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『ウォール・ストリート』は金融セカイ系ストーリーだよ。

ウォール・ストリート

 こんばんは。本日は『ウォール街』の24年ぶりの続編『ウォール・ストリート』の感想でございます。

 例によってネタバレしまくっています。

 観に行った映画館はTOHOシネマズ六本木ヒルズ。皮肉な意味でこの映画が似合う映画館ですね。いちばん大きな7番スクリーンでの鑑賞でしたが、ガラガラでした。客層はカップルが多め。カップルで観てどうなんだろ、この映画。まぁ話題作だしいいのかな?


概要:1987年の映画『ウォール街』の続編。監督は前作に引き続きオリバー・ストーン。
  2008年、ニューヨーク。若くして成功を収めた金融マンのジェイコブ(シャイア・ラブーフ)。私生活に於いても、非営利ニュースサイトの運営に携わるジャーナリスト、ウィニー(キャリー・マリガン)と結婚を前提に交際し、公私共に順風満帆の人生を送っているが、彼女はインサイダー取引の罪で投獄された伝説のカリスマ投資家ゴードン・ゲッコー(マイケル・ダグラス)の実の娘でもあった。そんな中、勤務先である投資銀行の突然の破綻と、父のように慕っていた経営者ルー(フランク・ランジェラ)が自殺するという悲劇に直面してしまう。そして、全てが金融界の黒幕ブレトン・ジェームズ(ジョシュ・ブローリン)の仕業だと知ったジェイコブは、ウィニーに内緒で彼女と絶縁中のゲッコーのもとへと向かう。7年前に服役を終えた彼は講演会の傍ら、金融界へ警鐘を鳴らす著書を出版していた。そんなゲッコーへ、ウィニーとの父娘の仲を取り持つことを引き換えに、ブレトンへの復讐計画のサポートを取りつけるジェイコブだが…。
"allcinema online"より抜粋)


 本作は前作同様に、「暴走する欲」に人の意思は通用するかといった物語である。

 本作のスピード感がひたすら慌ただしいことについて書きたいと思います。

 スピード感の例として、一瞬でも集中力を欠いだらついていけなくなるほどスパスパ展開が進むし、インターネットブラウザのポップアップウィンドウのごとく次々と現れる画面分割も慌ただしさを感じる。また「場面展開なんてしている暇はない」みたいに、ウォール街のビル群のシルエットをそのまま株価の上昇下降のグラフにしてしまうのも慌ただしい。それはまるでジェイコブの勤める信託銀行のようである。
 印象的なのはゲッコーに「チップをやるからもっとゆっくり運転してくれ」と言わせた、暴走するタクシー。時代についていこうと必死に車を走らせているようである。
 まさにそれらの猛スピードは洋題"money never sleeps"(決して眠らない金)が表すように、留まることなく加速していく。あまりに巨大化した「欲望」は暴走して瞬く間に世界を崩壊させる。


 本作で描かれる「巨大化した欲望」を説明したい。
 『SR サイタマノラッパー2 ~女子ラッパー☆傷だらけのライム~』『アイアンマン2』の感想でも書いたけれど、舞台を80年代の狂乱のバブル期から、ここ100年ほどで最大の不景気の、ゼロ年代後半に舞台をうつした本作は、スケールアップした「繰り返しの物語」であり、それは続編の王道である。


 23年前にゴードン・ゲッコーは「欲は善」と言った。ゲッコー曰く今や「欲は法」だそうだ。
 そもそも生き物が生きるために発明された「欲望」はカンブリア大爆発の末に人の手にわたる。やがて「欲望」は人の意思を超え暴走し、企業を、国家を、そして世界を巻き込み、欲深くあることを国が扇動するまでになっている。それがゲッコーの言うところの「欲は法」の意味だと思う。

 ジェイコブは「狂気」とは「次の結果こそは違うかもと同じことを繰り返してしまうことをいう」という。同じ物語をスケールアップしてもう一度描くことで、「欲」の暴走が持つ「狂気性」『グレムリン』から『グレムリン2』へのスケールアップくらいに、より恐ろしいことになっている。


 卑近な例ではギャンブルにハマって自滅していく人がいるように、人は「欲」が暴走すると、それを操作できなくなる。ギャンブルで自身を破滅させるだけならまだいいが、あまりに巨大化した「欲」は人の手の及ぶところではなくなり、それは世界を滅ぼす水爆並の威力を持ち得てしまった。ルーの死を発端として「欲の暴走」が進み、猛スピードで金融に支えられた世界を滅ぼしていく悪夢的な描写はまるでホラー映画のようである。

