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『ファンタスティックMr.FOX』は俺の野獣性がキバを剥くよ。

fantstic mr.fox

 最近やっている意味が希薄になってきたスーパー戦隊の感想はtwitterのほうでやることにしました。よろしく!

 今回はウェス・アンダーソンの新作で、ロアルド・ダール原作のモデルアニメーション『ファンタスティックMr.FOX』の感想です。

 観に行った映画館は、珍しく2回行ったのですね。一度目は新宿武蔵野館。二度目はシネスイッチ銀座。武蔵野館は小さいスクリーンで1日1回だけの上映だったので30分前にチケット買いに行ったら残り4席でした。で、最前列のはじっこで見たのですが、相当キツかったです。しかも当日2時間くらいしか寝れてなく、仕事の後ということもあり、うたた寝…。仕方ないからもう一度シネスイッチに観に行きました。こちらは席数も多く余裕があり終日大きなスクリーンで上映しておりましたので、行くならこちらの方がお得かと思われます。もしくは立川シネマシティ
 客層は若いカップルや友達連れが多かったです。女性が多めかな。オシャレな感じが受けているのかと。


概要:『チャーリーとチョコレート工場』の原作でも知られるロアルド・ダールのロングセラー児童文学『すばらしき父さん狐』(『父さんギツネバンザイ』)を、『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』『ライフ・アクアティック』のウェス・アンダーソンが製作・監督・脚本を手がけて映画化。脚本には『イカとクジラ』のノア・ボーンバックも名前を連ねている。音楽はアレクサンドル・デスプラ。
 子どもが生まれて以来、泥棒稼業から足を洗ったMr.FOX(声:ジョージ・クルーニー)は、妻Mrs.FOX(声:メリル・ストリープ)と息子アッシュ(声:ジェイソン・シュワルツマン)と家族3人で平穏な穴暮らしをしてきた。しかし、人生も折り返し地点に差し掛かり、貧乏で退屈な穴ぐら生活への疑問が芽生え始める。そして、愛する家族のためにもと、丘の上にそびえる大木の家に引っ越すことを計画する。丘の反対側には悪名高い3人の農場主がいるからと大反対するバジャー弁護士(声:ビル・マーレイ)の忠告にも耳を貸さず、家を購入してしまうMr.FOX。ところが、農場で飼育されている動物を前にして、彼の困った野性の本能が目覚め、フクロネズミのカイリ(声:ウォーリー・ウォロダースキー)や甥のクリストファソン(声:エリック・アンダーソン)を誘い再び泥棒を始めてしまう。大切な家畜を奪われ、怒りが頂点に達した農場主たちは、なりふり構わぬキツネ狩りに乗り出すが…。
"allcinema online"より抜粋)


 ウェス・アンダーソンという監督は『天才マックスの世界』『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』『ライフ・アクアティック』『ダージリン急行』と常に"家族の物語"を描いてきた。
 例えば『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』は一家をめちゃくちゃにした父親と元・天才少年たちが家族の絆を再生していく物語だったし、『ライフ・アクアティック』は家庭を顧みなかった大冒険家がもう一度家族を取り戻す物語だった。
 その映像はいつだってクールでスマートでキャッチーで、しかしまた常にすっとぼけたズッコケ要素を忘れない。
 人はどんなにオシャレでスマートであっても間の抜けたアニマル丸出しのスタイルでウンコをするのだ、とウェス・アンダーソンは言っているのではないだろうか?

