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『鋼の錬金術師 嘆きの丘(ミロス)の聖なる星』は賢者の石を使えばいいよ。

嘆きの丘

 こんばんは。本当に最近更新出来ずにごめんなさい。
 そんなわけであんまり頑張りすぎない程度ですが更新いたします。

 今回は人気アニメの劇場版『鋼の錬金術師 嘆きの丘(ミロス)の聖なる星』の感想です。

 観に行った映画館は新宿ピカデリー。公開から少し経っているし、夜十時からの回だったので空いているかなと思いきや、満席近かったです。レディースデイだからかな? 若い女の子が多めでした。この裏にあった俺たちのさくらやホビー館が無くなり、その跡地に巨大なアニメイトができまして、一方で"乙女ロード"近くに君臨していた池袋テアトルダイヤも無くなりまして、「その手の婦女子はワシがみんな面倒見たる!」てな具合に最近は『鋼の錬金術師』の巨大なアルフォンスの等身大模型やら『戦国BASARA』のパネルやらが展示されていますが、果たして『Dear Girl~Stories~ THE MOVIE』を上映するような劇場になるのかな?
 ちなみに11.5巻はちゃんともらえました。


概要:2011年の日本映画、2010年に完結した荒川弘の同名コミックスを、監督に『コードギアス 反逆のルルーシュ』の村田和也、脚本に『アンダルシア 女神の報復』シリーズの原作や映画『ドラえもん』シリーズの脚本の真保裕一を迎えて映画化。アニメーション制作はボンズ。音楽は岩代太郎。
 国家錬金術師の少年、エドワード・エルリック(声:朴路美)とその弟、アルフォンス(声:釘宮理恵)は、アメストリスの中央刑務所を脱獄した男、メルビン・ボイジャー(声:森川智之)を追って、かつての聖地テーブルシティに辿り着く。エドたちは、メルビンが操る未知の錬成陣に自分たちの身体を取り戻すヒントがあるのでは、と考えていた。だがふたりは、かつて“ミロス”と呼ばれたこの地でレジスタンス活動に身を投じる少女、ジュリア(声:坂本真綾)と出会い、図らずも巨大な陰謀へと巻き込まれていくのだった。
("allcinema online"より抜粋)


 『鋼の錬金術師』はとりあえず二種類のアニメシリーズをなんとなくではありますが見ています。好きになったのはこの映画を見に行こうと相方に言われ、予習で原作漫画を読んでから。というわけでかなり最近の話です。

(1)まず原作の話をしたいのですが、この物語の魅力は「関係」「連続」にあると思う。
 少年漫画らしく敵と味方がしっかりと別れていて、もちろん味方同士ではしっかりと協力し、敵味方に別れれば血を血で洗うような殺し合いをする。こういった"コミュニケーションの代替としての異能者同士の戦い"という構図は『少年ジャンプ』に掃いて捨てるほど連載されているけれど(というか物語の一つの雛型だけれども)、この味方同士の協力とディスコミュニケーションによるバトルを"第一層の「関係」"だとすると、更に"第二層の「関係」"として利害関係の一致による協力体勢や、相容れない敵ではあるが気が合うといったことによる共感、また味方同士でも気が合わないという理由で最後までいがみ合っていたりする点など、味方同士はもちろん敵味方同士での、それぞれの目的を抜きにしたところでのつながりというものがある。
 で"第三層"として、そのようにして培ってきた「関係」によって見られるそれぞれのキャラクターの成長や心境の変化の積み重ねが、物語に比類なくエネルギッシュな推進力を与えていく。これが「連続」の魅力、言い換えればそれぞれの「関係」を積み重ねるごとに目的に対する意識が次第に加速していくのだ。