 主人公ジェイコブは前作のチャーリー・シーン演じるバド・フォックス同様に、次第に欲望の暴走に飲み込まれていき恋人を裏切ってしまうし、前作ではかろうじて他者だけではなく自身の「欲」をもなんとかコントロールできていたかに見えたゲッコーも、暴走する「欲」にかられて、倫理感も、何より大切にしていた家族愛すらも見失ってしまう。
 
 そんな中なんとか「欲」に飲み込まれないでいるキャラクターはジェイコブの恋人でありゲッコーの娘のウィニーだ。彼女は父親の恐るべき「欲」に嫌気がさし、無利益のニュース会社に勤めたり、なるべく金とは無縁の生活をしている。彼女は完全に父親を軽蔑していてしまっているがそこは人情、相互理解を求めてもいる。

 で、話はうまいことヒロイックな展開をして、ジェイコブとウィニーの愛が、猛スピードで世界を滅亡させようかという勢いの「欲の暴走」に歯向かえる唯一の手段となり、そこにはゲッコーの協力が不可欠であるという、僕ら中学生スピリットを大切にするアダルトチルドレンたちが大好きな「その愛が世界を救う」的ないわゆる「セカイ系」的な展開になって、こちらとしては『天空の城ラピュタ』でも見ているかのようにワクワクしながら映画を見ていてら…やっぱり裏切られる。
 今回のゲッコーは終盤まで電車に乗って移動し、カジュアルなジーンズ履いて、娘の写真をほしがって、やけに協力的で、萎れた様子が否めなかったのだが、先述のように、終盤は欲望にギラギラ目を輝かせながらオールバックに纏めた銀髪と家一軒くらいしそうな高級スーツに身を包み、娘や倫理などかえりみない無情な金の亡者ゴードン・ゲッコー様として復活する。
 ここのマイケル・ダグラスの変貌がすばらしかったです。目の輝きをここまで変化させられるのかと。

 やはり人は、人を人たらしめる「欲望」の暴走には勝てないのかもしれないが、そんなゲッコーの暴走を止め、ふと心を揺り動かしたのはウィニーに宿った新しい命の映像。その胎動のリズムは、このハイスピードな映画において、とても人間的なゆったりとしたリズムだった。(そのリズムはジェイコブとウィニーの恋愛パートでも流れる、彼らの関係も本作において「人間らしいリズム」なのであろう)


 以上、本作は「欲の暴走」をぐんぐん加速させて描き、スピーディーにセカイが滅びる様を描き、最後に人間らしいテンポである胎動のリズムを描くという"スピード"の表現によって、「人間」と「現代人の欲望」があまりに乖離してしまっていることを描いた作品だと思う。


 で、不満点なのですが、あのゲッコーが赤ん坊くらいでコロッと憑き物をおとされてしまうのはいささかパンチ不足。『釣りバカ日誌20final』のように、シリーズに終止符をうちたいがために無理矢理終わらせた感がある。

 「欲望」との付き合い方は恐らく人間にとって一万年先も語られるテーマだと思うし、そこは、後味悪くとも無理に座りよく終わらせようとしなくてもいいのに…。

 座り良く終わらせたと言えば、終盤ではもはや悪役としてはゲッコー以下の存在に落ちてしまったブレトンを痛い目あわせておしまいってのもなんか取ってつけた感があるし、あそこはやっぱり救いなんて甘っちょろいものあげなくてゲッコーに痛い目あわせなきゃ駄目なんじゃないだろうか。彼はほとんど痛い目にあっていないではないか。
 そういう点において『ウォール街』は名作だけれども、なんだか妙に生温く、あそこまでは名作扱いされないだろうなと思いました。


 他に良かった点は、選曲のセンス。前作と同様のトーキングヘッズの『THIS MUST BE THE PLACE』と同じ曲が使われていたのが嬉しかったです。

 あ、前作の話で言うと、散々わがまましほうだいでロクな大人にならなさそうだったゲッコーの息子ですが、麻薬中毒で既にお亡くなりになっておりました。本当にロクな大人にならなかった。

 オッサンになりすぎてちとショックでしたが、チャーリー・シーンの登場や、サイケな不動産屋バアさんの登場など前作ファンもうれしいサービスがあって良かったです。

 松下奈緒レベル

 次回はアッバス・キアロスタミの新作でイランが舞台ではない作品です『トスカーナの贋作』の感想。

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テーマ:映画館で観た映画 - ジャンル:映画

  1. 2011/02/20(日) 01:52:44|
  2. 映画ア行
  3. | トラックバック:8
  4. | コメント:0
<<『トスカーナの贋作』を鑑賞すると映画を鑑賞する体験ができる映画だよ。 | ホーム | 『YOYOCHU SEXと代々木忠の世界』は男の一本気がまっすぐ貫かれているよ。>>

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