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『モンスターズ/地球外生命体』は基本チラリズムだよ。

モンスターズ

 時間がある時にさくさく更新していくよ。ブログ更新しながら『ドニー・ダーゴ』を数年ぶりに観ていますが、ながら見だとあんまり理解できませんね。これ当時すごい好きでした。『ドニー・ダーゴ2』は観てないや。「息子がサイコ野郎でごめんね」「最高だわ」のやりとりは本当に好きです。
 
 今回は、うわーい怪獣映画だよ!!『モンスターズ/地球外生命体』という映画の感想です。

 観に行った映画館はシアターN渋谷。前回に引き続きファーストデイに行ったので満席でした。客層は例によっていつものシアターN渋谷的な、『映画秘宝』的な。


概要:2010年のイギリス映画。監督・脚本・撮影はギャレス・エドワーズという人。
 2009年、NASAの探査機が地球外生命体の存在を示すサンプルの採取に成功するが、地球への帰還を目前に、メキシコ上空で大破してしまう。やがて、地球外生命体の増殖が始まり、メキシコの北半分が危険地帯として隔離される事態に。6年後、アメリカ軍とメキシコ軍によるモンスター封じ込め作戦が懸命に続けられる中、現地を取材中のカメラマン、コールダー(スクート・マクネイリー)に本社からある指令が出される。それは、メキシコに足止めされている社長の令嬢サマンサ(ホイットニー・エイブル)を無事にアメリカまで送り届けろというもの。当初は安全なフェリーを利用するはずが、思わぬトラブルに巻き込まれ、危険な陸路での縦断を余儀なくされる2人だったが…。
("allcinema online"より抜粋)


(1)『ムカデ人間』『SUPER 8/スーパーエイト』の時にも書いたけれどモンスターは人の心の現れである。
 核の恐怖なしに『ゴジラ』は生まれなかったし、少年の現実世界に対する夢や希望、失望や破壊願望なしに『ウルトラマン』に登場する諸々の宇宙怪獣は生まれなかったであろう。

 そして『モンスターズ/地球外生命体』に登場する地球外生命体は、国家が持つ欺瞞とその手の内で飼い慣らされている我々自身に対する不信感を象徴したものであると思う。


(2)本作で印象的なシーンは二人の主人公がメキシコを脱し、アメリカにたどり着いたとき、まるで今までの悪夢など全て空絵事だったかのように、アメリカ国内では平和な世界が演出されていたシーン。国境に立ちふさがる巨大な壁は地球外生命体たちをメキシコに隔離するものではなく、外界の真実を知らせないため、アメリカを隔離した壁であったのを知ったシーンだ。

 アメリカというと世界一の経済大国。日本人にとって戦後より外国といえばアメリカ、幼稚園児だって知っている最もメジャーな外国だ。
 だがその国の内情を我々もアメリカ人もあまり知らない。例えばアメリカが引き起こしたイラクの惨状(失業率が25~50%で、議会は機能不全、疫病がはびこり、精神障害がまん延、スラムが無秩序に広がっているのだとか)を、政府とメディアが手を結び、イラク侵攻で国民の生活が向上したと報道し、アメリカ国民もほとんどがそれを信じている。
 むしろ国民の方が知らされていないという点では、ちょうど先日の大震災で原発事故の危険性について日本国内のメディアだけが何故か安全と言い張って真実を伝えていなかったのと同様だ。どこの国も似たようなものだろう。

 本作で描かれるメキシコでもアメリカ国民が想像もしていなかった惨状が繰り広げられていた。アメリカは自分たちが持ち帰りメキシコに落としてしまった地球外生命体を駆除するため、毒ガスをばらまき、メキシコを壊滅状態へとおいやってしまっている。
 アメリカ側は自分たちが起こしてしまったそんな大事故を感じさせないように、巨大な壁でメキシコを覆い隠し、テレビでは楽しくハッピーな消費社会を演出するばかりだ。本作の主人公たちはアメリカに帰り、その落差に戦慄する。
 冒頭でアメリカ兵が『ワルキューレの行進』を歌うシーンがあるが、もちろんこれは『地獄の黙示録』のオマージュであり、この映画で描かれる事件は自分たちが撒いた火の粉によって起こった戦争を枯れ葉剤を撒いて終結させようとしたベトナム戦争を彷彿させる。


