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「少年ジャンプ」と水木しげると映画とおもちゃと特撮を愛します。

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『コララインとボタンの魔女』は現代的な人形劇だよ。

コラライン 確実に老いがきているわけですよ。
 こういう映画の感想をインターネットにアップしますっての、10代の頃からやっていて、あの頃の文章を読むと、まぁ稚拙も稚拙なんですが、よく固有名詞をぽんぽんあげているんです。まぁ固有名詞を並べれられるのがすげえってわけじゃあないんですが、まぁ最近は固有名詞が出てこない。フランスの映画監督とか超メジャー級ですらまじで出てこない。なんか人名思い出そうとすると必ず出てくるのがなぜか藤岡弘、って名前。

 『ポンヌフの恋人』の監督だれだっけ?
 あぁ藤岡弘、だ。
 『貴婦人たちお幸せに』の主演は?
 藤岡弘、じゃねえかな。
 『ロード・オブ・ザ・リング』で主人公の小人の役やってたのは?
 藤岡弘、が膝で立って演じてたんだよ。

 てな僕の脳内。

 で、今回は主演監督製作も全部藤岡弘、の『コララインとボタンの魔女』の感想です。嘘です。監督は『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』や『ジャイアント・ピーチ』、『モンキーボーン』のヘンリー・セリックですよ、初代仮面ライダーを演じた人ですよ。今回もすげー長いよ。
 
 観た映画館はTOHOシネマズ六本木ヒルズ。金曜の夜と日曜の夜と二回行きました。なぜならほとんど寝ないで観に行った金曜の夜は前半の80分を寝たから。後半の20分くらいしか観ませんでした。仕方なく日曜日の夜にリベンジ。家族連れや若い女の子が多めでそこそこ混んでいました。


ストーリー:ともだちと離ればなれになってアメリカの田舎町にあるアパート「ピンクパレスアパートメント」へと越して来た11歳の少女コラライン(声:ダコタ・ファニング)は、両親にも忙しくて構ってもらえず、一人、空想の世界に浸っているしかなかった。新しい家を探索していると、壁紙の裏に小さなドアがあることを発見した彼女は、やがてそこが夜になると開通し、「違う世界」へ行けることをふとしたきっかけで体験する。その「世界」は現実世界とそっくりで、住人も現実のそれとそっくりだが、違う点が二つあった。まず、彼ら住人たちは、お父さんもお母さんもうるさい近所の子供ボビンスキーも皆、コララインの都合のいいように行動すること。次に、彼らの目はボタンになっていること。
 自分にとって都合のいい世界に大興奮し、その世界の住人になろうとするコララインだが、そのためには彼女の目もボタンにしないとならないと、ボタンの目をした両親に言われ、急に恐ろしくなった彼女は現実世界へ逃げ出そうとするが、この世界は実は子供の魂を収集する魔女が支配する悪夢のような世界だった…。



 ダークファンタジーかつ人形劇の今作ですが、人生で一番最初に感銘を受けた映画が『ダーククリスタル』で、映画館で観た映画の記憶で最も古いものが『オズ』(ヘンリー・セリックが特撮で協力したらしいです)な僕としては、けっこう期待しておりました。
 で、このヘンリー・セリック監督といったらまず『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』なわけで、どうしてもそれと比較をされてしまう宿命にある映画なんだと思うんですね。あの映画は製作、原案、キャラクターに、(ネクラって意味で)最も油が乗っていた時期のティム・バートンが参加していたわけで、その後の『ジャイアントピーチ』もバートン製作だし、彼がノータッチの今作はどうなるのかなって。今回はそこんとこ割り切って比較しながら感想を書きますね。
 で、結論としては、バートンが不在なことや技術の進歩でダークさは少し抜けてしまった反面、より現代や現代的な問題に目を向けた作品になってはいるなって。今回はそんな論旨。論旨ってほどじゃないですね。


 まず、『ナイトメアー』との比較をしますと、第一にあげられるのがキャラクター造形や背景や小道具などの美術の問題。あの当時のバートンが持っていた特有の毒々しさはちょっと失せちゃってはいるんですが、それにしても別の方向でかなり頑張ってはいたかなって思います。これはこれ、あれはあれ。
 例えば、アメリカの過疎地のような田舎っぽさ、コラライン一家の現代人っぽいデザイン。さらに特筆すべきは主役コララインのデザイン。ブスでも美人でもなく愛嬌があって時代や文化に対し普遍性があって、でも今まで他の映画では見なかったようなユニークなキャラクターデザインの素晴らしさが美術の出来の良さの全てを物語っているような。

