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『オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』は比類なき王道路線だよ。

オールライダー

 待たせたな!今回はもはやそこまで有り難いお祭りごとには感じられなくなってしまった過去の仮面ライダー全員集合シリーズ『オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』の感想です。

 観に行った映画館は新宿バルト9。初日でかつファーストデイだったのでいちばん大きいスクリーンで満席でした。事前にネット予約して観に行ったのですが、電車は止まるわ、発券機に並ぶわ、エレベーターは混むわで結局スクリーンについたのは予告編が終わるくらい。スクリーンに入った所、暗闇の満席の中で自分の席を探すのは困難、しかもおそらく僕の席であろう席には集団でちびっ子が座っていて…。仕方ないから泣き寝入りして空いていた前の方に座りました。前から2列めだったのですが、全然見にくくはなかったです。
 客層は大人も子供もお姉さんも。国民的ヒーローのパワーを思い知りました。


概要:『仮面ライダー』シリーズ40周年記念作品。監督は金田治、脚本は米村正二、プロデューサーは白倉伸一郎・武部直美と、まぁいつもの平成ライダーの布陣。
 モールイマジンと戦っていたオーズ(火野映司/演:渡部秀)は、デンライナーでやってきたNEW電王(野上幸太郎/演:桜田通)と合流し、モールイマジンを追って“1971年11月11日”へと向かう。どうにかモールイマジンを倒して“2011年4月1日”へと戻ってきた映司たち。ところが、そこは悪の秘密結社ショッカーが支配する世界となっていた。しかも、仮面ライダー1号(本郷猛/演:藤岡弘、)、2号(一文字隼人/演:佐々木剛)までもがショッカー怪人に。実は、映司たちと一緒に過去へ向かったアンク(三浦涼介)がセルメダルを落としてしまったことで歴史が書き換えられていたのだ。映司はライダーのいなくなった現在に残りショッカー怪人たちと戦う一方、幸太郎たちはデンライナーで再び過去へ飛び、歴史を戻すべく奔走する。
("allcinema online"より抜粋)


 養老孟司がテレビで「人の肉体は日々変化していく。今、身体を構成している細胞は来年はほとんど残っていない。しかし人の内面(魂)は不変のはずである」と言っていた。
 40年の歴史を持ち、様々な変容を遂げてきた『仮面ライダー』シリーズだが、その内面はどうだろうか。「仮面ライダーオーズ タマシーコンボ」なるオーズの新フォームも登場する本作はそういったシリーズの内面(魂)の不変さを描いていると思う。言い換えれば『仮面ライダー』というその後40年間続くことになる1971年のテレビ番組とそれを支えた子供達、そしてこの番組を40年間支えたファンたちをきちんと尊重した意識が根底にあると思う。そこを考えていきたいと思います。


 この映画、後述するように不満は腐るほどあるのですが、結論としてはとても楽しめました。最近涙脆いというのもあるのですが、今回の映画でも、仮面ライダー一号・二号の登場シーン以降ぼろぼろ泣いて涙が止まりませんでした。


 まあ例によってあまり『仮面ライダー』の映画って期待していないんですね。惰性というかコレクター根性で毎回観に行っているって時が多くて。まぁむしろ文句つけるのも楽しいみたいなところもあるのですが。
 去年の映画だと、『仮面ライダーW FOREVER AtoZ 運命のガイアメモリ』『仮面ライダー×仮面ライダー オーズ&ダブル feat.スカル MOVIE大戦CORE』『W』編は良かったけれど、『電王』シリーズの惰性で続けたような3つの劇場版『超・電王トリロジー』『MOVIE大戦』『オーズ』編は…。
 しかも過去のライダー全員集合はすでに『ディケイド』の本編と2回の劇場版でもう食傷気味だし。

