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『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』は楽しそうで羨ましいよ。

パイレーツ

 今回は『パイレーツ・オブ・カリビアン』の第4作目『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命(いのち)の泉』の感想です。
 ちなみに『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズ、あんまり思い入れがございません。ジャック・スパロウは嫌いじゃないんだけれど。

 観に行った映画館はTOHOシネマズ六本木ヒルズ。公開して間もなかったのでそこそこ混んでいました。カップルと子供連れの外国のお客さんが多め。いちばん大きなスクリーンで見たのですが、あそこは3Dを上映するにはスクリーンが大きすぎて、かなり薄暗くなってしまうので、3D鑑賞には向きませんね。


概要:2011年のアメリカ映画。ディズニーリゾートのアトラクション『カリブの海賊』をモチーフにしたアドベンチャー映画第4弾。監督は『シカゴ』『SAYURI』『NINE』のロブ・マーシャル。製作はジェリー・ブラッカイマー、脚本はテッド・エリオットとテリー・ロッシオ、音楽はハンス・ジマー。
 相棒ギブス(ケヴィン・R・マクナリー)を救うべくロンドンに降り立ったジャック・スパロウ(ジョニー・デップ)。彼はそこで、かつて愛した女海賊アンジェリカ(ペネロペ・クルス)と思わぬ再会を果たす。彼女は父親である最恐の海賊“黒ひげ”(イアン・マクシェーン)のために、永遠の生命をもたらすという“生命(いのち)の泉”を目指そうとしていた。ただ一人、泉の場所を知るジャックは、そんなアンジェリカと黒ひげの泉探しの旅に無理やり協力させられるハメに。しかし、泉を目指していたのは彼らだけではなかった。ライバル心を燃やすスペインとイギリスの両海軍も泉の発見を巡り、激しい争いを繰り広げていた。しかも英国海軍を率いるのは、なんと英国王に忠誠を誓い、海軍将校となったジャックの宿敵、バルボッサ(ジェフリー・ラッシュ)だった。そんな中、黒ひげは泉の謎を解く鍵といわれる人魚の捕獲に乗り出す。一方、黒ひげの船に囚われの身となっていた若き宣教師のフィリップ(サム・クラフリン)は、人魚のシレーナ(アストリッド・ベルジュ=フリスベ)と出会い、決して叶うはずのない恋に落ちてしまうのだが…。
("allcinema online"より抜粋)


 『機動戦士ガンダム』の脚本などで知られる星山博之氏は、物語に重要なのは"日常性"であると言って、大宇宙に放り投げられ巨大ロボットで戦争する少年たちの心情をリアルに描写した(ロボットアニメにはヒーロー然とした主人公がほとんどで、これが当時は新鮮だった)。
また初期のモダンを追求するあまりフワフワ浮いていってしまいそうな市川崑作品をきちんと地に抑えつけていたのは和田夏十の描く"日常性"を重視した脚本だった。

 この"日常性"というやつは、登場人物の生活感や生活感情の描写をさし、特にファンタジーやSFなど現実味の薄い作品に特に重要であり、これを抑えておかないと物語はまさに空絵事、物語や登場人物に共感できないままフワフワとどこかへ飛んでいってしまう。

 で、結論から言って本作『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』を僕はあまり楽しめなかった。その原因として、本作に"日常性"が欠如していることが考えられる。今回はそこを解説していきたい。


(1)まず、本作がハリウッド大作映画のストーリー運びの黄金パターンをきちんと踏襲していることを確認したい。
 ――まず
「a.物語の設定説明」
 最初につかみどころのない海賊ジャック・スパロウと、「生命の泉」にたどり着きたいという物語の欲求、その欲求のために立ちふさがる障壁・葛藤が描かれ、観客に作品がどういうものかを簡潔に伝える。

「b.葛藤」
 「生命の泉」までへの障壁がジャックたちの前に立ちはだかる。例えば美しくも恐ろしい人喰い人魚たち、最強の海賊黒ひげ、宿敵バルバロッサ率いるイギリス海軍、同じく生命の泉を狙うスペイン海軍――様々な障壁がストーリーの進行をスムースには進めようとしない。

「c.結末」
 様々な葛藤の末、何が起こり、ジャック・スパロウは何を得たか、そして何を失ったか。(具体例はネタバレになるため割愛します)

 以上のように『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』はハリウッド大作映画の黄金パターンのストーリー運びをしている。


