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『サバイバル・オブ・ザ・デッド』と『ポニョ』の感想は一緒だよ。

サバイバル

 更新あんまりできないでごめんなさい。今回は長いよ。

 今回は公開してちょっと経ってしまいましたが、『サバイバル・オブ・ザ・デッド』の感想ですよ。

 観に行った映画館はTOHOシネマズ六本木ヒルズ。始まって間もない日に行ったということと、上映館数も少ないという理由もあってか、そこそこいらっしゃいました。この映画館にしては珍しくほとんど一人客。30~40代くらいが多い印象です。


概要:『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド/ゾンビの誕生』(68)から続くゾンビ映画の父ジョージ・A・ロメロ監督の『リビングデッド』シリーズ6作目。仕切り直しとなった前回の『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』(07)の正式な続編であり共通のキャラクターが登場する。

 突如として蘇った死者が人々を襲い始めるという衝撃的なニュースが世界を駆け巡ってから4週間あまり、その惨劇はとどまるところを知らず、混乱に陥った世界は各地で死者が跋扈する阿鼻叫喚の地獄と化していた。そんな中、数人の仲間と共に崩壊状態の軍隊を離れ、強盗を繰り返しながら安全な場所を求め彷徨う元州兵のサージ(アラン・ヴァン・スプラング)。彼らはある時、デラウェア沖に死者の蘇らない“安全な島”があるという情報を得る。確たる証拠もないまま、ただ悲惨なこの現状から逃れたい一心で、半信半疑ながらもオフリン(ケネス・ウェルシュ)という謎の老人に連れられその島へ向かうサージ一行。しかし、ようやく辿り着いたのも束の間、島ではオフリンを代表とする一派とマルドゥーン(リチャード・フィッツパトリック)を代表とする一派が闘争を繰り返しており、さらにマルドゥーンによって保護されている死者の群れを目の当たりにする…。
"allcinema ONLINE"より抜粋)


 今回の論旨は何故ゾンビを題材にこの映画を描いたのかについて。

 まず、前フリとして映画にゾンビを出すことの有用性を考えたい。以下3つの理由にてホラーの世界に人間社会を描きやすくするという点が考えられる。

 まず「1.ゾンビの繁殖力はコミュニティを作るきっかけを持つ」。ゾンビに追われれば、生存者は次第に見知らぬ他人と協力し合い、状況を打破する必要性に迫られる。ホラー映画のセオリーである。

 続いて「2.ゾンビは人の心理をむき出しにするのにうってつけである」であるため。ゾンビに追われれば、人は生きようと必死にもがくし、そこに他者がいればもちろん軋轢が生じる。楳図かずおにしてもスティーヴン・キングにしても優れたホラーの作り手は怪異が恐ろしいのではなく怪異に遭遇した時に表れる人間のむき出しの心理が恐かったりする。もちろんジョージ・A・ロメロの映画もそうだ。
 
 そして「3.ゾンビの行動は人間の行動の風刺になる」。ロメロが生み出したゾンビの習性の一つに「ゾンビは無意識的に生前に習慣化された行動と同じ行動をとる」というのがあるが、そういった行動は、最も人間に近い人間ではない者の間抜けに見えるが人間そっくりの行動として、人類全体の合わせ鏡的役割を担う。

 以上の3つの理由において、ゾンビを映画で扱うことは、縮尺された人間社会を描くことに適していると言える。
 
 で、『サバイバル・オブ・ザ・デッド』は以上のような有用性を持って何を描きたかったのか。

 本作に登場する、当初の目的すらほとんど見失って意地だけ残ってひたすら殺し合うオフリンとマルドゥーンは、安易に戦争の暗示と捉えてもいいのだろうか。主人公たちが敵対するマルドゥーン派はカウボーイの格好をしているが、この前のイラク戦争においてカウボーイが象徴する古き良きアメリカに固持する男たちが起こした過ちを見てしまった我々は、彼らにブッシュ的な偏見を抱いている最中である。だから中盤まではどこかでオフリンに味方して鑑賞したりする。
 だがオフリン派の正義もたんなる意地っぱりである。結局この物語に正義など描かれない。

