなショットとか、センスがいい。

 あとヘイデン・クリステンセンなのにルークなんだ、とか。
 と、思ったら、赤ん坊を失ったダンディ・ニュートン演ずるローズマリーは『ローズマリーの赤ちゃん』から来ているっぽいし、冒頭の映写技師ポールの「映画」に対するメタ的な視点といい、そういう映画パロディ的な遊びは意図的っぽいですね。


 以上、少しぐずぐずしてしまったところはありますが、少ない予算で人間の本来的な「闇」に対する恐怖を描くというチャレンジスピリットとか、きちんとホラーしているところとか、そういう点でなかなか好感もてる作品でもありました。
 まぁはっきりした分かりやすい映画ではないし、下手な部分もあって、あまり人気は出そうにありませんが、個人的には嫌いじゃありません。

 しょこたんレベル。

 次回は老人版『エクスペンダブルズ』になり得るか、『RED』の感想でございます。

回路 デラックス版 [DVD]回路 デラックス版 [DVD]
(2001/08/24)
加藤晴彦、麻生久美子 他

商品詳細を見る
スポンサーサイト

テーマ:映画館で観た映画 - ジャンル:映画

  1. 2011/02/11(金) 18:59:12|
  2. 映画ラ行
  3. | トラックバック:8
  4. | コメント:0
<<『RED/レッド』はゴージャスでクレイジーでシニアな彼女にメロメロだよ。 | ホーム | 『やぎの冒険』は中学生の撮る映画じゃないよ。>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://karoujite.blog104.fc2.com/tb.php/218-c3e8bc8f
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

リセット~映画館の灯を消すな

公式サイト。原題:VANISHING ON 7TH STREET。邦題は映画の台詞からの引用だが、実際には“reboost”(パソコン再起動)と言っている。ブラッド・アンダーソン監督、ヘイデン・クリステンセン、 ...
  1. 2011/02/11(金) 19:20:14 |
  2. 佐藤秀の徒然幻視録

リセット

『スター・ウォーズ』シリーズのヘイデン・クリステンセン主演のSFホラー。世界規模の停電とともに忽然と消える人間たち。主人公を含めて生き残った4人が生き延びようと必死でもがく様を描く。共演は『ロックンローラ』のタンディ・ニュートン、『ムーラン・ルージュ』...
  1. 2011/02/11(金) 21:39:10 |
  2. LOVE Cinemas 調布

リセット / VANISHING ON 7TH STREET

ランキングクリックしてね ←please click こりゃ早くも今年のワースト候補~ 「マシニスト」のブラッド・アンダーソン監督作 この監督の「マシニスト」「ワンダーランド駅で」「セッション9」もそれぞれ なかなか面白かったので、観ることに決定。 ちょうどよく上映...
  1. 2011/02/11(金) 23:28:09 |
  2. 我想一個人映画美的女人blog

映画『リセット』を観て

11-15.リセット■原題:VanishingOn7thStreet■製作年・国:2010年、アメリカ■上映時間:91分■鑑賞日:2月19日、シアターN渋谷(渋谷)■料金:1,800円スタッフ・キャスト...
  1. 2011/03/21(月) 23:20:48 |
  2. KINTYRE’SDIARY

リセット

VANISHING ON 7TH STREET/10年/米/91分/ミステリー・サスペンス/劇場公開 監督:ブラッド・アンダーソン 出演:ヘイデン・クリステンセン、タンディ・ニュートン、ジョン・レグイザモ、ジェイコブ・ラティモア <ストーリー> ある夜、世界規模の大停電と共に地...
  1. 2011/08/07(日) 15:53:42 |
  2. 銀幕大帝α

映画レビュー 「リセット」

リセット  原題:Vanishing On 7th Street 【公式サイト】  【allcinema】  【IMDb】 ある日、人々が突然姿を消し、全てを闇が覆っていく中で、生き残った4人の男女がサバイバルを続けるパニ...
  1. 2011/10/08(土) 18:29:33 |
  2. No Movie, No Life (映画・DVDレビュー)

No.280 リセット

【ストーリー】 「マシニスト」のブラッド・アンダーソン監督が、ヘイデン・クリステンセンを主演に描くSFスリラー。ある晩、突然の停電とともに地球上の人々がナゾの消失を遂げた ...
  1. 2011/11/24(木) 23:38:15 |
  2. 気ままな映画生活

【映画】リセット…タモさんがやってるアレの方が概ねコレより良質

「タモリ倶楽部」は毎週楽しく観ています。ちょっと前の潜水艦は良かった …サブタイトルのアレはその番組の事ではありませんけどね さて近況報告から… 職場で(私自身には直接関係は無い問題が)色々あって、明日から別の仕事をする事になっちゃいました。 上司から...
  1. 2012/03/05(月) 00:02:42 |
  2. ピロEK脱オタ宣言!…ただし長期計画

FC2カウンター

プロフィール

かろうじてアメリゴ・ベスプッチ

Author:かろうじてアメリゴ・ベスプッチ
 映画のこととか長々と書くブログです。
 たまに映画以外のことも書くよ。
 コメントくれたら嬉しいです。
 更新あんまりできないけれど。
 あと現代人なのでtwitterを始めました。
 chikiuso2800って名前。
 ご意見、ご感想、取り上げてほしい映画のリクエストなどございましたら、コメント欄か上記twitterIDにてお知らせください。

 なお映画の感想コーナーの最後で、実に分かりやすく画期的な映画の評価方法として、その映画のレベルに見合ったアイドルの名前を書いております。

Twitter on FC2

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

映画ア行 (36)
映画カ行 (51)
映画サ行 (35)
映画タ行 (28)
映画ナ行 (8)
映画ハ行 (40)
映画マ行 (17)
映画ヤ行 (4)
映画ラ行 (14)
映画ワ行 (1)
2010年度映画ランキング (3)
少年ジャンプ (47)
特集 (3)
謝罪 (2)
未分類 (0)

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。