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『グリーン・ゾーン』はニガいアクション映画だよ。

グリーンゾーン

 友人に誘われ、珍しくロックライブなんて行ってみたんですが、なんていうか中二病っていうか、ああいう皆がううわーってノリノリになっている場所行くと、俺だけは飲み込まれないぞ!!って、絶対リズムに乗ってたまるか!!って、郷になんて従うか!!って頑として一歩引いて斜めから見ようと一生懸命な自分がいるんです。
 で、割と、そういう男性多いっぽい。男の子はばかですね。
 でもって、女の子は、どちらかというとノリがいいっていうか、その場、その場の環境に馴染むのが早いですよね。たくましい。
 なんて思ってるのは、最近、田村由美先生のサバイバル少女漫画の『7SEEDS』という作品を借りて読んだからなんですが。逆境に置かれた時、男子はひるむが、女子は必ずたくましい。
 この漫画、今時この絵かよっていうインパクトから興味を持って読んでみたんですが、まぁめっぽう面白い。なんらかの理由で目が覚めたら無人島にいた10代の若者たちが、様々な人間関係を結びながら成長していく…と、思ったら突然主人公が変わって…と思ったらまたもや主人公が変わって…合計4人の主人公が出てくるんですが、これが次第に他の主人公のエピソードと絡み出し、人間関係の複雑さは増していく。複数の主人公が共演していく様はアメコミで言うクロスオーバーの魅力もあり、どんどん複雑化していく人間関係を読み解いていく快感は例えるならば少女漫画的なインフレスパイラル。
 こんな面白い漫画、なんで10年も知らなかったのだろうかと。
 この漫画に関しては色々と書きたい事あるので、また今度書きますね。

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(2002/03/26)
田村 由美

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 そんなわけで、今回は『グリーン・ゾーン』の感想。
 観に行った映画館はTOHOシネマズ六本木ヒルズ。観客の質があまりよろしくないことで評判の映画館ですが、今回は予告編とエンドクレジットでしゃべるのはもちろんのこと、携帯電話に出るわ、本編始まってもぺちゃくちゃ喋ってるわ、ありえないカオスっぷりでした。こういうのは観客同士で注意しあうしかないのだろうか。注意した他の観客と喧嘩っぽくなっていました(僕はビビリなので見て見ぬフリです)。
 客層は男女のカップルが多め、30前後くらいが多いイメージ。火曜日の夜でけっこう混雑していました。


概要:監督は『ボーン・スプレマシー』および『ボーン・アルティメイタム』のポール・グリーングラス。主演もその2作と同じマット・デイモン。イラク戦争の発端となったアメリカ内部の抗争を描いたラジーフ・チャンドラセカランのノンフィクションが原作となっている。
 フセイン政権陥落直後のイラク中心部のアメリカ軍駐留地域“グリーン・ゾーン”。米陸軍のロイ・ミラー准尉(マット・デイモン)と彼が率いるMET隊は、大量破壊兵器の操作をしていたが、いくら情報源に従い捜索を繰り返しても、大量破壊兵器の手がかりはつかめなかった。ある日、彼は、イラクの民間人フレディ(ハリド・アブダラ)からある重要な手がかりの情報を得るが、それも国防総省のパウンドストーン(グレッグ・キニア)によって握りつぶされてしまう。国防総省への不信が募るミラーは、同じ疑念を持つCIAのブラウン(ブレンダン・グリーソン)と手を組み、独自の調査に乗り出すが…。



 まず、本作は同じイラク戦争を扱った『ハート・ロッカー』に並ぶ傑作に成りうる要素を持ちながら、映像作りの点において個人的に不満があるんです。でもその不満点が一方で、この作品を面白くしている点でもあって…。今回の論旨はそこ。
 具体的に言えばグリーングラスお得意のあのドキュメンタリー風の手ぶれしまくりの主観的なカメラワークについて。あれ賛否両論で、基本「賛否両論」なモノに対しては「賛」の方に肩入れしちゃうポジティブ天の邪鬼な僕がいるんですが、今回は僕はちょっと不満も感じました。

 グリーングラスがマット・デイモンと組んで監督した『ボーン』シリーズ2作って、グリーングラス監督ではない『ボーン・アイデンティティ』も含め、ヒーローものだったと思うんです。まあ特撮オタクの僕が「改造人間」って単語に過剰に反応したせいもあるんですが、改造され人間でなくなった者が、次々と襲いかかってくる個性的な敵との戦いの中で、自分とは何か、戦う理由とは何かを問い続けながら、やがて守るモノを見つけて、自身の危険極まりない破壊力の使い道を見い出していくという、これ以上ないくらいにヒーロー誕生を素直に正当に描いているんです。

 まあ『ボーン』シリーズの感想は置いといて、ヒーローの孤独や苦悩をテーマにしたからこそドキュメンタリー風なカメラワークがとても緊張感や、ジェイソン・ボーンに対する共感を生んだのだと思うんです。それにあの映画は、戦闘が基本的に静寂だったから見ていて分かりやすかった。

