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『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』はウマい映画だよ。

冷たい雨に撃て

 ワールドカップになると、「俺、見てないよ」って謎の自慢をする人がいますよね。そうです僕です。
 そろそろ始まるワールドカップが個人的になんだか盛り上がりに欠けるんですが、果たして当日になれば盛り上がるのかな。06年のはなんだかんだで見たな。
 やっぱりゴンがいないからだよ。ゴンがいないと主役不在だよ。…言ってみただけです。サッカー全然知りません。
 でも昔から中山雅史選手は何故かヒーローでした。
 ボールに対するしつこさとか、泥臭さとか、そして何よりひょうきんな感じとかが好きでした。02年の日韓ワールドカップで、もはや年齢的にもテクニック的にも無理と言われていたゴンが代表に加入した時は狂喜乱舞しました。


 そんなわけで、ゴンに男惚れしている貴方も、「サッカー日本代表の監督はジョニー・トーに任せればいいじゃねぇか!!」と言うかもしれない『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』の感想でございます。

 観に行った映画館は新宿武蔵野館。ファーストデイに飛び込んだらぎっちり満席。予告編の途中に入ったら最前列しかありませんでした。でもスクリーンが小さかったのでなんとか肩も凝らずに見ることができましたよ。
 客層は中高年が多め。この映画館の歴史性もあるんだろうけれど、アニメや特撮以外だと、昔から年齢層高めですよね、この映画館。


概要:08年の香港とフランスの合作。監督は『エグザイル/絆』や『ザ・ミッション』、『ブレイキング・ニュース』などの香港アクション映画界の鬼才ジョニー・トー。フランスの中堅役者『列車に乗った男』のジョニー・アリディを主役に迎えている。
 中国人男性と結婚し、マカオの高級住宅地で、幸福に暮らしていたアイリーン・トンプソン(シルヴィー・テステュー)は、ある日突然何者かに襲われ、夫と二人の子供を惨殺され、彼女自身も瀕死の重態に陥ってしまう。パリから駆けつけた彼女の父親フランシス・コステロ(ジョニー・アリディ)は、娘から犯人の特徴を聞き出すと、必ず復讐すると誓う。彼は、偶然ホテルで3人組の殺し屋クワイ(アンソニー・ウォン)、チュウ(ラム・カートン)、フェイロク(ラム・シュー)が「仕事」をしている現場に出くわし、彼らに復讐の助っ人を依頼する。コステロの全財産を譲り受ける事を条件に依頼を引き受けた3人組は、鋭い分析と多彩な人脈を武器に着実に犯人へと迫っていく。そんな中、コステロは3人にある秘密を打ち明ける。かつて頭に受けた銃弾がもとで記憶障害に苦しんでおり、この復讐さえもいつ忘れてしまうか恐れているというのだったが…。



 ジョニー・トーの映画って、申し訳ありません、そこまで見ていないのに語って申し訳ないのですが、まぁ食べるシーンが重要なことが多い。例えば『ブレイキング・ニュース』は、一緒にご飯を食べる事が、その後の物語のキーとなる、強盗と殺し屋と人質の一家が通じ合うきっかけを作ったりする。
 「食」って言うのは、人が生きていくうえで最も重要な要素であり、当然人間を描く物語においても超重要な要素である。例えば宮崎駿は「『食』に興味がないヤツは生きることに興味がないヤツであり、『食』を書けないヤツはアニメを作る資格がない」(うろ覚え)みたいなことをおっしゃっていました。
 なおこの「食と物語」の関係については以前『タマフル』福田里香さんが『七人の侍』を例に「フード理論」として紹介されていたので、こちら(前編)こちら(後編)を聴いてみることをオススメします。なかなか勉強になります。
 福田里香さんの言う「フード理論」を要約させていただくと、「物語上で食を共にすることは信頼関係を結ぶことに繋がること、食を大切にしない者は悪とみなされること」

 で、今回この作品はとても「食」がキーになっている映画でした。今回はそこらへん論旨に感想を書いてみます。

 ジョニー・トーっていう映画監督は世にはびこる映画ファンどもにトップクラスで信頼されている方で、たっぷりのケレン味と、こちらが気恥ずかしくなるような男の世界が満載の、まあなんというか実に映画らしい映画を撮る監督です。
 彼は、本作においてもエンターテイメントがなんであるかをきちんと理解していて、映画的なウソのつきかたや省略がとても上手い。例えば、本作に登場する殺し屋たちは、プロの殺し屋にしてはやたらワキが甘く、すぐに殺し屋であることを白状するし、殺人現場である家に調査のため侵入してそこで料理をしたりあまつさえ銃の試し撃ちをしたりもする、また例えば決死の殺し合いで敵に囲まれている最中にタバコを吸ったりする。でも、それらのシーンも、例えリアルではないにせよ、物語の軸がぶれてないし、映画のテーマに沿った必要性のあるシーンなので別段気にならない。むしろそういう現実には無くリアルでは無い「僕たちが知ってる殺し屋たち」の描写が作品の見せ場ともなっている。

