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『MAD探偵 ~7人の容疑者~』のジョニー・トー監督こそが多重人格だよ。

mad探偵

 またも更新サボっていましたね。ごめんなさい。
 せっかく来場者数300とかいっていたのに、また下がっちゃった。
 今週の『海賊戦隊ゴーカイジャー』はゴーカイグリーンハカセとマジレッド小津魁が出てくる話。
 『仮面ライダーディケイド』では権利の関係か過去のキャラクターが登場しても当時のBGMを使えなかったので寂しかったのですが、『ゴーカイジャー』はきちんと『魔法戦隊マジレンジャー』のBGMが流れていましたね。できたら歌も欲しかったけれどそれは難しいのかな。あとできたらあのへんちきりんなエンディングの踊りも欲しかった。
 悪役が弱いですね。デザインはとてもいいのですが、なんだかキャラクター性もやっていることも印象に残りにくい。
 毎週ゲストがでるわけではないっぽいのですが、全50回くらいで全戦隊を扱ってくれるのだろうか。

 今回はやっと日本で公開、ジョニー・トー&ワイ・カーファイの『MAD探偵 ~7人の容疑者~』の感想です。

 観に行った映画館はお初です新宿のK's cinema。平日の朝だったのですが、けっこう混み合っていました。こんな映画なのに何故だかご老体が多め。


概要:監督・製作は『ターンレフト ターンライト』『マッスルモンク』のジョニー・トー&ワイ・カーファイ監督コンビ。脚本はワイ・カーファイとオー・キンイーという人。
 西九龍署・刑事課へ配属された新人のホー刑事(アンディ・オン)は、奇抜な捜査で難事件を解決する先輩刑事のバン(ラウ・チンワン)と出会う。彼は、自らを殺人現場と同じ状況に置くことで真犯人を突き止める特殊な能力を持っていた。しかし、それは精神を病んでいるようにも思われ、その数々の常軌を逸した行動が原因でクビになってしまう。それから5年後。バンのもとをホー刑事が訪ね、1年半前に失踪したウォン刑事の拳銃が使われた連続殺人事件の捜査協力を依頼する。さっそくホーと共に捜査に乗り出したバンは、ウォン刑事の相棒だったコウ刑事(ラム・カートン)に疑いの目を向ける。ほどなく、バンにはコウの中に7人の異なる人格が宿っているさまが見え始めるが…。
("allcinema online"より抜粋)


 本作は07年作品ということで、日本公開は前後してしまったが、以前に扱ったジョニー・トー監督・ワイ・カーファイ脚本作品の『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』は、たとえ言葉や立場などまるで違ったところでそんなのは些細な問題であり、人と人は簡単に分かり合えるということを描いた男くさく血生臭いファンタジーだった。
 が、こちらは『エレクション』などに代表されるダークサイドなジョニー・トー作品、「人と人は分かり合えなんかしない」という事を容赦なく描いている。


 まず冒頭、主人公バン刑事は豚の死体をズラリと並んだ肉切り包丁で狂ったように切り刻み、バッグに全身を入れて階段から何度も転げ落ち、万引きしようとしている少女に突然怒鳴りだし…と、まるで観客の理解など不要とでも言っているように意味不明の行動を散々とる。

 バンは人の中にある様々な人格が具体化されて見えてしまうという特異体質でありそれに苦悩している。
 そのようなバンを何が何だか尊敬する刑事ホー視点で進む本作は、人格が具体化されて見えることに苦悩するバンの位置を高く置くため、人には様々な人格が内在しているなんてことを気にしないで日々すごしている我々の方がむしろ異常のように思わせてくる。
 しかし中盤以降死んだかと思われていたバンの妻(ケリー・リン)が実は普通に生きていて、現役刑事として活躍していることが判明し、ホーがバンに対し激しく幻滅をすることで、ホーの視点によるバンの地位はブレてきて、結果観客の視点も変化してくる。

