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『塔の上のラプンツェル』は美しくないところに恋するよ。

ラプンツェル

 今週の『海賊戦隊ゴーカイジャー』はゴーカイイエロー・ルカの主役回。『デカレンジャー』くらいから毎回ヒロインはメイド服着させられている気がする。
 
 怪人の声を当てていた高木渉さんが悪ノリしていて『太陽戦隊サンバルカン』『ジャッカー電撃隊』の主題歌を歌っていたり、道楽娘の持っていたカードが「サイクロンジョーカーエクストリーム」だったり「風都タイムス」を読んでいたり、ボウケンイエローへ変身した時あのヘンテコポーズとったり、なんだか面白さ盛りだくさんでした。
 皆がいる場所に速く駆けつける為にカーレンジャーに変身したり、火事場の中からぬいぐるみを救出する為にゴーゴーファイブに変身したり、そういう用途用途にあわせた変身が楽しいですね。
 あとジャッカー電撃隊に変身して昭和っぽいアクションするのがとても楽しかったです。
 ルカ役の女の子はお顔はそこまでタイプではありませんが、キャラクターや演技の仕方、声などがハッタリ効いてとても好きです。『スーパー戦隊』シリーズで「世の中お金で回ってるのよ」なんて言えてしまうヒーローもなかなかいないだろう。

 てなわけで次回!わぁ!マスターシャーフーだ!!ジャンだ!!パカチャマックだ!!!わぉ、おれ、ニキニキのワクワクだぞ!!
 『獣拳戦隊ゲキレンジャー』はまた思いれ深い作品ですので楽しみです。

 今回はウォルト・ディズニー・ピクチャーズ。記念すべき50作目の長編アニメ『塔の上のラプンツェル』の感想。

 観に行った映画館はTOHOシネマズ六本木ヒルズ。六本木は外国客も多く、この手のアニメ映画で珍しく吹き替えで上映がないので、そこんところ重宝しております。それもあってかちびっ子少なめ。大人のカップルが多かったです。


概要:監督はこれが長編デビューのネイサン・グレノと『ボルト』のバイロン・ハワード。音楽はアラン・メンケン、脚本はダン・フォーゲルマン、製作総指揮はジョン・ラセター。
 驚くほど長い魔法の髪を持つ少女ラプンツェル(マンディ・ムーア)。深い森に囲まれた高い塔の上に住む彼女は、外は“恐ろしい世界”だから絶対に出るな、と言う母親ゴーテル(ドナ・マーフィ)の教えから、18年もの間、一度も外の世界を知ることなく生きてきた。しかし、好奇心旺盛なラプンツェルは、いつか必ず外の世界へ出て、毎年誕生日になると夜空に現われる神秘的な“灯り”の正体を確かめることを夢見ていたのだった。そんな彼女は18歳の誕生日前日、王冠を盗み追っ手を逃れようと塔に迷い込んだ大泥棒フリン(ザカリー・リーヴァイ)と遭遇、その魔法の髪で彼を捕らえる。そして、自分を塔から連れ出し、“灯り”の場所まで案内させることを条件に解放する。こうして、ついに外の世界へ飛び出したラプンツェル。そこは恐ろしい世界ではなく、美しい自然に溢れ、街では人々が楽しそうに暮らしていた。数々の危機を乗り越えながら“灯り”の場所を目指す2人。だがその先には、ラプンツェルの思いもよらぬ運命が待ち受けていた…。
"allcinema online"より抜粋)


 アニメキャラクターに恋をするっていうのはそう珍しいことではないけれど、なかなか難しいものである。かつては『ルパン三世 カリオストロの城』のクラリスや、『新世紀エヴァンゲリオン』の綾波レイに恋をしたけれど、最近はめっきり恋しなくなったななんて思っていたけれど久々に恋をしたのがこの『塔の上のラプンツェル』の主人公に対してだ。
 彼女の容姿は、例えば同じディズニーのプリンセスストーリーのヒロイン、白雪姫やオーロラ姫、シンデレラなどに比べ美人とはいいがたい。口は大きいしソバカスはあるしやたらと負けん気が強いし。美人ではなく愛嬌があるというやつだ。
 で、その美人ではないという点が本作を語るうえでとても重要なのだと思う。

 『シュレック』はディズニーを追い出されたスタッフが、ディズニーの美しさ絶対主義に対して「そういうディズニーの思想って差別的なんじゃない?」と疑問のメスを入れた変化球プリンセスストーリーであった。で、もちろん『シュレック』だけが原因ではないだろうが、それ以降ディズニーにおいて直球勝負のプリンセスストーリーは禁じられた気がする。前作『プリンセスと魔法のキス』が冒頭プリンセスストーリーの否定から始まったのもそういった理由からだと思われる。
 で、本作『塔の上のラプンツェル』も同様、ウォルト・ディズニー・ピクチャーズが唯一扱っていなかった正統派プリンセスストーリー『髪長姫』を題材としつつも、プリンセスストーリーの必須条件である「美」を肯定はしていないという一風変わった映画であったと思う。今回はそこを解説。


