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『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』は控えめ超大作の控えめ大団円だよ。

ハリポタ7-2

 今回はシリーズ最終作『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』の感想です。『PART1』も感想はこちら

 観に行った映画館は新宿ミラノ1。すいません時間の都合で2Dで見てしまいました。ただシリーズ1作目をここで見たから、最終作もここで見たかったのです。この巨大なスクリーンは幸せです。早朝の回に行ったのでお客さんはほとんどいませんでした。オジサンオバサンばかりでした。TOHOシネマズ新宿なるものがコマ劇跡に出来るそうですが、これで歌舞伎町も少しは盛り返すかな。いまゴーストタウンみたいになっちゃってますよね。


概要:2011年のアメリカ映画。J.K.ローリングのベストセラーファンタジーを映画化した大人気シリーズ第8弾(7作目の後編)。監督はシリーズ5作目から監督を務めるデヴィッド・イェーツ。脚本はシリーズのほぼすべてを書いたスティーヴン・クローヴス。音楽はアレクサンドル・デプラ。
 ハリー・ポッター(ダニエル・ラドクリフ)たちとヴォルデモート卿(レイフ・ファインズ)の間で繰り広げられる最後の戦い。この壮大なクライマックスで魔法界における善と悪の戦いは、本格的な交戦へとエスカレートする。この戦いは今までで最も危険なものであり、もはや誰一人としてその身が安全な者はなかった。しかも、ヴォルデモート卿との最終決戦で最後の犠牲を払うことになるのはハリー。そしてすべての謎が明らかになり、物語はフィナーレを迎える。
"goo映画"より抜粋)


 まず最大の評価ポイントは、10年間ほぼ同じキャストが出演し続けて、8つの映画にそのキャラクターとしても肉体的にも「成長」してきた証が記録されていること。しかもそんなシリーズの総決算なわけだから、特にハリーたちと共に成長してきた今20歳くらいのファンはいくら拍手を送っても足りないくらいの感動が得られるんじゃないかと。そういった長期シリーズものとしてはほぼ最高の理想の形で完結を迎えることができたという点だけで評価に値すると思います。
 というわけで、予習としてシリーズ通して一気に前の7作品を見て、気合い入れまくったコンディションで全8作を一本の作品として見たら、このような起承転結の結だけ見させられているような作品も連続性を持って見ることができて、多分すごいカタルシスを得られると思うんです。
 前作のこと知らなければ100%楽しめないっていう前提がある映画ってまぁそれだけで手落ちな気がしますが、今日日そんなことも言ってられないし、これも一つの映画の形かなとは思います。


 で、そのような評価ポイントを踏まえての今回の感想です。前作『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』が特にそうだったとは思うのですが、それぞれを一本の映画と見るとどうもタンパク、つまらなくはないんだけど、この手の大仰なハリウッド映画にしてはなんともアッサリしてるなっていう。シリーズ1作目『賢者の石』や2作目『秘密の部屋』あたりはまだハリウッドらしいワクワクが溢れていたんだけれど、それ以降どんどん良くも悪くもアッサリしてきているなと。
 ハリウッドらしく大げさに盛り上げたり過剰な感動や興奮を与えるわけではなく、淡々と物語を消化していく感じ。その冷静な語り口に、大味なアメリカンスタイルに慣れてしまった僕などは、なんとも言えない消化不良を感じていたものです。

 で、今回の感想および『ハリー・ポッター』シリーズの総括としては、「控えめ」な作品だということ。本作が「控えめ」に物語を描いてきたことに、何らかの意味を感じとれる総決算作品になっておりました。


(1)本作は「総決算」ならではの楽しさにあふれている。
 特に前作を壮大な前フリにだけ使用したため、そこで溜まったガスが一気に放出された感じ。
 例えば"あの因縁のキャラクター"との相互理解が得られたり、あのコンプレックスだらけのダメキャラクターがついに努力の甲斐あって逆転ホームラン打ってハリーたちを大勝利に導いたり、10年間引っ張りに引っ張りまくった謎がついに解決されたり、あのキャラクターとあのキャラクターがついに結ばれたり――まあ割と「今後そうなるんだろうな」とわかりきった展開ではあったのですが、それ故にすごくスカッとする。「待ってました!」と。何しろこちとら十年間積もり積もったフラストレーションがある。
 それもこれも先述の通り、本シリーズ(の特にシリーズ後半)の演出が総じて「控えめ」であるゆえに、ガスが溜まりやすい構造になっていたからなのではないかと。
 それにしてもガスが放出されきれていないむずがゆさがあるのだが、そのことに関しては後述。


