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『SOMEWHERE』はセレブの清貧論だよ。

サムウェア

 ちょっと映画の感想が溜まっています。
 今回はソフィア・コッポラの新作映画『SOMEWHERE』の感想。

 観に行った映画館は吉祥寺バウスシアター。毎週月曜日のメンズデー割引で1000円で見て参りました。残念ながらいちばん小さい館での上映でした。ちぇ。客層はそんなわけで男性の一人客が多め。小さいシアターながら始まって間もないこともあり、場内は割と混んでました。


概要:監督・脚本は『ヴァージン・スーサイズ』『マリー・アントワネット』『ロスト・イン・トランスレーション』のソフィア・コッポラ。製作総指揮にフランシス・F・コッポラ、製作にロマン・コッポラ、G・マック・ブラウン、音楽はフォニックス。2010年のヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞作。
 ハリウッドの映画スター、ジョニー・マルコ(スティーヴン・ドーフ)。ロサンゼルスのホテル“シャトー・マーモント”を住まいに、高級車を乗り回してはパーティーで酒と女に明け暮れ、まさにセレブらしい派手な生活を送っていた。しかし、それはいずれも孤独な彼の空虚感を紛らわすだけに過ぎなかった。ある日、ジョニーは前妻と同居する11歳の娘クレオ(エル・ファニング)を夜まで預かり、親子の短いひとときを過ごす。それからほどなくして、自堕落な日常へ戻っていた彼の前に、再びクレオが現われる。前妻が突然家を空けるため、今度はしばらくの間、娘の面倒を見ることに。やがて、授賞式出席のためクレオと一緒にイタリアへと向かうジョニーだったが…。
("allcinema online"より抜粋)


 本作の冒頭は、主人公ジョニーの乗る車がくるくると同じ乾ききった更地を何周もする印象的で退屈な映像からスタートする。
 もちろんこれは、地に脚がつかないフワフワとした不毛の生活に焦燥感を覚えるジョニーの心境を表している映像であり(車に乗ってれば地に脚がつかない)、また本作がドラマチックな展開などあまり起きないことを示唆している。


 ジョニーはちょっとした人気俳優。毎晩女をとっかえひっかえ、何もしなくても向こうからおっぱいをさらけ出してくれるし、毎晩どこかしらでパーティーで飲んだくれて、U2のボノも泊まっていた自宅代わりのホテルにはポールダンサーをデリバリー、エレベーターで出くわしたベ二チオ・デル・トロと軽口を交わし、イタリアに呼ばれたらプール付きの部屋(「ジェラートを全種二つづつ運んでくれ」)、いわゆる僕らが想像する"セレブの生活"だ。

 しかしその生活は、まるでジョニーの右腕に巻かれたギブスのように、生命感を封じ込められている感じ。ひたすらむなしく無意味。ポールダンサーがせっかくサービスしてくれているのに、パーティーでびっくりするほどの美女を引っかけれてパンティまで脱がしたのに、いつの間にやらうたた寝してしまう。


 そういえば、ソフィア・コッポラはいつの間にか「コッポラの娘」という肩書きで呼ばれなくなった。それだけ映画監督として自分のカラーを確立している証であろうが、本作に、僕らが期待しそうな『ヴァージン・スーサイズ』『マリー・アントワネット』で見たようなソフィア・コッポラらしい映像はかなり抑えられている。例えば清涼感や透明感溢れる逆光を多用した静かなのに躍動感ある描写、キャッチーでキュートなファッションやお菓子のショット、ちょっとしたセンスのロックの選曲、リズミカルな編集。そういったものを期待するともしかしたらガッカリするかもしれない。
 本作はザラザラと乾いた映像が、ただ砂埃だけが舞うような平坦な地に延々と続くように起伏なく流され続ける。それはむなしく無意味な生活を浪費して、自分の生命を感じられないジョニーの心境を表している。

 ジョニーはメイク合わせのためにある特殊メイクスタジオに行く。そこで視界を奪われている間に特殊メイクは完成しているのだが、目を開けてゾッとする。そこにはたった数十分で老人に変化してしまった自分がいたのだ。
 まるでリアルな悪夢を見ているかのようであったが、しかしこのことに対し彼はなんらアクションをとらない。
 ただ日常を浪費していくことに忙しく、劇映画らしい感情の変化や生活スタイルの改革などは起きない。


 ジョニーが一時的に変化するのは一人娘クレオと一緒にいる時だ。
 別れた妻の失踪で娘とともにイタリアに行くことになったジョニーはそのたった数日の生活においてだけ、自分の潤った生命を実感できる。
 そして彼の腕を縛りつけていたギブスは粉砕されて、中からは生命力溢れる垢と汗の臭いが現れた
 更に冒頭に登場した車は故障し、クレオと共にはじめて自分の脚を地につけて歩く。

 そして映画はようやくたった5分ほどだが、いつものソフィア・コッポラらしい映像を取り戻す。プールサイドでの下手な卓球、燦々と照るさわやかな太陽、ライトブルーの空、みずみずしいライチジュース、水中カメラにて撮影されたプールの中で無邪気に遊ぶカラフルなワンピースの水着のクレオ、BGMはソフトロック。わあガーリー!


 しかし依然としてこの物語にカタルシスは訪れない。せっかくのソフィア・コッポラらしい雰囲気もクレオがキャンプに行っていなくなってしまったことでまた乾いた映像に戻ってしまう。
 車はいつの間にか修復されている。

 そしてクレオと別れ何もなくなってしまったジョニーはまた不毛の日々を過ごし、その不毛な時間の中で、スターとして往年の平家のごとく驕っていたかつての自分を知り、「俺は何者でもない」と泣き叫ぶ。
 クレオと共に過ごすことに生活の潤いを見いだしたジョニーは、いくら金があろうといくら女にモテようと、人は個では存在し得ないことを痛感する。


 そして冒頭の車むなしくくるくると走らせるシーンと対応するように、車を真っ直ぐ走らせ、更に車を止めて地に足をつけて歩き出す。
 彼をとりまく問題は具体的には何ら解決はしていない。そもそも問題などないのかもしれない。しかしながらジョニーは漠然とした乾きから解放され潤った生活を実感できるだろうという希望には溢れている。


 以上、『SOMEWHERE』はセレブな生活を描きながら、金や容姿よりも人が人と共に過ごすことの大切さを描いていると思う。


 不満点はいくつかあって、『ロスト・イン・トランスレーション』にも言えたことだけど、外国に対する偏見。『アバター』なんかもそうだったけど異文化に対してどこか上から目線な感じが気になった点。

 あとセレブ中のセレブなソフィア・コッポラが金や容姿よりも人との関わりが大事とか描いても欺瞞くさく感じてしまう点。

 それと、地味なのは別にいいのですが、地味なら地味でもうちょい深く切り込んできて欲しかったなと。似たような日常性というテーマを感じた『台北の朝、僕は恋をする』の方がキャッチーなぶん伝わるものがあったかなと。


 つまらない映画ではありませんが、もうちょっと描く余地はあっただろうなと思いました。
 ああエル・ファニングはとても可愛いらしくなっています。美人に育つかな?

 深田恭子レベル。

 次回は『ザ・ファイター』の感想に決まってんじゃないですか!!
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テーマ:映画館で観た映画 - ジャンル:映画

  1. 2011/04/12(火) 02:04:45|
  2. 映画サ行
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