 そして「間の抜けたスタイル」が表す"人間の本来的な姿"こそ、彼が描く、人の最も原始的な営みであるところの「家族」が象徴するものであろう。

 その点において「文化的な生活にて野生性を失ったキツネが自分の本分を取り戻そうとする物語」である本作はウェス・アンダーソンのフィルモグラフィーの中でも、最も"らしい"映画になっているのではないだろうか。


 本作を構築する素材はそれはもうオシャレでスマートでかっこいい。
 例えば主人公Mr.FOXやネズミ(声:ウィリアム・デフォー)の衣装、ビーチボーイズなどの選曲センス、リリカルな色彩、それだけでこの映画の価値は十分にあると思う。しかしこれだけで映画を構成すれば単なるかっこつけたオシャレ映画止まりであろう。

 しかしウェス・アンダーソンはここでかなりの"ズッコケ要素"を投入する。
 例えば、『コララインとボタンの魔女』のようにもっとスムースになるはずなのにわざとぎこちなくしてあるアニメーション。
 例えば声優たちの無感情にも思える棒読み演技。
 例えばフクロネズミがいつの間にか泥棒の片棒をかついでいるような唐突な展開。
 例えば何故か突然挿入される子供たちの理科の実験シーンや音楽を入れるタイミングなどのいい加減にも思える編集。
 例えばカメラに付随するズーム機能を多用した素人っぽいカメラワーク。
 例えば「今そこで?」とツッコミを入れたくなる唐突なオフビートなギャグ(フクロネズミ関連で多い)。

 これらのズッコケテクニックをあえて全体的に散りばめることで、なんとも素っ頓狂な出来にしてある。

 この素っ頓狂さが擬人化され水準の高い文化的な生活を営んでいるキツネたちの本来的な姿を浮き彫りにする。
 更にこのことを端的に表すのが、登場キャラクターたちの顔立ちだ。
 スマートなスーツに身を包みポッシュに立っているオシャレでキュートな彼らだが、アップになると怖い。意外なほどに本物のキツネに似た顔をしている。
 ついでに言うと彼らの食事が異常に汚いのも野獣的である。


 家庭を持ち泥棒から足を洗い新聞記者として生計を立てているMr.FOXはかつて泥棒として活躍していたころが忘れられない。泥棒が自分の野生動物としての本来的な姿であると。それを諫める妻のMrs.FOXも、ネズミ曰く、かつては尻軽であったという。
 しかしながら「泥棒」も「フリーセックス」も動物の本来的な姿である。

 またMr.FOXは息子アッシュが「変」であることをむしろ誇りに思っている。自分や文化的に馴染んでしまった他の穴熊や野鼠、ウサギ、ビーバーたちは個性的な能力(「変」)を忘れてしまっているからだ。
 だから彼ら穴蔵に棲む動物たちがその能力を活かして農場主たちに立ち向かおうとするときMr.FOXは彼らを、その特性を端的に表す学名で呼ぶことで鼓舞する。


 やがて事件が解決したときナチュラルな野獣的な生活スタイルを欲していたMr.FOXは、しかしながら高度に発達した穴ぐらのシステムと、血筋や種を越えてそれでもきちんと成立している「家族」の姿に気がつく。

 どんなに足掻こうが文化は時と共に変質する。文化と生活はもちろん切り離せない関係にある。家族の概念も形も変わっていくであろう。
 しかしながらキツネたちやおそらく我々は、その生活の基盤に家族を持ち、家族を愛して日常の基礎を築いていくことには変わりないはずであると。どんなにスマートに振る舞おうが、キツネはキツネ、食べ方は汚いし、我々は間の抜けたスタイルでウンコをするのと同様に。

 以上、『ファンタスティックMr.FOX』は、擬人化されたキツネのモデルアニメーションによって、高度な文化の中に残る本来的な野獣性を描き、変質していく文化の中でも結局生活の基盤である家族はいつまでたっても家族であると述べていると感じた。


 ウェス・アンダーソンが子供向けアニメを撮ると聞いてただ事ではすまないとは思っておりましたが、計算されつくしたとても楽しくキュートで下品でクレバーな映画に仕上がっていると思います。オモチャ出ないかな。

 宮崎あおいレベル。

 次回はジャック・タチの脚本を『ベルヴィル・ランデヴー』のシルヴァン・ショメが映画化しました『イリュージョニスト』の感想。

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テーマ:映画館で観た映画 - ジャンル:映画

  1. 2011/04/04(月) 14:51:08|
  2. 映画ハ行
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
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