(2)では、『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』のどこが"日常性の欠如"なのか。
 問題は特に上記「a.物語の設定説明」にあると思われる。

 『アンストッパブル』『完全なる報復』『アンノウン』も同様のハリウッド黄金パターンのストーリー運びである。しかしこれらの作品の主人公には、観客の"日常性"とどこかでリンクしている"日常性"があった。共感できる生活臭たっぷりの一般人がヒーローになったり、そこらへんのオジサンが恐ろしき復讐者や暗殺者になったりした。だから観客はぶっ飛んだ物語にも入り込め共感ができたのだ。
 しかし本作には我々の生活と通じている"日常性"が欠けている。それゆえにいまいち共感しづらく、物語にのめり込みづらいのだ。

 例えば、「生命の泉」に行きたいという"物語の欲求"は主人公であるジャック・スパロウの日常性とは乖離している。彼は永遠の命など欲してなく、その欲求と個人の欲求が一致しているのは女海賊アンジェリカないし黒ひげなのだ。
 また前シリーズまでは観客の日常性と地続きの日常性を持つオーランド・ブルームが物語の視点を担うキャラクターとして登場していたが、本作は視点キャラクターが不在、もしくは観客の日常性とはかけ離れトリッキーで何を考えているかわからないジャック・スパロウ自身、もしくは物語の本筋にまるで関わってこない宣教師フィリップが視点を担うため、観客が物語に入り込む余地を塞いでしまっている。
 またジャック・スパロウの目的も不明瞭だ。アンジェリカを愛しているのか否か。黒ひげを殺したいのか穏便にすませたいのか。生命の泉を知っているのか否か。そのミステリアスさが彼の魅力だが、それゆえに"日常性"は無く、作品の弱点ともなってしまっている。

 これらの初期設定の点により、それ以降の「b.葛藤」ないし「c.結末」がいくらエキサイティングし、スクリーンには雄大な風景描写や激しく楽しいアクションや迫力の3D映像が広がろうとも、観客はいまいち作品内にのめり込むことができず、漫然と対岸の楽しげな花火を眺めるがごとき感覚におそわれてしまうのだ。

(※1)ついでにいうと悪役黒ひげも共感しづらいキャラクターであり、だったらいっそのことゴジラとか『ノー・カントリー』のシガーくらい圧倒的に不気味で最強で感情移入ができないキャラクターにすれば良かったけど、大して強そうにも見えず、そこらへんも不満点。

(※2)共感という点では本作の影の主役、黒ひげに執拗で泥臭い復讐をするバルボッサはとてもカッコ良く共感もしやすいキャラクターであった。彼が視点に立てば良かったかも。


(3)では本作がそれでも人気の理由は何であろうか。
 答えはおそらく「キャラ萌え」にある。
 例えば僕のように前シリーズに思い入れがない観客は、本作だけみてもキャラクターの魅力に興味が持続しづらいのだが、前シリーズからのファンにはたまらないだろう。
 だってもう終わったかと思った『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズが復活し、あのジャック・スパロウたちにまた会えるのだから。そしてそういったジャック・スパロウを知っている観客たちにとっては、説明くさい視点キャラクターなど不要だし、それゆえに"日常性"も煩わしくすら思えるかもしれない。

 逆に悪く言えば、ディズニーらしいキャラクタービジネスモデルの典型的な映画とでもいうべきか、キャラクター人気におんぶにだっこしているだけにも見えるのだ。


 以上、『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』は、なんとなく面白そうだし、ワクワクもするけれど、こちらに迫ってくるテーマや問題提起などはなく、ただ向こう岸で楽しげにドンパチやっているのを対岸で眺めているだけ、そんな印象の作品に僕はなってしまったのだと思う。


(4)良かった点ももちろんあります。
 ディズニーランドの「カリブの海賊」が持つとことん楽しげな雰囲気はよく再現されていてやっぱりワクワクするし、恐ろしい人魚の描写もとてもナイス。あと先述したけれどバルボッサの人間くさい極悪っぷりもとても好きです。


 そんなわけで、前シリーズのファンにはもちろんオススメです。別にファンじゃなければ、つまらなさがもっと凄まじい『これでいいのだ!! 映画☆赤塚不二夫』をオススメします。

 道端ジェシカレベル。

 次回はようやく観に行きました。周防正行監督の新作『ダンシング・チャップリン』の感想だい。

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