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『平成ジレンマ』は体罰を推奨も非難もしないよ。

平成ジレンマ
 今回は戸塚ヨットスクール事件のその後を描いたドキュメンタリー映画『平成ジレンマ』の感想。

 観に行った映画館はポレポレ東中野
 平日だったので客数はほとんどいなく、男性の一人客がほとんどでした。若い高校生くらいの男の子が二人で観に来ていたけれど、あとはほとんど中年以降の一人客って感じ。
 

概要:監督は東海テレビのディレクター齊藤潤一。ナレーションは空気が読める男・中村獅童。
 80年代、訓練生が死亡する事件が相次ぎ、その激しい体罰がマスコミで大きく取り上げられ、社会問題となった戸塚ヨットスクール事件。それは、教育現場から体罰が一掃されていくきっかけともなった。本作は、事件当時から長年にわたって取材を行ってきた地元、東海テレビ放送が、2006年に刑期を終えスクールに復帰した戸塚宏校長とスクールの現在に密着した社会派ドキュメンタリー。かつての非行少年に代わり、引きこもりやニートが大半を占める訓練生や教育に悩む親たち、体罰は封印しても決して自らの信念が揺らぐことのない戸塚校長の姿を通して、当時のマスコミ報道からはうかがい知ることの出来ない事件の裏側に迫ると共に、混迷を深める現代の教育について見つめ直していく。
"allcinema online"より抜粋)


 教育現場に「体罰」というものが消えていったのは戸塚ヨットスクール事件以降だそうだ。

 しかしながらこの映画はいささか語りつくされたかに思える「体罰は教育か否か」は本筋には置いていないと思う。
 どちらかというとそれを題材に、マスメディアのもつ発言力の強さとそれが一面的であるのを知らないことの恐ろしさを描いているように感じられる。

 もう延々と言われ続けていることであるが、マスコミというのは一面的な報道しかできない。これを絶対的な意見と勘違いしてしまうのは恐ろしいことだが、それでも額面通りに信じてしまう人が多いのは、マスコミの体質といえばいいのか、自信満々に一面的な意見を絶対的な意見であるとハッタリかけて発言していかないと説得力を失って商売にならなくなってしまうからであろう。

 戸塚校長はマスコミが助長したせいで異常なまでの必要以上の体罰バッシングがはじまり、この国の教育がおかしくなったと怒る。

 この映画では2年前に世間を騒がせた、再開した戸塚ヨットスクールで起きた女生徒の自殺事件も、世間の悪評やマスコミが騒ぎ立てた黒い噂とは異なり、ヨットスクール側も完全にとばっちりであったと描く。この映画が語るところによれば普通自傷症の生徒の入校は断っていたが、母親の熱意に免じて入校を許可、どれだけの授業を行なったのかは不明であるが、入校3日目で自殺してしまい、彼女の葬式を両親の希望で戸塚ヨットスクールで開くほどである。

 また戸塚ヨットスクールを訴えるために結成された弁護士団の代表が、戸塚校長と一度も面会したことがないのにニュースや新聞で見聞きしたことでのみ憤慨しているところなどなかなかショッキング。

 僕もこの映画を見る前に戸塚ヨットスクール事件の概要を"Wikipedia"なんかで調べて「戸塚ヨットスクールは恐ろしいところだな」とかそんな感想を抱いたものだ。


 80年代の事件当時の生徒で戸塚ヨットスクールに通っていて良かったと述べる卒業生の意見もあるが、何より観客のこの学校に対する印象を変えるのは、いじめで入校してきた弱々しくグズな小学生の男の子が卒業するころにはたくましい目付きと明るさを手に入れているところだろう。彼の成長を見てしまうと観客は一概に戸塚ヨットスクールを非難できなくなるだろう。

 で、この作品が面白いのは、これが「映画」でありやはりマスメディアであるということだ。マスメディアであるということは一方的な意見を描きがちである。
 確かに基本的にこの作品は戸塚ヨットスクール視点で描かれるため、そちらに感情移入してしまう。

 しかし、この映画は少なからず、『DOCUMENTARY of AKB48 to be continued 10年後、少女たちは今の自分に何を思うのだろう?』『玄牝 -げんぴん-』では欠けていた、「客観的な視点」というものをきちんと意識していると思う

 例えば、たまに挿入されるかつての体罰描写はほとんどの現代人ならば拒絶してしまうだろうし、何より彼らはかつて行き過ぎた体罰で生徒を少なくとも二人は死なせてしまっているのだ。そこにおける社会的な悪を棚に上げてこの映画を語ることはできない。
 また例えば、生徒たちのリーダーが2度も失踪してしまったり、卒業後再入校した生徒がやはり失踪したり、卒業後農家に就職したはずの29歳の青年もまた失踪してしまったり、先述の3日で自殺してしまった少女だったりといった、「結局このヨットスクール何も出来てないんじゃないか」って点をきちんと写しているところであったり。
 このように決してどの視点にもよりすぎていない。


 戸塚校長やコーチたちは何もわからずにヨットスクールに放りこまれた小学生男子や自傷症のある少女に自分の頭で考えろという。マスメディアにて知識を得ることは重要である。だが意見の是非くらいは自分の頭できっちりと考えろと、自分の頭で考えて行動するのが自立ということではないかと、この作品は語っているのかもしれない。


 以上、本作は戸塚ヨットスクール事件のその後を描くことで、マスメディアによって一方的な意見を植え付けられたままそれを信じてしまう、自立なき恐怖を描いているのではないかと感じた。

 不満点はとくにございません。大変面白いドキュメンタリー映画だったと思います。
 中村獅童の淡々とした語り口がまた「圧倒的に中立」な感じで良かったです。

 高城亜樹レベル。

 次回は、またドキュメンタリー映画です。前回の『冷たい熱帯魚』の感想にかなり関連した映画なのですが、真のセックスとは、アダルトビデオとはについて描かれるドキュメンタリー映画『YOYOCHU SEXと代々木忠の世界』の感想を書きたいと思います。
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テーマ:映画館で観た映画 - ジャンル:映画

  1. 2011/02/18(金) 01:19:59|
  2. 映画ハ行
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  4. | コメント:0
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