かろうじてインターネット

「少年ジャンプ」と水木しげると映画とおもちゃと特撮を愛します。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

『プレシャス』を見ていると頭の中で変なクラシックが流れてきたよ。

プレシャス

 20歳のころ、ネットで書いていた映画の感想文を読んでいました。若さ故に相当突っ張っていたようで、『スターウォーズ』の感想を書いていたんだけど、本編にはほとんど触れず『スターウォーズ』を如何に語ることでにわかファンに尊敬されるかを書いていました。かっこいいですね。そりゃモテないだろうな…。
 思えば、その頃は中野に行っても、大手なんてくそくらえって「吉野家」に行かず隣の「牛丼太郎」に行っていました。今はまよわず吉野家だもの。僕もひよっちゃったな…。
 あ、個人的には吉野家でもすき屋でも松屋でもなく、神戸らんぷ亭がやたら好きです。ちょっと甘くて。


 今回は前回サイコロで当てた『プレシャス』の感想。
 観に行った映画館はシネマライズ。あの鑑賞のマナーの時に出てくる「こまねこ」、あいつあざとくありません? なんか大人の観客ナメてません? にゃーって。近々シネマライズはライブ会場になるため、地下の館とライズXでの映画上映は終了するそうな。淋しいですね。客層はGWにしては少なめ。まぁ朝10時からの回でしたから。30~40代の男女が多めでした。あ、『フローズン・リバー』と『息もできない』の時にいたオナラ男は今回はいませんでした。


概要:監督・製作は『サイレンサー』のリー・ダニエルズ。原作は女性詩人サファイアの書いた『プッシュ』。09年のアカデミー賞に6部門ノミネートされ、脚色賞の他に母親メアリー役のモニークが助演女優賞を受賞。その他名だたる賞を色々受賞。
 1987年のニューヨーク、ハーレム。16歳の巨体の黒人少女プレシャス(ガボレイ・シティベ)は実父にレイプされ、ダウン症の娘を出産、さらに義父にもレイプされもう一人妊娠中。読み書きも満足にできず、まだ中学校に通っているが、そこでいじめをうけている。さらに家に帰れば、生活保護で暮らしている実母メアリー(モニーク)の激しい虐待が彼女を待っている。劣悪すぎる環境にいた彼女だが、それでもどこかでセレブリティに憧れる妄想を抱き続け、それが彼女を支えていた。妊娠を理由に中学を停学処分にさせられた彼女は校長のすすめでフリースクールに通うことになる。問題児だらけのフリースクールで、彼女は女教師レイン(ポーラ・パットン)と出会い、読み書きを習い、友人を作ることで自身と自己表現の方法を得て少しずつ人生に希望を見つけ出すが…。



 アメリカンドリームの崩壊なんてのはそれこそ『ジャイアンツ』とか半世紀以上前から語られ続けていたわけだけど、それは本当に崩壊したのかについての物語と感じました。元来、最低の生活環境にあるプレシャスでも訪れるはずだったアメリカンドリームはやはり崩壊してしまったのか。

 本作の主人公プレシャスは、『フローズン・リバー』の家族以下のアメリカ格差社会の最低辺にいて、もう思いつく限りの不幸に襲われる。『風と共に去りぬ』や『タイタニック』みたいなドラマチックな不幸じゃなくてもっと生々しく目を背けたくなる不幸。
 プレシャスをいじめまくる母親メアリーを演じたモニークさんはこれでオスカーを受賞したそうだけどそれも納得、怒濤の意味不明の罵詈雑言でラップのようにまくしたて、落ち着いたと思ったら思い出し笑いならぬ思い出し怒りでプッツンして突然殴りかかる始末。かなり頭がイッちゃってる。女性の持つ母性と、抑圧されてそれでも健気に咲こうとする乙女らしさを狂気的なまでに演じている彼女の演技だけでも名作の価値あり。
 そんなド劣悪な生活環境に暮らすプレシャスは、それでも「セレブ」な生活に対して憧れ(妄想とも言う)を捨てないでいる。
 メアリーもプレシャスも考え(妄想とも言う)はするが自ら動くことはなかった。ブラインドを下げきった部屋で生活保護を受けながらテレビと食事と暴力だけの生活。かつて母娘の日常会話に「ファック」「ビッチ」「シット」がこんなに頻繁に登場した映画があっただろうか。