 で、『仮面ライダーディケイド』の反省点としては、(テレビシリーズはまだマシだったけど)劇場版ではただ過去ライダーを出しただけで、設定無視、お約束無視、そのライダーの作品としてのこだわりすら無視と、まるで『仮面ライダー』という番組に愛を持って描かなかったことにあったと思うのです。
 しかし今回は元祖『仮面ライダー』の世界が舞台。男の子なら皆がある程度その設定や雰囲気、世界観を知っている仮面ライダー一号・二号がショッカーと対決していたあの世界に電王たちが向かうという物語であり、そもそも元祖『仮面ライダー』が設定をきちんと守ろうなんて意識がからっきしない番組だったので多少の齟齬は許されてしまう。
 まあ細かいこと言うと、ブラック将軍はショッカーではなくゲルショッカーの幹部でショッカー戦闘員と一緒にいるのはおかしいとか、なんでショッカーの時代にカメバズーカがショッカー怪人としているんだよ、とか。
 あと大神官ダロムがシャドームーンよりエラそうなのはおかしいだろとか、なんでモモタロスが良太郎介さないで直接変身してんだよとか、『J』の悪役フォグや、『アギト』の悪役アンノウン、『剣』の悪役アンデッドあたりは志がショッカーなどの悪の組織とはまるで違うのに悪にひとくくりにしてしまうのはいくらなんでも暴力的やすぎないかとか、あるにはある(というかたくさんある)のですが、まぁそういうの突っ込んでいたら、『仮面ライダー』なんて見れやしないし、そういう齟齬も元祖『仮面ライダー』らしいということにして今回は目をつむります。


 元祖『仮面ライダー』と言えばヒーロー特撮では元祖『ウルトラマン』と並んで最もメジャーな番組だと思うのですが、最メジャーゆえに完全に定番化・ひな形化したストーリー運びがあって、後の『仮面ライダー』シリーズは如何にそれを今っぽくアレンジして踏襲するか、もしくは如何に破壊するかに試行錯誤していた歴史だと思います。
 例えば『仮面ライダーX』はこのようなひな形をハイエイジ(といっても小学校高学年~中学生程度)の鑑賞に耐えうるようにアレンジしていたし、『(新)仮面ライダー』は如何にもう一度そのひな形を当時のように展開していくかを追求していたし、『仮面ライダークウガ』はこのようなひな形を踏襲しつつそこに如何に現代的なリアリティや整合性を持たせるかに腐心していたし、『真・仮面ライダー<序章>』『仮面ライダー響鬼』はそのひな形を如何に崩し新たなステージを築くかを頑張っていたと思う。

 で、今回の『オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』は40周年ということで敢えてその"定番パターン"を当時のままにスケールだけ大きくして再現している。

 その"定番パターン"とは、特にいわゆる"新1号"が登場したシリーズ後半からに散見されるのであるが、

 「1.ショッカーの新たな作戦・怪人」
→「2.子供たちがピンチに」
→「3.ギリギリのところで仮面ライダー登場。当面のピンチは免れるが怪人が強くて敗退し更なるピンチへ」
→「4.特訓や作戦でリベンジして怪人撃破」


 …といったような定番化しすぎて今更書くまでもない展開。基本的にメインの視聴者層のちびっ子の視点を意識して、そのニーズに呼応するような形で作風を変えていった結果、シリーズ後半にてこのパターンは定着したのだと思われますが、本作はこれをスケールアップしてきちんと描いている。
 この古くささには嫌悪感を示す人もいるだろうけど、「仮面ライダー40周年記念」と銘打たれた作品において、これ以上適した物語展開もないと思う。


 まず「1.ショッカーの新たな作戦・怪人」だけれども、今回は『仮面ライダーオーズ』のメダルが2011年からデンライナーによってショッカーが跋扈する1971年に送られてしまったことで、ショッカーは史上最強の怪人ショッカーグリード(声:石川英郎)を誕生させ、これによりショッカーは打倒仮面ライダーおよび世界征服を狙うという、作品の垣根を飛び越えて実現できたスケールの大きな作戦となっている。

 続いて「2.子供たちがピンチに」。『仮面ライダー』後半からは"少年ライダー隊"という、ライダーのサポートのために活躍する子供達が登場した。先に「メインの視聴者層のちびっ子の視点を意識して、そのニーズに呼応するような形で作風を変えていった」と書いたけれど、彼らは視聴者の子供たちを代弁する形で登場させられ、視聴者の視点を代表するキャラクターであったのだが、シリアスな戦いの中での彼らの活躍はリアリティを損なうし、結局誘拐されたり洗脳されたりで足手まといになってしまったりする展開が多く、あまりファンには好かれていなかったようで『仮面ライダースーパー1』のジュニアライダー隊以降シリーズに登場することもなくなっていた。が、今回は彼らも復活する、しかし例によってライダー達の脚を引っ張る。彼らについては後述。