 この漫画のテーマは「等価交換」"1からは1しか生み出せない、何かを得るには必ず同等の代償が必要である"という意味のこのキーワードによって、その緻密な世界観や思わず夢中になるアクション、倫理、経済、哲学まで語ってしまうところにゾクゾクと魅力を感じるのだが、その「等価交換」のルールに原作の魅力を照らし合わせるならば、そのようにして紡いでいった人と人との繋がりによる錬成陣が、目には見えない強くエネルギッシュな力を生み出しているのがこの作品の魅力だと、僕は捉えている。

 このような相当緻密な計算と豊かな感受性・想像力で作られたのが『鋼の錬金術師』という漫画で、本作はその劇場アニメ作品。
 このような漫画を映画化するのってけっこう難しかったと思うんです。

 てなわけで今回は大人気アニメの映画化について考えたいと思います。


(2)まず本作のスタイルについて。
 原作『鋼の錬金術師』はかなり完成度が高い漫画で、『劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-』『劇場版 マクロスF 恋離飛翼~サヨナラノツバサ~』のようにヘタに補完したり後日譚を描いたりすると蛇足になりかねないし、かといって『ドラゴンボール』のアニメ映画みたいに原作のストーリーとはまるで違う番外編時系列でやると、原作の持つ「連続」の面白さを損なうし、それ故に感情移入もかなりしづらくなるしで、そういった従来の人気テレビアニメの映画化の手法ではうまく太刀打ち出来ない。

 で、本作の製作陣は『ハガレン』『ルパン三世 カリオストロの城』を目指したそうです。
 ただ『ルパン三世 カリオストロの城』は一話完結というスタイルがそもそもテレビシリーズであってこその面白さであり『ハガレン』のような作品には向いていないと思う(*)。

(*)『カリオストロの城』は、『クレヨンしんちゃん』『ドラえもん』の劇場版同様に、『ルパン三世』というTVアニメシリーズの一話完結の繰り返しの面白さがあってこそ存在し得る作品だと推測する。『ルパン三世』がそれまで培ってきた"一話完結の幾度とない繰り返し"をギュッと120分弱に凝縮し、そこにスパイスとして、決して成長しないはずの一話完結キャラクターが少しだけ成長を迎えるという映画だけのルール違反(ルパンが過去と決別する、恋をする、しんのすけが泣くとか)があるのが面白いわけで、『ハガレン』の「連続」の面白さに対して、そもそも「断絶」していたものが「連続」することの面白さというべきか、映画版ならではのスペシャル感とかそういう魅力がある。


 まあそんなこんなで本作は、原作でいうところの単行本11巻あたりに無理矢理エピソードを食い込ませ、「連続」の面白さをなんとか保つ「正史」という形をとりながら、一方で『ルパン三世 カリオストロの城』的な一話完結で、その長い原作の面白さを1時間半にギュッと凝縮するという、欲張りな――というとその意気や良しなんですが――中途半端なスタイルに落ち着いたっぽいです。
 このスタイルは同じく「連続」が魅力の一つにある漫画『ONE PIECE』が、単行本零巻なるものを配りまくって大ヒットした『ONE PIECE STRONG WORLD』でやっていまいち上手くはいかなかったと思うのですが――おそらく作り手としてはーー、

(a)一話完結で『ハガレン』の面白さを凝縮したような物語、
それに加えて、かつ
(b)『ハガレン』の原作のディテールアップにつながる補足譚。

 ――を目指したのではと推測できる。


(3)ではこの『鋼の錬金術師 嘆きの丘(ミロス)の聖なる星』はそのような目的のうえ、上記のスタイルを選択した結果どう落ち着いたか。
 残念ながらいろいろと裏目に出てしまった気がする。