 で、今作でも似たような映像作りをしているんですが、今作は群像劇の要素が強いんですね。「群像劇」という言い方は適切ではないかも知れない。内容を大まかに言うと、イラク戦争を舞台に、アメリカ国内のCIAとネオコンの主導権の奪い合いという戦争の原因となった争いがあり、そこにまき込まれた一兵隊のミラーがいて、イラクの将来を不安視しているイラク人のフレディがいて、ネオコン派に加担してフセイン政権の没落を狙っているシーア派の大物がいて、そのような色んなキャラクターの色んな視点があることが、物語のキモになっている。
 もちろんマット・デイモンが主役で彼がいちばん目立つんだけれど、彼の物語上の役目は物語の始まりと終わりにある程度関わるだけで、基本的には自らのアクションで事件を進展させていくことはなく、既に起きている事件を後から追っていくだけのさしずめ探偵役(この作品、マット・デイモン主演のサスペンスアクションみたいなウリだけど彼のヒーロー然としたかっこいいアクションシーンなどはあんまり無かったような、印象が薄い)。で、色んなキャラクター、色んな思惑が複雑に交差して物語が進展していく。やはりヒーローモノの作りというよりも、群像劇的なストーリーテリングで物語を進めていく。

 こういった群像を描く映画にドキュメンタリー風のカメラワークを使用するっていうのは、ポール・グリーングラスの好みも強いけど、昨今の戦争モノ、特にイラク戦争モノを扱う場合に避けて通ってはならない「それぞれの十人十色の信じているモノ」っていう、ごくありふれたテーマにおいてそれぞれの登場人物の心情に臨場感を持たせるためなんだと思うんだけど、それが肝心のアクションシーンになっちゃうとなんだかうまく機能していないような。

 さっきから「ドキュメンタリー風」とか言っているけれど、「ドキュメンタリー風」である意味って「何者かの視点の介在の必要性」から来るものなわけで、「その場で誰かが見ている視点」こそが「ドキュメンタリー風の視点」。
 ヒーローモノだった『ボーン』シリーズにおいて「その場で誰かが見ている視点」っていうのは常に殺し屋に狙われているジェイソン・ボーンの緊張感を出すために重要だった。『グリーン・ゾーン』において「誰かの視点」が導き出す客観性は社会派なドラマパートには効果的だけれど、アクションシーンになると、確かに集中力や緊迫感、リアリティは増すんだけど、見ていて何が起きてるのか分かりにくい。「あれ?捕まってたマット・デイモンなんで抜け出してるの?」「あ、フレディ撃たれた、ああ、撃たれたの違う人だ」みたいな調子。僕、正直、ああいう何をやってるんだかよくわからない、最近のアメリカ映画が好きなアクションシーン、苦手なんですよね。で、誰が銃を撃って誰が撃ち殺されたかを理解しにくいシーンになってしまうから、せっかくドラマパートで緊迫感を高めてキャラクター同士の絡み合いを見事なバランスで構築していって、そこで溜まったフラストレーションをアクションシーンで爆発させて欲しかったのに、どうも暴発というか不発に終わってしまっているような、そこが不満点。

 ただ、そういった不発に対する歯がゆさは、一方で今作の語る内面の問題に照らし合わせると、実はアリっちゃアリにも思えたりするわけで、これは、僕個人の好みの問題なんでしょうね。この作品にはなんとなくカタルシスってほどではないけれど、何かしらのスッキリした解決を期待しちゃったなっていう。以下でその「アリっちゃアリ」を解説。


 本作はラジーフ・チャンドラセカランのノンフィクションをもとにしていて、どこか狂言犯罪めいたイラク戦争の実態を寓話的にうまく例えている。イラク戦争とはグリーン・ゾーンという閉じられた舞台で演出された超大規模な狂言犯罪だったのだと。アメリカによる介入を決して喜こべない観客(イラク国民)だらけだったから、芝居の評判は良くなかったけれど、話題性はピカイチみたいな。そんな、アクションサスペンス大作であると同時に社会派サスペンスの顔も持っていて、扱っているテーマは意外に重く「様々な人間の思惑が絡み合う形で工作されたイラク戦争とは一体なんのための戦いだったのか」。
 『ハート・ロッカー』ではその答えに、非常に個人的な次元の理由で回答してきたけれど、今作ではそれを、群衆劇なだけに、群衆的な次元で回答しようとする。職業として任務を遂行していくミラーは無意識に自分のやっていることはイラクの民衆のためだと思っていたし、ミラー視点で描かれる映像に呑まれている我々観客もなんとなくそう思いながら見ている。だがイラク人フレディの「この国の行く末を他人に左右されたくない」というごくありふれた素直な叫びで、自らのごう慢さにハッと気づく。一体何のために戦い、何のために殺してきたのか。納得できる答えなど見つかるはずもない問いに悩まされ、唯一信じていた守るべき民衆からも拒絶されたマット・デイモンは、今作にて、ある意味『ボーン』シリーズよりも残酷な境遇に置かれているかもしれない。
 この作品は、戦争を語る上で必須なそういういかんともしがたい「苦み」がすごく重要な要素。

 で、先ほどのアクションシーンでの「不発」問題において、そういう「苦み」を盛り上げるためのしかけであると読めば、ある程度適切な演出であると思える。「誰と誰が戦って、何をしたいんだかよくわからない」っていう、アクションシーンは案外イラク戦争を象徴しているかもしれなくて、21世紀に、ある程度真面目に戦争を描くのならば、特に現在進行中の問題としてのイラク戦争を舞台に明確な「解決」なんて描けやしないのもまた普通。


 以上、決して嫌いじゃないんだけど、素直に好きって言えないそんな乙女心を感じさせた、職人芸が光る良作であると思います。エンタテインメントと社会派なメッセージの融合もうまくできていると思います。

 渡辺麻友レベル(AKB48を好きになろう計画は着々と進行しております)。

 次回はようやく観に行った話題作『クロッシング』の感想を書くよ。
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