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『17歳の肖像』は女の子向け童貞映画だよ。

17歳の肖像

 大人になって味覚が変わってきたのか、なんだかより甘ったるいモノを好むようになってきました。先日のドクターペッパーしかり。
 でもって、最近のマイブームはチェリーパイなんです。タカ&トシみたいですね。
 この前、恵比寿に行った際に、喫茶店で半分ネタで注文したら、これがうまいのなんの。ブラックコーヒーと一緒に食すと、苦みと甘みが交互にきてなんとも快感。
 てなわけで美味しいチェリーパイを出すお店を探しております。ルフィと黒ひげが食べていた死ぬほど美味くて、しぬほど不味いチェリーパイってどんな味だったんだろうか。
 なんか女の子みたいですね。そしてなんと当たり障りのない文章。


 てなわけで、今回は女の子の気分になって楽しもう、ガーリームービー風作品『17歳の肖像』についての感想。
 観に行った映画館はTOHOシネマズシャンテ。TOHOシネマズ系列は毎週火曜日が「シネマイレージデイ」でポイントカードを提示すると1300円で見れますので、それを利用して見ました。
 客数は夜の回で割と多め。一人客の高齢の方やOLらしき人が多かったです。隣に座っていた30半ばくらいの女性二人組が、予告編中とエンドクレジット中にやたらしゃべるんで気が散ってしょうがなかったです。予告編とエンドクレジットも静かにしてなきゃダメだよ。


概要:監督は『幸せになるためのイタリア語講座』のロネ・シェルフィグ。『アバウト・ア・ボーイ』や『ハイ・フェディリティ』の原作を書いたニック・ホーンビィが脚本を担当。
 1961年のロンドン郊外、16歳になるジェニー(キャリー・マリガン)は、教育にうるさい父親(アルフレッド・モリナ)の勧めでオックスフォード大学を目指す優等生でありながら、一方でそれを退屈と感じ、パリにあこがれを抱く少女であった。彼女はある日、紳士的に近付いてきた「大人の男」である中年男性デヴィッド(ピーター・サースガード)に声をかけられる。ジェニーは彼の大人な物腰とオシャレな雰囲気に次第に惹かれていき、やがて恋人関係となり、勉強に手をつけなくなっていくが…。



 『40歳の童貞男』や『童貞ウォーズ』とか『童貞ペンギン』とかちょっとした童貞映画ブームみたいのがあって、まあそれは下火になってきたけど、これは女性向け童貞映画ではないかと、いや処女映画って言うべきかしら。女の子は男子ほど馬鹿じゃないから、若気の至りも美しくなりがちですね。

 主人公ジェニーは、美人だし優等生、クラスの中ではちょっとしたヒーローであるが、それ故に背伸びしがちで、オトナでオシャレなパリに憧れて、アマい空想や生意気ばかりを語る。モノを考える視界が狭いから自分の知っている世界がこの世の全てな気がしていて、立派に大人になったつもりでいるけれど、窮地に陥るとお父さんの教育のせいにしてしまう、誰でも経験はあるであろう、なんとも恥ずかしい感じ。女の子版「中二病」。ああ「優等生」って点を除けば僕もこんな感じでした。そんな「少女」が「大人の女性」に成長していく物語。


 この作品の原題は“An Education”。ずばり「教養」をテーマに扱った映画ではないかと。「教養」といっても、広義の意味で。人は勉強をしていくことで「教養」を身に付け「大人」になっていく。この前扱った『プレシャス』では勉強の意味を、「自己表現」や「自己実現」の可能性と描かれていた。今作においてそれは「考え方の方向性の広がり」であると描かれていて、それこそが「教養」の意味ではないかと。もちろんそれには学校で教えるものではない類のものもあるけれど、学校で教える類のものも重要。

 ジェニーはラテン語を不得意としている。日本でいうところの古文。中高生に「やる意味あんの」って言われる教科1位。
 「果たして僕らが今やっている勉強って一体何の意味があるの?何の役に立つの?」って疑問は10代の頃には散々ボヤいた愚痴である。この疑問はある種ジレンマを持っていて、実際に疑問を抱きながらもガムシャラに勉強してみないと答えは掴めないし、最後まで掴めないこともある。ただガムシャラに勉強することで、例えば、すげー卑近な例で申し訳ないけれど、カレーライスを食べる際に、古典で培った感性がその色のきらびやかさに反応したり、英語や国語で培った論理性が合理的な食べ方について思考をめぐらせたりと、些細なことに対しても様々な解釈を持てるようになっていることに気がつくことがある。勉強によって教養を得ることで様々な解釈を得て初めて自分で選択をする大人になるのかもしれない。

 本作の映像や音楽はオシャレだけど、デヴィッドみたいに、なんだかどこか胡散臭い。いくらフレンチな雰囲気を演出しても、そこに中身が無い。これに騙されて「オシャレ!知的!カワイイ!」って言ってるうちはまだ子供なんだろうな~。僕もゴダールに憧れて、それを模倣した映画を撮って、アンナ・カリーナに恋して、セルジュ・ゲンスブール聴いていて、何年か前にこの映画見てたら「オシャレでかっこいい!」って言ってただろうな、間違いなく。

 この映画が語るのはそういうオシャレさではなくて、様々な勉強をし、様々な教養を身につけることで、学歴コンプレックスまるだしのまるでオシャレじゃないお父さんや、地味でヤボったい学校の先生(オリヴィア・ウィリアムズ)にも魅力を感じることのできる視点があることを知って大人になって行こうぜってことなんじゃないかと。

 もちろん現代に通じるテーマであるんだけれど、1961年ロンドンって舞台設定は、ビートルズやモッズ以前の、フェミニズム運動が、近代的で、リベラルな公平性を欲するようになり、個性の多様化が現代のように好まれる状況ではない、前近代的なものが近代的に完全に移り変わる最後の時代であり、ジェニーの苦悩や、お父さんの視野の狭さを象徴するにはうってつけの時代だったのではないかと。


 不満点はデヴィッドの配役だけど、なんか見るからに胡散臭くね?って。まあそれもうまく機能しているっちゃしているんだけども。
 あとお父さんが物語上でかなりのキーマンになっているからああいう漫画チックなキャラで目立たせていたんだろうけれど、なんだか一人だけ藤子・F・不二夫の世界から出てきたみたいな教育パパっぷりで少し不自然に浮いちゃってたかなあって。

 あとこれは不満ではなく疑問なんだけれど、ロンドンは本当に天気悪いようで、しょっちゅう地面が濡れてたんだけど、冒頭の、日が射しているのに大雨っていうお天気雨みたいなのは、日本のテレビドラマなんかでよくやっちゃっている、「雨のシーンなのに晴天のため無理矢理シャワーで雨降らしました」っていう不自然なアレなのか、それともそういう急なお天気雨がロンドンには多いのか? なんかすぐ止んでましたね。
 あとあと多分、男の僕が見るより女の子が観た方が共感もしやすくて感動的なんだろうなって。この映画賞賛しているの、あからさまに女性が多いもの。

 以上、なかなか丁寧に作られている作品で、「勉強・教養」の意味を今一度考えるガーリームービーとして『プレシャス』などと並べて見ると、とても勉強したくなると思います。
 小林麻耶レベル


 次回は『9<ナイン> -9番目の奇妙な人形-』の感想を書くよ。
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  1. 2010/05/14(金) 03:33:42|
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  1. 2010/05/15(土) 12:38:02 |
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