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『映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 ~はばたけ 天使たち~』の「SF」は「さよなら藤子・F・不二雄先生」の略だよ。

鉄人兵団

 こんにちは。長らく「少年ジャンプ」感想を書いていませんが、再開させたいと思いつつ手一杯で出来ませんでした。なのでtwitterの方で気になった漫画の感想だけを書くことにしました。どうぞよろしく。

 今回は1986年の『ドラえもん のび太と鉄人兵団』のリメイク作品『映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 ~はばたけ 天使たち~』の感想です。今回はめちゃんこ長いです。

 観に行った映画館はTOHOシネマズ六本木ヒルズ。お客さんが僕とあと小さい男の子とそのお母さんの3人だけでした。まぁこの映画館は子供来なさそうだものね。他の映画館だとこの手の映画はめちゃ混みしそうなのに。


概要:毎年恒例『ドラえもん』映画31作目にして、前述の通り86年のリメイク作品。監督は『映画ドラえもん のび太の新魔界大冒険~7人の魔法使い~』に続いて映画作品は2作目の寺本幸代。脚本は清水東。原作はもちろん藤子・F・不二雄。
 ある日、のび太(声:大原めぐみ)の家の庭に空から巨大ロボットの部品が降ってきた。ドラえもん(声:水田わさび)とのび太はそれを組み立てて巨大ロボット“ザンダクロス”を完成させる。ところが、そんな2人の前にロボットの持ち主だという不思議な少女リルル(声:沢城みゆき)が現われる。彼女はなんと、惑星メカトピアが地球を征服するために送り込んだスパイロボットだったのだが…。
"allcinema online"より抜粋)


(1)『ドラえもん』の魅力って"日常性"だと思うのです。そこら辺にいる子供たちがそこら辺でその気になって悪用すれば世界を滅ぼせるような未来の道具を使って遊ぶ。
 例えばそれは本作におけるところの「お座敷釣り堀」なんてひみつ道具にも言えて、水中にリンクするマットを使えば自宅の部屋の中でいつでも釣りが楽しめるという、未来の超科学と日常的な生活感たっぷりの自宅の子供部屋という取り合わせのギャップとか、未来の超科学の無駄使いっぷり『ドラえもん』の楽しさの真骨頂かと。


 この『のび太と鉄人兵団』の原作や前の映画版(以下「旧劇場版」)が人気高いのもそこにあって、のび太という勉強もスポーツもからっきしの超日常的なキャラクターがガンダムみたいなスーパーロボットという超非日常的なシロモノを乗りこなすという点にあったと思うんです。
 で、そこに当時の異常なガンプラブームが反映されていて、藤子・F・不二雄は「ガンダムがかっこいいかっこいいと言ってもあいつ大量殺人兵器なんだぜ」っていうメッセージと、「でもやっぱりガンダムってサイコーにかっこいいよな」っていうSF少年的な視点を織り交ぜていて、「大量殺人兵器の巨大ロボットをぼくらの手に取り戻せ」っていう実に趣味的ながら、同時に多くの少年の夢を叶えてくれるテーマを紡ぎ出している。
 で、もちろんそこには「僕ら(日常性)の手の内にある大量殺人兵器(非日常性)」という『ドラえもん』らしいサイエンス・フィクションがきちんとある。


 そんな2011年におけるリメイク作品の本作はどうだろうか。
 確かに巨大ロボットというのはいまだに少年の憧れであるようで常になんらかのロボットアニメがやっているけれども、やはり当時ほどの熱狂は無いし、それ故にこの映画を迎え入れる時代的な土壌もない。よってあまり時代性にそぐわないこの映画を今リメイクする意味って当時ほどは無い。

 そこら辺考えてか考えていないのかはわかりませんが、旧劇場版とかなり違うアレンジが一カ所あって、それはズバリ「お涙ちょうだい」。昨今の『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん モーレツ!オトナ帝国の逆襲』あたりの悪影響かなんかでどうも「子供向けアニメだけど泣けるんだよ」的な要素を安易に投入しすぎな気がいたします。そこら辺素直に喜べない僕がいるのですが、本作はそのような『お涙ちょうだい』を安易に投入したことで最も危惧していた事故を起こしてしまっている。
 お涙ちょうだいは結構なのだが、問題は『ドラえもん』及び旧劇場版の真骨頂たる「日常と非日常のギャップ」とまるで絡みあっていないのである。以下でそれを解説。


