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『ザ・タウン』はスウィートな犯罪映画だよ。

town

 今回は第二のクリント・イーストウッドではないかともっぱら評判のベン・アフレック監督『ザ・タウン』の感想でございます。

 観に行った映画館はTOHOシネマズ六本木ヒルズ。なんだろ話題性に反して地味だからかあんまり混んでいませんでした。客層は外国人が数人、カップルが数組。


概要:チャック・ホーガンのハメット賞受賞のミステリー『強盗こそ、われらが宿命』を主演・脚本も兼ねるベン・アフレックが映画化。
 全米屈指の強盗多発地区、ボストンのチャールズタウン。この街に生まれ育ったダグ(ベン・アフレック)は、かつては輝かしい将来を夢見ていたものの、今では父親(クリス・クーパー)と同じ道を進み、気心の知れた幼なじみたちを率いて銀行強盗を繰り返す日々。毎回周到な準備で鮮やかに仕事をやり遂げてきた彼らだったが、ある時、やむを得ず一時的に人質を取って逃走を図る。しかし、解放した女性クレア(レベッカ・ホール)が、同じ街の住人だったことから、自分たちの正体に気づかれたかもしれないと不安がよぎる。そこで探りを入れるため、偶然を装い彼女に近づくダグ。しかし、不覚にも恋に落ちてしまう。やがて、FBI捜査官フローリー(ジョン・ハム)の追及がダグへと迫る中、足を洗ってクレアと新たな人生に踏み出したいと考え始めるダグだったが…。
"allcinema online"より抜粋)


 この作品、なんだか批評家さんや他のブログなど、なかなか良好な評判ですが、結論からいって僕はこの映画があまり好きにはなれませんでした。

 理由としては2つ。
 まずストーリーテリングの手腕の問題。主に主人公の見せ方について。
 それとテーマが個人的に気にくわない

 という二点。主に前者について考えてみたいと思います。


 まず本作で描きたかった事って「いくら反省しても悪意の連鎖が罪を許してくれない、許すどころかより罪を深くしていく」という「罪は許されるのか」という事と、更にそこを深く考察すると見えてくる「人と罪の乖離」ってところだと思うのです。
 主人公タグ(ベン・アフレック)はいくら普通の生活をしようとしても環境がより深い悪事に強制的に向かわせて、20歳のころアイスホッケーチームで暴力沙汰を起こして以来絶望的な悪事スパイラルにハマっている。
 そんな彼を救えるかもしれないのがよりにもよって銀行強盗の際に誘拐した美人支店長のクレア(レベッカ・ホール)。

 いくら善なる人でも「犯罪を犯さざるを得ない環境」というものがあり、クレアですら自分を誘拐したタグと、不本意だし本人は知るところにないのだが、恋仲になっているという「罪」を犯してしまっている。
 また出ていった母を追いかけなかったという「罪」でタグに恨まれていた父親(クリス・クーパー)も実はタグを傷つけないために真相を黙っていただけの「善なる行い」がその理由にあったことが明かされる。
  エンドクレジットで「チャールズタウンは犯罪率が異常に高い町だが住む人のほとんどが善良である」と出る(そういう割とストレートなメッセージをセリフどころか文章で伝えるセンスはいかがなものかと頭を捻りますが)。「罪」を犯す者が必ずしも悪人というわけではないのだ。それは社会だったり家庭環境だったり、偶発的な要素の連鎖で「罪」を犯してしまうのだ。

 以上のように、本作はその者の意思とは異なり、犯罪を犯さざるを得なくなる環境や状況を描いて、罪を憎んで人を憎まずではないが、「罪と人との乖離」を描いているのではないかと思われる。


 で、まあ本作はそんなテーマで、似たテーマを扱った、例えば『悪人』なんかは、もっと冷やかな視線で「悪事とは善悪の概念とは関係がない単なる行為であり、倫理や社会性のレベルで罪を犯したものが悪人というわけでは必ずしもないが、一方で様々な次元において様々な行為は悪になる」というもっと掘り下げた結論であったので、比較すると少し掘り下げが浅いとは思いますが、まあその不満については後述。
 まずそのテーマなりメッセージなりを組み立てるテクニックがどうも弱い点について以下で解説したいと思います。