 で、肝心の「食」なんですが、そういった人間を描くための映画的ウソに巧みに使用されている。例えば物語の軸になっている主人公コステロと殺し屋との友情も、正直、深い友情を育むまでの描写が少し浅かったりするんだけど、被害者宅で「コステロが作ったスパゲティを一緒に食べる」「ちょっとしたゲームをする」の二段階を踏まえただけで、「殺し屋」という最も警戒される男たちと友人関係を結ぶことに、観客は疑問を抱かなくなる。
 そもそもコステロはレストラン経営者であり、そのレストランの名前は「兄弟」だ。レストランは皆で食事を楽しむ場所。同じ釜の飯を食すことで人は「兄弟」になる。

 また例えば、敵役の殺し屋たちが彼らの家族たちとキャンプをするシーン。彼らはビジネスで殺人をしただけであり、その点でコステロの仲間の殺し屋たちとなんら変わらない。妙な私怨を持たれても困る敵役の殺し屋たちは、タバコを分けるし、更には子供を使ってバーベキューの肉を分け与えようとする。こうして「食」を共にする事で、互いの敵対感情を無くそうとしているのだが、コステロはこれを食すのを拒否する。
 コステロ側の殺し屋たちと悪役サイドの殺し屋たちとのたった一つの性質の違いはコステロと食を共にしたか否かであり(*)、両者とも時におどけたり、家族を大切にしたりと本質はなんら変わらない。ただ「食」を共にしたか否かの違いで彼らの運命が両極端にわかれる。
 *悪役サイドはコステロの孫を殺すつもりはなかったが「目撃されたから仕方なく殺した」、一方でコステロ側の殺し屋たちも彼らを目撃したコステロを殺そうとした。

 また、悪役の描写として面白かったのは、被害者宅のシーン。コステロの娘が銃弾に倒れる前に作っていたパスタやサラダがそのまま残っているショットがあるが、そこには大量のゴキブリが沸いている。そのことで観客はコステロ同様とても哀しい気持に覆われ、また同時に殺人者に対し強い怒りすら湧いてくる。


 「食」を劇中に使うということは人の基本的な営みを描くということであり、「人間の生」を描くのにとても活用出来る。食べているシーンを見れば、観客はそのキャラクターの「生」を深層心理で信じようとするのではないだろうか。
 以上のように、本作は「食」を巧妙に使った、人間を描くための映画的な嘘がとても多く、「食」を重要視するが故に、登場人物たちも、映画的な誇張がされながら、とても生き生きと描かれていると感じられる。


 他に良かった点として、様々な切り口があるところ。名作映画には必ずあることで、例えば「食」以外にも「雨」「仁義」「言葉」など様々なテーマでこの映画を考える事が可能である。
 また、これはジョニー・トーのお家芸といってもいいけれど、様式美に拘った、ショットごとのビジュアルスケープのかっこよさ(ぜひとも日本の刑事ドラマや特撮ヒーローモノはこの映画の映像をパクるべき)、それを十二分に活かす編集のテンポの持つケレン味もとても快感。
 あと主役となるコステロと3人の殺し屋の俳優もとても良かったです。コステロのあの哀しさと優しさ、そして狂犬のような狂える顔と目。それに男惚れする男くささがムンムンする3人の殺し屋。やはり4人組にはデブはかかせないなーとか。

 文句は特にございません。
 評価は仲間由紀恵レベル


 次回は、ちゃんと観に行くよ。『仮面ライダー×仮面ライダー×仮面ライダー THE MOVIE 超電王 トリロジー/EPISODE BLUE 派遣イマジンはNEWトラル』の感想を書こうと思います。今度は楽しめるといいなー。
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テーマ:映画館で観た映画 - ジャンル:映画

  1. 2010/06/06(日) 01:39:20|
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フィルム・ノワールの本家フランスの香りと、香港ノワールの雄ジョニー・トーの独自の美学の出会いは、芸術的なハードボイルド映画を生んだ。凄腕の殺し屋だった過去を持つフランス人のコステロは、マカオに住む最愛の娘とその家族が何者かによって惨殺されたことを知る。...
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