 本作の「お涙ちょうだい」を象徴するキャラクターとして登場するのが、旧作ではドラえもんに勝手に改造され無理矢理仲間にされたジュドー(ザンダクロス)の頭脳パーツ。本作ではこの頭脳パーツを可愛いマスコットキャラクターとしてヒヨコの形にしてピッポ(声:小林由美子)と名付けている。
 で、このピッポとのび太の交流によってロボットと人は心を通じ合わすことが出来るという物語性を加えている。
 ここまではまぁ別にいいのだけれど、そのことにより、無機的な身体(ザンダクロス)と有機的な精神(ピッポ)という身体と精神の乖離が起きてしまい、最終的にはピッポがパイロットとしてザンダクロスに乗り込む始末、すなわちピッポ=ザンダクロスではなくなってしまっている。そのことにより「巨大ロボットを大量殺人兵器から少年のヒーローに取り戻す」という原作や旧劇場版の面白味からかけ離れてしまい、なんだか普通の敵兵との友情物語みたいになってしまっている。それでも物語は旧劇場版とほぼ同じだから、前のテーマ性も中途半端に残っている。
 そんなわけで藤子・F・不二雄のSF魂をないがしろにしているだけではなく、ちぐはぐなテーマ性が入り乱れてしまっているために「お涙ちょうだい」というテーマすら描ききれていない。


 あとピッポの登場でいちばん許せなかったのはスネ夫(声:関智一)のラジコンロボット「ミクロス」の出番がほとんど無くなってしまい、その活躍をピッポとリルルが奪ってしまっている点。
 ミクロスはスネ夫の天才的ないとこが作った夢のような高性能ラジコンロボットで、旧劇場版ではドラえもんの手により自意識を得たロボットとなるという、ガンプラ少年の夢を叶えてくれるような本作の象徴的な存在であり、また結局スネ夫のオモチャということで、いくら意志を持ったとしても結局スネ夫みたいな性格(デザインはかっこいいんだけど)。そのデザインのカッコ良さにそぐわない弱さや卑怯臭さ、人間臭さがザンダクロスの合わせ鏡的な存在となり、「少年」と「ロボット兵器」をつなぐキーキャラクターとなっていたと思うのだけれど、その役目が前述のようにピッポという有機的な可愛いキャラクターにとって代わられたため、「ロボット」と「少年」という関係性というテーマの掘り下げがこの点でも弱まっている。


 少し脱線しますが、「お涙ちょうだい」と言えば、ちょっとしたことで何かと涙腺を刺激しようという態度が見え見えのBGMをやたらめったら流すのは本当に安っぽいからやめて欲しいです。

 そのような「お涙ちょうだい」のバーゲンセールのなか救いがあるのはリルルやピッポがしずかちゃん(声:かかずゆみ)やのび太の前から消滅していってしまう時、超俯瞰のショットで「リルルーーーッ!!」とか「ピッポーーッ!!」って叫ぶベタで安っぽい演出を入れなかったところ。ちなみに旧劇場版や『クレヨンしんちゃん』の『アッパレ!戦国大合戦』ではやっていました。

 そもそもこの物語の真の泣きポイントは「こんな恐ろしい事件に女の子(しずかちゃん)を巻き込みたくない」とドラえもん、のび太、ジャイアン(声:木村昴)、スネ夫の男4人で鉄人兵団と絶望的な戦争に挑む姿とその覚悟にあると思うのですが、小学生が、いくら相手がロボットと言えど、殺し合うというハードな展開は現代では出来なかったのでしょうか、旧劇場版ほどのハードな命の取り合いは描かれませんでした。


 以上、現代的なリメイクとは言っても上っ面だけのリメイクな感じで、あまり藤子・F・不二雄の描くSF愛、残酷性などは受け継いでいなく、現代的なアレンジと本作の持ち味もあまり絡み合っていなかったなと、そこが大きく不満点として残ってしまいました。



(2)以下はその他の不満点。
 不満の声がいまだに多い新しい声優陣に関しては個人的にはそこまで不満はないのですが、冒頭ののび太がもっと巨大なロボットを持っているぞと強がるシーンや、鉄人兵団が攻めてくるというピンチに対しとりあえずスネ夫とジャイアンを仲間に誘うシーンなど、旧劇場版ではもうちょっと自然な運びだったのですが、こちらでは少し不自然。それはやはり熟練声優の慣れた掛け合いと、まぁ演出力の違いか。