(3)本作の見どころは、地球外生命体登場シーンだけではなく、モンスターが暴れまわる地域に生活する人々の日常シーンでもある。
 ショッキングなのはガスマスクをかぶって遊びまわる子供たちのシーン。彼らはいつの間にやら大惨事なのを忘れ日常生活を営んでいる。
 震災のせいで普天間問題は保留になってしまったし、こともあろうか時間の経過と日々の生活の中で放射能流出にすら慣れて日常を営んでいる我々には考えるところのあるシーンである。
 人は常に警告をされていないとどうもその状態に必要以上に適応してしまうようだ。それは人の逞しさでもあり悲しさでもある。
 こちらにおいても政治やマスメディアは事態を深刻化させ国の動きをストップさせないよう、そういった人の習性を利用し、情報を規制もするし、隠したりもする。
 テレビをつければ可愛らしいポップな漫画の絵で地球外生命体が遊んでおり、ガスマスク着用を促している、その欺瞞にゾッとする。


(4)話題は深刻なものから急にロマンチックなものになるが、本作で政治的なものの他に、本質というか本当の感情を覆い隠しているものがもう一つある。主人公たちコールダーとサマンサの恋だ。
 彼らはそれぞれが身分も違うし、決まった相手もいるしで、社会的には結ばれてはならない2人であり、きちんと社会性を持って、気になりつつも距離を置いている。
 それぞれその感情に薄々感づいてはいるのだが、理性によって見て見ぬフリをしている。


(5)では冒頭に記した、本作に登場するモンスター"地球外生命体"が象徴するものについて考えたい。

 地球外生命体の容姿はあまりハッキリとは現れないがタコのようでクラゲのようでイカのようでもある。
 これらの生き物の共通項は、軟体生物であり、全身粘膜体。粘膜と言えば身体から突起した粘膜を「お宝」と称して武器にして戦った『戦闘少女 血の鉄仮面伝説』を思い出すが、あの作品もこの作品もその「粘膜」が表すものは性器のメタファーである。

 性器とはそのアニマル剥き出しの生々しさ故に隠されるもの。普段社会生活を営む際にその存在を主張してはならないものである。
 しかし性器は一方で大変重要な器官であり、これなくして人類は存続できない本質的なものでもある。

 本作でアメリカがメキシコの現状を欺瞞によって覆い隠し、メキシコ国内においてすらその危険性をカモフラージュしてごまかしたりしたように、その欺瞞によって隠されてしまう生々しく本質的な"性器"のようなものを象徴したのが本作に登場する"地球外生命体"なのではないだろうか。彼らが暴れまわる様はその欺瞞の強い圧迫の反動で爆発したかのようである。

 そして、惹かれあいながらもそれぞれの世間体という理由から、その感情を見て見ぬフリをしていたコールダーとサマンサは、二体の性器のような地球外生命体の本能剥き出しの交尾の姿に感化され、覆っていた全てを脱ぎ去りキスをしたのだろう。


 以上、『モンスターズ/地球外生命体』重要な真実や本質的な感情を欺瞞によって覆い隠す強い力の恐怖と、その強い圧迫の反動で生まれ出でてしまったモンスターを描いているのではないだろうかと感じた。


(6)各所で言われているように、派手な特撮はありませんのでその点いささかガッカリですが、低予算ならではのアイデアと、ディテールへのこだわり、現代性、ロマンチックな帰結など、なかなか見応えはある作品でした。この監督がオファーを承諾したという、本当にやるのかどうか不透明な、新生ハリウッド版『ゴジラ』にも期待しておきます。
 特撮ファンなら抑えておくべきかと。オススメ。

 山崎真実レベル。

 次回はお久しぶりです、ヴィンセント・ギャロさん!『エッセンシャル・キリング』の感想です。
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  1. 2011/08/20(土) 01:55:53|
  2. 映画マ行
  3. | トラックバック:6
  4. | コメント:1
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