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『アウトレイジ』はビジネスライクなバトルロイヤルだよ。

アウトレイジ

 前にNEWSの手越くんの話をした時や、この前の夏帆ちゃんやら多部ちゃんやらの話をした時に来場者数が飛び抜けてよかったので、今回もアイドルの話を書こうと思いましたが、「ごまっとう」と「GAM」と「後浦なつみ」の区別を思い出そうとしても思い出せなかったのでやめておきます。


 そんなわけで今回は日本映画特集第2弾、北野武監督の本格ヤクザ映画『アウトレイジ』の感想だよ、バカヤロー。
 観に行った映画館は吉祥寺バウスシアター。月曜はメンズデーで男性1000円。てなわけで中年男性の一人客が多め。そこそこ賑わっていました。


概要:言わずと知れた北野武の監督最新作。実験作が続いた最近であるが、今回は、監督曰く、観客ウケを狙ったエンタテインメント作品に徹している。
 関東一円を仕切る巨大暴力団組織、山王会。その若頭である加藤(三浦友和)は、傘下の池元(國村隼)が組長を務める池本組と、池本と義兄弟の盃を交わした村瀬(石橋蓮司)が組長の弱小ヤクザ一家村瀬組の接近を警戒し、池元に村瀬組との関係を慎むよう命じる。そこで池元は、配下の大友組に村瀬との関係の精算をそのまま丸投げ。弱小組織ながらも武闘派の大友組組長大友(ビートたけし)は、毎度、池元からやっかいな仕事ばかりを押しつけられ、苛立ちが募ってきていた。さっそく村瀬組を締め上げにかかる大友組だったが、ヤクザたちの様々な二枚舌が絡み合い、そのしわ寄せは大友組へと向かい、大友組はやがて抜き差しならない状況へと追い込まれていくが…。



 『BROTHER』では義兄弟愛を描いた北野武だけれど、キャッチコピーの「全員悪人」が示す通り、本作では任侠も仁義もへったくれもない裏切りとだまし合いだけの知恵比べが展開される。

 最近は、北野武監督作品、嫌いじゃありませんでしたが、少し迷走感が強かったけれども、まあ作家なんてのは迷走してナンボみたいなところがあるし、作風を一定の場所に留めずにあっち行ったりこっち行ったりして自分を模索する方が作家としては健全な証なんじゃないのかなと思います。で、北野監督は以前から一般受けを狙ったごくシンプルなヤクザ映画を撮りたいとおっしゃっていたそうで、今回このようなエンターテイメントに徹したヤクザ映画を作ったのも、晴れて念願かなってってなご様子。
 この人の原点はバイオレンスの中にある「人情モノ」ってイメージだけれども、ウェットな部分がほぼ皆無の今作は、迷走とは言わずまでも北野武フィルモグラフィーの中では方向性に幾分かの違いが見られるかも。

 そんなこんなで『ディパーテッド』なんかを彷彿とさせる、北野印のどす黒い純然たるヤクザエンターテイメントが完成。
 もともと落語のような滑らかでテンポのいいストーリーテリングテクニックを備えていた北野武監督のため、見ていて深いこと考えずに素直に楽しめる快作であります。複雑に絡み合うキャラクターの相関関係の解説が説明臭くなく滑らかだったり、会長のちょっとした一言で口火を切り、塚本高史演じるポン引きが間違えてヤクザの下っ端から高額な金を巻き上げようとした所からどんどん巨大化残酷化していく暴力の連鎖のテンポの良さがとても見事だったり、そのストーリーテリングの職人芸とも言えるべきテクニックが光っている。もう長いベテラン監督だものね。