 まず前回の『RED/レッド』と同様の不満なのですが、主人公にギャップが少ないのでドラマチックな成長や変化のカタルシスが無い点。タグは結果「いいヤツ」と描かれるキャラクターなわけだから、最初からいいヤツに見えてしまうというのはいかがなものかと。
 「こんな罪を犯す人が、こんな善良な人なんて!」って「人と罪の乖離」のギャップを描くには、例えばまず定型通りの悪人っぽい人物を描いてそこから次第に実はいいところがあるんだよって描いていった方が効果的だと思うのですが、そういった変化はないので、善良な主人公が非道な銀行強盗やるって設定にリアリティがうまれづらいし、もちろん感情移入もしづらい。

 その点、ジェム(ジェレミー・レナー)に関しては、がむしゃらで不器用ながら、「運命に立ち向かう」っていう描写が、ギャップとして悪くはなかったと思いますが。『息もできない』のごとくジェムみたいなキャラクターがクレアと恋して変化して行くって展開なら良かったのですが。


 続いて"物語が導いた結論"について。
 タグは最後ある二人の登場人物を殺しますが、いくら彼らが極悪人とはいえやっぱり殺人は殺人、主人公は許されていいのだろうか。いくら罪と人の乖離を描いていようが社会悪なのは間違いなく、そこら辺は罰されるべきなのではないだろうか。
 あと散々人を殺して手に入れた金を「有効利用」ってなんか嫌じゃね?
 しかもそんな薄汚い金の使用方法が子供たちにスケートリンクをって、なんかどうなんだろ。
 もはや「罪を憎んで人を憎まず」どころか、「罪も人も金もなんでもかんでも憎まない」という甘ったるい結論に思えてしまいここでもリアリティが欠如してしまっている。
 そういう展開なのにリアリティを感じさせるってマジック(ハッタリ)をかけるなら、観客を夢中にさせて細かいツッコミなどいれさせないほどにもっとドラマを上手く盛り上げるべきであり、そこにおいて先述の一面的なキャラクター描写がかなり痛手になっているのだと思う。


 他にも銀行強盗シーンが90年代的な、当時の亜流タランティーノ的なスタイリッシュ銀行強盗みたいな…そういうのはもうよくないだろうかとか、クレアはPTSDにでもなりかねない恐怖体験の後なんで知らない男にひょいひょい付いて行くかなとか、序盤物語が何を語りたいのか分かりづらく推進力がイマイチだったなとか、容疑者と被害者が白昼堂々とデートしているのを知らないとか『完全なる報復』同様に警察が無能すぎやしないかとか、そういう細かい不満点がありますが、最も大きな不満点は、そもそも犯罪を犯すことを育った環境のせいにしてしまうってメッセージの時点で僕はあまり好きではない。もちろん色んな意見はあるだろうけれど、個人的にはそれは単なる甘えだし、差別主義的だとも思う。やはり原因や動機はなんであれ犯罪は犯罪、罪を犯したタグは罰せられるべきだったと思う。


 以上、『ザ・タウン』は「罪」とそれを犯す「人」とは、一緒に語るべきではないと語るが、主人公の描写不足でそれに説得力が生じず、そもそも個人的にそのメッセージが気にくわなかったせいもあって、どうも満足いきませんでした。

 などなどと、不満を重ねてしまいましたが、まぁ面白いと賞賛している人の気持ちも分からなくはないです。
 そこをフォローしておくと、物語のテンポがよく、キャラクターの行方を追っているだけでハラハラして飽きることはないと思います。
 あと個人的に好きだった俳優ピート・ポスルスウェイトが下衆な年老いた花屋を演じていて、あのキャラクターがジェムと並んで好きです。残念ながらこの作品が遺作となってしまわれたそうです。

 てなわけで、傑作では決してありませんが、けしてつまらない映画ではありません。

 ベッキーレベル。

 次回はこんな甘っちょろい犯罪映画じゃ物足りないというあなたに! 本当の犯罪がここにある。ようやく書けます『冷たい熱帯魚』の感想。
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テーマ:映画館で観た映画 - ジャンル:映画

  1. 2011/02/15(火) 00:02:44|
  2. 映画タ行
  3. | トラックバック:14
  4. | コメント:0
<<『冷たい熱帯魚』は恐怖のアダルトビデオだよ。 | ホーム | 『RED/レッド』はゴージャスでクレイジーでシニアな彼女にメロメロだよ。>>

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