 あと旧劇場版や原作がそもそも持っている問題点は改善して欲しかったです。
 例えば、メカトピア人の始祖アムとイムを作った「神様」に会いに3万年前まで戻って、アムとイムを作り返してもらうことで鉄人兵団をなかったことにするという、タイムトラベルものではやってはならないような反則技とか、もっと違うアイディアにしてほしかったな。あれじゃズルすぎる。

 あとあとオープニングのやる気のない演出。子供達に募集した「ぼくの考えたロボット」が動き出すというアイディア自体は別にいいのですが、それをタケコプターつけて空を飛びながらただ傍観しているドラえもん達というなんのドラマ性もテーマ性も感じられない、どうでもいい演出でした。オープニングは作品の顔なのだからもうちょっと気合い入れてほしい。

 あとあとあと、原作・旧劇場版のお気に入りのセリフがカットされていたのも寂しかったです。しずかちゃんの「鏡面世界!?」とか、スネ夫が夜中にふらつくリルルについて言った「ああいうのが非行に走るんだよ」とか、のび太のなぞなぞ「オヤジカとコジカ」とか。まぁいいんだけれど。



(3)もちろん旧劇場版との比較で良くなっていたところもあります。
 例えば、しずかちゃんがザンダクロスに乗って、適当なスイッチを押すとビルを大破壊してしまい、それまでの「巨大ロボット」=「友達」感覚が一気に崩れ去ってしまうショッキングなシーン。ビル破壊の演出は旧劇場版よりも派手で、それに対するしずかちゃんの怯え方などもなかなか良くて、それまでのワクワクムードから急激に冷水をひっかけられた感じになりました。

 あと「SF日常ギャグ」や「残酷性」と共に藤子・F・不二雄の作家性の真骨頂になるもう一本の柱、「ロリコン根性」に関してですが、そこに関してはかなりこの新生『ドラえもん』シリーズでは頑張っていると思うのですね。特に『のび太の恐竜 2006』のしずかちゃん描写はかつてほどの大胆な描写が出来なくなっている分、相当フェチっぽく描かれていた。本作では監督も代わり、あそこまでのフェチっぽさは失われていて多少残念でしたが、絶対無理と思われていたリルルのヌードがきちんとありました。このご時世に、よくやった。


 まぁ、原作が割としっかりした出来なので、あまり藤子・F・不二雄をリスペクとしていないアレンジが加わっても、きちんと面白い映画ではあります。ちゃんと楽しめます。ただ安っぽいオープニングや安っぽいお涙ちょうだい、あとどうでもいいタレントをゲスト声優に起用したりする子供騙しの安っぽさで、なんとなくそれっぽい作りでそれっぽく誤摩化しているような映画作りを続けているようじゃ、そのうち身が持たなくなる気がします。

 田中れいなレベル。

 次回は低予算で話題のゾンビ映画です『コリン LOVE OF THE DEAD』の感想。
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テーマ:映画館で観た映画 - ジャンル:映画

  1. 2011/03/11(金) 00:52:51|
  2. 映画ア行
  3. | トラックバック:5
  4. | コメント:2
<<『コリン LOVE OF THE DEAD』はスウィートでロマンティックな人肉がお好きだよ。 | ホーム | 『悪魔を見た』は観客参加型のゲス野郎オリンピックだよ。>>

コメント

おなみだ

こんちは。旧作未見なのでバッチリお涙にやられてしまいました。
福山雅治の宛て声ってのは話題として大きくフューチャーされてます? あんまり聞かない気がするんですけど。
  1. 2011/04/04(月) 00:40:02 |
  2. URL |
  3. ふじき78 #rOBHfPzg
  4. [ 編集 ]

Re: おなみだ

ふじきさま。

 なんかコマーシャルやら事前のテレビ放送やらで出てましたよ、福山雅治。

 リメイクの場合、いけないとわかっていながらどうしてもオリジナル版との比較をやってしまうクセがあるのですが、比較しないでそれ単体と見た場合は、おそらく全然違う印象なんだろうなと、むしろ楽しいんだろうなと思います。
 あと本作のオリジナル版に関しては、かなり「思いれフィルター」が入ってます、そういうのもあんまりよくないですね。
  1. 2011/04/04(月) 02:34:37 |
  2. URL |
  3. かろプッチ #-
  4. [ 編集 ]

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  1. 2011/04/06(水) 19:29:10 |
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