 続いてアニメーションとしての「動き」なんですが、コララインが出す表情がキュートで子供っぽくて生き生きとしていて素晴らしいです。ボタンの魔女の色気と不気味さと母親っぽさを並立させている仕草もとてもよい。これは16年前の『ナイトメアー』製作当時の技術力では出せなかったと思います。(ただまぁこれには問題もあって、それは後述)
 
 ティム・バートンがいなくて痛手なのは、この手のダークファンタジーなのに、ブラックユーモアは少し控え目になっていてお化け屋敷的なワクワク感があまりないこと。お母さんがボタンの魔女に変身するシーンやネズミのサーカス、ミス・スピンクとミス・フォーシブルの悪趣味なミュージカルはけっこう良かったけど、全体的に毒が薄れている。

 ただ作品全体に毒々しさが失せた反面、現代を見据えた問題性を強めていて「他者との共生によって自分の居場所を作る」ってテーマ性が力強く出てる。そこら辺、バートンがいなくなった強みですよね。当時のティム・バートン、現代を見据えることなんてあんまり興味なさそうだし。マルク・キャロがいなくなって、毒を失った反面、やたらメジャー感を出してきたジャン・ピエール・ジュネみたいな。


 続いて「自分の居場所と他者性」っていう作品のテーマについてもうちょっと深く解説。
 コララインが知らない土地で,両親にも相手にしてもらえず孤独を感じているシーンから物語は始まるが、彼女は冒頭から黒猫に対して「あんた話せるの?」と訪ねたり、木の枝を魔法のステッキと想定したり、自分の世界にこもっている。で、彼女がどっぷりとはまっていく「ボタンの魔女の世界」はそんな彼女の思い通りの世界であり、自分の都合のいい人たちが、自分の都合のいいようにだけ動く、はっきりいって他者が無い世界。他者がいるようで自分しかいない世界。それを象徴するのが、「こいつらは人間でなくて人形なんだよ」っていうボタンの目。
 最終的にコララインは、両親やボビンスキーの他者性を認めていくことで、魔女の試練をクリアして行き、やがて自分の居場所を設けていく。そこら辺の他者性の問題、最近かなりテーマとして描いている作品が多くて、例えばこの間アカデミー賞をとった『ハート・ロッカー』なんかもそういうのをかなり深く描いているけれど、今作でも子供にもわかりやすくそこら辺の問題提起をしている。
 ちなみに前回の「少年ジャンプ」の感想で『REBORN』の都合のいい展開にぶつくさ言ったけれど、あれはまさに主人公たちにとっての「ボタンの世界」に作者が甘んじているからなんです。

 で、ここで一つ不満点なんですが、作中に登場する「ボタンの世界」はその範囲がかなり小さくて、ピンクパレスアパートメントとその周辺だけなんです。これはうちに引きこもっているコララインの心情風景なわけで、物語のエンディングにて、彼女が他者性を認めたことによってそこから外部へ目を向けたのならば、エンディングはピンクパレスアパートメントにて両親が主催したガーデニングパーティで皆と仲良くするっていうのではなく、もっとさらに外部へ目を向けるエンディングが良かったかなって。せっかく上手く紡いできたテーマ性がエンディングでちょっとぼやけてしまっている。


 で、最後に、様々な障壁があるはずなのに、それでも人形劇でこの作品を撮ったことについて考えたい。
 結論から申し上げますと、それは不気味さ、不自然さ、ブラックユーモアの演出のためではないかと。

 まず、人形とはそもそもが不気味なものである。異形のデザインをする際の基本って人と似たような形を作るってところにあるって聞いたことあるけれど、そこにおいて人形の持つ不気味さはものすごい。『チャイルドプレイ』はまぁコメディだけど、人形ホラーはたくさんある。
 そんなわけで、人とそっくりな形の物を人と同じように動かすモデルアニメはそれ自体が、不気味を通り過ぎて、なんだか背徳的な雰囲気すらある。それがギクシャク動くものだから余計に気味が悪い。これはCGアニメには出せない味である。
 で、楳図かずおが『恐怖への招待』ってエッセイで言っていたけれど「笑いと恐怖は紙一重、追いかけられれば恐怖になり、追いかければ笑いになる」。つまり気味が悪いということは笑いにも通じ、ユーモアある不気味さを表現するのにもモデルアニメは活躍してきた。そんなわけで、『ナイトメアー』や今作のもつブラックユーモアや悪夢性を描くにはモデルアニメーションはうってつけなわけだけれど、ここでいくつかの問題がある。