 バンは人の中に様々な人格があるのを理解しようとしないために、その人格の数だけの人数がビジョン化されてしまうのではないかと思われる。人は一つの人格で纏められるほど単純なものではなく、皆がある程度の異なった人格を抱えているはずだ。しかしバンはそれを認めていない。かつての優しく少女のようだった妻の人格しか認めず、今の厳しく強くたくましい妻の人格を別人格として切り離してしまっている。なので生きていた妻に会ったとき、一体彼女が誰なのか理解できなかったのだ。
 人はその身体の中に様々な人格、気持ち、真実、嘘を内包していて、我々が他者に対して垣間見る「性格」なんてのはほんの一握りほどしかないはずなのだ、という視点の変更がホーのバンに対する意識の変化によってなされる。

 だがバンはそんなことはお構いなしだ。それは彼の事件解決方法にも現れる。動機とか経緯とか関係なく、被害者や加害者と同じ行動をとるだけで事件を解決してしまうので、そこにキャラクターの複雑性はない。

 しかしその反面、ジョニー・トーお得意のスタイリッシュな演出で見せてくる描写は複雑怪奇である。特に本作はバンの人格が見えるという視点の描写が、そのまま影も形もある俳優を、人格がビジョン化したものとしてなんの工夫もなくそのまま映すという大胆な演出のため、その奇っ怪さはトー作品の中でも出色。
 例えば久々にやってきた警察署にいた中年男性の刑事と重なりあうヒステリックなおばさんの映像とか、7つの人格を持つ悪役コウ刑事が口笛を吹き出すと彼の7人の人格が全員一斉に口笛を吹きBGMと重なるシーン、立ち小便するクールでしたたかな女性にオシッコを引っかけるバンというそれだけ見たら何をやっているのかまったく分からない絵、ホーと7人のコウがインド人男性を追い詰める鏡ばりの部屋のシーン。鏡と言えば割れたトイレの鏡の前にて澄まし顔で髪を整えるシーンとかもイカす。
 これらの素晴らしい描写によって、人間の複雑で不可解な精神が強烈なインパクトを持って表されている。


 そして物語の主題となる事件はバン、ホー、コウという3人の刑事を中心に複雑化していく。様々な嘘、真実、人格、感情を内包した事件の真相は、たった一つのわかりやすい表層によってラッピングされて幕を閉じる。
 バンに人の感情の複雑性など理解できなく、またバンの苦しみを誰も分かってくれないのと同様に、事件の真相も誰も知らないし、ウォン刑事やホー刑事のことを理解してくれるものだって現れないだろう。人と人は理解なんて出来ないのだ。そんなシニカルでニヒルな展開で本作は寂しく幕を閉じる。


 以上、『MAD探偵 ~7人の容疑者~』は、人の内面を単純化してしか見れない探偵バンのキャラクターを通して、逆に人の気持ちの複雑性を描いていると感じた。

 他の健全なトー作品なら素晴らしい仲間たちに囲まれてさぞかしかっこいいヒーローになれたはずのMAD探偵バン。出る作品を間違えてしまいましたね、いい意味で。
 『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』を撮る一方で本作を撮るジョニー・トーがいちばんこの映画が言わんとしている人の多重人格性を表している気がします。


 不満点というか疑問点なのですが、バンの加害者や被害者と同じ状況になることで真相が分かるという推理方法と、人格が具体化して見えるという能力の関連が見えません。あれ誰か説明していただけますか?

 あとこれも疑問点なのですが、最初の耳を上司に渡すシーンの意味がわからない。バンは「彼は人格が一つしかないから」とか言っていたけれど…誰か分かる方解説お願いします。

 あとラム・シューは今回もたくさん食べていました。
 しかしながら、さすがジョニー・トー&ワイ・カーファイ、抜かりない出来で大変楽しめました。
 蓮佛美沙子レベル。

 次回は見事アカデミー作品賞に輝きましたね、旬のものです『英国王のスピーチ』の感想。

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  1. 2011/03/01(火) 02:43:35|
  2. 映画マ行
  3. | トラックバック:6
  4. | コメント:0
<<『英国王のスピーチ』はぼくの自己啓発セミナーだよ。 | ホーム | 『ヒアアフター』はコミュニケーションをとりにくい映画だよ。>>

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