 例えばすでに完成している物語に無理矢理エピソードをねじ込むことで、主人公エルリック兄弟は、少なくとも本作のような大事件において、何も成長しないキャラクターになってしまっている(ここで成長させたら原作の物語に矛盾が生じてしまう)。
 また『ハガレン』の面白さを一話完結の一本の映画に凝縮させるということで、人気キャラクターのロイ・マスタング(声:三木眞一郎)やヒロインのウィンリィ(声:高本めぐみ)も登場させる必要があったのは分かるが、ただでさえ敵味方様々な思惑が入り乱れる物語(それこそ『ハガレン』の面白いところで、そういった勢力図が絡み合うという醍醐味も本作は映画内に凝縮しているのだけど)の中でまるで活躍できていなく、ただファンサービスのための登場になってしまっている。一方で本作が正史に組み込まれる物語になるとしたのなら、大惨事に無意味にぼんやり突っ立っているマスタングなどは、原作で描かれたそのキャラクター性をおかしな方向に持っていったことになってしまう。
 そもそも複雑な人間どうしの関係性の面白さを一時間半の映画に凝縮するなんてこと簡単にできるわけもなく、なんやら複雑でスピーディーな構造に困惑してしまいました。

 あと『ハガレン』と言えば"兄弟の絆"の物語であるけれど、エルリック兄弟の合わせ鏡として登場する互いを思うが故に対立してしまうメルビンとジュリアの兄妹は、もうちょいエルリック兄弟との対立構造を浮き彫りにして欲しかったかなと(※)

(※)彼ら兄妹に関しては、今回の論旨からは外れるのだが、やはり不満があり、まず"ずっと戦ってきた敵が終盤実は影武者ということが発覚し、実は裏に本物がもっとひどい悪巧みをしていたのだ…!"っていう展開、どうなの?悪役って主人公と同じくらい重要なキャラクターのはずなのに、それがどこぞの馬の骨が演じていた偽物で――ってなんか拍子抜けしてしまう。


(4)無論うまくいっている点もたくさんあって、例えば舞台となっている小国の箱庭的空間には様々な人種、錬金術やオートメイルを始めとする独特のテクノロジー、狼と人間の合成獣などまで登場し、『ハガレン』緻密で想像力豊かな世界観をうまく凝縮していると思うし、この深い溝の中にある国というロケーションが錬金術によるアクションシーンを立体的かつ見応えのあるものにしている。
 アクションシーンと言えばスチームパンクらしい蒸気機関車の上の戦闘も楽しかったです。


(5)以上、『ハガレン』を映画化するのならば、正史との連続性を持つ形で『ハガレン』という物語の要素を凝縮した一話完結にするというスタイルは一つの手段ではあるのだろうけれど、原作が10年くらい、単行本にして29冊分かけて築いた「連続」の物語を90分強でなんとかしようというのは――「等価交換」ではないんだろうなと。

 まあなんにせよ、エドやアル、マスタング大佐やアームストロング少佐、ウィンリィにまた会えたのは嬉しいです。広大で緻密な世界観、まだ描ける余地(『エピソード0』モノやエルリック兄弟とはあまり関係のない場所での物語など)がある作品だとは思うので、たまにはこういう形で新作を作り続けていただきたいと思います。

 田中みな美アナレベル。

 次回は話題作です。今更なんですが。ストリートアーティストのバンクシーの監督作品『EXIT THROUGH THE GIFT SHOP』の感想です。
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テーマ:映画館で観た映画 - ジャンル:映画

  1. 2011/08/08(月) 14:08:39|
  2. 映画ハ行
  3. | トラックバック:3
  4. | コメント:2
<<『EXIT THROUGH THE GIFT SHOP』ではしっかりとお金を儲けるよ。 | ホーム | 『東京公園』であの娘の良さを再認識したよ。>>

コメント

一読してからアイドルググるまでが、一連の動作になってきた笑
  1. 2011/08/08(月) 14:55:30 |
  2. URL |
  3. 男爵改めJAZZパチーノ #-
  4. [ 編集 ]

>男爵改めJAZZパチーノさま

 そうしてアイドルにまるで興味のないJAZZパチーノさんをアイドル好きに変えていこうと画策しております。
  1. 2011/08/08(月) 23:50:27 |
  2. URL |
  3. かろプッチ #-
  4. [ 編集 ]

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