 続いて「3.ギリギリのところで仮面ライダー登場。当面のピンチは免れるが怪人が強くて敗退し更なるピンチへ」。冒頭に書いた「泣いてしまったシーン」とはここのこと。
 僕は初代『仮面ライダー』世代ではないのですが、あまりに聞き覚えがある「出たなショッカー」の野太く勇ましい声はもちろん知っている。2011年から突然1971年に放り込まれ、わけのわからない危険思想の悪の組織に殺されかけていた子供達の視点になっていた観客(スケールアップした不安感)に、この定番化されすぎた声がどれだけ安心感をもたらすか。
 当時の『仮面ライダー』らしくて気にいった点としては「あれは発信機つきのメダルだったのだ」「先ほど手放したのは偽物のメダルだ、本物はすでに云々」などの昭和ライダーらしいショボい騙し合い
 しかし、ここにおいて『仮面ライダー』シリーズにおいて最大のピンチが訪れる。
 仮面ライダー一号と二号がショッカー側に回ってしまったのである。 
 『仮面ライダー』シリーズにおいて、そのヒーローとしての能力は敵組織の能力を借用しているものがほとんどである。大体が怪人の力を使うことで仮面ライダーへと変身している。例えば『仮面ライダー』ではご存知の通り、主人公本郷猛はショッカーに改造手術を受けているし、『仮面ライダーオーズ』は敵であるグリードを構成しているメダルを使って変身するし、『仮面ライダー555』では怪人にならなくては仮面ライダーへと変身できなかった。では仮面ライダーと怪人とで違う点は何か。初代『仮面ライダー』においては、それは脳改造を受けなかったこととされる。脳を改造されなかった故に、怪人にならずにすんだ。しかしながらこの度ショッカーグリードに破れてしまった仮面ライダー一号・二号はショッカー怪人として再改造を受けて人間の前に立ちふさがることとなってしまう。
 そして「更なるピンチ」は最大級のスケールとして、ショッカー念願の"世界征服"へと繋がっていく。

 で、クライマックス「4.特訓や作戦でリベンジして怪人撃破」
 ショッカーが世界を征服している2011年にやってきた主人公一行は、そこで決死の覚悟でショッカーに立ち向かうが、ショッカーは他の悪の組織も併合し、NEW電王、オーズ、モモタロスたちだけでは太刀打ちのしようがない。
 そこに先ほどの少年ライダー隊の再登場が活かされてくる。ひとり1971年に残されてしまったナオキ(吉川史樹)は、タイムカプセルに「仮面ライダーは正義の味方であってほしい」と望む手紙を入れる。それは40年前から現代まで変わらない子供(と、もと子供)の願いである。
 平成になって「悪の仮面ライダー」なんてのもたくさん登場したけれど、基本"仮面ライダー"は日本における正義の味方の代名詞である。『仮面ライダーW FOREVER AtoZ 運命のガイアメモリ』で悪の仮面ライダー"エターナル"と主人公"ダブル"の違いは街を守りたいか否か、街の人々に応援されているか否かであった。脳改造されているか否かではない。 

 『仮面ライダー』シリーズは40年間の歴史の中で時代も設定も作風もニーズも世代も散々変わってきた。
 しかし仮面ライダーへの思いは40年前より変わっていない。シリーズのファン(多分大多数の日本人男子)は、1971年の少年ライダー隊と同様の感情でその時の『仮面ライダー』を応援しているのだ。

 そして1971年に取り残され少年ライダー隊として暗躍しながら40年間「仮面ライダーは正義の味方であってほしい」と願い続けたナオキは仮面ライダー一号・二号の洗脳をついに解くことに成功する。
 そこで今回のおやっさんポジションのデンライナーのオーナー(石丸謙二郎)は「時代が望む時、かならず仮面ライダーはあらわれる」という石ノ森章太郎の発言を繰り返す。常に脚を引っ張り続けた少年ライダー隊は確かに役立たずであった。しかしながら彼らは視聴者の代表であり、仮面ライダーを求め続け、仮面ライダーをその時代に復活させ続けたという点で最大のサポートをし続けてもいたのだ。本作においてわざわざ少年ライダー隊を復活させた意味はここを描く点にあるのだと思う。

 そして観客の求めに応じるように、仮面ライダーV3(声:宮内洋)が表れる。そしてライダーマン、X、アマゾン、ストロンガー、スカイ、スーパー1、ZX、BLACK、BLACK RXという昭和ライダーの面々がギャラリーの声援と共に勇ましく登場。更には真、ZO、J、クウガ、アギト、龍騎、555、ブレイド、響鬼、カブト、キバ、ディケイド、そして風都では左翔太郎(桐山漣)とフィリップ(菅田将暉)が颯爽と登場し仮面ライダーWに変身。
 そんなの、いくら演出がチャチだろうが、涙腺緩まない方がどうかしているぜ。


