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『ぼくのエリ 200歳の少女』は恐ろしき純愛映画だよ。

僕のエリ
 いつの頃からか、音楽も映画も古典ばかり愛するようになってしまい、新作に興味が失せてしまっておりました。このブログをはじめた理由の一つも、どんなにつまらなくともどん欲に真面目に新作を見なければならないと、新作を見ないと大好きな古典すらつまらなく感じかねないと、ふと思い立ったというのもございまして。
 音楽ももっと古典と平行して新曲をどんどん取入れていったほうがいいに決まっていると思い、ツタヤとタワレコに行ってみましたが、何を聴いたらいいものやら。僕の音楽の知識90年代でストップしております。洋楽だと持っている最新のCDがタヒチ80のあのバカ売れしたやつと、アンダーワールドの緑色のやつ。10年前じゃねえか…。
 あまりにひどいので、とりあえず目についた「フローレンス・アンド・ザ・マシーン」てのと「ザ・テンパー・トラップ」なる人のCDをレンタルしてみました。なんのこっちゃ。わけもわからず、目についたCDやDVDを借りるの、とても好きです。自分が今からどこに連れて行かれるかまったくわからない感じにドキドキする。
 そんな最近の音楽事情でした。おススメあったらなんか教えてください。

 そんななんのヒネリもシャレもない、とるに足らないマクラの文章など悠長に書いているヒマはなく、日に日に溜まって行く映画感想のノルマ。本日は話題のホラー?ラブストーリー?『ぼくのエリ 200歳の彼女』の感想を書くよ。

 観に行った映画館は銀座テアトルシネマ。テアトル系列に続けざまに通って、入会費3000円の"club C"に入会すべきかどうか悩んでおります。
 かなり盛況なようで日曜の夜の会で満席でした。1時間前にチケット買いに行ったのに、前の方しかもう残っていなかった。客層は色々。映画館の立地の感じからして中高年とOLが多いかな。


概要:スウェーデン映画。監督はトーマス・アルフレッドソンという人。脚本および原作はヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストという元コメディアンだそうな。邦題はなんともアレですが、洋題は"LET THE RIGHT ONE IN"ってタイトル。
 ストックホルム郊外の小さな町。集合住宅に母親と2人で暮らす12歳の少年オスカー(カーレ・ヘーデブラント)。同級生のイジメに苦しみながらも、誰にも助けを求めることが出来ず、ただ復讐を夢想してはじっと堪え忍ぶ日々。そんなある晩、彼はひとりの謎めいた少女と出会う。彼女は、オスカーの家の隣に父親と引越してきたばかりの少女エリ(リーナ・レアンデション)。やがて、同じ12歳だという彼女と毎晩のように言葉を交わすようになり、自分よりも大人びた彼女に次第に心惹かれていくオスカー。その頃、町ではおぞましい殺人事件をはじめ奇妙な出来事が立て続けに起こり、住民の間に不安が広がっていた。そんな中、エリが少女の姿のまま200年も生きているヴァンパイアだという衝撃の事実を知ってしまうオスカーだったが…。
("allcinema online"より抜粋)


 なんとも危険な美しさがある映画だと思う。例えば同じ吸血鬼をテーマに扱った『渇き』は「清らかなもの」を「欺瞞」として、一方でその欺瞞の必要性を語りつつも、欺瞞をすべて取っ払った末にそれでも残る美しさをブラックに語った作品だったが、今作は我々が清らかなものに期待する美しさを肯定する映画である。肯定するのだが、それが徹底的に肯定されることの不自然さを描く。それは不自然で狂気的で恐ろしいのだが、どうしても惹かれてしまう妙な美しさを持つ。それが「危険な美しさ」
 そこんとこを解説したいと思います。


 本作において印象的なのは「白」。雪に埋もれた真っ白な街を舞台に、透き通るほど白い肌と髪を持つ少年オスカーが主人公であり、エリの肌もまた病的に真っ白。「白」は汚れなき象徴であり、そんな汚れなき街に住む汚れなき少年を中心に凄惨な物語は展開する。
 汚れなき少年少女が大人になるとは「他者に傷つけられること、他者を傷つけること」を知ることである。真っ白な街に血が滲み、オスカーの肌は傷つけられ、やがて苛められていたオスカーもまたいじめっ子を傷つけるようになる。美しく幼い彼の肌もやがてニキビで乱れ、そのなめらかな髪もくせっ毛になっていく。性を知り、汚らわしい大人へとなっていくはずであり、それが真っ当で健全な成長である。

 美しい雪の街もヴァンパイヤの登場によって犯され荒んでいく。冒頭のガラス越しにオスカーが見ていたボヤけた夢のような淡い美しい風景は、オスカーが汚れや傷を知り大人へと成長していくにつれ、汚れが溢れるリアリティのある街へと変貌していく。例えばオスカーが尊敬し大好きだった父親に失望したりすることで、彼と、彼の視点を通して映画を見る観客は、街から幻想的な美しさが欠落して行くのを感じる。

 そうやって汚れを知りつつあるオスカーは、永遠に12歳のまま歳をとらないヴァンパイヤのエリに恋をする。彼女は汚れを知らない美しき肉体を持ちながら、その心は生きるために人を傷つけ傷つけられ痛みまくっている。だから彼女は汚れを知らない美しきオスカーを見た時に、彼と友達になることを拒否した。何故なら自分のように(それも自分の手によって)汚されることを恐れたからだ。他者を汚すことをおそれ関係に深入りせず、「入っていい」と言われなければ他人の部屋に入ることもできないエリの孤独感にゾッとする。
 エリはオスカーの美しさを守るため、彼の手を決して血で汚させないし、裸で抱き合ってもセックスはしない。触れず、傷つけず、ただその「白」を守ることが彼女の唯一の屈折した愛情表現であるのだ。(中盤、エリの股間にボカシがはいるシーンがございますが、虚勢の跡が描かれているそうです、そういう大切なショットをさぁ…)

 そうやって守られていくオスカーの清らかさと、永遠に汚れないエリの肉体は、不自然で狂気的な違和感に溢れているが、やはり危険に美しい。それはどんどん汚れていく街やそこに住む大人たちとの対比でより際立つ。


 以上、本作で描かれる汚れをしらない清く白い美しさは現実にはあってはならない美しさであるが、その違和感に病的で不健全で、でも神聖な美しさを、次第に汚れて行く北欧の街との対比などもあり、強烈に感じてしまい、それがなんとも危険に感じるのである。


 他に良かった点として往年の名画のような印象的なキッチュでものがなしいテーマ曲。『カラスの飼育』を思い出しました。
 あと、向こうでは体育の時間は女の子はレオタード着るんですね、フゥーッ!
 不満点は特にございません。もうちょいエリ役の子にロリータ映画特有の危険な可愛らしさがあったら良かったかなとは思いましたが、それこそ『カラスの飼育』や『ミツバチのささやき』のアナ・トレントや、『ローズ・イン・タイドランド』や『キングダムホスピタル』のジョデル・フェルランドみたいに。ただあんまり可愛らしすぎるとポップになっちゃって軽くなっちゃいそうだし、まああんな感じがベターなのかな。
 蒼井優レベル

 次回は、すいません、なんか普通なんですけど、賛否両論『借りぐらしのアリエッティ』の感想でございますよ。


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