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『ウディ・アレンの夢と犯罪』はいつもとはひと味違うよ。

夢と犯罪

 あ、もうちょっとでカウンター1000行きますね。人来ねー人来ねーって言ってるけれど、宣伝もほとんどしてないし、リンクも貼っていないなか、カウンターを設置して2ヶ月ちょいで、よくここまで来れましたね。といってもまだ1000ですけれど。
 色々偉そうなこと語ってますから、あんまりお客さんが多くても怖いんですけれどね、やっぱたくさん来てくれると嬉しいです。どこかにリンクはろうかな? どこに貼ったらいいでしょうか? あ、コメント誰もくれない件はあきらめました。ちぇ!!


 そんなわけで、今回は急遽予定を変更して、『ウディ・アレンの夢と犯罪』の感想でございます。

 見に行った映画館は、恵比寿ガーデンシネマ。木曜昼間で雨も降っていたのであんまり人はいませんでした。老若男女いる感じ。一人客が多め。最近の『メリンダとメリンダ』や『僕のニューヨーク・ライフ』『マッチポイント』『それでも恋するバルセロナ』あたりなんかは売り方が、OLに人気の『SEX AND THE CITY』的都会派ラブコメディみたいな売り方されていたから女性でそこそこ混んでいたけれど、今回はそういう売り方できないからね。俳優はイケメンだけれどもなんか地味め。


ストーリー:ロンドンに住む労働者階級の兄弟イアン(ユアン・マクレガー)とテリー(コリン・ファレル)は、性格こそ違えど非常に仲の良い兄弟だった。兄のイアンは父親のレストランの経営を手伝いつつも、投資家として成功することを夢見ている。一方で弟のテリーは高望みせず、自動車整備工場に務めながら、ささやかなギャンブルを趣味に生活している。二人はある日、テリーがドッグレースで一山あてたのをきっかけに一緒にお金を出し合って念願の小型クルーザーを購入し、ドッグレースのレース犬の名前をもらい「カサンドラ・ドリームズ号」と名付ける。
 イアンは恋人とのドライブのさなか、美しい舞台女優アンジェラ(ヘイリー・アトウェル)と出会い恋に落ちる。彼女に見合う男性になるために、弟の整備工場にある高級車を借りて乗り回し、職業を「ホテル経営」と嘘つくイアン。一方でテリーも、悪友の誘いを断りきれず高額のギャンブルに手を出し、破産してしまう。二人はハリウッドと
中国で成功したビジネスマンの伯父であるハワード(トム・ウィルキンソン)に金の無心をするが、善良そうな伯父が見返りとして彼らに依頼したことは、彼の不正を訴えようとしているバーン(フィリップ・デイヴィス)の暗殺であった…。



 この映画をはじめ、最近のウディ・アレン作品は、過去作のファンが求めているようなアレン映画らしくないことが多い。例えばアレン本人が出演しなかったり、BGMにジャズが流れなかったり、ニューヨークではなくスペインやイギリスが舞台であったり、情緒不安定な皮肉屋のキャラクターがいなかったり。どうもアレンは作風を変化させたがっているようにも見える。今作は特にその傾向が強く、いつもぶれまくって不安定な精神を描き出しているようなカメラワークはお休みで、カメラは基本的に固定されてるし、暖色系の暖かい色味も、ロンドンの曇天も手伝って、なんか寒々しい。あの妙な間が癖になる編集は今回も健在ですが。
 しかし今作は、そういったお決まりの要素を排しながらも、いつも以上にしっかりとヒッチコックばりの一級サスペンスを一級のユーモアを交えながら見事に展開させている。ここ数年模索を続けていた新しいアレン映画のスタイルがここで一つの完成型を得たんじゃないかと。アレン70すぎにしてまた一皮剥けたなーって。

 そんなわけで従来のアレン作品と様相は変化した本作ですが、それでも従来の作品群に流れる、ある種の哲学は健在であり、むしろ様相を変化させたことでより明確化されたようにも思われる。今回は作品論というより、監督論みたいですが、そんな論旨で本作の感想を主に、僕なりのウディ・アレン論を展開させてみようかと思います。