 プレシャスとメアリーの違いは、プレシャスにはささやかな好奇心があることとフリースクールで一番前の席に座ったことだ。この偶然からのささやかな行動が彼女の人生を変えた。レイン先生は言う「長旅もまず第一歩から」。救いの一切ないようなこの物語に唯一の光があるとしたら、プレシャスが一歩か二歩か歩いたことであろう。
 だから彼女の今後の人生は絶望的で困難だらけだろうが、だが自分の考えで自ら行動することが出来るプレシャスはどんな困難にも立ち向かうことができる「光明」を得たと言える。それがとても感動的。


 確かにアメリカンドリームは崩壊した。この映画には『ジャイアンツ』のように劣悪な生活が一変するようなドラマチックなジャンプアップは起こり得ない。プレシャスは「セレブ」な生活にもなれず依然として格差社会の最下層にいる。物質的な「プレシャス(宝物)」は得られていない。ただこの作品は今後アメリカが、世界が求めるべき新たな形のアメリカンドリームを示している。
 それを表すかのように、この作品のエンドクレジットは黒地に金色の文字である。真っ暗闇の人生を光明を持って進んでいける「プレシャス」を表しているかのようである。


 それと先に母親のことは書いたけど、彼女をはじめ役者陣がいちいち素晴らしい。主人公のガボレイ・シティベやレイン先生役のモニカ・パットン、プレシャスの級友たちもあの笑いすぎなミュージシャンやワガママすぎるカワイコちゃん、いつの間にかリーダーになってる一人だけ年上の黒人の娘とか、個性的でどこか影がある感じがとても印象的。それにレニー・クラヴィッツ演じる看護士やノーメイクで出演したマライア・キャリーもいい味だしている。

 友達と言えば、プレシャスにも、その素行は最悪だけど、お見舞いに来てくれる友達が出来たってなんとないシーンでなんだかひどく泣いてしまいました。
 あと『伊集院光の深夜の馬鹿力』リスナーとしては、プレシャスがあくどい顔でフライドチキンの入ったバケットを盗み出すシーンで変なクラシックが流れてきました。

 悪いところは特にないかな。最近流行りのミュージックビデオみたいなポップなノリの編集が最初鼻についたけど、作品の雰囲気にあっていて良かったし。実は両親以外ほとんどがプレシャスに対してめちゃんこ好意的なのがちょっと不自然だったりするのだが、それもモニークの圧倒的な酷い演技(褒め言葉)で、バランスとれているし。


 とにかく、話もいいし、役者もいい。とても印象に残る素直にいい映画だったと思います。まぁ僕が言わずまでもオススメじゃないわけがない。安藤裕子(歌手の方)レベル


 次回は、前回サイコロで(無理矢理)当てた『劇場版銀魂 新訳紅桜篇』の感想を書くぜ。
スポンサーサイト

テーマ:映画館で観た映画 - ジャンル:映画

  1. 2010/05/01(土) 21:28:43|
  2. 映画ハ行
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<『劇場版銀魂 新訳紅桜篇』はズル賢く楽しいよ。 | ホーム | 『ジョニー・マッド・ドッグ』のジョニーもそこまでマッドじゃなかったよ。>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://karoujite.blog104.fc2.com/tb.php/54-f81e9a25
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2カウンター

プロフィール

かろうじてアメリゴ・ベスプッチ

Author:かろうじてアメリゴ・ベスプッチ
 映画のこととか長々と書くブログです。
 たまに映画以外のことも書くよ。
 コメントくれたら嬉しいです。
 更新あんまりできないけれど。
 あと現代人なのでtwitterを始めました。
 chikiuso2800って名前。
 ご意見、ご感想、取り上げてほしい映画のリクエストなどございましたら、コメント欄か上記twitterIDにてお知らせください。

 なお映画の感想コーナーの最後で、実に分かりやすく画期的な映画の評価方法として、その映画のレベルに見合ったアイドルの名前を書いております。

Twitter on FC2

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

映画ア行 (36)
映画カ行 (51)
映画サ行 (35)
映画タ行 (28)
映画ナ行 (8)
映画ハ行 (40)
映画マ行 (17)
映画ヤ行 (4)
映画ラ行 (14)
映画ワ行 (1)
2010年度映画ランキング (3)
少年ジャンプ (47)
特集 (3)
謝罪 (2)
未分類 (0)

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。