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『ガリバー旅行記』を見て自信回復だよ。

ガリバー

 今回はゴールデンウィークではいちばんの大作扱いになるのかな。話題作『ガリバー旅行記』の感想。

 観に行った映画館はTOHOシネマズ六本木ヒルズ。この手の子供向け映画はあまり入りが良くなく、がらんとしていました。一人客か女性客が多め。


概要:ジョナサン・スウィフトの古典風刺小説を現代風にアレンジして映画化。監督は『モンスターVSエイリアン』や『シャークテイル』のロブ・レターマン。実写ではこれがデビュー作となる。脚本は『シュレック』シリーズのジョー・スティルマンとニコラス・ストーラーという人。音楽は『キック・アス』のヘンリー・ジャックマン。
 ニューヨークの新聞社に勤める郵便係のガリバー(ジャック・ブラック)。失敗を恐れるあまりチャレンジ精神に欠け、記者になる夢も片想いの成就も実現できずにいた。そんなある日、謎の三角海域バミューダ・トライアングルの取材という大きな仕事を手に入れる。ところが、意気揚々と向かった先で突然の大嵐に巻き込まれ、遭難してしまう。浜辺に打ち上げられたガリバーが気づくと、なんと、たくさんの小人たちによって拘束されていた。彼が漂着したのは、中世の小人たちが住む“リリパット王国”だった。やがてガリバーは、その巨体を活かして王国の危機を救ったことから一躍ヒーローに。居心地の良さにすっかり調子に乗るガリバーだったが…。
("allcinema online"より抜粋)


 ジャック・ブラックが出ている映画はついつい見てしまうのだが、彼の魅力とはなんだろうか。
 例えばそのユニークな体型をパワフルにエネルギッシュに体力の限界まで振り回すアクションは、チャップリンが道を歩くだけで笑えたのと同様に、その存在だけで笑いを誘う(本作でゴールデン・ラズベリー主演男優賞にノミネートされたそうだけど)。
 またその体躯をフルに活かして『スター・ウォーズ』だのロックバンドだの様々な引用を駆使する彼は、ポップカルチャー漬けのサンプリング世代---すなわち我々のような存在(オタクといってもいい)の、アイコンである。


 本作は「大きさとは」について描かれる。
 『ソーシャル・ネットワーク』でも使用されていた、ティルトシフトレンズという特殊なレンズを使う「逆ティルト撮影」によって、被写体をまるで模型のように見せる撮影方法で描かれた冒頭のマンハッタンの街並みはとても小さく見える。

 ガリバーは自分に自信がなく、会社ではつまらないジョークと好きな映画やロックのパロディを披露し威勢をはり、好きな女の子ダーシー(アマンダ・ピート)に声もかけられない小物であるが、リリパット王国ではその身体のサイズの大きさから自信にみなぎり"大物"となった。このように「大きさ」とは相対的なものである。

 冒頭ガリバーは陽気に見せながら自分の趣味に閉じこもるしかできない男性だった。自分の自信の無さを、『スター・ウォーズ』のパロディでルークやダースベイダーに成りきることや、ロックスターに成りきることでカバーしていた。
 そして彼は頼まれた旅行記事を自信の無さから書けず、旅行ガイドブックの記事を"丸写し"してしまう。

 しかし、ガリバーのその心情は我々サンプリング世代の後ろめたさを表している。
 新しいものをイチから作り出すことをあきらめ、過去の名作を切っては繋げ切っては繋げて新しいものを作り出してきた90年代以降の若者世代は、そこにいくらかの後ろめたさがある。それは創作ではなくただ他人のふんどしで相撲をとっているだけなのではないかと。先述したようにジャック・ブラックはサンプリング世代のアイコン的な存在とも言える。そこにおいて、彼のコンプレックスからくる「サンプリング芸」は我々の自信のなさを表している。


 リリパット王国に漂流したあとも彼のサンプリング芸ははじける。自分を王子といつわり、自分の自伝として『スター・ウォーズ』『タイタニック』『アバター』の物語を語って聞かせ、何も知らない国民をワクワクさせる。

 大きさとは「自信」と比例する。リリパット王国でその巨大な身体から絶対的な自信を抱いていたガリバーはビッグに見られていたが、自分より強い存在の登場からへっぴり腰の弱虫であることが露呈され、ダーシーの登場で今まで偽ってきた嘘が全て明らかにされてしまい自信を一気に喪失、罰として送られた「呪いの島」はガリバー以外が全員巨人という彼の自信も尊厳も全て奪いとってしまうような世界であった。

 『英国王のスピーチ』で主人公が吃音を治せたのも「自信」であったが、その自信は療法士と友達になるという方法で築き上げたものだ。
 全ての自信を喪失し巨人の国で赤ちゃんの格好をさせられていたガリバーを救ったのも友達ホレイショ(ジェイソン・シーゲル)であった。ガリバーの嘘やサンプリング芸で我々観客がケタケタ笑えたように、彼のそういった性格に勇気づけられ彼を信じてくれた友人たちがホレイショをはじめリリパット王国にはたくさんいた。
 友人のそんな信頼を背に受けて自信に満ち溢れたガリバーは、はじめて自分以上の"ビッグな"力を発揮する。そこにバカバカしいながらもウルッときてしまった。


 本作の最後にジャック・ブラックはもう一度『スクール・オブ・ロック』ばりのサンプリング芸(エドウィン・スター『黒い戦争』)を披露して大団円を表現するが、観客はそれを見てサンプリングに自信を持てるかもしれない。それは人のふんどしではない、もしそれに自信があるのならばそれは立派な創作であると。この映画が古典小説のアイデアをただ"丸写し"したものではなくきちんとした創作に仕立てあげているように。

 以上『ガリバー旅行記』はいつまでも自分たちの世代の創作物に不信感を抱いてしまうサンプリング世代に自信を抱かせてくれる作品だったと感じる。


 このブログのクセで小難しく理屈っぽく考えた感想を書きましたが、おそらくへらへら笑って、見たあとスッキリするのがこの映画の正当な見方だと思われます。大変愉快な映画です。おススメ。

 まゆゆレベル。

 次回はザック・スナイダーのガールズアクション映画『エンジェル・ウォーズ』の感想です。
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  1. 2011/04/22(金) 17:26:41|
  2. 映画カ行
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