 以下、ウディ・アレンや今作をはじめとする彼の作品がどこかで運命論的であり、一方でそれを必死に否定しようとする矛盾があることについて、考えて行きたい。

 今作において、悪事を働いた登場人物には最終的にきちんと罰が下されるように、ウディ・アレンは毒づいてばかりではあるけれど基本は意外に倫理を大切にする正義漢である。他の作品でも、『ブロードウェイと銃弾』や『愛と死』、『重罪と軽罪』においても、悪事を働けば基本的に罰はふりかかって来るように展開する。

 また一方でアレンはドライな運命論者とも言える。今作で兄弟たちの父親(ジョン・ベンフィールド)は「真実はいずれ死ぬということだけなのに」と言うが、アレン映画で描かれる物語の多くは大きな目で見ると、初期のコメディを抜かせば、「なるようになる」といった自然の摂理を描いただけであり、それを逸脱した展開はすぐに運命論的な自然の摂理に従った形で修正される。例えば、持って生まれた人種や背の低さは修正できないし、『ブロードウェイと銃弾』の主人公夫婦のように出会うべくして出会った男女は破局の危機が訪れてもやがて元の鞘に戻るが、『マンハッタン』や『アニー・ホール』のように宿命にあらがう形で成立しているカップルはやがて破局が訪れる。また例えばファンタジー要素の強い『アリス』や『カイロの紫のバラ』なんかにしても、結局ファンタジー的な要素は消えて、なるようにしかならない。今作においてもどんなに必死に悩みあがこうと、まるで運命のレールの上に乗っているかのように結局流されるまま動いてしまう兄弟たちが印象的である。
 また、先にアレンが正義漢であると書いたが、その理由はここにあって、定められた倫理感みたいなものがあり、そのレールに乗っかっている人間がそれに歯向かおうとすると罰が与えられる。だから本作のハワード伯父さんみたいな倫理とかを超越してしまっている悪には罰はふりかからない。

 ただアレンがそういう運命論者であることに満足しているわけもなく、彼もひたすらそれに歯向かうし、必死に歯向かおうとするキャラクターに、それがどうしようもない悪人であろうと、人間の人間であるが故の醍醐味を見い出し魅力的に描きだす。そういった運命に真剣に抗うことが作品に笑いやドラマを作り出している。本作のドラマの見所もそこであり、兄弟が如何にしてオジサンに頼まれた殺人をしないで済むかを必死に考えたり、如何にして貧乏な境遇から抜け出すか、必死にもがいてみたり、そこが物語のキモであり、同時にサスペンスやユーモアになっている箇所である。例えば兄弟がバーンの殺害を決意し彼の自宅に乗り込んだ時に、急にバーンの老母から電話がかかって来るシーンなんて、本作で最もユーモラスな箇所でもあるが、ここも「運命に抗うことで生まれるユーモア」だといえる。また、物語の冒頭でテリーはドッグ・レースやポーカーにはまるが、ギャンブルというのは実に運命論的であり「なるようになる」ものでしかない。また、イアンの行なう投資もある種のギャンブル要素が強い。彼らがそのように運命に身をゆだねるのを止めて、良くも悪くも自分の意志決定で行動を始めた時に、ドラマは大きく動き出す。

 このようにアレンの中にある、どうしても信じてしまう運命論とそれに抵抗しようとする人間味、そういった矛盾点が彼や彼の作品の強い魅力であり、笑いなんだと思われ、また『ウディ・アレンの夢と犯罪』はヒッチコック的なサスペンスを丁寧に描いたことにより、そのストーリーテリングの手法や哲学を、より強く打ち出していると考えられる。


 不満点はでもやっぱりウディ・アレンが出ていないことくらいかな。ちょっとでいいから出て元気でおちゃめな姿を見せて欲しいです。命を狙われるバーンの役でアレンがちょっと出てきたら笑えたのにな。

 そんなわけで、70~80年代のアレンらしさがあまりなくなったけれど、でも一方で実にアレンらしい哲学によって作られた映画であり、かなり見やすく楽しめる作品だと思われます。アレン入門としてもオススメ。なぜか食わず嫌いしている人多いけれどもも、これと『バナナ』を一緒に観たら、一気にアレンファンになることうけあい。過去の人扱いされがちな最近のアレン映画の中ではかなり面白い部類だと思います。今回は高得点ですよ。吉高由里子レベル


 そんなわけで、次回はちゃんと観てきましたよ『NINE』の感想でいたりあーの!!


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