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『ムカデ人間』は孤独と葛藤する新たなホラーヒーローだよ。

ムカデ人間

 さて、今回は妙に流行ってレイトショー公開だったのが昼間の時間帯にも進出したという『ムカデ人間』の感想です。

 観に行った映画館は、久しぶりですシネクイント。観に行ったらなんと満席。一人だったので前方の席に滑り込めましたが、座れない人たちもちらほら。繋がってきたら1000円みたいな割引キャンペーンやっていて、複数で来ている人たちもいました。客層は20~30代の若者。


概要:2009年のオランダ作品。監督・製作・脚本はトム・シックスというひと。
 ヨーロッパを旅行中の若いアメリカ人女性、リンジー(アシュリー・C・ウィリアムズ)とジェニー(アシュリン・イェニー)。ドイツの郊外でレンタカーがパンクしてしまい、森の中の一軒家に助けを求める。ここに独りで暮らす外科医のヨーゼフ・ハイター博士(ディーター・ラーザー)に招き入れられ、リビングで一息つく2人だったが、気づかぬうちに睡眠薬を飲まされ意識を失う。目を覚ましたときには、2人とも地下室のベッドに拘束されていた。その後、博士は日本人男性カツロー(北村昭博)を拉致して同じようにベッドに拘束すると、それぞれの肛門と口をつなぎ合わせて“ムカデ人間”をつくる実験の開始を宣言するのだった。
("allcinema online"より抜粋)


 『赤ずきん』の時には狼男についてしつこく描きましたが、怪物が好きである。その人間の醜い部分を抽象化した見た目と哀しさがなんとも哀愁と恐怖を備えていて、『SUPER 8/スーパー・エイト』の主人公たちのごとく愛してやまない。
 本作に登場する"ムカデ人間"はその背徳的でショッキングな容姿と設定が新たなホラーヒーロー誕生としてなかなかいい線いってるんじゃあないかなとワクワクした作品でした。
 そこには人間の「孤独でいたくない」という最も根源的な願いが託されていると思う。


(1)『127時間』『ルイーサ』『新世紀エヴァンゲリオン』で描かれたように人は本来的に孤独な存在である。底の底まで分かり合える関係などはない。
 人は繋がることなどできないのだ。

 本作はまるで『ハート・ロッカー』『ミレニアム』シリーズ『息もできない』のように人と人とのディスコミュニケーションが描かれる。
 主人公たちはせっかくの親友同士のヨーロッパ旅行なのに、冒頭のシーンでホテルではそれぞれ電話で別の話をしているし、車がパンクして困って助けてくれるかに思えた中年男性はゲスなことばかり言ってるけどドイツ語なので理解出来ないし、日本人ヤクザ・カツローは日本人なら確実に縮み上がるような怒声を放つが相手はドイツ人のイカレた科学者、会話はこれっぽっちも通じやしない。
 本作で分かり合える人々は一組もいないのだ。


(2)では何故"ムカデ人間"が生み出されたのだろうか?
 ハイター博士が何故このような狂気の実験を行っていたのかは語られない。しかしながら人と人は繋がっていて欲しいという幼稚だが原始的な願いの狂気じみた発露のようなものに思えた。
 それは『新世紀エヴァンゲリオン』で碇ゲンドウが皆が皆分かり合えて孤独を感じないように全人類を一つにしようとした"人類補完計画"と同様の思想にも見え、そういやこの博士もゲンドウも神になることに憧れていた。

 だがカツローが言っていたように人は虫ではない。集団で一つの意志を共有しているとか言われる虫ならばあるいはくっついていても幸福かもしれない。しかし人はそれぞれが強い"個"を持つ生き物、それは悲しいが素晴らしいことでもあり、人間は他者と心の奥底まで分かり合ってはならない生き物――くっついてはならない生き物なのだ。

 以上『ムカデ人間』は、孤独であることで自己を保ちながら、一方で孤独であることを嫌う人間の矛盾した本能を秘めた新しいホラーヒーローを描いた作品だと思う。


(3)一見『エクソシズム』のような安っぽい薄っぺらな映像で、ガックリきますが、きちんとしたテーマ性と「これで勝負!」といった思い切ったワンアイデアがあれば低予算でもきちんとした作品ができるんだなと感心してしまいました。

 あともう明らかに"僕たちが自慢されたいドイツ(っていうかナチス)のマッドサイエンティスト"ってな容姿とキャラクターのヨーゼフ・ハイター博士の演技と容姿がとても良かったです。いきなりカメラ目線になって狂った医術を語るとことかも素晴らしい。

 不満点としては、もうちょいムカデ人間を繋げて欲しかったなとか、最後尾の人がゲロ吐いて先頭の口から戻すとかそういう展開を期待してました。

 八代みなせレベル

 次回はアメコミ映画は見ておかないとね。まさかのケネス・ブラナー作品『マイティ・ソー』の感想です。最近、いまさらな映画ばかりでごめんなさい。
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テーマ:映画館で観た映画 - ジャンル:映画

  1. 2011/07/31(日) 03:19:05|
  2. 映画マ行
  3. | トラックバック:7
  4. | コメント:2
<<『マイティ・ソー』は実におおらかでいらっしゃるよ。 | ホーム | 『ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える』は僕らの友達だよ。>>

コメント

真の孤独

記事を読んでて、
へー、そうかあ。でも、孤独が嫌なら自分も繋がればいいのに、と思ったけど、手術をする人だけは分断されていなければ手術ができないのですね。極論すると、博士の夢は全人類をムカデにすること。その時、博士とムカデは1:1にして1:全人類になり、博士は最後まで孤独を貫き通すという。何だかヒットラーの手によって統一されてしまった世界で、ヒットラーだけがただ一人命令を出す立場で孤独みたいな寂寥感を感じました。いや、そんないい映画じゃなかった筈だ。
  1. 2011/07/31(日) 07:04:56 |
  2. URL |
  3. ふじき78 #rOBHfPzg
  4. [ 編集 ]

Re: 真の孤独

>ふじきさま

 あー、確かに。いくら繋げても博士だけは絶対的に孤独ですね。それってけっこう重要な問題だ。
 そのこと、12人繋げるというパート2で言及して欲しいですね。

 コメントありがとうございます。
  1. 2011/08/01(月) 02:21:50 |
  2. URL |
  3. かろプッチ #-
  4. [ 編集 ]

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