 さて、そのような今作では「任侠もの」の終焉が描かれているのではないかと思われる。そこを考えてみたい。

 今作ではヤクザのイメージカラー「黒」が象徴的である。冒頭のずらりと並んだ真っ黒なスーツの男たち、ゆっくり走る黒い車に重なるタイトル、ビートたけしの黒目がちな瞳、描かれる暴力の連鎖もまるで一点の黒いモノが映画が進むにあたり次第に巨大化していきやがて映画全体を巨大な真っ黒の暴力性として被うようだ。もちろん北野武らしくその「黒」には軽快なブラックユーモアもたっぷり含まれる。
 この暴走する「暴力性」にあてられた者はあっさりと殺し殺されていく。この物語では如何にビジネスライクに感情を出さないで、次に起こることを知性を持って予測し、相手を欺いていくかが暴力の暴走に呑み込まれないための対処法となる。とても冷徹なバトルロイヤル。ただビジネスのために人の命をサクサク奪っていく本作は、同じ「軽い死」を扱いながら、その動機に、薄っぺらくも人間らしい「孤独と愛」を必ず用意していた『告白』とは対称的である。

 この暴走する真っ黒い暴力の表面を取り繕うのが、「兄弟愛」「親子愛」「信頼」といった、古来からヤクザ映画で頻繁に使用されていた言葉の数々である。このヤクザ映画の常套句である言葉が、本作においては、上っ面だけであり、現実には気分が悪くなるようなどす黒い暴力しかないところに、70年代の日本映画が持つ、ある意味ファンタジーであった昔ながらの情に熱い「任侠もの」であるヤクザ映画が、もはや現代には通用し得ないという、ジャンルの終焉が暗に語られているように思える。(本作の結末では直情的な暴力すら否定されてしまう)

 その中で一人、冷徹ではなく怒りの感情を動機に狂犬のように動き回る構成員木村(中野秀雄)の存在が際立つ。あまりネタバレになることは伏せるけれど、彼の怒りに身を任せた凶行はまるで追い詰められた古き良きヤクザ像が暴走しているかのように見える。だから彼が物語の最後に行った行動に、何らかの意味を求めるならば、それは北野武監督が持つ古き良きヤクザに対する愛着ではないだろうかと考える。


 以上、本作はウェットな描写を描かず、ただただ裏切りと黒い策略が交錯する、仁義も任侠もないバイオレンス映画となっていて、そこには昔ながらの任侠ものはもう現代では通用しないことを語っているのではないだろうかと考える。

 他に良かった点として、出てくる役者の良さ。椎名桔平はああいういい歳こいて中学生の不良のまま成長しちゃったような役をやらせると本当に輝く。三浦友和の何を考えているか分からないいい子ぶりっこや、小日向文代のデレデレした笑顔の裏に隠れている灰色の暴力性、あとやたらイジられる石橋蓮司の二流ヤクザっぷりなどもとても良い。くせ者揃いすぎて彼らが出そろうオープニングシーンだけでもワクワクさせる。

 不満点は、前半の暴力がどんどんエスカレートしていく様はとても楽しかったけれど、石橋蓮司が退場したあたり、政治的な話が多くなってテンポが少し悪くなること。ちょっと間延びしちゃったかなーって。
 あと本作のウリの一つである、ブラックジョークたっぷりの話題となったゴア描写に関してもまだまだパンチが足りないと感じました。歯医者のアレとか、椎名桔平の車の運転のアレとか良いのもあるんだけれど、アイツとかアイツとかアイツの死亡シーンはもうちょい遊べたんじゃないかと。
 基本ゴア描写に一瞬で絶命させる銃は向いていない。ストーリーや設定上、暴力性がどんどん進めば、暴力の手段もパンチやキックやドスや文房具から、銃になっていくのは仕方ないんだけれども、残酷シーンを描きたいのならばもっとゆっくりじわじわ面白可笑しく殺していかないと、恐怖に共感できないし、見ていて面白くない。

 まぁそんな文句はありますが、ポップコーン片手にハラハラドキドキしたり、ビール片手にけらけら笑ったりする映画としてはとっても面白いです。若干手癖で撮ったような映画って感じは拭えませんが、それでこういう出来のいいエンターテインメント作品を作れるというのは、さすが大物の風格といった感じ。

 榮倉奈々レベル

 次回は日本映画特集第3弾『SRサイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム』の感想をかくyo。しゅっしゅっしゅ。
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