 以上、『オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』は1971年の元祖『仮面ライダー』から現代まで続く王道のストーリーラインを踏襲することで、『仮面ライダー』シリーズを支え続けた40年分のファンの思いという本シリーズの変わらぬ「魂」を作品内に取り入れ、40周年らしい盛り上がるお祭り映画に仕立て上げていると感じた。


 で、不満点は例によって腐るほどあるんですね。
 例えばなんだかヌルいアクション面。せっかくなんだから『仮面ライダーW FOREVER AtoZ 運命のガイアメモリ』『仮面ライダー the first』くらいの素晴らしいアクションを取り入れてほしかったところ。戦闘シーンで印象的なショットがまるでない。
 あと終盤、あれだけ歯が立たなかったショッカーグリードを一号・二号が倒せた理屈がただ皆の声援を受けてっていうのは釈然としない。精神論でなんでも片付けようとするのは『仮面ライダー』の悪いクセ。
 あとその声援シーン、公開処刑の場所なんですが、エキストラがひどく安っぽいし、リアリティもない。例えば妙にニヤニヤして照れていたり、やたらと目立とうと演技している人がいたり。逆に携帯で写真撮ってる人がいないのも不自然。あと声援がヒョロい。
 今回いちばん見せ場がなかったのが悪の幹部達たち。ほとんど何もやっていないままライダー達に撲殺されるし、もっとひどいのが『劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー』に登場した新生キングダーク。立ち上がった瞬間、更に巨大な岩石大首領が立ち上がる巻き添えを食らって他の幹部同様に奈落に堕ちていく。ええええ?お前なんだったの?
 そんな岩石大首領も仲間殺しただけで、何もしないで1分で珍走団のごときオールライダーのバイク突撃でやられるし…。
 あと30分尺を伸ばして、アクションをきっちり描いた"ディレクターズカット版"を出してほしいです。XやJとキングダークの対決とか見たい。
 あとまさかの登場のキカイダー、キカイダー01、イナズマン、怪傑ズバットも単なるファンサービス以上のものはなく、出ただけ。それならば35周年で同時にキャンペーン中のスーパー戦隊出した方が映画の宣伝やリンクにもなるし建設的なのではないかと。
 あとあとスーツのボロさ。1号・2号くらいは新調してほしかったな。ジャージ感丸出しだし。ストロンガーのプロテクターとか、キカイダー01の透明パーツとかボロすぎて見てらんなかった。

 ストーリー的な不満点では、なんで冒頭ミツルに40年前の記憶があったのかという点の実に平成ライダーらしい未回収っぷりとか、終盤明らかにされる一号・二号の作戦で被害にあった人たくさんいそうですね、とか。


 まぁ不満が多いのはいつものこと、やろうとしていることは面白いのにそれを表現する手腕が追いついてないのが非情に残念です。そのへんを気にしないでみれる大人(もしくは子供)の視点をお持ちなら、とても楽しめる作品だとおもいます。特に『仮面ライダー』に少しでも思いいれがある人ならば。いい映画というわけではありませんでしたが、お気に入りの映画です。

 竹内由恵アナレベル。

 次回はカズオ・イシグロ原作の話題のSF映画『わたしを離さないで』の感想です。

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村枝 賢一

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 読みづらかったので書き直しました。(2011/05/05)
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  1. 2011/04/07(木) 18:26:03|
  2. 映画ア行
  3. | トラックバック:8
  4. | コメント:3
<<『わたしを離さないで』は無自覚に卑屈だよ。 | ホーム | 『イリュージョニスト』は新しい1950年代だよ。>>

コメント

緩急

ぬるい所はもうしょうがないとして、熱い所はちゃんと抑えた、という感じで、同じく好感を持ちました。
それにしても、あれくらいタイム・パラドックスをあっけらかんと「まあ、いいじゃん」と見逃してしまう脚本ってのも珍しい。
  1. 2011/04/17(日) 15:40:34 |
  2. URL |
  3. ふじき78 #rOBHfPzg
  4. [ 編集 ]

Re: 緩急

>ふじきさま

 こんにちは。確かに、『仮面ライダー』ってなんかみんな甘くなっちゃいますね、評価。
 これも国民的ヒーローのなせる力技なのかしら。
  1. 2011/04/19(火) 00:51:09 |
  2. URL |
  3. かろプッチ #-
  4. [ 編集 ]

承認待ちコメント

このコメントは管理者の承認待ちです
  1. 2016/01/17(日) 14:34:21 |
  2. |
  3. #
  4. [ 編集 ]

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