 本作のテーマは「真実に目を向けさせる」という点にある。
 素晴らしいCG技術で彩られたラプンツェルの黄金の髪の毛は本作において"美しさ"のアイコンである。
 美しさ、すなわり黄金の髪から発せられる光は、人の目をくらませてしまい真実を見失わせてしまう。
 その美は悪役たちを欲望のとりこにし、観客たちにこの映画が「"美しき"プリンセスストーリー」であるとミスリードさせる。
 すなわち美しさは真実から目を逸らさせるのだ。

 しかしながら多くの登場人物たちは、ラプンツェルに出会い、その魔法の力を持つ美しい髪ではなく、その屈託なく笑う愛嬌に惹かれて自分の目を覚まし、真実を見つめだす。
 例えばフリン・ライダーは彼女に恋することで、地に足がついていない夢想から覚め、現実的な夢を見るようになる。近衛兵の指令を脇目もふらず忠実に執行していた堅物の白馬もやがてラプンツェルと触れ合うことで自分の正義を知ることとなる。酒場にいた悪漢たちもラプンツェルと歌うことで本当の自分の夢を見つめる。

 そしてこの問題において、最大のキーマンとなるのは悪役ゴーテルだと思う。
 彼女は不老不死の効果があるラプンツェルの髪の毛を欲し、自らの「美」を保つために産まれたばかりのラプンツェルを誘拐する。以後ずっとラプンツェルには母親と偽って育ててきた。
 18年間の間母親を演じ続けラプンツェルを立派に育てあげたゴーデルとラプンツェルの間には何があったのか想像するのは楽しい。上記のような邪な気持ちで母親を演じて育ててきたのに、なぜラプンツェルはあんなに元気で愛嬌のある性格に育ったのか。二人のやりとりがまるで本当の母娘のような調子なのは何故か。序盤で彼女が歌うラプンツェルの外への興味をそぐための歌が優しく感じてしまうのは何故か。

 その「母親としての演技」がただ自分の美を保つためとはどうしても思えない。
 本作で明言されることはないが、彼女はラプンツェルを前に、母親としての情に目覚めてしまい、母親として醜く老いていくか、若く美しく女として「悪役」を演じるかの葛藤をしている風に感じられる。
 言い換えれば、自分の「真実」がどちらにあるのか、その葛藤に苦しんでいる。だから彼女は何度も「悪役を演じる」という。

 そして最後、塔の上でのフリンとゴーデルの決闘シーンにて、フリンはラプンツェルを塔に縛り付けていた美しい髪を切り落とし、彼女を解放する。ラプンツェルの髪は切り落とすとその魔力と輝きを失ってしまう。若さへの希望を絶たれたゴーデルは憑き物が抜け落ちたかのように灰になって消えてしまう。ゴーデルはそのラプンツェルに対する愛情が美意識よりも劣っていたために悪に堕ちてしまった。
 一方でフリンの決意にてラプンツェルは美(髪の毛)を失うことで愛を得た。ラプンツェルやフリンの中では愛情が美に勝ったのだ。

 しかしながら美しい髪を失ってもラプンツェルのキュートな雰囲気は失われなかった。僕はまだショートカットになった彼女に恋をしていた。「美」が失われて、「真実」が見える。前述のように彼女の魅力は美しさではなく愛嬌であったのだ。
 そして映画はキューピットの格好をした汚い老人が飲んだくれて幕を閉じる。美しくないが、ハッピーエンドだ。


 以上『塔の上のラプンツェル』は、原作はディズニーにとって虎の子である『髪長姫』であり、ディズニーお得意のプリンセスストーリーであったが、そういった題材にもかかわらず、「美」を絶対的には肯定しない新時代のプリンセスストーリーに仕立てあげていると思う。


 で、冒頭の話に戻るけれど、ラプンツェルのちょっとした仕草やデザインや表情に「美を超えた愛嬌」を与えようとする作り手の並々ならぬ熱意が伝わったのであろう。だから僕は彼女に恋したのではないかと思った。


 不満点としては、ディズニーアニメといえばミュージカル、しかし歌が印象的でないのが寂しかったです。

 ディズニーアニメって食わず嫌いしている人が多いそうです。特に男性。表層的に見ると綺麗事ばかり語っている風に見えるからだろうかと思うのですが、けっこうダーティな仕事していると思うので、是非観に行って深読みするといいと思います。おススメですよ。
 あ、あと3Dけっこう良かったです。

 柏木由紀レベル。

 次回は、小難しい中二病映画です。ブラジル作品は扱うの初めてではないでしょうか『名前のない少年、脚のない少女』の感想。
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