(2)本作はまたシリーズで一番残酷な物語でもある。
 本作は死人の数も圧倒的に多く、絶対死にそうにないコメディ担当のあのキャラクターまであっさり死んでしまったり、ハリーの行動によって事件と直接関係のないゴブリンが無惨に焼死したりする。
 あの楽しかったホグワーツ魔法学校は要塞と化し、『ロビン・フッド』の冒頭シーンくらい壮絶な戦闘シーンのあと半壊。『賢者の石』の頃のハリーたちを彷彿とさせるまだ幼い生徒までが学徒出陣しその幼き命を散らしたりする(*)
 シリーズ1作目の頃はまだ10歳だったハリーももはや青年――いや"成年"と言った方が適切だろうか、シリーズが進み大人になれば汚いものもたくさん見るし、汚い行動をとらざるをえない状況もたくさんある。
 シリーズ最終作の本作は、シリーズの中でハリーたちがもっとも歳をとっている作品でもあり、それ故に最も下劣で残酷な現実を描かないわけにはいかないのだ。

(*)集大成らしくところどころ『賢者の石』の回想シーンが入ったりするんですが、あの頃と本作とでは『オバケのQ太郎』『劇画・オバQ』くらいの違いがありますよ。あとハリーのギャランドゥとかロイのお腹とかやたら色っぽくなっているハーマイオニーちゃんとか、ショッキング!


(3)以上のように『ハリー・ポッター』シリーズにおける本作の特徴は総決算っぷりいつになくショッキングな展開にある。そしてその描写はやたらと控え目なのである。

 控えめな例はまだまだある。
 例えば"あの愉快ないたずらっ子キャラクターの死"など最重要なはずなのに、その死のシーンを描かなかったり(これは前作でもマッド・アイ・ムーディの死の描写がないという点でありましたね)、また"あの憎いライバルキャラクター”をああいったかたちで救ったのであればピンチの時に助けにきてくれるのが定石なはずなのになんかしょんぼりしちゃっているだけだし(これは前作の最後に彼がハリーを見逃したことが布石となっているのでハリーはむしろ恩を返す形で彼の命を救ったとも言えるので、シリーズを通してみればそんなに違和感はありませんが)、あと最後までわかりあえないどころか今回は登場すらしなかったハリーの育ての親のダーズリー一家の扱い(まあ前作もワンショットだけでしたが)…このクールさ、悪く言えば痒いところに手が届かない感じ。

 「控えめ」と言えば、(2)で書いた残酷な死に対しても、ハリーたちはその場ではそのことに悲観的にならない。彼らは18歳の身に与えられた現実の問題が大きすぎるため悲観的になんてなっている暇などはないのではないだろうか。悲観するのは全てが終わってからのことなのだ。

 ハリー視点で進む本シリーズ、シリーズ1作目『ハリー・ポッターと賢者の石』の頃は幼少時の視点で描かれていたので何もかもがおとぎ話の国のようで楽しかった。ヴォルデモートとの対決ですら夢とワクワクの冒険にあふれていた。しかし本作はもはや"成年時の視点"となっており、魔法が使えることの危険性・罪という現実的な問題にハリーたちは否応なく向き合わされている。大団円なのにあのエンディングのあっさりとした味気なさ、『スター・ウォーズ』なら――いや『賢者の石』ならファンファーレの一つや二つかまして大騒ぎするところなのに、彼らの視点はそうではない。そこに到達するまでに失った様々なもの、今後復興するにあたり失っていくであろう様々なものを見据えている。

 このように、本作はシリーズ最大のガス抜きと、今までにないほどシビアで残酷な物語が展開されるが、それは「成年の視点」で展開されるため、シリーズ初期のようなハリウッド超大作らしいワクワクした明るさは描かれないのだと考える。あくまで少年ハリー・ポッターの成長譚である本シリーズは次第に「控えめ」に描いていく必要があったのだ。


(4)最後に『ハリー・ポッター』がシリーズを通して描いてきたものを「控えめ」というキーワードを通して考えてみたい。

 本作は繰り返し「望めば与えられる」というセリフが登場する。そして物語はガツガツ奪いにいくよりも元から持っている才能だったり普通にしていたら向こうから自然にやってくる力が強いみたいな、そういう展開が起こる。