 二派が争っている理由も大したことはない。「子供の頃から気が合わなかった」と言っているように、もはや理由などどうでもいいのだ。ただチンケなプライドに触発されたナンセンスで永遠に終わらない戦いがあるだけなのだ。

 救いがあるとすれば職業軍人であるサージたちだが、彼らはそういう仕事であるから、正義なんてどこにもないことは百も承知のハズである。『ハート・ロッカー』の登場人物のように、ただ生きていくために深い考えなどは持たずに戦いさえすればいいのである。だから、彼らはどちらが正しいなどとは考えずに、ただ安心できる生活という確固たる目的のために戦う。

 物語終盤で展開される闘争は、確固たる信念など一切無い、無意味な意地と暴力だけの争いであり、それってサージたちが冒頭や『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』でやっていた生活のための物資の強奪よりも低レベルな争いである。オフリンもマルドゥーンも、目の前で仲間がゾンビに食い殺されまくっているのに、人間同士の殺し合いに専念している。

 結局、いつまでも水掛け論のような争いを繰り返してしまう我々は、人肉をむさぼり喰らう以外は何も考えないで無意味に生前の行動を永遠と繰り返すだけのゾンビと変わらないのかもしれないと、もしかしたら人肉以外の食べ物にも手を出すという「進歩」を手に入れたゾンビの方が優秀かもしれないと、「ゾンビ」を題材に取り扱うことでロメロは語っているんではないかと。(そのことを象徴するラストショットは傑作)



 以上、まあメッセージはしっかりしているし、それなりに考えさせられるところもある。あとやっぱりロメロの描くゾンビは実在感があり、恐ろしく、かつユーモラスでいいななんて思うんですが(黒馬に乗る美しいゾンビは『世にも怪奇な物語』のオマージュでしょうか、とても良かったです)、不満点もけっこうあります。

 どうも、上記のようなこの映画がやりたかった「終わらない無意味な争い」といったテーマ性に囚われすぎて、物語としてはどうも穴だらけなものになってしまっているように見える。
 例えばゾンビ映画としてはお約束の仲間のゾンビ化にもなんの感慨もないし、物語上の必然性も感じられない。
 またヒロインのジャネット(キャスリーン・マンロー)が最後にやりたかったことも場をかき乱すだけで、なんだかよく分からなかったし、布石や伏線もほとんど無く中盤いきなり明かされるヒロインが双子だった必要性とかもあまりないし、旅に同行する少年(デヴォン・ボスティック)の存在意義もよくわからない。

 このように、ストーリーにおいても人間描写においても、上記のようなテーマ性を重視するあまり、そこにばかり目が行って、物語にリアリティがなくなっていたり、そのため物語に付随するホラー映画としてのお約束的な要素と物語にいまいち有機的な絡み合いが出来ていない。いちばんひどいなって思ったのは、最後の方でテーマとかこの映画の目的を全部ナレーションで語ってしまうこと。それって映画として不細工じゃね? 昔のロメロだったら絶対やらなかったろうに。どうも宮崎駿がやりたいことだけに夢中になってそれに特化しすぎてしまったため、面白いは面白いんだけれども、何とも言えないへんちくりんなもやもやが残った『崖の上のポニョ』を思い出しました。

 あとこれは仕方ないのかもしれないですが、前作『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』からインディーズでの製作に戻ってしまったため、映画の規模が小さくて、例えばクライマックスは『死霊のえじき』の焼き直しなのですが、20体くらいしかゾンビがでないのであの圧巻シーンと比べてどう見てもしょぼい。世紀末感をも超越した本当にこの世の終わりの雰囲気も、まるで出せていないのも寂しい。なんだか登場人物たちの目にも、どうせ今自分一人が生き残っても明日には人類は滅亡するかもしれないといった、絶望感が感じられない。


 以上、ロメロ節は健在でそれはそれで楽しかったんだけど、自分の言いたいことで頭でっかちになりすぎて、どうも物語で人を楽しませようといった努力が感じられなくて残念にも感じた作品でした。『ナイト』~『ダイアリー』とことごとく好きだったので期待しすぎた点もありますけどね。
 伊東美咲レベル

 そんなこんなで次回はこれも期待の続編『アイアンマン2』の感想を書きます。
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