 第一に『コララインとボタンの魔女』のモデルアニメはなめらかなのだ!
 『ナイトメアー』の頃は技術も今ほど進歩していなくて、動きがぎくしゃくしていて、その気味悪さが味になっていて良かったのだけれども、あれから16年、かなりキレイに動いてしまう今作はあんまり不気味さが出ていない。

 で、さらにこれに加えて、この映画3D映画なんです。現在日本では映画館によって3Dって4種類のメガネで上映されているんですが、僕が見に行ったTOHOシネマズのメガネは悪名高き「XpanD」。
 このXpanDメガネの悪いところは、重いとか小さいとか、まぁ色々あるんですが、一番嫌なのが他のメガネに比べてもとにかく色味が暗くなること。色調が命のアニメーション映画において、これ以上映画をナメきったメガネはないんです。サングラスをかけながら観ているようなもので、そのメガネ越しに見てしまうと、色味や人形の質感がかなり失われてしまい、ただでさえ動きがなめらかすぎてCGみたいだったのが、ディティールがだいぶ損なわれた分、よりCGアニメみたいに見えてしまう。これらの理由によりせっかくのモデルアニメーションが持つ不気味さが相当失せてしまっているのがとても残念。XpanDはオススメしない!「i-Max」方式か、ワーナーマイカルシネマズなんかでやっている「Real ID」方式あたりが無難にみれるっぽいです。

 まぁただ、もちろん、動きの滑らかさがすごいのは一長一短で、老婆たちのミュージカルのシーンや、ネズミサーカスのシーンの滑らかさは素晴らしい。ただあれがギクシャクしてたらそれはデヴィッド・リンチ的な背徳臭がしてそれはそれで良かったんだろうけれど。
 ついでにいうと画面の綿密な作り込みもあいまって3D効果は割と出ていて楽しい。多分XpanDじゃなければ人形劇と3Dってもっと食い合わせいいんだろうなーって。

 あとあと、これは本当に難癖ってか無い物ねだりなんだけれど、人形劇という方法をとることで今作を不気味に描く理由って、多分我々が住む現実の社会に対して「ボタンの世界」の持つ悪夢性が必要だったからだと思うんだけど、だったら物語の現実パートは実写でも良かったと思う。この監督『モンキーボーン』とか実写も撮れるわけだし。現実世界もファンタジー色が強すぎるせいで、「ボタンの世界」の持つインパクトが弱くなってる。特に現実パートのピンクパレスアパートメントの住人たちが非常に非リアル指向で、「ボタンの世界」での彼らとその性格がほとんど変わらないし。現実を実写にすれば、物語の終盤の現実と「ボタンの世界」が入り乱れるシーンも楽しくなったのになーって。


 あと今作においてその他いいところとしては、哲学的なセリフ(「不思議ってなんだろ」「元気だけどいずれ死ぬよ」とか)やダコタ・ファニングの声や演技があげられる。『アイ・アム・サム』とか「わたしを見てー!!わたしかわいいでしょー!!」って感じが強くて、ダコタあんまり好きな子役じゃなかったんだけれども、演技はやっぱりうまいんですね。

 そんな感じで、色々御託をならべましたが、現代が抱える問題にきちんと向き合ってそれを子供にも分かりやすく語っているし、アニメーションも、雰囲気もとてもよい。期待していたほどダークファンタジーと言うほどではなくて、もうちょい毒があれば良かったって点が残念だったけれど、まぁ無い物ねだりな気もするし…って作品でした。
 ただものすごい丁寧に隅から隅まで作られている映画なんで、何度も見ればそれだけ新しい発見もあって楽しくなる可能性を持つ映画だと思うので、何度も見るといいかなって思います。まぁそれはどの映画にも言えるかもしれないけれど。ただ3D上映の場合はその映画館がどのメガネ対応かをちゃんと調べていきなさい!ってな感じです。

 評価はね、割と好評価だよ。臼田あさみレベル

 次回はもう上映館もほとんどないのに今更『ミレニアム ドラゴンタトゥーの女』についての感想を書きますよ。


恐怖への招待 (河出文庫)恐怖への招待 (河出文庫)
(1996/06)
楳図 かずお

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 ごめんなさい。またもや意味不明な箇所を修正しました。
 タイトルすら変えたよ。
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  1. 2010/03/16(火) 13:32:48|
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