 それってでも最初から努力もしないでチヤホヤされて天才的な能力を発揮していたハリー・ポッターの「持って生まれたやつにはかなわないよ」という本作を通して語られているネガティブな要素(シリーズを通して毎度ロンやネビルはこれに嫉妬していた)の肯定ともとれなくはなくてそんな好きではなかったのだけれど(なんとハリーはそもそもヴォルデモートを倒せる爆弾を持って産まれていたことが終盤明かされる)、そこでダンブルドア校長(マイケル・ガンボン)は「言葉は最高の魔法」という。一生懸命魔法を身につけるのもいいが、たった一言で相手を喜ばせたり傷つけたりできるという「言葉」を操る人は既に最高の魔法を習得していると。それはとにかく「控えめ」で地味な魔法だが。

 そして劣等生ネビル(マシュー・ルイス)は持って産まれたその勇気で、同じく劣等生のロン(ルパート・グリント)はその明るさで世界を救う。それは先述の通り「控え目」な活躍なのだが、実に観客が勇気を与えられる活躍でもあった。

 『ハリー・ポッター』は、天才至上主義的だとか、選民主義的だとか、そういう思想に常に対抗してきていた。ハリー自体は常に天才で選ばれ者なのだが、マグルの世界ではのび太のような弱くて勉強もできない劣等生だった。そして劣等生の気持ちがイタいほどわかる彼は、魔法学校での劣等生や差別をうけているマグルたちと手を組んで、残酷な差別主義やいじめと戦ってきた。そして本作では「臨めば与えられる」「言葉こそ最高の魔法」と言うことで、選ばれし者や天才がいないわけではなく、皆が選ばれし天才なのだという。
 10年間描き続けた史上最長のファンタジー映画の着地点として「みんな素晴らしい魔法使い」だという日常性に回帰して終わる「控え目」な感じがこの作品の美点であるのかなと、そう感じた。

 以上、『ハリポタ』シリーズ最終章の本作は、成年ハリーのシビアな視点を加味することで、実に「控え目」な演出が目立ったが、その良くも悪くも「控え目」な感じが、実は『ハリポタ』シリーズが最終的に語った「皆が控え目に天才で、控え目に選ばれしものなのだ」というメッセージを描き、「控え目」な大団円をもたらしたのかもと、そう考えた。


(5)不満点としては、上記したものの他に、前作に引き続きガッシリ続いているのに「これまでのあらすじ」が無かった点。

 あとヴォルデモートがあまりにも悪の親玉に必須のカリスマ性に欠けていたこと。宇多丸さんも言っていたけれど、自分の命を預けた超大切な分霊箱である大蛇を戦場に駆り出すどころか大した戦闘力もないくせに単独行動で戦わせるとかいくらなんでもうっかりさんすぎる。


 そんなわけで超大作的カタルシスを求めると肩すかしをくらいますが、シリーズを通してみたら総決算としてはふさわしいなかなかの内容だったのではと思います。
 前作の感想で期待していたどんよりもやもやした空気を晴らしてくれるほどはなかったけれども、どこか爽やかな風がふっと吹いてくれるような「控え目」な終わり方でした。

 真野恵里菜レベル

 今回も長くなってしまいましたね。そしてようやく7月に観た映画の感想を書くのも終わり、次回からは8月分です。次回は青春ものドキュメンタリーです『ふたりのヌーヴェルヴァーグ ゴダールとトリュフォー』の感想。
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テーマ:映画館で観た映画 - ジャンル:映画

  1. 2011/08/19(金) 00:57:41|
  2. 映画ハ行
  3. | トラックバック:4
  4. | コメント:2
<<『ふたりのヌーヴェルヴァーグ ゴダールとトリュフォー』は21世紀のヌーヴェルヴァーグだよ。 | ホーム | 『コクリコ坂から』で「まるで安っぽいメロドラマさ」と言っているよ。>>

コメント

>今後そうなるんだろうな」とわかりきった展開ではあったのですが、それ故にすごくスカッとする。

俺賢者の石しかみたことないけど、コレはハリウッド版新喜劇みたいなもんなの⁉
  1. 2011/08/20(土) 04:04:18 |
  2. URL |
  3. 男爵改めJAZZパチーノ #-
  4. [ 編集 ]

>男爵改めJAZZパチーノさま

 繰り返されすぎてネタがガラパゴス化してしまい一見さんにはついていきにくいという点、個性的なメガネのキャラクター(チャーリー浜)が重要という点では確かに新喜劇風ではありますが、それに加えてキャラクターの成長がうっすら描かれているという点ではむしろ『釣りバカ日誌』に近いものがあるかもしれません。「合体!」

 ところで当方、人生でいちばん笑ったギャグは藤井隆の「身体の一部がホット!ホットォ!!」です。
  1. 2011/08/20(土) 09:40:27 |
  2. URL |
  3. かろうじてアメリゴ・ベスプッチ #-
  4. [ 編集 ]

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